上念司の発言 (社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会)

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○上念公述人 皆さん、こんにちは。
 政治を志すというか、政治家である皆さんは、ぜひ、人間関係を大事にされていると思いますので、もう少し元気に挨拶していただければと思います。
 皆さん、こんにちは。
 ありがとうございます。
 経済評論家で、デフレ脱却国民会議の事務局長をやらせていただいております上念と申します。本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。
 私が申し上げたいことは、誤った情報に基づいて誤った判断をすれば、国が大変なことになってしまうということです。この一点に尽きます。
 それは、戦前、大本営連絡会議において、誤った情報に基づいて対米開戦を決断したあの近衛内閣末期、そして東条内閣が、日本をとんでもない混乱に陥れて、結果的には一度国を滅ぼしてしまった、大変とんでもない決断をしてしまった、こういう過去の歴史があります。私たちは誤った情報に基づいて政策を決定してはいけない、このことだけをきょうは私は訴えたいと思います。
 私がきょう訴えたい点は二つしかありません。一つは、日本は本当に財政危機なのか。これが一つ目です。そして二つ目、消費税増税によって本当に税収がふえるのか。この二点だけを、ぜひ皆さん、もう一度考え直して、この公聴会というのは法案を採決するためにやる儀式ではないと私は信じておりますので、ぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。
 まず一つ目、日本が本当に財政危機なのかどうなのか。
 これは、私のような一介の経済評論家の意見よりも、もう少し権威のある方の意見を引用した方がいいと思いますので、今、一つちょっと読み上げたいと思います。
 まず一つ目、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。債務不履行は考えられない。デフォルトとしていかなる事態を想定しているのか。日本国債は現在九五%が国内でかつ低金利で消化されている。
 その次、近年自国通貨建ての国債がデフォルト、つまり債務不履行した新興市場国とは異なり、日本は変動相場制のもとで、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。さらに、ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい。
 その次です。マクロバランスとの関係では、景気が回復し、銀行の新規融資が増加し、金利が上昇すると、財政赤字の削減は困難になると言っているが、しかし、このような状況では、名目、実質双方の成長率が高まり、税収がふえ、不良債権処理が促進されることから、むしろ財政健全を進める上で歓迎される。金利の上昇のみを強調して、景気回復に伴うはるかに大きな効果を無視するのは適切でない。
 このようにその権威のある方が述べていらっしゃいます。
 では、この権威のある方というのは一体誰でしょう。財務省です。きょう、私は、これを財務省のホームページからダウンロードして印刷してきました。ぜひ、本当かうそか確かめていただきたいので、「外国格付け会社宛意見書要旨」というタイトルで検索してみてください。インターネット上で公開されております。
 財務省みずからが、日本は財政危機ではないというふうに過去言っているんです。このときと今と、経済財政のファンダメンタルズは変わったのか変わっていないのかということを確認したいです。
 まず、日本は変動相場制から固定相場制に移りましたでしょうか。日本はまだ変動相場制ですよね。それから、外貨準備とか国内で九五%消化されている国債の消化状況とか、何もファンダメンタルズは変わっていません。
 ということは、この財務省の、非常に権威ある、財政危機ではないという見解はいまだに生きていると私は考えております。もし、日本が固定相場制に移行していたりとか、国債の半分以上が外国人に買われているというなら、ぜひその証拠を示していただきたいというふうに思っております。詳しくは、ぜひ財務省の方に聞いていただければというふうに考えます。
