風間直樹の発言 (外交防衛委員会)

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○風間直樹君 もしよろしければ、今度ワシントンにいらっしゃる機会に是非お越しになっていただければなというふうに勧めさせていただきたいと思います。
 なぜかといいますと、我々、戦後日本で育った世代は、実際に人権を抑圧されるというのはどういうことかとか、生命の尊厳を脅かされるという事態はどういう状況なのかということをなかなか経験しておりません。今回の震災で、大臣の御地元の福島ではまさに多くの方々が地震や原発事故によって生活の基盤とそして健康、生命の尊厳を脅かされる事態になっているわけであります。これは自然災害によるものであります。一方で、災害ではなく当該国の政府によって、あるいは政治によってこの人権が脅かされるという状況は我々日本人は戦後経験したことがありません。
 私は、このホロコースト追悼博物館に参りまして、初めてそれがリアルにどういうものかということを体感し、戦慄を覚えました。御承知のように、ナチス・ドイツは合法的に成立した政府、政権であります。それが一九三〇年代の半ばから四〇年代半ばにかけて非常に大規模なユダヤ人に対する人権じゅうりんを行うわけでありますが、実際この博物館で見ておりますと、当時ナチスが行った人権じゅうりんというのは想像を絶するものです。人間として被害に遭われたユダヤ人の方々に同情を禁じ得ないものであります。
 私が非常に印象深かったのは、この博物館に入ったところにエレベーターがありまして、このエレベーターで最初四階まで上がって、そして館内を順次下りながら展示を見るという構成になっているんですが、エレベーターに乗る手前に、左右に紙製のパスポート、模擬パスポートが置いてあるんですね。そのパスポートを一人一枚取ってエレベーターに乗るようにと、こう言われるんですが、パスポートを取ると、そこに人物の名前とそれから出身地、生年月日、そして最後にどこでその方の人生を終えたかということが書かれております。つまり、亡くなったユダヤ人のパスポートなんです。それが亡くなった方々の分順次置かれていくと、こういう構成になっています。この館内を四階から順次見てまいりまして、人権じゅうりんとはいかなるものかということを、まさに私は自分のDNAに刻み付けられるような思いがいたしました。
 最後に、出口付近に実は追悼のための祈りの場が設けられております。この祈りの場にろうそくが並んでおりまして、そして一種の誓いの文がそこに掲示をされているんですが、この誓いの文の中身は、当時、一九三〇年代、四〇年代、大戦の最終局面では、実は当時の連合国はこのナチスによるユダヤ人の迫害の事実に気付いていたと。つまり、どこに収容所があって、そこでどういったことが行われているか大体つかんでいたと。実は、一部その収容所に対する解放作戦、あるいは爆撃等も連合国内部では検討されていたようであります。しかし、様々な事情でそれがなされなかった。そのことに対する反省の思いが追悼文に書かれていると同時に、今後の世界において決してこういうことを繰り返したくない、そのために我々は努力をすると、こういう決意が書かれております。
 私にとりましては、これ非常に当時見て重い文章でありまして、今政治家として活動する上で世界、特に日本の近隣国における人権の迫害状況については、このときの経験を基に自分でどういう行動をしたらいいかと、こういう信念を持っているわけであります。
 そこで、今大臣が御指摘をされましたように、国連でもこれまで七回にわたって北朝鮮の人権状況に対する改善の決議をしているわけであります。しかし、残念ながら、これに対して北朝鮮が省みて、そして北朝鮮内部の人権状況を改善しているかというと、そうではありません。
 そこで、昨年の九月になりますが、世界の三大国際人権団体と言われる団体が東京で会議を行いまして、北朝鮮における人道に対する犯罪を調査し査察する国連調査委員会の設立を求めると、こういったキャンペーンを開始いたしました。三団体とは、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、そしてインターナショナル・フェデレーション・フォー・ヒューマン・ライツと、略称FIDHと呼ばれている団体であります。
 この中で、ヒューマン・ライツ・ウオッチのアジアの関係者はこう述べています。今日の北朝鮮を特徴付ける人道に対する犯罪を調査、査察するため、国連が事実調査委員会を設置するときが来た、私たちは、北朝鮮政府を地球上の最も残虐な統治体制の一つにしている甚だしい人権侵害の実態を国際社会が明らかにすることを要求すると、こう述べています。
 実は、このキャンペーンの発足前に、去年の九月ですが、東京で二日間にわたって北朝鮮の人権国際会議が開催されたそうでありまして、人権専門家、北朝鮮政治犯収容所からの生還者、あるいは外交官、そして日本あるいは韓国の国会議員が参加をしたと言われております。
 こういう流れの中で、この人権三団体が開始したキャンペーン、これは実は、先ほど言いましたように、国連事実調査委員会というものを是非国連に設置をしてほしいと。この事実調査委員会が北朝鮮の人権状況を詳細に実際に調べて、そして北朝鮮政府に対して必要な勧告、人権状況の改善を迫る勧告を行うべきだというのがこのキャンペーンの趣旨であります。特に、国連の北朝鮮人権特別報告者、現任の報告者あるいは前任の報告者が国連に提出した最終報告書というものがこうした会議、キャンペーンで言及されておりますけれども、例えば、あるこの特別報告者が提出した最終報告書の中には、北朝鮮における悲惨で恐ろしい、そして言語道断な状況が蔓延している組織的かつ広範な人権侵害に関し、その罪を問うことが必要であると、このような内容の報告書が提出をされているわけであります。
 このように見てまいりますと、日本政府として、やはりこの北朝鮮の人権状況を改善するために、憲法の理念に基づいてより踏み込んだ対応が必要になるのではないかと私は感じております。
 具体的には、拉致問題の解決を筆頭として、北朝鮮に対して政治犯収容所の解体、公開処刑の停止、北朝鮮における組織的で広範な人権侵害を解決するための国際社会の努力を倍増するように日本政府として更なる外交努力を求めることがまず必要になるだろうと思います。同時に、今申し上げましたこの国連における事実調査委員会の設置が行われるように、日本政府としても国連に対して働きかけていくことが重要になるのではないかと思うわけであります。
 この二点につきまして、大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。

発言情報

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発言者: 風間直樹

speaker_id: 23335

日付: 2012-03-22

院: 参議院

会議名: 外交防衛委員会