橘幸信の発言 (憲法審査会)

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○橘法制局参事 近藤先生、御質問ありがとうございます。手持ち資料の範囲内でお答え申し上げさせていただきたいと存じます。
 冒頭の論点説明では、元首の定義に関しまして、一般に、外交を通じて国を代表し、行政権の全部または一部を有するような、そういう国家機関であることと従来考えられてきたことに鑑みまして、国政に関する一切の権能を有しない、そういう天皇は元首ではないとする見解について言及させていただきました。
 御質問の御趣旨は、このような伝統的な、法的な元首概念を前提として、内閣法制局を初めとする政府などがこの国会において天皇を元首として認めてきたのかどうか、そういう御趣旨の御質問であると存じました。
 これにつきましては、詳細資料、衆憲資七十六号の五ページにおきまして、第百十三回国会、昭和六十三年の参議院の内閣委員会の、当時の内閣法制局第一部長の御答弁を紹介してございますけれども、手持ちに、より直近の、本院、衆議院での御議論ですと、平成十三年五月十五日の衆議院予算委員会での御質問を重複ないように御紹介させていただきたいと存じます。
 社民党の横光先生が、当時の小泉首相、そして津野内閣法制局長官に、我が国の元首は誰ですか、このように問うているのでございます。それに対して、津野内閣法制局長官は端的に次のように述べておられます。
 天皇が元首であるかどうかは、要するに元首の定義いかんだろうというふうに思われるわけでありますけれども、かつて帝国憲法におきましては、元首とは内治外交の全てを通じて国を代表し、行政権を掌握している存在であるということで、帝国憲法上は天皇が元首であることも明記されておりました。しかし、現憲法下では、そういった定義の上から見れば、天皇を元首というわけにはまいらないわけでございます。ただ、今日では、実質的な国家統治の大権を持たなくても、国家におけるいわゆるヘッドの地位にある者を元首と見る見解も有力になってきているわけでございまして、この定義によるならば、天皇は国の象徴でございまして、さらに、一部ではございますけれども、外交関係におきまして国を代表しているという面もございますので、現行憲法下においても元首であると言ってもいいであろうというふうに考えております。このように述べておられます。
 私などが要約するのは大変僣越でありますが、要するに、従来からの伝統的な元首概念に照らせば、確かに天皇は元首ではない、しかし、元首概念は多義的であり、実質的な権能を持たなくても、単に国家におけるヘッドの地位にある者、こういう元首概念によれば、天皇は十分に元首である、このように言っておられるかと存じます。

発言情報

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発言者: 橘幸信

speaker_id: 27991

日付: 2012-05-24

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会