石澤義文の発言 (社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会)
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○石澤公述人 全国商工会連合会長の石澤であります。
私から、消費税に関連いたしまして、現状を率直に申し上げまして、中小・小規模企業者の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。
去る三月末に消費税引き上げ法案、附帯事項等が閣議決定されまして、その後、価格転嫁問題等、本委員会でも政府内でも議論が行われているところでございます。しかしながら、現在議論が行われております価格転嫁対策につきましては、価格競争力が弱い、あるいは交渉力の弱い中小、特に小規模企業にとりましては抜本的な対策にはなり得ないのが現状であります。
後ほど詳しく御説明申し上げますけれども、一言で申し上げるならば、規模が小さければ小さいほど価格転嫁が困難であるということ、また、消費税が引き上がりますと、滞納が急激にふえてくる、必然的に廃業が増加する、こういう状況を前にいたしまして、私といたしましては、反対せざるを得ない立場を御理解いただきたい、こう思っております。
私のところへは、中小・小規模企業から、消費税の引き上げに伴ういろいろな切実な思いが、意見が寄せられております。三つほど御紹介いたします。
一つは、価格転嫁ができないということであります。請求書に消費税を記載いたしますと、大型店やあるいは安売り店の価格が比較になりまして、最終的にはやむを得ず値引きすることになる。五%でも転嫁ができない、自腹を切るわけでありますが、これが一〇%になりますと、さらに苦しくなって経営が成り立たない。事業主なら我慢のしようもありますけれども、従業員の生活を保障できなくなる。こういう意味から絶対反対であるという声であります。
二つ目は、事務負担が重いということであります。消費税の計算に手間とコストがかかる。これ以上制度が複雑になると、小さな企業では到底対応できない。必然的に税理士さんにお世話になることになってコストが上がる、費用がかかるということであります。
もう一つは、このところ、売り上げがどんどん減っておる。これは、かつて消費税が上がったときからこういう流れになってきておる。納税時の負担が大きく、資金繰りに大変苦慮をしておる。消費税はもろに景気に影響を受けますので、これ以上消費税が上がると本気で廃業を考えねばならない。このような悲痛な訴えであります。
なお、消費税だけではありません。中小企業を取り巻く、業者にとっては大きな負担が加わってまいります。
いわゆる協会けんぽ、本年度から全国平均一〇%になります。三年間で一・八%の引き上げが行われるわけでありますけれども、大企業中心の健保組合やあるいは公務員の共済との格差がだんだん広がっていく。そして、これらの保険料の半分は事業主が負担をするわけであります。上がる率は小さくても、トータルとしては、小さな事業者にとっては耐えられない負担になるということでございます。
さらに、電気料の値上げ等が負担になってまいりますと、この負担に耐えられない、特に小規模企業者の窮状をお察しいただきたいと思っております。この中小・小規模企業者の負担が少しでも軽くなるように、抜本的な改革をしていただきたい、このように思っております。
それでは、本題の消費税について申し上げたいと思っております。
お手元に「消費税の問題点」というタイトルの資料をお配りいたしております。
私どもは、苦しい国の財政状況、また社会保障費が増大をしていること、また国際的にも待ったなしの状況であることは十分認識をいたしております。
しかし、先ほどから事業者の声として御紹介をいたしましたが、お手元の資料の一ページにありますように、昨年九月に中小企業四団体で共同で調査をいたしました。消費税分を全額価格に転嫁できないと答えた業者が、年商三千万以下では四九%、一千万以下では六五%に実は上っております。これ以上税率が引き上げられますと、転嫁できないと予想する事業者の割合がさらに高まってくる、増加をする。また、売上規模が小さくなればなるほど転嫁が困難であるという状況がございます。
元来、消費税というのは消費者が負担をすべきものであります。そのとおりの仕組みになっておれば、我々は何も申し上げません。しかし実際には、価格転嫁ができなくて、自腹を切って納税をしているのが現状であります。この価格転嫁の問題をこのままにして消費税を引き上げれば、業績がさらに悪化をして、ひいては滞納の増加、廃業の増加につながることは当然のことであると私は思っております。
お手元の資料の四ページにありますように、平成九年に税率が三%から五%に上がりました。また、平成十七年には免税点が、三千万円が一千万円に切り下げられております。この年から急激に滞納がふえております。