 それから、次です。百歩譲って、日本が財政危機だったとしましょう。では、仮に財政危機だとして、消費税の増税が本当にその財政危機を救うのか、つまり、消費税の増税で税収がふえるのかという点について考えてみたいと思います。
 お手元の資料をごらんください。
 「デフレ下の増税は百害あって一利なし 増税しても財政再建できない不都合な真実」ということで資料を用意させていただきました。
 まず、一ページ目をめくっていただくと、ここにサマリーがあります。これは絶対誰も反対できないと思うんですが、「税収=名目GDP×税率×税収弾性値」、この式が間違っているというのなら、ぜひ指摘していただきたいと思います。これはもう間違いなくこの式で算出されます。
 問題は、消費税の税率を上げることによって名目GDPが一円も減らないのかということです。税率を上げる以上に名目GDPが減ってしまったら、この式を見ればわかるとおり、税収は減ってしまうんですね。そのことを明らかにしていきたい。そのためには、やはり過去の歴史に私たちは学ばなければいけません。それは、最初に申し上げたとおり、近衛内閣末期のような間違った判断で政策を決定すると、国は本当に滅んでしまうかもしれないからです。
 では、この次のページをちょっとごらんいただきたいと思います。
 「税収の源は名目GDPである」というグラフが出ています。私たちが政策を判断する場合に、統計的に、その二つの数値がどれぐらい関係が強いかということをあらわすものに、相関係数というものがあります。相関係数が〇・三以下の場合は、ほとんどその二つの数値には関係がありません。もし税収と税率の間に相関関係があるならそれはいいんですが、圧倒的に税収は名目GDPと相関性があります。これは、日本だけじゃなくて、外国の例を見ても同じです。
 こちらのグラフをごらんいただけると、青い実線の日本の名目GDPに対して、青い点線の日本一般政府歳入というのはもうほとんど一致した線になっています。緑、オレンジ、これはドイツ、アメリカですけれども、基本的には名目GDPの伸びと税収というのは比例しております。税率を考えるよりも、名目GDPを考えた方が圧倒的に税収をふやすためには効果があるということをこのグラフが示しています。
 では、次のページをごらんください。
 税収だけではなくて、プライマリーバランス、歳入歳出のバランスを見たときにどうなるのか。こちらも、プライマリーバランスと名目GDPの推移というのは、グラフが非常に重なりやすい、相関も高いのではないかということが言えます。これが、次のグラフです。
 そして、さらに次のページ。
 私たちの日本国がなぜ税収が悪化しているかといえば、これはデフレが原因です。デフレが進行すると、企業は売り上げが減って、利益が減って、そしてお給料も払えなくなって、どんどん所得が減る。所得が減ると、人々はますますお金を使わなくなって、そしてどんどん経済が縮小していく。経済が縮小すると、先ほどの公式に基づいて、名目GDPが減少します。名目GDPが減れば、税率を上げようが、税率を変えなかったら当然ですけれども、税率を上げても税収は減ってしまいます。それはこのグラフを見れば明らかだと思います。
 そして、次のページをごらんください。
 では、なぜ今、日本がデフレなのか。これがきょう一番私が訴えたいところです。
 デフレというのは、特定の商品の価格ではなくて、世の中全体の物の値段ですね、一般物価が二年以上連続して下がることです。これは、例えばユニクロがたくさんふえたからデフレになったとかばかなことを言っている人がいますが、そういうことでは全く説明ができません。デフレというのは貨幣量が不足することによって発生する貨幣現象なんですね。だから、日銀がお金を刷らないからデフレになっているんです。
 そのことが、こちらの「デフレは日銀が招いた人災」というチャートに示してあります。ほかの国がリーマン・ショックのときに二倍、三倍とお金の量を、変化率ですけれども、これだけのお金の量を市場に供給したのに対して、日銀はほとんど何もしていません。この状況が続く限り、幾ら税率を上げたところで、税収はふえません。財政支出をふやせばマンデル・フレミング効果というのが働いて、結局、金利が上がって、円高になって、全ての効果は海外に逃げてしまいます。金融緩和なくして財政政策なし、デフレ脱却なくして財政再建なしなんですね。
 では、次のページをごらんください。
 こういうことを言うと、日本は人口が減っているからデフレなんだよという極めて間違った考えを言う人がいるんですが、人口減少デフレ説は完全なでたらめです。何の根拠もありません。
