橘幸信の発言 (憲法審査会)

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○橘法制局参事 照屋先生、御質問ありがとうございます。
 二問頂戴いたしました。
 一問目は、憲法予備的国民投票に関する御議論であったかと存じます。
 自民・公明案の提出者の先生方が基本的に考慮されましたのは、先ほど御報告申し上げました、日本国憲法は間接民主制を基本的に採用しているということでございました。
 例えば、憲法学者の宮沢俊義先生のコンメンタールによりますと、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」とは、憲法は、主権を有する日本国民が直接にみずから国政に参与するという原則を採用せずに、国民によって正当に選挙された国会議員を通じて、いわば間接的に国政に参加、参与することを原則とする、すなわち、代表民主制または間接民主制の原則を採用することを意味する、国民が直接に国政に参与する場合として、憲法は、憲法改正の場合の国民投票を認め、また、公務員の選任に参与する場合として、国会議員の選挙のほかに最高裁判所裁判官の国民審査などを認めているけれども、しかし、原則としてはどこまでも代表民主制をとり、国会をもって国権の最高機関としているのだというような、もちろん別の学説はございますけれども、このような一般的な学説を念頭に置かれたものと考えております。
 その上で、自民、公明の法案の提案者の先生方が、対象を広く、民主党案のように国政上の重要問題とするのは、このような憲法の採用する間接民主制に反するおそれがあるけれども、しかし、憲法改正については九十六条があるので、これに関連する、そういう範囲内であればぎりぎり許されるのではないのかというふうに言われたものと存じます。それが、個別の憲法問題、憲法関連問題に限定し、かつ諮問的で、あるいは予備的なものであれば、憲法上許容されると。冒頭、先生引用されました、九十六条の周辺に位置する、これは、このようなことを比喩的に述べられたものであろうかというふうに拝察いたします。
 あともう一点、附則十二条の検討条項の主体が「国は、」となっている点でございます。
 これは、先生方からたびたび議員立法で御指示をいただいてまいります際に、数々の検討条項を私どもお手伝いさせていただきました。検討条項には一般に、国はという主語で書く場合と政府はと書く場合とがあり、また、主体を書かずに受け身で書く場合などがありますけれども、一般に、国はと書く場合には、これは国の統治権を有する三つの機関、国会、政府、あと裁判所を観念的には含むわけですが、ただ、裁判所が意味内容上主体になることはありませんので、国はと書く場合には、通常、政府と立法府である国会を指すことは自明であります。
 ただ、この附則十二条に関しては、制定時の議論では、政府に検討を命じたり法案提出を求めることは全く想定されていませんでした。あくまでも、この検討の主体は国会であるということがたびたび、当時の与党案、自民・公明案の御提出者からも民主党案の御提出者からも言われておりました。
 例えば、最も端的なのが、両案の当初の法案から最終的に修正されたそれぞれの案で、実はこの憲法審査会の権限が変えられているのです。当初の案では次のようになっておりました。この憲法審査会の権限は、憲法改正原案の審査権と日本国憲法の改正手続に係る法律案の審査権というふうになっていたんですが、実は、修正の最終局面でして現在の国会法ですが、憲法改正原案の審査権のほか、日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案の審査権というふうに変えられているわけです。
 この趣旨につきましては、船田元先生は、予備的国民投票の検討もここでできるようにする、こういうことを取り込んだ形で修正したのだというふうに、憲法改正に限らない国民投票制度の制度設計もこの憲法審査会の権限なのだというふうに言われていますし、他方、枝野幸男先生の御発言でも、憲法審査会の権限についてでございますが、先ほど来、一般的国民投票などについての議論も行っていこうという与党からの御提起もございまして、私どもの一般的国民投票についての法案を可決していただいた場合であっても、これについて、今後、改正等を行う審査機関が必要でございます、すなわち、それは個別の、例えば内閣委員会とかそういうことよりも、むしろ憲法のところであろうということで、今私が申し述べたような、そういう条文にさせていただきたい、そんなことをおっしゃっておられるところでございます。
 先生が御指摘いただきました参議院の憲法調査特別委員会での附帯決議におきましても、「国民投票の対象・範囲については、憲法審査会において、その意義及び必要性の有無等について十分な検討を加え、適切な措置を講じるように努める」というふうに、主体の国の中身は国会そのものであるということが明確になっているかと存じます。
 冗長で申しわけございませんが、最後に付言するならば、それであれば、この検討条項の主語を国はじゃなくて国会はと書けばよかったじゃないかと。ただ、私どもがお手伝いしている限り、検討条項の主語を国会はとした立法例は、少なくとも私の記憶の中では見当たりません。何でだろうかというのはちょっと不思議なところもありますが、先生方がつくられる法律において、自分たちはこう検討しろというのは少しおかしいのではないかという、そういうのがあるからかもしれません。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 118004183X00420120405_006

発言者: 橘幸信

speaker_id: 27991

日付: 2012-04-05

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会