山田吉彦の発言 (決算行政監視委員会)
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○山田参考人 東海大学海洋学部の山田と申します。
本日は、私、この場にお呼びいただきまして、私の今までやってまいりました研究の成果につきまして御説明させていただく機会をいただきましたことを心から感謝いたします。そして、名誉なことであると感じております。
日本は、四方を海に囲まれ、四百四十七万平方キロメートルの領海及び排他的経済水域を有します世界六位の海の広さを持つ海洋大国でございます。私ども、日本の海という表現をいたしますとき、通常、領海プラス排他的経済水域、そして、今後は恐らく大陸棚も含めてのことになるであろうと思います。
この排他的経済水域と申しますのは、他国を排して経済的な権益を認められた海域、簡単に申しますと、海底資源の開発、そして海中の利用、実は海中にあります海水には、金を初めウランなど、非常に貴重な金属類も入ってございます。そして、漁業管轄権、私ども日本人の食を満たします漁業、水産業の管轄権もこの海域では持っております。
そのようなことから申しまして、日本の海といいますのは、未来の日本を支える非常に重要なものである、そして大事に守っていかなければいけないものであると感じております。
日本は、この広い海の中に六千八百五十二の島を持っております。この島は、周囲が百メートル以上のもの、これを海上保安庁の方で一つ一つカウントした結果、六千八百五十二あるということが言われております。そして、実にこの六千八百五十二のうち六千八百四十七が離島という扱いになっております。離島以外の島といいますのは北海道、本州、四国、九州、沖縄本島、それ以外は全て離島。実は、この離島に住んでおります人口というのは、一億二千万人のうちの七十万人にしか及びません。しかし、この七十万人が住みます離島が、国家を形成する、そして国家を支えるであろう領海、排他的経済水域の基点となり、そこに住む人々が生きることによって、海を守り、海を支えております。
その中で、昨今特に注目されておりますのが、今回議論いただきます尖閣諸島の問題でございます。実に尖閣諸島、東シナ海が今どれだけ脆弱なのか。
今この時点でも、日本と中国の中間線、国際的には、排他的経済水域が重なる場合には、一般的に中間線をもって両国の境界線とするということが定められておりますが、特殊な事情がある場合には両国が協議するということになっております。日本は、特に特段の理由は感じられないということから、中間線をもって日中間の真ん中のライン、境界としております。中国側は、大陸棚が続くという主張から、より沖縄諸島に近い沖縄トラフ海域までを自国の管轄海域と主張しております。
この点に関しましては、近々国連からも結果が報告されることになってこようかと思います。ただし、原則論、やはり国際的な判例から見ますと、中間線というのが一般的でございます。
実に、この中間線付近に、あるいは中間線を越え、日中漁業協定というところで暫定水域、両国がお互いに管理をする海域の中には、既に今現在、二百隻を超える中国漁船が入っております。過去には、最大四百隻にも及ぶ中国漁船が入ったという事例がございます。もう既に、本来日本の海である海域に中国漁船が入り、乱獲を進めております。
昨今の中国の情勢を見ますと、海洋進出を甚だしく進めております。特に南シナ海におきましては、常時、ベトナム、フィリピン、そしてインドネシア、マレーシア等と紛争に近い状態になっております。ベトナム、フィリピンとの間ではもう明らかに紛争状態に突入しております。そして、東シナ海におきましても、私ども日本の領域に侵入いたしまして、彼らの主張を一方的に繰り返すという状況になっております。
中国の侵入に関しまして、中国は、かつては人民解放軍の艦船を中心に展開しておりましたが、現在では、警察権を前提にいたしまして、五つの海上警備能力を持ちまして海洋進出を進めております。特に東シナ海におきましては、まずは漁政、農業部漁業局の漁業監視船をもって領海侵犯、そして漁船団のコントロールをしております。
私が石垣島を中心にしまして現地で幾つか調査をしてまいりましたところによりますと、東シナ海を航行する外航船の船長からの報告によりますと、無数の中国漁船がこの海域に侵入し、AISといいます、自動船舶識別装置と言われる、船の所属や船のナンバーなどを発信する機械を中国漁船は搭載しております。簡易型のものを搭載しております。それを、他国の船が近くに寄ってくると全て消してしまう。これはなぜか。そのデータ、情報というものは、監視すべき中国の漁業監視船に対して情報を提供している。そして、漁業監視船の従うままに中間線を越え、あるいは一部領海侵犯を行い、漁業をやっているというのが現状でございます。
