外交防衛委員会

2012-03-22 参議院 全309発言

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会議録情報#0
平成二十四年三月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         福山 哲郎君
    理 事         風間 直樹君
    理 事         羽田雄一郎君
    理 事         佐藤 正久君
    理 事         山本 香苗君
                加藤 敏幸君
                北澤 俊美君
                佐藤 公治君
                榛葉賀津也君
                田中 直紀君
                山根 隆治君
                宇都 隆史君
                岸  信夫君
                島尻安伊子君
                山本 一太君
                山本 順三君
                脇  雅史君
                山口那津男君
                小熊 慎司君
                山内 徳信君
                舛添 要一君
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十四日
    辞任         補欠選任   
     羽田雄一郎君     広田  一君
     脇  雅史君     猪口 邦子君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任   
     宇都 隆史君     片山虎之助君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任   
     片山虎之助君     宇都 隆史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福山 哲郎君
    理 事
                風間 直樹君
                広田  一君
                佐藤 正久君
                島尻安伊子君
                山本 香苗君
    委 員
                加藤 敏幸君
                北澤 俊美君
                佐藤 公治君
                榛葉賀津也君
                田中 直紀君
                山根 隆治君
                猪口 邦子君
                宇都 隆史君
                岸  信夫君
                山本 順三君
                山口那津男君
                小熊 慎司君
                山内 徳信君
                舛添 要一君
   国務大臣
       外務大臣     玄葉光一郎君
       防衛大臣     田中 直紀君
   副大臣
       外務副大臣    山根 隆治君
       防衛副大臣    渡辺  周君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  福田 昭夫君
       外務大臣政務官  加藤 敏幸君
       防衛大臣政務官  神風 英男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        矢嶋 定則君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       宮島 昭夫君
       外務大臣官房参
       事官       山野内勘二君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   宮川眞喜雄君
       外務省中南米局
       長        山田  彰君
       経済産業省商務
       情報政策局長   永塚 誠一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (外交の基本方針に関する件)
 (国の防衛の基本方針に関する件)
 (平成二十四年度外務省、防衛省及び独立行政
 法人国際協力機構有償資金協力部門関係予算に
 関する件)
    ─────────────
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福山哲郎#1
○委員長(福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、一川保夫君及び羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として田中直紀君及び広田一君が選任されました。
    ─────────────
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福山哲郎#2
○委員長(福山哲郎君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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福山哲郎#3
○委員長(福山哲郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に広田一君及び島尻安伊子君を指名いたします。
    ─────────────
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福山哲郎#4
