金子一義の発言 (本会議)

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○金子一義君 自由民主党の金子一義です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました両法案につきまして、野田内閣総理大臣に対し、質問いたします。(拍手)
 その前に、ただいま自民党野田毅議員への答弁に対し、我々が本当に聞きたいことは全てこれからの審議を通じてと繰り返された答弁、この本会議の場を審議の場と考えておられないんでしょうか。
 一番聞きたい問題で、小沢さんの問題はどうなったんですか、問責決議問題はどうされたんですか。改めて、私からも今の問題を繰り返し、答弁を求めさせていただきます。誠実にお答えいただきたいと思います。
 まず、経済成長と消費税増税の関係について伺います。
 今回の法案には、いわゆる景気条項として、今後十年の平均で、名目成長率三%程度、実質経済成長率二%程度を目指した望ましい経済成長のあり方に早期に近づける、そのための総合的な施策の実施その他必要な措置を講ずると記されております。
 そもそも、この数値は、民主党政権において閣議決定された新成長戦略や日本再生の基本戦略において掲げられた目標であり、この実現に野田内閣が取り組むのは当然であります。
 わざわざ法案に規定せざるを得なくなったのは党内事情があったとマスコミで報じられておりますが、その結果、この当然の目標があえて法案に明記されると、この数値は、単なる努力目標を超えた、大きな意味を持つことになったと考えます。すなわち、名目三%、実質二%の経済成長の実現が消費税増税の前提条件となった、あるいは、少なくともデフレ脱却が確実に見込める状況が必要であると思いますが、総理の認識を伺います。
 名目三%、実質二%が民主党の新成長戦略、日本再生戦略にとどまっているならいざ知らず、我々が政権に復帰した後、こんな、どう解釈するのか理解に苦しむ附則に縛られるのは御免こうむりたいと思います。
 一方、消費税五%の引き上げで実質GDPを一・五%程度押し下げると言われる中、どのような施策で成長を達成していくのか、そのための予算をどう確保していくのでしょうか。
 民主党の成長戦略、日本再生戦略に並べられている項目、人、物、金の交流、アジアの成長力の取り込み等は、消費税とは関係なく我が国が取り組む課題であります。
 では、附則に掲げられた高いハードルを越える牽引力は何なのか、具体的施策を示していただきたい。
 特に、デフレ脱却の道筋を示していないことは致命的であります。デフレからの脱却を図らずして消費税を増税した場合、消費と投資のさらなる減退、経済的損失の膨張を招き、雇用への悪影響を拡大するとの認識は共有されていると思います。
 デフレからの脱却とは、すなわち、名目GDPを底上げすることであります。
 名目成長率は我が国で十九年連続で三%を下回っており、この間の平均はプラスの〇・〇一%と、まさに失われた二十年を象徴する指標であります。一方で、OECD加盟国の平均名目成長率は直近十二年間の平均でプラスの四・三%であり、日本経済にとって高く見える三%の名目成長率は、世界的には、最悪レベルを抜け出して、普通の状況に戻るというものであります。
 このような状況を踏まえれば、やはり、名目三、実質二%の経済成長率に示される経済成長をないがしろにして消費税率のみを引き上げることは、絶対に避けるべきであります。
 しかしながら、デフレ脱却に向けた関係閣僚会議は、つい先月、初会合を開いたばかりであり、具体的な政策を早期に実現することは到底困難であると思われます。
 このようにデフレ脱却に向けて動きが鈍い民主党政権下では日本経済はその実力を発揮することができないと私は考えますが、総理はどう対応されようとしているんでしょうか。伺います。
 野田総理は、消費税増税とマクロ経済の関係について、将来の不安をなくしていくことで消費や経済を活性化させる要素もあると述べております。この主張には、増税や歳出削減を進めても、社会保障制度の持続可能性に対する国民の不安をなくすことによって逆に消費を喚起するという、いわゆる非ケインズ効果の発現が盛り込まれていると思います。
 しかし、かつて経済財政白書が指摘したように、非ケインズ効果を引き出すためには、内閣に対する国民の信頼が大前提となっていることをお忘れですか。各種の世論調査の結果を引用するまでもなく、ばらまきをやろうとして既に国民の信頼を失っている野田内閣では、この効果を発現させることは到底期待できそうにもありません。
 この指摘を総理はどう受けとめられているか、伺います。
 次に、野田内閣の財政健全化への姿勢を伺います。
