緒方林太郎の発言 (憲法審査会)
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○緒方委員 民主党の緒方林太郎でございます。
一般的国民投票制度について、諸外国、いろいろなケースがあるわけですけれども、よく、きょうもスイスの例が取り上げられておりますが、スイスは非常に、歴史的にも国の成り立ちにしても特殊なところがあるので、余りスイスの、国民投票制度が日本にそのまま導入できるかどうかとか、スイスでやっているからというのは議論の前提として成り立たないのではないかというふうに思います。
私はフランス憲法を勉強したことがあるんですけれども、フランスにおいては、この国民投票制度、憲法事項と法律事項がありますけれども、これは何かというと、あの国においては議会不信がそもそも根底にあるツールであります。今の憲法、シャルル・ドゴール大統領のときにできたものでありますけれども、議会がごたごたしているときに、うるさいとやって、直接国民に聞くんだということで、議会不信のツールとしてこの国民投票制度が存在する国があるということについては、私、強調させていただきたいというふうに思います。
そういうときにどういうふうに使われるかというと、統治のあり方として、君主的統治を行うときのツールとしてまさにこの国民投票制度がある。議会との関係がうまくいかない、なかなか法律が通らない、そういうときに、もういい、国民に直接聞くんだということで、そういうふうに使われるということがある。ここは国によって、政治文化によってそれぞれ適用の仕方が違うと思いますけれども、念頭に置くべきかと思います。
そして、これをもう少し政治的文脈に置きかえてみると、一般的国民投票制度といいますけれども、これは恐らく、政権が満を持して提出した案件で否決されたときには、最低でも内閣総辞職だと思います、日本の制度においては。さすがにその状態で解散・総選挙に出ることはないと思いますけれども、それすらあり得る。いずれにせよ、政権が崩壊することに直結する可能性が非常に高い案件、考え方によっては解散・総選挙と非常に似たような制度として運用されることがあり得る政権信任のツールであるということも考える必要があると思います。
フランスにおいては、これまで二回否決されたことがあります。シャルル・ドゴール大統領のとき、一九六九年、上院改革をしようとして否決された。このときは、シャルル・ドゴール大統領は辞任をしています。そして二〇〇四年、まさに先ほど橘部長からもありました、欧州の条約が否決をされた。このときは首相が辞任をしています。
フランスは大統領と首相で政治的権力を分有しているので、どっちがやめるかというのはそのときの政治情勢によって違うわけですけれども、日本みたいな制度で政治的権力が分有されていないケースにおいては、間違いなく総理に責任が全部来て、内閣総辞職、場合によっては解散・総選挙というふうになるということについては、これはよく考える必要がある。政治的文脈に置きかえたときによく考える必要があるだろう。
そして、さらに言うと、私は首相公選制というのは日本ではなかなかうまくいかないのではないかと思いますけれども、仮に首相公選制を導入してこの一般的国民投票制度を合わせたときに何が起こるかというと、首相を選んでいる勢力と議会の多数派が異なるとき、法律が一本も通らない。私がそのときの総理大臣であれば、ばんばん国民投票を打つと思います。もう議会に諮るのが面倒くさいから。そういうふうなツールとしてもあり得るということ、これも強調させていただきたい。
最後に一つ。この問題、国民投票をやるときにもう一つ考えなきゃいけないのは投票率との問題でありまして、実は、例えば、国にとって重要な案件だけれども特定の集団または特定の地域に非常に利害が集中するような案件である場合、このときは投票率が上がらない可能性があるんですね。
フランスでも一回こういうことがありました。一九八八年、ニューカレドニアの独立の問題について、国民投票を一回打ったことがあります。本土からすると地球の真裏にある話、全く投票率が伸びなかった。可決はされたけれども投票率が全く伸びないと、何となくその案件自体が、その案件そのものが不信任を受けたような感じがあって、可決はされたけれども敗北感が漂うみたいな話が出てくるかもしれない。こういうことも問題として提起をさせていただきたいと思います。
最後に、これをまとめて申し上げさせていただきますと、仮にやるとしても、仮にこの一般的国民投票制度というか、やるとしても、テーマを絞る。そして、できれば政府提案は避けた方がいいと思います。先ほどありました、議会が提案する国が多いということでしたが、政府提案を避ける。そして、最後は、投票率の問題についてまとめる。この三点を強調させていただきまして、発言を終わります。
ありがとうございました。