○委員長(福山哲郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、外交、防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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福山哲郎#5
○委員長(福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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福山哲郎#6
○委員長(福山哲郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務省大臣官房審議官宮島昭夫君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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福山哲郎#7
○委員長(福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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福山哲郎#8
○委員長(福山哲郎君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 まず、外務大臣から外交の基本方針について所信を聴取いたします。玄葉外務大臣。
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玄葉光一郎#9
○国務大臣(玄葉光一郎君) 外交防衛委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げるとともに、所信を申し述べます。
 現在、日本を取り巻く国際環境は著しく変化しています。その中で日本が国益を確保するには、自らが位置するアジア太平洋地域に、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序をつくり、その中で震災からの復興を進め、日本の再生を図っていく必要があります。
 また、我が国の繁栄のために不可欠な平和で安定した世界を構築するため、内向き傾向から脱却し、世界の様々な課題の解決に貢献します。
 具体的には、以下のような取組を推し進めます。
 まず、アジア太平洋地域の成長の機会を最大化し、リスクを最小化するために、国際法にのっとったルールを基盤とする開放的で多層的なネットワークをつくることが必要です。そのために、引き続き各国との協力関係を強化し、多国間の枠組みを活用します。
 日米同盟は我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域と世界の安定と繁栄のための公共財です。安全保障、経済、文化・人的交流を中心に、日米同盟を一層深化、発展させます。
 特に安全保障面では、昨年の2プラス2の成果を踏まえ、幅広い分野で具体的協力を推進します。また、在日米軍再編については、普天間飛行場移設に関する現在の計画を堅持するとともに、在沖縄海兵隊のグアム移転及びその結果生ずる嘉手納以南の土地の返還を普天間飛行場の移設の進展から切り離すことについて、米国と協議を行っていきます。
 同時に、強固な日米同盟を基盤として、中国、韓国、ロシア、ASEAN諸国、豪州、インドなど、近隣諸国と協力関係を強化し、様々な懸案の解決にも取り組みます。また、地域の平和と安定のため、日米中三か国による対話の立ち上げを目指します。
 領土問題は我が国の主権にかかわる重大な問題であり、解決に向けて引き続き取り組んでいくことは言うまでもありません。
 北朝鮮については、金正日国防委員長の死去を受けた新しい事態に適切に対応します。北朝鮮が十六日に発表した人工衛星と称するミサイルの発射は、強行されれば国連安保理決議違反であり、北朝鮮に強く自制を求めます。北朝鮮の今後の動きを十分注視しながら、先般の米朝対話で北朝鮮が約束した非核化等に向けた具体的行動を求めるなど、日米韓で引き続き緊密に連携して対応する考えです。日朝関係については日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく努力します。
 次に、国際社会の諸課題への取組として、第一に、政治・安全保障面で貢献します。平和維持、平和構築において、より積極的な役割を果たします。一月には南スーダンへの自衛隊施設部隊の派遣を開始しました。また、アフガニスタンの安定と持続可能な成長に向け、七月に東京で開催する閣僚級会合で成果を上げるべく、関係国と協力します。さらに、混乱の続くシリアについては、事態の収束に向けて国際社会と緊密に協力していきます。
 核軍縮・不拡散については、軍縮・不拡散イニシアティブの取組等を通じ、核兵器のない世界の実現に向け国際社会の取組を主導します。不拡散の分野では、特に北朝鮮及びイランの核問題に深刻な懸念を有しており、日本はその解決に向け積極的に協力していきます。特にイランについては、EU3プラス3との協議再開に向けた動きがある中、我が国としても、米国を始めとする各国と協調しつつ、我が国が培ってきたイランとのパイプを活用して、問題の平和的、外交的解決に向け努力していきます。
 さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故の検証から得られる知見と教訓を国際社会と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献します。
 また、安保理改革の実現及び我が国の常任理事国入りを目指すことを始めとする国連の組織改革と機能強化に引き続き取り組みます。
 第二に、経済・社会面で貢献します。人間の安全保障の考え方を踏まえながら、ODAを戦略的かつ効果的に活用し、ミレニアム開発目標達成、防災、平和構築や世界のグリーン経済への移行、低炭素成長実現の基盤づくり等に取り組みます。同時に、エネルギー・鉱物資源及び食料の安定供給のため、資源国との協力関係を強化します。
 海外の成長を日本の成長につなげるため、幅広い国々と高いレベルでの経済連携を進めます。TPPについては、交渉参加に向けた関係国との協議を進めていきます。また、アジアを中心とする世界の膨大なインフラ需要を踏まえ、ODAも活用して海外市場の開拓も進めます。
