熊谷大の発言 (本会議)
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○熊谷大君 自由民主党の熊谷大です。
私は、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革、自由民主党を代表して、いわゆる私立学校建物特別助成措置法案について賛成の立場から討論を行います。
まず、東日本大震災においてお亡くなりになられた方々に改めて深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
発災から五か月が経過し、東京では震災の影響はほとんど感じられなくなりました。しかし、被災地では三月十一日はまだ終わっていません。いまだに九万人を超える避難者、四千七百人以上の行方不明者がおり、至る所に震災のつめ跡が残っております。山は崩れ、海は荒れ、町並みは色を失っています。
被災者の苦しみ、悲しみを一刻も早く解決するために全力で取り組むことは、党派を超えた思いであったはずです。しかし、最近の政府・与党の対応は、松本前復興大臣の岩手、宮城両県知事に対する、知恵を出さないやつは助けない、県でコンセンサスを得ないと我々は何もしないとの暴言や、安住国対委員長の被災した自治体の首長に対する、国からお金をもらって自分は言いたいことを言い、できなかったら国のせいにすればいいとの批判、直近では、野田財務大臣が東日本大震災を千載一遇のチャンスと述べたことなどにも端的に表れているように、被災者への当初の思いは失っていると言わざるを得ません。
私は、被災地出身の議員として現場の切実な声に日々接しておりますが、被災者が一番つらいことは、時間がたつにつれて人々の関心が薄れ、忘れ去られていくことだと思います。松本前復興大臣や野田財務大臣、安住国対委員長などの心ない言葉がどれだけ被災者の心を傷つけているか、政府・民主党の方々にはお分かりにならないんでしょうか。
だからこそ、私は冒頭に被災地への弔意とお見舞いの心をこの本会議の場で改めて確認したのです。今こそ与野党が被災者に改めて寄り添い、できることは何でもやろうという初心に返る必要があると思います。
しかしながら、政府・民主党の被災地に対する冷淡さが象徴的に示されたのが今般の私立学校建物特別助成措置法案への対応です。文部科学省は、私立学校の災害復旧について、第一次補正予算で私立学校教育研究活動復旧費補助を加えて実質公立学校並みの三分の二の補助を行っているから、もはや十分であると説明していますが、被災地の実情を全く理解していないと言わざるを得ません。
まず、私立学校教育研究活動復旧費補助は、設備、備品が対象であり、建物の災害復旧費としては使用できないのです。結局、私立学校の建物の災害復旧については二分の一の補助にとどまるのであり、第一次補正予算は、一番負担の重い建物の災害復旧について何とか国から支援してもらいたいという私立学校の要望に到底こたえられるものではありません。
私立学校では、補正予算の枠組みでも、災害復旧について、三分の一は自己資金あるいは私学事業団の援助によることになります。しかし、児童生徒が減少し、復帰のめども立っていないため、私学助成は減額され、授業料などの納付金が減少するので自己資金も苦しい状況に置かれます。震災以前からの負債を抱えている学校もあり、私学事業団から援助を受けても二重債務になります。私立学校の自力による再建は限界を迎えているのです。
だからこそ、補正予算成立後も、岩手県、宮城県、福島県の被災三県や、全日本私立幼稚園連合会、日本私立中学高等学校連合会、日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会などの各種団体から、私立学校の災害復旧の補助率について公立学校並みにかさ上げしてほしいとの強い要望が寄せられているのです。第一次補正予算では不十分であることは、これらの被災地からの切実な要望がはっきりと示しているではありませんか。
自由民主党では、三月十一日の発災直後から、阪神・淡路大震災の教訓を基に、必ず私立学校の災害復旧に対する特別な支援措置が必要になると考え、既に三月三十日に公表した地震・津波対策の第一次提言で、私立学校の災害復旧において公私の格差が生じないよう特別な措置を講じることを政府に求め、五月二十七日の第三次提言では、法律案の要綱まで示して早急な対応を求めてきました。
しかし、政府・民主党が何ら対応もしないまま八月を迎えたため、もはや看過できず、少なくとも学校施設の復旧については、私学が安心して臨めるようにするために我々は議員立法を提出したのです。文教科学委員会において法案審議の際に、民主党から時機を失した議員立法ではないかという質問がありましたが、自らの怠慢から目をそらすのはいいかげんにしていただきたい。本来であれば、政府・与党が内閣提出法案として責任を持って策定すべきものを、余りにも対応が遅いため既に野党が何本も議員立法を提出していることに対して、与党として全く反省がないではありませんか。
さらに、文教科学委員会の議論及び反対討論において、民主党から本法案に対する何点かの問題点が指摘されました。その全ては、後段述べるように、反対のための反対であり、後付けの理屈にすぎません。我々として許すことのできない二点について、高校授業料無償化法案の審議の際と比較して、明確に反論しておきます。
まず、法案提出の趣旨説明を行った当日に採決を行うのは拙速であり、憲法八十九条が公の支配に属しない教育事業に対する公金の支出を禁じていることに関連して、私学の自主性、独立性と私学に対してどの程度の公的支援を行うかについては様々な意見があるのでより時間を掛けて議論すべきだとの、原理原則論も交えての批判がありました。
最初に指摘しておきたいことは、高校授業料無償化法案の審議において、本来であれば一年以上掛けて慎重に議論すべきところ、中央教育審議会への諮問も行わず、無償化の理念、目的と教育基本法に定める教育の目的や教育の目標との関係など、制度の根本的な原理原則についても明確な見解を示さないまま、ほかにも重要な問題点が多く指摘されていたにもかかわらず、一週間足らずで審議を打ち切り、採決を行ったのは民主党だということです。
通常時なら、将来的な私学の振興の在り方について長時間掛けて議論を行うのは、むしろ望むところです。しかし、災害対策には何よりも迅速性が求められます。しかるに民主党は、議院運営委員会でも本法案の委員会への付託をいたずらに遅らせ、やむなく議決により付託することになりました。十分な審議時間を確保できなかったとすれば、その責めは全て民主党にあるのです。
また、助成の対象となる専修学校や各種学校を政令で定めることについて、法律の中できちんと定めるべきとの批判がありました。これについても、高校授業料無償化法案の審議において、対象となる外国人学校について明確な基準を示さず、法案成立後に省令に委任して外国人学校を指定し、朝鮮学校については半年近く迷走した挙げ句に、省令から更に文部科学大臣が定める規定に再委任するという極めて無責任な方式としたのは民主党ではありませんか。朝鮮学校問題については、いまだに尾を引いたままです。
我々は、このような無責任なやり方ではなく、当該専修学校・各種学校が被災地で果たしている教育インフラの役割を総合的に勘案した上で幅広く判断すべきと考えていますが、日本私立学校振興・共済事業団による復旧支援融資の対象となる専修学校及び各種学校の基準などの事例を参考にして、法案が成立すれば早期に政令の内容を決定できるものと考えています。
高校授業料無償化については、恒久財源がなく、昨年の概算要求において、自公政権時代に決して行わなかった憲法上の国の責務である義務教育費国庫負担金にまでシーリングを掛ける事態となりました。高校授業料無償化は、民主党が言うような継続可能な制度ではなく、文部科学省の予算を破綻に導く存在です。
被災した小中高校生向けの就学支援金が既に底をついていると報道されています。だからこそ、我が党は、高校授業料無償化を廃止し、それにより得られる財源を十分な震災復興や低所得者の支援に充てることを求めてきたのです。破綻したばらまき政策に固執し、自らの過去の行いを顧みず、本法案に反対するだけの理屈を振りかざす民主党の態度は、誠に情けないと言わざるを得ません。