 こちらにIMFが定義する先進国の人口増加率と物価上昇率をプロットしたデータがあります。これは駒沢大学准教授の飯田泰之先生がつくられたグラフです。何の相関性もありません。R2というところをごらんください。〇・〇〇〇五、ほとんどランダムですね。これが〇・六以上なければ相関があるとは言えないんです。
 人口増加とデフレの間には何の関係もないのに、五月三十日に日本銀行から、人口が減っているからデフレになっていますというような恐ろしいでたらめなレポートが発表されました。このレポートをよく読んでみると、この三十何カ国から二十四カ国を恣意的に選んで、しかも、相関係数のR2が書いていないんですよ。非常にインチキなレポートを出しています。これだけでも日銀総裁は首にしていいんじゃないかと私は思っています。とんでもない話です。
 そして、次です。
 人口と経済成長、これも実は全く関係がありません。残念ですが、相関係数は〇・一八しかありません。彼らの言うことが正しいなら、ここの相関係数が〇・六以上にならなければいけない。しかし、なっていない。つまり、これは彼らが言っていることがサイエンスでないということですね。でたらめであるということが断言できるのではないかと思います。
 最後に、金利が上がって財政破綻するとか、おもしろいことを言う人がたくさんいるんですが、これも大うそでございます。こちらをごらんください。名目成長率が四%以上になると、通常、長期金利よりも成長率の方が高くなりますので、ちょっと難しいんですが、公債のドーマー条件という、財政破綻をするかしないかの条件を財政破綻しない方向で満たすことになって、基本的には日本の財政は健全化します。
 これは実は、戦前、高橋是清が行った金融財政政策の中で、彼らは、新たに発行した国債を日銀に買わせて、それで財政政策をどんと行ったんですね。こんなことをやったら金利が上がって大変だとみんな言うんですけれども、実際に金利が上がったかというと、全く上がりませんでした。三年半ぐらい長期金利はずっと横ばいの状態で、その後急激に上がることもありませんでした。
 その後、日本経済がおかしくなるのは、二・二六事件が起こって、高橋是清が暗殺されて、馬場えい一という国賊級の大蔵大臣が死ぬほどお金を刷って増税して軍備拡張をしたわけですね。この金で戦争してこいとやったわけですね。これは、まさに近衛内閣末期です。これと同じことが今まさに、消費税増税という誤った、対米開戦と同じような決断によって行われようとしていると私は懸念しております。
 では、最後のページです。
 ということで、私も財政再建はぜひした方がいいと思います。それから、税収がふえるならぜひ消費税を上げてください。
 ところが、今、日本銀行という大変問題のある団体がデフレを続けていることによって、税率を上げても税収はふえません。増税したいのであれば、まず最初に日銀法を改正して日銀総裁を首にする、そして、デフレ政策を改めて、きちんと二%から四%程度のマイルドなインフレに持っていく、そういう状態にして、景気が物すごくよくなって、このままじゃ過熱して大変だとなったらぜひ増税してください。
 私は増税そのものには反対していません。税収が上がるなら増税してください。でも、今、日銀がこういう状況で幾ら増税しても全く税収は上がりません。
 ですから、増税したい議員の皆さんも、増税を妨げているのは日本銀行だということをぜひ頭の中に入れていただいて、日銀法改正なくしてデフレ脱却なし、日銀法改正なくして財政再建なしということをきょうはぜひ肝に銘じていただいて、あと、私はうそを言っているかもしれませんから、調べてください、ぜひ皆さん自身の頭で考えていただいて、御納得いただいて、この議論を進めていただければと思っております。
 最後に、私は実は中央大学辞達学会という弁論部の出身でして、衆議院でこのようにスピーチさせていただくことは本当に名誉なことでございます。早稲田大学雄弁会の大先輩の渡部恒三先生の前でこんなお話をさせていただくのは大変恐縮でしたが、長い時間おつき合いいただきまして、ありがとうございます。
 これにて、私からのアピールを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 118004402X00220120613_008

発言者: 上念司

speaker_id: 4078

日付: 2012-06-13

院: 衆議院

会議名: 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会