 最後に、日本的な価値に対する理解の増進と、それを生かした外交の推進にも取り組みます。
 福山委員長を始め委員各位の御支援と御協力を心からよろしくお願い申し上げます。
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福山哲郎#10
○委員長(福山哲郎君) 次に、防衛大臣から国の防衛の基本方針について所信を聴取いたします。田中防衛大臣。
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田中直紀#11
○国務大臣(田中直紀君) 防衛大臣の田中直紀でございます。
 安全保障、防衛という国の平和と安全、国民の生命と財産を確保する使命を負うこととなり、光栄に感じるとともに、その責任の重みを感じております。
 本日は、福山委員長を始め委員の皆様に防衛大臣としての所信を申し上げます。
 初めに、昨年の東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。防衛省・自衛隊は、最大十万人態勢で災害派遣等を実施いたしました。被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
 我が国周辺の情勢について申し上げます。
 本年は、ロシア、韓国及び中国といった我が国周辺の多くの国において選挙や指導層の交代が予定される節目の年でもあります。核やミサイル開発を進めている北朝鮮では、昨年十二月に金正日国防委員会委員長が死去し、今後の政治・軍事面での動向に注目する必要があります。また、中国は国防費の高い伸びを背景に軍事力の近代化を図るとともに、我が国の近海等において活動を活発化させており、ロシアも軍事活動を活発化させております。このように、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、防衛省としては、これらの動向を引き続き注視してまいります。
 また、先般、北朝鮮がいわゆる衛星を本年四月十二日から十六日の間に打ち上げる旨発表いたしましたが、防衛省としては、引き続き情報収集、警戒監視に遺漏なきを期すとともに、我が国における人命、財産に対する被害を防止するための万全を期してまいります。
 厳しい財政状況の中にあっても、必要な防衛力整備は、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画に基づき着実に進展させていく必要があります。
 次期戦闘機については、昨年十二月、公正かつ厳正な審査を経て、F35Aを選定いたしました。また、南西地域の防衛力強化については、平成二十七年度末までに与那国島への部隊配置の実現を目指すなど、着実に推進してまいります。陸自の定員については、効率化、合理化を図る一方、人事制度改革を含む防衛力の構造改革を実施し、第一線部隊の人員を確保してまいります。さらに、サイバー空間の安定的利用のような新たな安全保障上の課題についても、サイバー攻撃への対処能力の充実強化等に積極的に取り組んでまいります。引き続き、省内の各機関が先進と改善の気風をもって業務に当たり、全国の各部隊が持てる能力を最大限に発揮するよう努め、防衛計画の大綱に示す動的防衛力の構築を進めてまいります。
 また、昨年十二月、政府といたしまして装備品の国際共同開発・生産や平和貢献、国際協力における防衛装備品等の海外移転に関する基準を公表したところです。
 本年は、一九五二年のサンフランシスコ講和条約発効から数えて六十周年に当たります。日米安保体制は、我が国防衛の大きな柱の一つであり、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとってますます重要になっています。両国間の安全保障関係は極めて緊密なものでありますが、引き続き、平素から日米両国が事態の推移に応じて適時かつシームレスに連携、協力できる態勢の強化や、自衛隊と米軍の相互運用性を向上させることにより、部隊の活動を活発化させ、両国のプレゼンスと能力を示す、言わば動的な日米防衛協力を進めていくことが重要です。具体的には、時宜をとらえた効果的な共同訓練や警戒監視での協力、これらの活動の拠点を増加させる施設の共同使用を進めてまいります。米軍再編につきましては、先般、在沖海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の土地の返還を普天間飛行場の移転から切り離し、米軍再編計画の調整を行う協議を開始いたしました。また、二月二十日には普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書について、沖縄県知事から飛行場の設置に係る部分に関し、厳しい意見を受領したところでもあります。知事意見を勘案し、評価書の補正をするなど、法令等に基づき適切に対処してまいりたいと考えています。今後とも、米軍の抑止力を維持しつつも、沖縄の負担軽減が着実かつ早期に実施されるよう、引き続き沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾けながら、誠実に説明し、理解を得られるよう、全力で取り組んでまいります。
 アジア太平洋地域の平和と安定のためには、日米二国間に加えて、地域の国々との協力関係を深めていくことも不可欠です。我が国と基本的な価値及び安全保障上の多くの利益を共有する韓国やオーストラリア、さらにはインドや東南アジア諸国などとの積極的な協力、交流を図り、我が国を含む地域の平和と安定をより強固なものにしてまいります。中国に対しては、安全保障対話や防衛交流を通じ、国防政策や軍事力の透明性向上を働きかけるとともに、不測の事態の防止、回避のための海上連絡メカニズムの構築を目指します。
 海外における活動については、昨年十二月、政府として新たに南スーダンPKOへの施設部隊等の派遣を決定し、現在、部隊が展開しております。昨年独立したばかりの南スーダンの国づくりという、国際社会の要請にこたえるものであり、我が国の国際協力における新たな時代を切り開くものであると考えております。また、政府としては、我が国のより積極的な国際平和協力を可能とするため、昨年七月のPKOの在り方に関する懇談会で整理された課題を検討の基礎として、国連PKO等に対する協力の在り方や法改正の要否について関係府省庁間で検討を進めているところであり、防衛省として引き続き鋭意取り組んでまいります。さらに、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動は、本年で丸三年を迎えます。海外におけるこうした自衛隊の活動は、各国から大変高い評価をいただいております。今後とも、隊員の安全確保を図りつつ、万全な態勢で取り組んでまいります。
