笠井亮の発言 (憲法審査会)

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○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 憲法第二章の検証をめぐって、意見を述べます。
 第九条は、戦争の放棄だけでなく戦力の不保持と交戦権の否認まで定めたもので、前文とともに、日本国憲法の真髄をなすものです。それは、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」という、日本が起こした侵略戦争の反省に立ち、広島、長崎への原爆投下による甚大な犠牲の上につくられたものです。主権在民、基本的人権などとともに恒久平和主義を定めた日本国憲法の中核をなす、極めて重要な条文にほかなりません。
 第九条はまた、国連憲章に実った平和のルールを受け継ぎ、さらに一歩進めたという点でも重要な意義があり、その理想と精神は、日本だけでなく、日本軍国主義の侵略を受けたアジア諸国の共有財産とも言えるものであります。そこには、さらに、戦争のない新しい世界を展望し、その先駆けになるという決意も込められています。日本国憲法施行六十五周年に当たる今日、九条の持つ意義はいよいよ大きくなっています。
 この憲法九条の原則に照らして、現実がどうなっているか。
 まず検証が必要なのが、日米安保条約と在日米軍基地の問題です。戦後、我が国では、日本国憲法が文字どおり最高法規としての力を発揮するはずだったのに、六十年前に発効した日米安保条約によって、憲法の平和主義とは真っ向から対立する一連の法体系がつくられてきました。歴代政府は、憲法九条をないがしろにし、解釈改憲と違憲立法によって、日米安保条約優先の現実をつくり出してきたのであります。
 その最たるものが在日米軍基地の問題です。日米安保条約のもとで、首都の横田を初め、三沢、横須賀、厚木、岩国、佐世保、沖縄など、全土基地方式がとられ、核兵器が持ち込まれ、ベトナム、イラクなどへの出撃基地にされ、戦後六十七年の今も外国軍事基地が居座り続けている現実は、九条が目指した日本社会とは全く相反するものです。
 とりわけ、ことしは沖縄の祖国復帰四十周年に当たります。あのとき沖縄県民が切実に求めたのは、日本国憲法のもとへの復帰であり、占領下で強制的につくられた米軍基地を撤去し、核兵器も基地もない平和で豊かな沖縄を実現することでした。
 ところが、四十年たった今なお、在日米軍基地の七四%が沖縄に集中し、相変わらず、部隊の配置も基地の使い方も米軍の勝手放題で、事故が多発し、日米地位協定のもとで、米兵犯罪も後を絶ちません。経済と地域の振興も阻害され、米軍基地の存在に苦しめられるという、占領下と基本的に変わらないような、九条が沖縄に及ばない現実が依然続いています。それを支え合理化しているのが日米安保条約にほかなりません。
 その上、日米両政府は、沖縄県民の総意に逆らって辺野古への新基地建設を押しつけようとする一方、普天間基地の固定化まで狙い、最近もモロッコで墜落事故を起こしたオスプレーの配備を強行しようとしているのであります。
 こうした憲法九条のじゅうりんが集中的にあらわれている日米安保条約のもとでの実態こそ、徹底的に検証すべきです。
 次に、日米安保条約と自衛隊の問題です。
 そもそも自衛隊は、日本の再軍備という米国の強い意向のもとで、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とした憲法九条に反して創設されたものであります。このもとで、日本政府は、専守防衛といいながら、再軍備としての自衛隊を日米安保条約と一体に米軍の補完部隊として増強してきたというのが実態であり、そこに最大の特徴があります。
 米世界戦略のもとで、八〇年代には、日本列島不沈空母、三海峡封鎖、シーレーン防衛などが叫ばれるなど、米軍と自衛隊の共同軍事作戦が問題になり、冷戦崩壊後の九〇年代以降、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法など海外派兵のための法律、体制、装備を強化し、自衛隊を米軍とともに海外で行動する部隊へと質的に変化させてきたのであります。
 今なお、ソマリア沖・アデン湾、南スーダンへの派兵を行い、自衛隊法上も国際活動を本来任務に位置づけるとともに、地球的規模の日米同盟への変質を強めるもと、米軍再編の中で、陸海空の司令部一体化など、自衛隊と米軍がより一体となった海外派兵体制がつくられるまでになっています。去る五月一日の日米共同声明では、米軍と自衛隊が地球的規模で海外での共同の軍事行動を行うこと、グアムとテニアンに自衛隊が米軍と共同して使用する海外の訓練場を建設することまで合意したことは、極めて重大です。
 こうした二重、三重に憲法九条を踏みにじる現実こそ徹底検証すべきです。
 最後に、軍事費の問題に触れます。
 毎年五兆円規模もの軍事費について、そもそも憲法九条のもとで許されるのかが問われなければなりません。とりわけ、在日米軍駐留経費負担の中でも、条約上も義務のない米軍思いやり予算など、憲法九条のどこに根拠を見出せるのか。まして、グアム移転と称して米本国に戻る米軍のための経費を日本の負担とすることが、憲法上も財政法上もどうして許されるのか。正面から検証されなければなりません。
 時間が参りましたので、とりあえず以上を指摘して、発言を終わります。

発言情報

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発言者: 笠井亮

speaker_id: 27017

日付: 2012-05-31

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会