宮野廣の発言 (環境委員会)

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○宮野参考人 宮野でございます。
 私は、長い間、原子力標準委員会の委員長をやりまして、公正、公平、公開という原則のもとに、規格基準づくりに携わってまいりました。そういう立場から、現在思うことを話をさせていただきます。
 まず、きょうの課題であります安全規制の組織をどうするかということについて、一言まず申し上げさせていただきます。
 安全規制というのは、原子力安全の確保をするというのが規制でございます。そこには、もちろん、政治、政策といったものが入る余地はないと私は思っておりますし、原子力安全の確保は合理的な科学的判断によるものでなければならないというのは、これまでお二人の話の中でも当然のことであると、私もそういうふうに思います。
 安全を超えて安心を求めるという声はもちろんあるわけでございますが、それは、安全を確保した上で規制機関や事業者に信頼が生まれれば、当然、そこに安心が生まれてくるものであるというふうに思っているところでございまして、安全と安心は明確に分けて議論しなければならないというふうに考えているところでございます。
 さて、原子力の平和利用としての原子力発電を推進するかしないかという問題は、エネルギー政策の一環として国民が決定することでありまして、それはさまざまな選択肢があるというふうに私も理解しております。
 規制機関は、原子力発電のエネルギー政策上の位置づけがどういうふうになろうとも、その原子力安全を確保しなければならないというところは当然のことであります。
 もちろん、安全規制というのは、人との関係を考慮した上で、その原子力安全の確保という命題に対して純然たる技術的領域の問題であり、専門家が何者からの影響も受けずに、責任を持って取り組むことが必要であるというふうに考えています。
 こういうことは、IAEA、国際原子力機関の安全原則にも、規制機関の役割として独立性の重要性が指摘されておりまして、先進各国では、当然、独立性が保障されているのが現状であります。
 この規制機関の独立性というのは、通常の安全確保、常時の安全確保と異常時の安全確保と双方において確保されなければならないというところが当然であります。
 常時の原子力安全の確保ということは、規制機関が組織として独立をして、責任を持って安全確保に努めるということは最も重要なことであるというふうに思っております。
 その上で、原子力の特殊性から、地域住民との関係が重要な要素となると考えております。
 それは、原子炉設置者が、地域として必要な、もしくは対応できる意見をプラントの運用に取り入れて、地域住民とともに発電所の安全と地域の安全をつくり上げるということは、当然のことながら、やる姿勢が重要でありますが、それを規制機関が十分にバックアップしていくということも規制機関の重要な役割の一つであるというふうに考えているところであります。
 原子炉は五層の安全対策がとられています。これは深層防護と言われておりますが、第一層が異常の発生の防止、第二層が拡大の防止、第三層が影響の緩和であり、そして第四層が、事故が発生したときの対応、異常が発生したときの対応、さらに、バックアップとして第五層が防災というふうに言われております。それぞれの層においては、異なる考え方で見て安全を確保していくという対策がとられるわけでございます。
 安全を担うこの組織が、現場に人を配して、必要に応じて情報収集して、直接こういった各層に対応した対応をすぐに判断できるような手を打つことが重要であるというふうに考えておるわけでございまして、昨年の事故でも、当然皆さん御承知だったと思いますが、事故は待ってくれません。どんどん進みます。そういう意味で、すぐに技術的な判断ができるという体制が必要だということは当然であります。
 専門家の役割が重要であり、異常との闘いの中でその専門家が結論を出し、トップがリーダーシップを持って技術的な判断を行うことが重要であり、トップの役割は極めて重要なものであると言えるわけであります。昨年の事故でも明らかになりましたように、政治的な判断というのは、それによって対策がおくれるということはあってはならないということを私たちは感じたのではないかというふうに思います。
 事故を起こした原子炉の対応として、あくまでも、技術的に判断をしてすぐに対応できるようなそういう組織であることが重要であり、そこには政治の入る余地はないというふうに私は思っております。
 しかし、第五層の防災という視点で見た場合には、地方、住民、市町村、県そして国、そういった住民の避難、退避ということは当然必要でありますし、事故の対応においても事業者が十分にできるわけではない。必要な資源を送らなければいけないということに対する支援は、国として最も重要な役割であり、それをできるのは首相である、総理大臣であるというふうに思っております。
 そういう意味では、今回の福島の事故では、多くの組織が関与しておりました。その中で、役割分担をきちんとやることが重要だということを私たちは学んだのではないかというふうに思っております。そこで組織が技術的な問題と住民退避の問題をきちんと分けて迅速に対応することが必要であるということが最も重要な事故時の対応であるというふうに思っています。
