田淵隆明の発言 (社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会)
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○田淵公述人 公認システム監査人、そしてIFRSコンサルタントの田淵と申します。
あとは、多分この中にも読者の方はおられると思うんですが、ある有名なIT企業のコラムニストをしております。大体一万人ぐらいの方がごらんになっていると聞いています。
さて、それでは、きょうのタイトルなんですが、こちら、お手元の資料で「弱者に優しい消費税」、こういうタイトルのものをつくりました。
それで、まず、一番最初に、賛成か反対かということからしますと、大変申しわけないんですが、この増税案は明確なる公約違反でございます。したがって、これは公約違反ですから、やはり撤回して、解散・総選挙をして国民に信を問うというのが本来の民主主義でありまして、ここでうそをついたら民主主義は崩壊してしまうと思います。
しかも、申しわけありませんが、実は、後で申し上げるように、この消費税は非常にずたぼろの、ぼろぼろの法律でありまして、そうなってしまったのは、売上税のときに公約違反まがいのことがあったということも大きく作用いたしておるわけでございまして、そういうことも考えると、ここは、野田総理、申しわけありませんが、撤回の上、解散・総選挙をしてやり直すのが正しいと思います。
さて、その上で、まさしく、資料の五ページにあるように、増税法案を可決してから解散というのは、これはもう詭弁でありまして、国民に対する詐欺行為でありますので、絶対に撤回していただきたいと思います。
それで、その後、多分、増税の前にやるべきことがあるということで、約百人の国会議員の先生方がのぼりを上げておられるようでありまして、一応やるべきことというのも書いたんですが、時間が十五分しかありません。例えば、NTT等の通信会社に送配電をやってもらうとか、あるいはシステム監査を法制化するとか、いろいろな提案もセクション二とか三とか補足のBに書いておきました。
ただし、TPPは絶対にやってはいけません。なぜいけないかというと、ISD条項が非常に危険です。特に、例えばISD条項によって再販価格維持制度が壊されてしまったら、日本のマスコミはおしまいですよね。そういうこともありますが、その話は資料を見ていただくことにして、本編に入りたいと思います。
お手元資料十九ページをごらんください。
実はきょう、いろいろ先生方のお話を聞いていて、あるいは国会議員の先生方の話を聞いていて、重大な論点が抜けていると思うんです。それは、低所得者対策と言われるんですが、日本の場合は中間層が多いので、中所得者という概念が全く抜けていると思うんですね。
それで、ぜひ皆さん方に聞いていただきたいのは、こういうふうな財政改革あるいは税制改革、社会保障改革を考えるときに、絶対的な条件が私は二つあると思うんです。それは何かと申しますと、一つには、我が日本国が国連の常任理事国も考えられるようなG8の先進国であるという、この国際的地位であります。そしてもう一つは、世界に輝くG8先進国の国民として我々が享受している生活水準、この二つは絶対に維持されることが前提になるというのが議論の初めだと思います。これに異論のある国会議員の先生方はまずおられないと思います。
そこで、いろいろ最近の税制改革論議を見ていると、本当に噴飯物の話がありまして、こういう議論をするときには、こちらの表にありますように、G8先進国と比較することだけが意味を持つのでありまして、やはり、どこかの発展途上国とか新興国とか人口の少ない国のものを持ってきてこうだああだという議論をすることは全くのナンセンスであります。このことについてわかっておられないとすると、非常にこの国の国会議員のレベルが疑われることになります。特に我が国の場合は中流層という概念が全く欠落いたしております。
さて、それでは次のページ、二十ページの方です。
こちらにございますように、よく新聞各紙等では、日本の消費税率が非常に安いというような議論がなされております。しかし、こちらを見ていただいたらわかりますように、フランスは標準税率一九・五%ですが、食料品は五・五%、医薬品は二・一%であります。イタリアも食料品は四%です。イギリスに至っては、生活必需品は五%で、食料品は〇%であります。ちなみに、アメリカは連邦レベルの消費税はありません。そして、州税は四十五の州とワシントンDCでありますが、実は、調べてみますと、ほとんどの州で多段階税率になっております。さらに申しますと、欧州では標準税率よりさらに割り増しの税率のあるところもありますし、逆に、イギリス、アイルランド、マルタ、キプロス、カナダ、メキシコ、オーストラリアにおいては、食料品は非課税となっております。
次のページをよろしくお願いします。
きょう皆様方にどうしてもお伝えしたい最大のメッセージはこちらでございます。我が日本国、つまり、世界に輝く先進工業国である日本が所属するG8先進国の中で、均一税率で一〇%以上の国は皆無であるという事実であります。このことは非常に重要な事実であります。
