高木陽介の発言 (本会議)
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○高木陽介君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度予算案に対して、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
討論に入る前に、一言申し上げます。
間もなく、三・一一、東日本大震災から一年を迎えます。改めまして、震災によってとうとい命を落とされた方々に対し哀悼の意を表するとともに、地震・津波被害、原発事故被害から立ち上がろうと懸命に取り組んでおられる被災者の皆様方に、心よりお見舞いを申し上げます。
本年二月、復興庁が立ち上がりました。今月五日よりは、事業者の二重ローン問題解決に向け、東日本大震災事業者再生支援機構が業務を開始いたしました。福島復興再生特別措置法案の年度内成立にもめどが立ちつつあります。
しかし、このように体制は整ってきても、現実の復興、生活再建に向けては、さまざまな課題が山積みしていることも事実です。
公明党は、これからも、被災地、被災者の方々の視点に立って、支援のための立法を初め、体制整備に努めていきます。とともに、被災者の生活再建、瓦れきの処理、除染、賠償問題など、日々直面する課題が一日でも早く解決するよう、復興庁を初め行政府に対し、言うべきことは言い、また、協力すべきは全面的に協力しながら、復興を推し進めてまいります。
私たちは、三・一一を決して忘れません。決して風化させません。公明党全国会議員、地方議員一丸となって、復興元年のことしを日本再建の確かな一歩とするため、全力で取り組んでまいることをお誓い申し上げます。
さて、民主党政権下で、三人目の総理大臣による三回目の予算編成となった平成二十四年度予算案。
政権交代から二年と半年が過ぎましたが、この間、民主党政権による、国民不在、あるいは裏切りの政治が続き、政権の正統性すら疑われています。もはや民主党には、日本経済をデフレ脱却に導くことも国民生活を守ることもできないと言っても過言ではありません。
私は、平成二十四年度予算案について、このように申し上げたい。
第一に、マニフェスト総崩れ予算、第二に、粉飾的な手法を用いた取り繕い予算、第三に、政党間協議の信頼を損ねる不誠実予算、そして第四に、デフレ、円高からの脱却への戦略なき予算、以上四つであります。
以下、これらの四つの視点から、順次反対理由を申し述べます。
まず、第一のマニフェスト総崩れ予算である点についてであります。
八ツ場ダム建設中止、二万六千円の子ども手当、高速道路無料化などなど、マニフェストの主要政策のほとんどが、見直し、破棄されてしまいました。また、歳出削減や予算の組み替えで十六・八兆円の財源を捻出するとの公約も全く成果が上がっていません。
しかも、野田総理は、あろうことか、主要マニフェストの公約違反だけではなく、やらないと公言してきた消費税増税だけはやみくもに推し進めようとする、全く支離滅裂、国民だましそのものであります。
マニフェスト総崩れは、誰が見ても明らかです。にもかかわらず、民主党からは、国民に対して、具体的な釈明、説明も、そして明確な謝罪もないことは、まことに遺憾であります。
私は、民主党の政権公約は、三回目となる今回の予算案において、完全に崩壊したと断言するものであります。
第二に、粉飾的な手法を用いた取り繕い予算である点についてであります。
本予算案は、三年続けて新規国債発行が税収を上回る、異常な予算となりました。また、一般会計規模は、中期財政フレームの歳出の大枠である基礎的財政経費六十八・四兆円を達成したかのように装っていますが、詳細に見れば、本来二十四年度当初予算に計上すべき経費を二十三年度第四次補正予算に前倒し計上させ、結果、小さく見せているだけです。また、九十・三兆円の一般会計の規模も、前年度比で減ったようには見せているものの、本来一般会計に計上すべき基礎年金国庫負担二分の一への引き上げのための費用を加えるならば九十二・九兆円規模になるなど、幾重にもごまかしが施されております。
民主党が政権の座に着いてからは、国の一般会計の歳出はむしろ膨れ上がってきており、この三年間で平均して年八兆円も水膨れ。マニフェストに固執し、財源の手当ても不十分なまま、やみくもに国家財政を肥大化させ、財政規律をゆがませてしまった責任は、極めて重いと言わざるを得ません。
きわめつけは、基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げのための財源二・六兆円を、一般会計に計上せず、年金交付国債で対応し、表面上、普通国債発行額を抑えるという、こそくな手法を用いていることです。
政策実行のための財源、税源が確保できないならば普通国債を計上し対応する、これが本来のあるべき財政の姿であり、今般の年金交付国債の発行に見るような粉飾的な手法は、根源的にあってはなりません。財政の透明性や健全性を損ねるもので、言語道断であります。