 野田内閣が二月十七日に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、今回の消費税増税に引き続き、少子高齢化の状況、財政の状況、経済の状況などを踏まえつつ、次の改革を実施することとし、今後五年をめどに、そのための所要の法制上の措置を講ずること、これを今回の法案の附則に明記することとなっております。
 しかしながら、今回の提出法案においては、これがすっぽり抜け落ちております。これは、野田内閣みずからが閣議決定した大綱に反するのではありませんか。今回五%消費増税したとしても、二〇二〇年にはプライマリーバランスの黒字化を目指すとしている民主党政権下では、さらに六%程度の消費税相当の財源が必要なのではないですか。
 閣議決定した方針を簡単にすりかえてしまうその姿勢は、みずからの信じる道を進む不退転の決意とは全く異なるものであり、野田内閣の財政健全化への姿勢を甚だしく疑わせるものであります。
 なぜ逃げたのですか。民主党内の反対が強かったからですか。国民にどう説明するのですか。野田内閣みずからが閣議決定した大綱と今回の提出法案のそごについて、総理からの説明を求めます。
 党内の法案決定過程で、将来の財政の姿を担保する重要なパーツが抜け落ちたり、書き込まれなくてもいい規定が盛り込まれ、かえって大変な重荷をしょわされている、極めて不可解な法案になっていませんか。このままでは、到底賛成できません。
 野田内閣の姿勢にかかわらず、我が国の財政健全化は喫緊の課題であります。
 我々自民党は、単に、社会保障財源の確保、赤字国債削減による財政再建にとどまらず、本来財政が持つ対応力を回復させるまでのことを、消費税を含む税制抜本改革の狙いとしております。
 この考えのもと、自民党は、増税によって生じた余力の一部を使い、財政出動を行ってデフレ脱却を図り、その上で、景気回復後に財政出動を抑制する政策をとるべきと考えます。そして、この際に行うべき財政出動は、日本経済、成長力強化につながる未来への投資といたします。
 自民党政権下で景気状況に応じた財政出動の抑制がかつて適切になされたのかということについては我々も反省するべき点があることを認めた上で、消費税率引き上げを契機として、我々は失われている財政の対応力の回復を図りたいと考えますが、総理の御所見を伺います。
 ことしのダボス会議で指摘されたように、先進国で見られる深刻な所得格差は、極端な富裕層と極端な貧困層を生み出し、民主主義と市場経済を中核として支えてきた中間層の崩壊を招いております。しかし、我々は、また、新興国や途上国において存在感を示す中間層の存在も知っています。彼らは、成長力の原動力となり、巨大な市場を生み出し、安定した民主主義の土台となりつつあります。
 翻って、日本の現状はいかがでしょうか。
 野田総理は分厚い中間層をつくるとたびたび発言されていますが、最低保障年金に代表される民主党政権の政策は、成長よりパイの配分に軸足を置き過ぎているのではないでしょうか。そもそも、新たな財政出動を認めていない。これでは、単に赤字国債の削減に振り向けるだけの、いわば、これまで貸したものは返してもらうという取り立て型の発想に支配されているのではないですか。つまり、国の財布を痛めることなく、本来中間層が得るべき所得を低所得者に配分しているだけと考えますが、総理の認識を伺います。
 中間層の意欲や活力をそぐだけの政策では、デフレからの脱却と安定的な経済成長を望むことはできません。財政健全化と経済成長をいかに両立させるか、その鍵を握るのが中間層の意欲と活力であります。我々自民党は、消費税の導入以来、働き手の中核である中間層に対し、累次、累進税率をフラット化してまいりました。
 政権交代以降の生活保護受給者の急増にあらわれているように、このまま民主党政権が続けば緩慢な衰退を余儀なくされるのではないか、これが、国民の抱く不安の根源とも言えます。この国民の問いに対し、総理はどう答えるのか、お聞かせ願いたい。
 最後に、一言申し上げます。
 今回の社会保障と税の一体改革の議論を通じて我々政治家が国民になすべきことは、一体改革を行った後の我が国の社会経済の姿やビジョンを示すことであります。これから、特別委員会でこうした将来像について真摯に意見を交わし、この難局を乗り越えていこうではありませんか。
 野田総理の尊敬する政治家大平正芳元首相は、昭和五十三年の一般消費税(仮称)を掲げて、選挙に敗れました。最大の敗因は、身内の反乱でした。このことを先般の予算委員会でも私は指摘いたしました。
 これを肝に銘じておられることと思いますが、民主党内における総理のリーダーシップを注視しつつ、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

発言情報

speech_id: 118005254X02020120511_015

発言者: 金子一義

speaker_id: 20036

日付: 2012-05-11

院: 衆議院

会議名: 本会議