東順治の発言 (本会議)
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○東順治君 私は、公明党を代表して、ただいま御報告がありました防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について質問をいたします。(拍手)
質問に先立ちまして、さきの九州北部豪雨災害でお命を落とされた大勢の皆様の御冥福を謹んでお祈り申し上げます。御遺族の皆様方にお悔やみを申し上げますとともに、被災され、今なお大変な御苦労をされている皆様方に、心からお見舞いを申し上げるものでございます。
まずは、防衛力整備の前提となる、我が国を取り巻く安全保障環境に関する政府の認識について伺います。
北方領土、竹島、尖閣、北朝鮮問題等、我が国を取り巻く安全保障環境はまことに深刻ですが、ここでは、中国、北朝鮮について主に質問をいたします。
初めに、中国に関してであります。
中国は、近年の急速な経済発展とともに軍事的な台頭が著しく、その海洋進出で南沙諸島をめぐり関係国との間では摩擦が次々と生じるなど、世界に脅威を拡大しつつあります。
我が国に対しても同様です。紛れもない我が国固有の領土である尖閣諸島に対して、中国の固有の領土であると公然と主張し、中国公船が尖閣周辺の我が国領海を侵犯するなど、強硬な態度をエスカレートさせている感がございます。
このような中国の態度には大いに懸念すべきものがあり、当然のことながら、我が国は、尖閣は日本の固有の領土なりとの主張を引き続き明確に先方に伝え続ける必要があることは言うまでもありません。
そこで、総理に端的に伺います。
政府は、現在、尖閣諸島を民間から買い取って国有化することを検討しているとのことですが、その検討とは、買い取ることの是非から検討しているのか、それとも、買い取る、国有化するという明確な意思のもとで検討がなされているのか、そのどちらなのでしょうか。明確な答弁を求めます。
他方、当然のことながら、世界の大国である中国は我が国にとっては重要な隣国であり、日中両国の経済関係は、いよいよ密接の度を高めております。悠久の歴史の流れからも、そしてまた、今日まで日中友好に献身の汗を流してこられた先人の労苦に報いるためにも、大切につき合っていかねばならない隣国であります。
したがって、相手方の強硬な姿勢に対してただただ強硬な態度で応じるのみでは、決して、英知ある外交とは言いがたい。
そこで、玄葉外務大臣にお伺いします。
かつて、大臣は、日中関係についての私の質問に対して、日中両国がいわゆるウイン・ウインの関係、つまり、戦略的互恵の関係を築いていくというのが大きな柱であると述べていますが、極めて難しい局面を呈し始めてきた対中国外交にあっては、これは、言うはやすく行うはかたしだと私は思います。
日中間でこのウイン・ウインの関係を構築するために、今、何から、どのように進めようとしているのか、抽象論ではなくて、具体的な方策を伺います。政権の外交力が深刻に問われている状況であります。答弁を求めます。
次に、北朝鮮に関してであります。
北朝鮮では、昨年十二月、金正日国防委員長が死去し、三男である金正恩氏に国家の指導体制が移行しました。
本年四月、人工衛星打ち上げと称してミサイルを発射しました。これは、国連安保理決議一八七四号に明白に違反し、非難されてしかるべきものでありました。圧力、すなわち制裁が必要であったことは当然です。
小泉内閣以来の対北朝鮮に対する方針は対話と圧力でしたが、その後のミサイル発射や核実験で、結果、対話の道は閉ざされ、圧力のみが残っているのが今の現状です。拉致問題の解決、いまだ道遠しです。残念のきわみです。
そうした状況下で、北朝鮮では何かが動き始めた、変化が生じ始めたのではないかといった感を私は最近持っております。
金正恩氏の後見人の一人であり、強硬派と見られていた李英浩朝鮮人民軍総参謀長が全ての役職を解任されたことには驚かされました。また、金正恩氏の最近の映像も、笑顔で人民や子供たちと交わるさまや、女性もしばしば登場してきて、これまでとは違うやわらかさを印象づけようとしているかのようであります。
もちろん、北朝鮮のような閉鎖国家では何が起こっているかは知る由もありませんが、もしかすれば、日朝両国間の対話のチャンネルをつくるきっかけが訪れようとしているのかもしれません。
我が国としては、このような北朝鮮の微妙な変化を注視しつつ、対話と圧力の方針は堅持しながらも、いつでも対話の窓は開いていますよというシグナルを北朝鮮に送る必要が生じているのではないか、このようにも思います。
日本海を、不信と憎しみの海から、平和友好の海へと変えていかなければなりません。対話のシグナルを送るべしという点に関して、総理の見解を伺います。
次に、現防衛大綱についてお伺いします。
大綱のキーワードは、動的防衛力であります。大綱は、従来の基盤的防衛力構想によることなく、動的防衛力を構築することとしていますが、基盤的防衛力整備をやめて動的防衛力を整備するのか、それとも、基盤的防衛力とともに動的防衛力を整備するのか、新安防懇の報告書では前者のようでございますが、森本防衛大臣の前任、先任の大臣答弁では、この点が明確ではありませんでした。森本大臣、見解を伺います。
また、現大綱が動的防衛力を標榜する限り、それにふさわしい編成、装備が必要です。この点で、森本大臣は、大臣に就任以前には、陸自部隊の海上・航空輸送手段が担保されていない、このように批判をしているとの報道がありました。大臣に就任された今、現大綱に示された編成、装備で十分対応できると考えておられるのか、それとも、編成、装備をかなり見直す要ありと思っておられるのか、大臣の見解を伺いたい。