 このように、異常時にはオフサイトの対応は総理大臣が、そして、オンサイトの対応は規制組織の長が行うということで、国の機関の役割を明確にして、国全体として迅速かつ的確な判断、対応ができるようになるのではないかということでございます。
 原子力安全の確保ということについて、航空機の歴史を見てみると、同様に多くの事故があったというふうに私たちも思っております。しかし、それを克服してきたのは、航空機の専門家が情熱を持って対策をとってきたからだ、規制をしてきたからだというふうに思っています。同様に、原子力の安全を担うのは、原子力の安全に情熱を持った専門家だというふうに思います。この専門家以上に原子力の安全を担う人たちはいないと私は確信をしております。
 そういう人たちが原子力の安全を担うということが必要でありますし、そしてまた、昨年の事故を反省して、その反省の中から、何をすべきかということをきちんと決めていくことが大切なことではないかと私は思います。
 これまで、原子力発電の、動かすという責任から安全とは何かという話を申し上げました。
 一方で、安全確保のためには、とめるという判断をする勇気と責任を持つことが必要であります。そこにおいても、そこに政治的な判断もしくは経営的な判断があってはいけません。そういう意味で、科学的な、合理的な判断を行えるような組織が必要であるというふうに言えるわけであります。
 原子力推進の政党や、もしくは反対の政党が政権をとることがあると思います。そういった場合でも、原子力の安全を担う規制機関の役割というのは変わりません。淡々と原子力安全を担っていく、そういう姿勢が必要であるということであります。
 そのためには、組織全体がそういう動きをするためには、組織全体の長は、そういう意識、そういう見識を持った人がなるべきである、私はそういうふうに思うところであります。
 動かす責任と、それから、とめる勇気を持った決断ということを申し上げました。このように、原子力の安全というのは、合理的、科学的な判断のもとに、動かすことととめることをきちんと判断できる組織であり、組織の長が必要であるというふうに私は確信するところであります。
 これは私の主題でございますが、昨日、原子力学会の声明を出しましたということで、私たちがこれまでを反省して、こういう組織であるべきだというのをニュースに投げております。原子力学会のホームページでもごらんいただけると思いますが、原子力学会が安全規制に係る国会審議に向けての提言というのをお出ししました。ぜひごらんいただきたいというふうに思います。
 きょうは詳しくは御紹介できませんが、四十年の寿命問題は、これも、技術的な判断、科学的な判断を行うべきだというふうに申し上げております。
 そして、私がもう一つ申し上げたいところは、人材の育成だというふうに思います。規制組織は、人材を固定してそこに置くんだということに対応して、いかに人材を育成するかということをよく考えなければいけないというふうに思います。人材の硬直化を防ぐためには何をすべきかということであります。
 組織の一元化ということでありまして、原子力の組織は、原子炉の安全だけではなく、セキュリティーの問題、それから核不拡散、スリーSと言われておりますが、そういったものを一元化することと、それの研究開発もあわせてこういう組織でやるということが私は必要ではないかと。それを行うことで、人材が研究開発にしばらく籍を置くことで広く世界を見ることができ、それが安全規制を行う糧となるというふうに思うところでありまして、他の部署との交流をなくすことでは、人材はそれだけでは育ちません。それをなくしたときには、どういうふうにして人材を育てるかということが最も重要な課題になるかというふうに思っております。
 ぜひそういう組織にしていただきたいと思うところであります。
 さて、最後に、IAEAの安全原則では、公衆それから利害関係者の意見を求めることというのが規制機関に求められているところでありますし、それから、数年前にIAEAが保安院を監査したときに言われたのは、役所の職員と原子炉設置者との間の良好な相互関係、信頼構築を推進すべきだというふうに指摘をされています。
 私が日ごろから思っているところは、現場のことは現場の人たちはよく知っております。その責任者は責任を持って安全を確保しようと努力しております。しかし、今指摘ありましたように、規制機関と現場が対峙しているのが今の現状ではないかと私は危惧しております。憂えております。
 そういう意味で、原子力事業者は、胸襟を開いて、現場の情報を規制の人たちに公開、それから一般の人たちにも広く公開をすることが必要ですし、その情報をもって規制機関は運転をしている現場に対してよくサービスを行う、適切な対応を行う、支援を行うということが必要だというふうに思っておりまして、お互いに良好な関係を築くことが最も重要な安全確保の道であるというふうに思います。
 ただし、監視という意味では極めて厳しい目が必要だということで、世界は、そういう厳しい目で規制を行い、良好な関係を築いているというのが現実であります。
 そういうことで、ぜひ信頼関係を築くような組織にしていただきたいというのが私の最後の願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 宮野廣

speaker_id: 14614

日付: 2012-06-08

院: 衆議院

会議名: 環境委員会