もう一つ、G8先進国で、逆進性対策として還付を行っている国はゼロでございます。所得税と組み合わせた給付つき控除の話は先ほどの先生にありましたが、消費税という観点でやっている国は実はカナダとシンガポールのみでありまして、カナダも複数税率併用になっています。それから、レシートでの還付は韓国だけであります。カナダは一時期やっていたんですけれども、いろいろ問題があってやめました。
そしてもう一つ、こちらです。実は、税収を、税率を上げなくてもすぐできるのはここです。税額票方式に移行すれば、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題がなくなります。伊吹先生よく御存じのように、自民党さんが昔やろうとした売上税ではこれがあったわけですね。税額票はあったわけです。ところが、なぜか知りませんが、税額票、インボイスという言葉が貿易用語であることが何か災いして、いかにも難しい制度だという誤解が広まってしまいまして、大変なことになってしまいました。これは、税額票方式に移行するだけで脱税防止効果があります。
さらに、実は皆さん気をつけていただきたいのは、私が言う先進国はG8先進国であって、日本がこの地位を守ることは絶対条件だと思いますが、少し範囲を広げて、OECD加盟国というふうに範囲を広げましょう。OECD加盟国の中で一〇%以上の均一税率の国は、何とニュージーランドと韓国だけでございます。
ちょっとうがった見方かもしれませんが、今回の政府案は、残念ながら、韓国の制度を日本に持ち込もうとしていると言っても過言ではないぐらい韓国の制度に似ています。この分野でも韓流かもしれませんが、とにかくここの問題があります。しかも、韓国はFTAでぼろぼろになっているだけじゃなくて、非常に格差社会であって、五五%がワーキングプアと言われておりますし、ニュージーランドは大規模土地所有制で、あとは小作人というような状態で、非常な格差社会であります。
つまり、中流階級がいないんですよ。中流階級のいないところなら低所得者層という言葉の対策の意味があるんですが、我が国の場合は全く国情が異なるわけであります。したがって、その辺は国会議員の先生方によくわかっていただかなければならないところであります。
さらに、よく報道で、IMFの偉い人が日本は一五%にするべきだと言ったというようなことをリークする人がいるんですが、IMFのトップというのはみんなヨーロッパの人がなっていまして、これもよく調べたら、ヨーロッパの一五%というのは均一じゃないんですね、デンマーク以外は。つまり、均一で一五%とは一言も言っていないんです。そういうところも正しく情報を伝えていただかなきゃ困るわけであります。
さて、時間がなくなってまいりました。
では、私は、どうしたらいいかということについて具体的な提案を申し上げます。
まず、こちらにありますように、非課税を維持するべきものとして、個人の住宅の家賃、医療、学校教育、そして身体障害者用物品は非課税を維持するべきであると思います。
次に、軽減税率として、八%均一も先進国ではありません。ここでありますように、五%を維持するべきものとして、食料品及び外食産業、医薬品、公共交通機関及び高速料金、ライフライン、電気、ガス、水道、電話、そして住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、そして灯油、ガソリン、これは五%を維持するべきであります。寒冷地の北海道などで灯油を上げてしまったら、もうこれは凍死者が出ます。
逆に、日本は、何と世界で唯一、食料品に課税しながら土地と株が非課税というとんでもない金持ち優遇国であります。これについてもぜひちょっと、これは非課税を維持することに疑問が残る部分であります。
もう一つ。逆に、鉄道のグリーン車、グランクラス及び個室、あと私鉄の三社ですね、そういう特別なクラス及び航空機のファーストクラス、宝石、毛皮、高級時計、高級外車、書画骨とう等はむしろ、標準税率と言わずに、特別に税を課してもいいと思われます。
次に、税額票方式への移行をせよというのは先ほど申し上げたところですが、特に、先ほどの先生から出ましたように、転嫁の確実性という問題、そして病院とか学校における損税の問題がありますので、これは税額票方式に移行するべきであります。これだけで二、三兆円税収がふえるという話もあるぐらいであります。
二十五ページにもありますように、国民の四割しか増税は賛成じゃありません。しかも、容認している四割の半分は軽減税率を要求しておるということを忘れないでいただきたいと思います。
さて、それでは、時間が減ってきましたので、二十七ページに飛びます。
では、複数税率を否定する人の誤解ということについて一つずつやります。
まず一つ。帳簿方式だから複数税率はできない、これはうそであります。消費税は導入当初、自動車は六%でありました。したがって、複数税率は経験いたしております。
それと、簡易課税は、やっているところが複数税率では大変だ、小規模業者は大変だとおっしゃいましたが、これもうそであります。なぜならば、コンピューターの立場から考えたり作業の点から見て、簡易課税の場合は五種類の、第一種事業から第五種事業まで分けなければいけませんから、まさに複数税率と同じことを実はもう既にやっているわけであります。