さて、オスプレー配備の問題に移ります。
我が党は、日米安保体制の重要性は深く認識をしております。であればこそ、日米安保体制が有効に機能するためには、国民の広範な理解、支援が必要であることは言うまでもありません。
とりわけ沖縄、この県には日本の米軍専用施設の七四%が集中しています。沖縄県民の皆さんは、我が国全体の、あるいはアジアの安全保障のため、まことに過重な負担を負ってくれているわけでありますから、もし悲惨な事故が起こってしまっては取り返しがつかない。国政が常に沖縄県民の皆さんの心に深く思いをいたさねばならぬことは当然のことであります。
なぜなら、政治の最大の使命は、国民の生命と財産を守ることにあるからであります。
日本の安全保障、アジアの抑止力の強化、そのために、CH46の既存のヘリよりも速度は二倍、搭載量は三倍、行動半径は四倍、航続距離五・五倍のMV22オスプレーを後継機とする必要性は、私は十分理解ができます。
確かに、抑止力はアップするでしょう。しかしながら、同時に、沖縄の人々の心に思いをいたしたとき、果たしてどうなのでしょうか。
オスプレーは、開発、試作段階に墜落事故四回、死者三十人。量産開始後も墜落事故はとまらず、米国防省が普天間飛行場への配備を表明した昨年六月以降も、モロッコ、フロリダで墜落事故です。未亡人製造機とまでやゆされている航空機です。
これが、最終的に、実に二十四機も沖縄に配備される。沖縄の人々の恐怖の対象となるのは当然のことです。ヌチルタカラ、命こそ宝、この沖縄の人たちの言葉は、沖縄の人たちの心の叫びでございます。
普天間基地は市街地のど真ん中です。小学校もあります。
野田総理、あなたは、七月十六日のテレビ番組で、オスプレーの配備自体は米国政府の方針だ、どうしろこうしろという話ではない、こう述べられたそうですね。言葉どおり受けとめれば、一国の指導者として、国民の生命ということに対して、実に鈍感な、他人事のような発言です。事実であれば、甚だけしからぬ。残念でなりません。真意をぜひ伺いたい。
この総理の発言に、総理を支える民主党内から、いち早く遺憾の声が上がりました。まあ、こうしたことは時折あるんですが。
総理も藤村氏も沖縄、山口両県の民意を少し軽く考え過ぎているのではないか、見通しが甘いと言わざるを得ない、こういう声を上げたのは前原政調会長です。配備の延期を要求されました。また、同じく民主党の輿石幹事長も、民主党沖縄協議会で、日本側が安全確認できなければ、十月を越えようとオスプレーを飛ばすことができないと断言されました。
党派は異にしますが、これには私も少なからず同感です。
ここに来て、政府からは、オスプレーの安全性が確認されなければ決して飛ばさない、日本独自に安全性を確保する専門家チームを発足させる、あるいは専門家チームをアメリカに派遣する等々、にわかに、こうした声や動きが出てきています。
しかし、なぜ今なのか、なぜ慌てて今なのか。岩国にオスプレーを陸揚げする以前に、こうした声が、あるいは動きが出てしかるべきではなかったのか、このように私は思います。
政府は、防衛省や国土交通省の担当者、航空工学の有識者から成る専門家チームを米国に派遣するということですが、安全であるか否かの証明は一体どのようにして行うつもりなのですか。その物差しとは何なのでしょうか。沖縄や山口県に対して説得ではなく納得させなければならないのですから、米側の説明をただ追認するだけであれば何の意味もありません。森本大臣に、この安全性確認の説得力ある方策を具体的に伺います。
私には、初めに十月の本格運用ありき、そういうことで事が進んでいるように思えて仕方ありません。そのアリバイづくりのための専門家チームの立ち上げであったり訪米なのではという気がして仕方がない。
もし、そうでないというなら、専門家チームの中に沖縄の有識者や行政関係者を加えて米国に派遣すべきではないでしょうか。その上で、専門的見地から徹底的に議論を重ねるべきだと思います。総理、防衛大臣の見解を求めます。
沖縄県の仲井真知事は、オスプレーがもし人口密集地帯で落ちれば沖縄全基地の即時閉鎖を求める動きになる、ここまで述べています。私は、これまで、歴代の沖縄県知事からこれほどの発言を聞いた記憶はございません。県民の命を軽視することへの憤りの表明であり、極めて重たい真情の吐露であろうと思います。
オスプレーの映像を目にするたびに、私は、かつて沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した惨事を思い起こします。
ある人が私にこうしみじみおっしゃった言葉が、今なお私の耳朶を離れません。
こうおっしゃいました。
確かに、あのとき死傷者は出なかった。本土の人、内地の人はそれをどう見たか。ああ、よかった、不幸中の幸いだったねとテレビにつぶやいただろう。でも、沖縄の人たちの口からは決してそんな言葉は出てこなかったはずだ。またこれで沖縄のチムグクル、心、肝、チムグクルに火がついてしまった。また基地問題がマグマになって噴火するんだと思ったはずだ。こう言っておりました。
一国の外交は、決して弱腰であってはなりません。今こそ野田政権の外交的力量が厳しく問われていると私は思います。ここは、十月の本格運用にこだわらず、本当にきっちりと安全性が確認できるまでオスプレーの飛行は差し控えさせる、そのように米側と強く交渉すべきであると考えますが、総理、防衛大臣の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