滞納だけではございません。消費税が五%に上がった翌年から、実は商工会の会員が激減をしておる。前の年までは、実は年間四千人の会員減でありましたが、消費税が上がった途端に、平成十年には一万二千人の減になっております。また、十七年に免税点が引き下げられますまでは、一年間の会員の減は一万三千人でありました。しかし、引き下げた年から一万九千人に増加をしていることは、消費税の値上げとこれらの滞納あるいは会員の廃業、減少とは無関係ではないということでございます。
消費税の滞納といいますと、消費者から預かっておる消費税を納めないのはおかしいではないか、こうお思いかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、小規模事業者は価格転嫁ができなくて、みずから自腹を切って納税をしておるという状況であります。赤字で資金繰りがつかない、やむなく滞納しておるということであります。滞納に至った業者は、借金をしたり、個人の預金を崩して、実は何とか納税をしておる状況でございます。
消費税は、御承知のように、赤字であっても納税しなければならない国民の義務であります。滞納いたしますと、金融機関からの融資も受けられない状況でございます。したがいまして、こういう状況の中で今一〇%に税率が上げられますと、廃業を選択せざるを得ないという現状を御理解いただきたいと思っております。
以上、中小・小規模企業が消費税分を販売価格に転嫁できない実態を今申し上げました。また、消費税の引き上げが疲弊している中小・小規模企業に大きな打撃を与えることも御理解をいただけたかと思っております。
それでも、やむを得ずどうしても消費税を上げなきゃならぬ場合には、私は、次の対策を十分議論していただいて、それを実施していただきたいと思っております。
まず第一は、徹底した歳出の削減であります。
新聞の世論調査によりますと、まだまだ国民は消費税の値上げに納得をいたしておりません。この国民の理解、納得がなければ、事業者は十分な価格転嫁ができないのであります。消費税の引き上げについても、最終的には消費者である国民の理解がなければなりません。その意味では、皆さんの定数削減やあるいは国家公務員の人件費の削減など、国民の目に見える努力をしていただきたいと思っております。
次に、景気対策の実施であります。
今、デフレの経済下において事業者は過酷な価格競争にさらされております。少しでも事業者が価格転嫁しやすい経営環境をつくるために、デフレを脱却して、特に地方における経済を立て直していただいて、そのために緊急の大型景気対策をぜひとも講じていただきたいと思っております。
次に、免税点、簡易課税の適用上限の引き上げについてであります。
現在、価格転嫁対策が検討されておりますが、転嫁カルテル、あるいは公取等の監視制度、あるいはまた価格表示方式の見直しなど検討されておるわけでありますが、立場の弱い小規模企業者にとりましては、いずれも抜本的な対策にはならない、これは過去の結果からも明らかでございます。
そこで申し上げたいのは、小規模な事業者はそもそも価格転嫁が極めて困難であるという前提の上に立って、お手元の資料の三ページにもありますように、本来、中小・小規模企業者の対策として、初めて消費税が導入されたときに優遇措置として設けられた免税点制度を、現在は一千万円に切り下げられておりますが、消費税創設当時の三千万円まで戻してもらいたい。また、簡易課税の適用範囲についても、現在は五千万円でありますが、これを引き上げてもらいたいということがお願いでございます。
もう一つは、平成元年に消費税が導入をされたときに、それまでの手で計算をしておった事務を、記帳を機械化する必要がある、そのような意味で、その促進のために六十億円の基金を実は頂戴いたしました。その運用益をもってその促進をしてきたのでありますが、残念ながら、一昨年、事業仕分けで国庫に返納することに相なりました。もしもこの消費税の引き上げを導入するならば、私は、この基金を復活していただくか、またはそれにかわる対策をぜひ立てていただきたい、このように存じておるところであります。
次に、複数税率の問題でございます。
消費税の逆進性対策として、食品などの日用品には軽減税率を適用すべきことが議論をされていると承知をいたしております。大手スーパーにおいてはこれは容易なことでありますけれども、地方の小規模な小売店では、食料品、雑貨、ギフト商品などさまざまな商品を扱っております。
そして、二ページにもございますように、私どもの調査によりますと、個人事業主の九割が納税事務をみずから行っている、あるいは経理の処理については、個人事業主では五五%、法人では四四%が手計算をしておるという現状でございます。このような業者にとりましては、品目ごとに税率を変更するということは並大抵のことではございません。せっかく小規模事業者に与えられた簡易課税についても、使いにくくなる、意味がなくなってくるわけであります。
私どもは、ぜひとも、このことについて、負担のかかる複数税率は慎重にしていただきたい。ただし、低所得者層については、このことを御理解いただきまして別途の対策を講じていただきたい、このように申し上げたいと思っております。
以上、現状を申し上げまして、御理解をいただきますようにお願いを申し上げます。(拍手)