しかも、年金交付国債の償還財源は、実際上は将来の消費税増税分ですが、閣内あるいは与党内での議論もばらばら、消費税増税を含む一体改革の法案が出せるかも不透明です。仮に消費税増税が実現しなければ、結局は、年金積立金が取り崩されるなど、年金財政に支障を来しかねません。ある意味、国民の重要な年金資産を人質にして増税を迫るという、まさにおどしに近いものがあります。
安住財務大臣は、いい選択だとは私も思っていない、大変申しわけないと思うと答弁されているならば、直ちに撤回すべきと強く申し上げるものであります。
第三に、昨年来の、政党間、なかんずく民主、自民、公明の三党協議の信頼を損ねる不誠実予算である点についてであります。
公明党は、昨年の三・一一の東日本大震災の発災などの事態を受け、震災からの復旧復興のための政策、施策の実行に向けては、与野党の立場を超えて、全面的に政府に協力してきました。また、二十三年度の子ども手当の見直しや税制関連法案なども、協議の上、誠実に対応してきました。
一方で、歳出の見直しに関しては、民主、自民、公明三党の合意に基づき、二十四年度以降の農業戸別所得補償や子どものための手当のあり方などについては、平成二十四年度予算編成プロセスで誠実に対処するとしていたにもかかわらず、公党間の協議への対応も不誠実なままで、みずからの都合を優先し、予算案を計上したのであります。
農業の戸別所得補償制度については、昨年の八月の時点で、「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」として三党で確認したにもかかわらず、予算編成過程において政策効果の検討作業もないがしろにしてきたばかりか、予算への反映が難しくなったという身勝手な自己都合により、協議を打ち切りました。
子どものための手当についても、二十四年度以降は従前の児童手当法の改正で対応することを決めましたが、特に名称は子ども手当に近いものを残そうと固執しており、信義にもとる対応であったと言わざるを得ません。
一部では三党間での協議が再開されつつあるものの、予算編成過程におけるこうした態度は、公党間の信頼にかかわる問題であり、かつ、そのまま国民への不誠実さを示すもので、まことに遺憾であると強く申し上げるものであります。
第四に、デフレ、円高からの脱却への戦略なき予算である点であります。
予算案の内容を見ても、景気回復や経済再生に向けた成長戦略を初めとする対策はどれも中途半端であり、デフレ・円高対策なども、経済対策と合わせた戦略が見えません。国難とも言える日本をどこに導こうとしているのか、民主党政権のビジョンやメッセージは伝わってきません。
本予算案の唯一と言ってもよい目玉である日本再生重点化措置についても、アフガニスタン支援、自衛隊の艦艇、航空機等の燃料費など、全く重点化措置に合致しない内容も含まれており、到底、デフレからの脱却も、力強い景気の回復への期待も、抱かせるものではありません。
デフレからの脱却と歴史的な円高への対応に当たっては、政府と日銀が連携をとりつつ、まさに車の両輪として経済財政運営を図っていかなければなりません。
日本銀行は、先月十四日に、「中長期的な物価安定の目途」の導入などの金融緩和の強化を発表いたしました。日本経済がデフレから抜け出すための一歩踏み出したメッセージとして、一定の評価をいたします。
それに比べ、政府の動きは全く鈍い。政府・民主党からは、司令塔不在のまま、一向にその方策が示されていない。これでは、日本経済の再生はできません。リーマン・ショック以降、需要喚起に対する施策は出そろっています。実行力こそが問われているのです。
公明党は、まず、今回の大震災を契機に、首都直下型地震などの大災害に対応するべく、防災・減災ニューディールとして、安心、安全な国づくりを加速的に進めつつ、国内需要を喚起するべきであると考えています。
以上、主な反対理由を申し述べました。
民主党政権は、一体どこに向かおうとしているのでしょうか。
民主党政権の現状を国民を乗せたバスの運転で例えてみると、二年半前、民主党バスは、マニフェストに示された道しるべに沿って、我が道を進もうといたしました。財源という燃料も、無駄を削れば大丈夫と信じて出発したものの、一年目で既に燃料切れが発覚し、途中でガス欠。そこで道を変更すればいいものを、それもできない。この間、運転手は、二人かわって、今や三人目。それでもその場に立ち往生を余儀なくされ、乗車した国民にはバスがとまっている事情の説明すらせず、あげくには、三人目の運転手は当初の道しるべになかった方向に行こうとしているが、乗務員たちの間ではいがみ合いが続いていて、一向にバスは発車しない。ざっと申し上げれば、このような状況です。こんな民主党バスからは、早くおりなければなりません。
この国をどこに導こうとしているのか、そのかじ取りができない政党に、これ以上政権運営を任せるわけにはいきません。民主党政権が国民の安心、安全を守る能力を持っていないのであれば、潔く我々野党に政権運営を任せるべきであると申し上げ、私の反対討論を終わります。
なお、自由民主党・無所属の会から提出された組み替え動議については、野田内閣の財政運営、財政政策に対する意見、考え方に関しては認識を共有する部分があるものの、総合的に勘案し、反対いたします。(拍手)