二〇一〇年九月七日、中国漁船による衝突事件がありました。皆さんも御存じのとおり、海上保安庁の巡視船に対して体当たりをするという事件でございます。この後、中国はどのような行動をとってきたのか。
漁船の体当たり事件は、まずは漁船による領海侵犯、不法操業であったわけですが、その次には漁業監視船による領海侵犯を行い、そして、本年に入りまして、中国国家海洋局の管理いたします海監という海洋調査船、海洋監視船による領海侵犯を行い、しかも定期的、恒常的な警備活動であるということを言っております。中国は、一つ一つ段取りを踏み、日本の島に近づいてきております。
では、これからどのようなことが考えられるかといいますと、フィリピンの例をとります。かつて、フィリピンが領有権を主張しますミスチーフ岩礁におきましては、漁船が緊急避難という名目で入り、あっという間に人民解放軍が入り、ミスチーフ岩礁自体を要塞化してしまい、中国の領土であると主張し始めております。
そのようなことがこの尖閣諸島ではないということは全く言えません。今までの流れを考えていきますと、当然、次のステップは島に上陸するということになります。
尖閣諸島は、日本の海、東日本の多くを囲む黒潮の起点になっております。東京の沖を通る黒潮、そして一部は対馬海流となり、日本海を抱き込むように流れております海流、黒潮の起点になっております。この海域の海洋汚染、そして海洋環境というものは、非常に日本に影響を与えるものでございます。
そして、尖閣諸島海域は、漁業資源にも恵まれております。クロマグロ、ホンマグロの産卵地として知られております。この産卵地のクロマグロを守るということは、日本のマグロを食べる文化、そしてマグロの流通にとっても非常に重要なことになっております。
昨今、中国では、魚があればあるだけ売れる、とればとるだけ売れるという状況におきまして、乱獲が進んでおります。私が福建省、現地を取材してまいりました、調査してまいりましたときには、尖閣諸島近海に出ている船は月に大体五百万円近い水揚げがあると。それが二百隻も入ってくるわけです。
日中漁業協定では中国側が中国の法のもとに管理をするということになっており、その乱獲に対して日本側は歯どめがかけられない状況にもなっております。
また、尖閣諸島の近海には、石油初め海底熱水鉱床という海底資源があることが言われております。将来的には、この資源の開発ということも、日本にとって非常に重要なことになってくると思います。
今、尖閣諸島を守るに当たりまして非常に重要なことは、この領海、排他的経済水域の基点になる島を守らなければいけないということでございます。
現在、無人島になっているこの島の現状、非常に脆弱であるとしか言いようがありません。特に、今回国会に上がっております海上保安庁法の改正がまだ進まない中で、あくまでも警察、沖縄県警によりこの島々は守らなければいけない。上陸された場合、沖縄県警により警察権が執行されるという状況におきまして、先ほど申しましたように、中国の漁民が上陸した場合どのような手が打てるのか。
実は、東京都が売買の対象としております島は三つの島プラス一つですが、この周辺海域には、岩礁と言われる飛瀬を初めとした岩もございます。海上保安庁が四隻から六隻、そしてそれ以上の巡視船を割いたとしても、二百隻あるいは四百隻という漁船団が侵入してきた場合、どのように排除することができるのか。それは、上陸した場合、速やかに逮捕し、身柄を拘束し、難民であるか、緊急避難であるか、そして意図を持った侵入であるのかということを判断しなければいけない状況になると思います。
仮に、一つの島に中国人が上陸し、実効支配をした場合、日本と中国の間の中間線の意味がなくなってしまいます。そして、尖閣諸島に一つでも中国が領土と主張し実効支配するような島ができた場合、そこを基点に、中国の通常主張しております沖縄トラフ理論というものまで発展しかねない。そうなりますと、東シナ海を日本が失うことになりかねないわけです。そのような状況で、海を守っていくということは極めて重要な意味を持つ、私はそのように考えております。
このような海を守るためには、まずは、島に人が出入りできる環境を持ち、そして、しっかりと人の力で開発し、島を有効に利用することで生活空間をつくっていくことが重要であると考えています。島に生活空間をつくることこそが、島の管理、国連海洋法条約上全く異論のない、排他的経済水域も十分に主張できる島であるという管理になってこようかと思います。いち早く、この尖閣諸島に人が出入りでき、居住できる空間というものが私は必要であると考えております。
以上でございます。(拍手)