それから、誤解の二。複数税率は手間がかかる、これも全くのうそでございます。なぜかというと、先ほどから申し上げているように、G8先進国で、均一税率で一〇%以上は皆無であります。さらに、財政危機に揺れるスペイン、ギリシャでも複数税率であります。さらに、ロシア、中国、スイス、インド、ベトナム、インドネシア、トルコにおいても複数税率が実施されておりまして、我が国にできないわけはありません。
さらに、スーパーとか行きますと、昔はレジをこうやって押していましたよね。でも、今はバーコードでピッという時代でございますので、こんなことは問題ありません。
それから次、二十八ページをお願いします。
税額票方式は煩雑だというのは、先ほど申し上げましたように、韓国のように指定書式を使用したら当然煩雑ですが、EU指令では記載要件のみが定められておりまして、さらに電子化もやっています。それに、今、税額を書く欄のない請求書など売っておりませんので、これも全くの誤解でございます。
それから、税額票方式による計算は煩雑であるというのは、これは間違いでございまして、税額票方式ならば、仮払い消費税と仮受け消費税の差額のみで納税額が決まります。むしろ、帳簿方式の方が実は大変な問題が起こっておりまして、昨年六月、ほとんど審議されずに通ってしまった、課税売上割合九五%ルールがなくなったために、非常に複雑な問題が起こっております。
特に、消費税法第三十条第五項の規定によって、損税が発生する一括比例配分方式を選択させられた場合はこれが二年間継続するということで、株主代表訴訟のリスクがあるのではないかということで、私のところにも複数の会社さんから相談が来ているような状態であります。
ファストフードにおけるテークアウト問題は、これは制度設計が下手な国で起こっていることでありまして、外食産業と同じ税率にすればしまいであります。
次に、三十一ページ。
軽減税率の場合、高所得者ほどメリットが大きいと、きのう野田総理がおっしゃいましたが、これも誤解であります。これはなぜかというと、高級食材も軽減税率にした場合でありまして、どうすればいいか。日本は前例踏襲主義であります。前例踏襲主義の日本にできることとしては、飲食税を復活して、一人三千円以上食べたら一〇%課税すれば解決します。
さらに、スーパーとかでも、単価三千円以上のものを一〇%上乗せ課税すればオーケーです。まさか、マスクメロンを半分に切って売るようなところはないと思います。
さあ、時間が来ました。
ここを見てくださいね。これ、ちょっと本当に見落とされて大変な問題なんですが、今、消費税法第三十条第二項の改正によりまして、課税売り上げ九五%問題というのが大変な問題になっています。
特に、今、こちらを見てください、実は、ここの赤と黄色と緑のところ、つまり、課税仕入れを三分割しないと損税が発生するようになっておりまして、グローバル企業の場合は、損税額は十億単位になることがわかっております。これは緊急に消費税法第三十条五項を改正して緩和していただきたいと思うんですが、どう緩和するかについては、私は、先輩方のいろいろ教えがありますので、全て後ろの方に具体的な法律改正条文案をつけてありますので、資料をごらんください。
とにかく、この三つを自動的に分けることができないために、大変な混乱が起こっております。
時間がなくなりましたので、さあ、まとめましょう。
このように、繰り返し申し述べますように、G8先進国において、均一で一〇%以上の国はございません。そして、私どもは、どんなことがあっても日本はG8から転げ落ちてはいけないと思います。そして、G8先進国の国民として享受している生活水準も絶対守られなければいけません。ですから、G8先進国でやっていないようなことをやることはナンセンスであります。
繰り返し述べますように、本来の消費税の趣旨に戻って、所得再分配と福祉という観点からすると、生活必需品は軽減税率または非課税とし、ぜいたく品は重課税とするべきであります。
繰り返し述べるように、食料品、医薬品、公共交通機関、高速料金、ライフライン、住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、灯油、ガソリンは五%維持であることを強く要求いたします。
及び、税の公平性、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題から、帳簿方式から税額票に移行していただきたい。
そして、もう一つ、国際会計基準のIFRSのコンサルタントの立場からいうと、滞納を防ぐ意味でも、税込み経理は禁止していただきたい。表示じゃないですよ、表示は内税でいいですけれども、経理としては税込み経理は禁止していただきたい。
最後、簡易課税については、逆の立場の方がおられると思いますが、やはり一種事業の九〇%と八〇%のみなし仕入れ率は高過ぎるので、これを縮小するとともに、税の透明性を高めていただきたいと思います。
繰り返し述べますように、普通の市民感覚からいうと、お米やパンと、宝石、毛皮が同じ税率というのがやはりおかしいんだというのが私の意見でございます。
どうもありがとうございました。(拍手)