前川清成の発言 (憲法審査会)
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○前川清成君 民主党の前川清成です。
私も、二〇〇四年の初当選以来、一貫して憲法調査会あるいは憲法調査特別委員会に所属をし、憲法の議論に加わってまいりました。憲法調査特別委員会においては、簗瀬筆頭理事の下、理事として附帯決議に関する協議も担当させていただき、自民党の岡田直樹理事には真摯に誠実に対応していただきました。
私は、二〇〇七年の五月十四日、参議院本会議において国民投票法が採決される際、反対討論も担当させていただきましたが、それでも、これまでの議論の経緯や法文を尊重して、更に議論を積み重ねてまいりたいと思っています。
同時に、私たちは憲法の歴史も尊重する必要があります。今日、発言の機会をいただきましたので、参議院憲法審査会での議論がスタートするに当たって、議論の出発点としての憲法の歴史、すなわち法の支配、立憲主義についていま一度確認させていただきたいと思います。
一定の限定された地域、すなわち領土と、そこに暮らす人々、すなわち人に対する強制力を持った統治権、すなわち権力が確立したときに国家が成立をいたします。国家が成立したとき、その存在を基礎付けるルールを固有の意味の憲法と呼びますが、さらに国民の基本的人権を保障するために専断的な権力を制限するルールが確立したとき、そのルールは立憲的意味の憲法あるいは近代的意味の憲法と呼ばれるようになります。
一七八九年、フランス人権宣言第十六条が、権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されていない全ての社会は憲法を持つものではないと述べていますが、ここに言う憲法は立憲的意味の憲法であり、国民の自由や平等を保障するために国家権力を制限することこそ憲法が自由の基礎法と言われるゆえんであり、憲法のレーゾンデートルであることを宣言しています。現行憲法においても、第十章「最高法規」の冒頭に、基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であることを確認する九十七条を置いているのは、やはり憲法が自由の基礎法であることの確認であり、自由の基礎法であるからこそ最高法規であることの思想的表現です。
続いては、まず第一に、憲法の本質は制限規範であることを議論の再スタートに対して是非委員各位にも御確認をお願いしたいと思います。憲法は国民の心構えや国柄なるものを書き記す文章ではありません。第二に、国家権力を制限することが憲法のレーゾンデートルである以上、憲法改正の要件は当然のこととして法律の制定、改正よりも厳格な手続を要することになります。つまり、硬性憲法であることは理論的な帰結です。したがって、憲法改正の要件を緩和することに関しても慎重であるべきです。
もっとも、憲法は決して不磨の大典ではありませんし、憲法が制限規範としての機能を十分に果たすための努力も必要です。具体的には、憲法九条と自衛隊の関係、八十九条と私学助成の関係などを法制局の解釈改憲に丸投げするのではなく、九条に関していえば、例えば専守防衛やそのための必要最小限度の戦力しか保持しないことなどの限定を置いた上で、憲法あるいは基本法に自衛隊を位置付けるなどの建設的な議論も期待をしています。
いずれにせよ、さきの大戦や冤罪事件などに鑑みるとき、現在においても国民の自由や平等に対する最大のリバイアサンは国家権力であることに変わりはなく、それゆえに、専断的な国家権力の行使を禁ずるための憲法の役割をより強固なものとし、法の支配、立憲主義を社会の隅々まで至らせるための議論をここ参議院憲法審査会で尽くしてまいりたいと希望しております。
以上です。