 最後に、国会提出法案について申し上げます。日豪ACSAの実施に係る措置等について所要の規定を整備するため、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しております。委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 以上、防衛大臣としての所信を申し上げました。防衛省・自衛隊に対する国民の期待と信頼にこたえられるよう、誠心誠意、防衛政策に取り組む所存でございます。福山委員長を始め理事、委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
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福山哲郎#12
○委員長(福山哲郎君) 平成二十四年度外務省、防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門関係予算について、順次政府から説明を聴取いたします。玄葉外務大臣。
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玄葉光一郎#13
○国務大臣(玄葉光一郎君) 平成二十四年度外務省所管予算案について概要を説明いたします。
 平成二十四年度一般会計予算案において、外務省は六千百七十二億五千七十三万六千円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、一・四%の減額となっております。また、東日本大震災復興特別会計において、六億七千二百四十三万七千円を計上しています。
 他方、ODA予算は、一般会計予算案における外務省所管分として、対前年度比〇・三%の増額の四千百八十億三千二百五十万二千円となっております。また、東日本大震災復興特別会計において一億三千百九十一万一千円を計上しています。ODA予算反転の端緒を開くことを目指した結果、このように、一般会計予算案における外務省所管ODA予算は二年連続の増額となる予算を計上しております。
 私は、外務大臣就任以来、着実な成果を目指す結果重視の実のある外交を全力で進めてきました。平成二十四年度予算案の作成に当たっては、こうした考えの下、以下申し上げる三つの予算上の重点項目を掲げ、めり張りを付けた上で必要な予算を計上いたしました。
 第一に、開かれた復興と新たな成長のための取組です。
 震災からの復興を日本の再生につなげるという逆転現象を実現するために、外務省としても、東日本大震災からの復興に最大限貢献するとともに、海外の成長を日本の成長につなげることを目指して新たな成長への取組に注力してまいります。具体的には、開かれた復興への取組として、日本ブランドの復活、強化、防災協力や人的及び文化交流を推進していきます。また、新たな成長への取組として、自由な貿易・投資体制の推進、パッケージ型インフラ海外展開の促進、グリーン成長の促進、ODAを活用した中小企業の海外事業展開支援等を実施します。さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた取組として、原子力安全を向上させるための取組を強化します。
 第二に、開放的で多層的なネットワークの形成と国際社会における一層の貢献です。
 我が国の繁栄には、平和で安定した世界の構築が不可欠です。そのために、内向き傾向からの脱却を進めることも重要です。特に、アジア太平洋地域のリスクを最小化し、成長の機会を最大化するために、開放的で多層的なネットワークを地域の各国とともにつくり、アジア太平洋地域に豊かで安定した秩序を形成することが重要と考えています。そのためには、日米同盟を基軸とした盤石な安全保障体制が必要不可欠です。
 また、国際社会が直面する諸課題に米国や近隣諸国等と協力しながら、積極的に関与してまいります。特に、アフガニスタンについては、治安、再統合、開発を三本柱とした支援を引き続き着実に実施します。また、人間の安全保障の視点に立って、ミレニアム開発目標の達成に向けた貢献を引き続き行ってまいります。
 第三に、海外における外交実施体制の強化です。
 これまで述べてきた政策を着実に実施するためには、海外における外交実施体制の強化が必要不可欠です。在外公館の整備や在外公館職員の再配置を含む体制整備を推進すると同時に、情報収集・分析能力及び情報保全を含む外交実施体制を強化します。
 以上が平成二十四年度外務省所管予算案の概要でございます。
 福山委員長を始め委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。
 以上です。
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福山哲郎#14
○委員長(福山哲郎君) 田中防衛大臣。
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田中直紀#15
○国務大臣(田中直紀君) 平成二十四年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
 平成二十四年度予算については、一層厳しさを増す安全保障環境や東日本大震災における教訓を踏まえ、平成二十二年十二月十七日に閣議決定された平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に基づき編成される予算の第二年度として、動的防衛力の構築を着実に進める上で重要な予算であります。具体的には、実効的な抑止及び対処能力の確保、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化、グローバルな安全保障環境の改善に向けた取組の推進等を重視するという考え方の下、防衛省・自衛隊が国民から期待される役割を果たす上で必要な事業と、このための所要額を確保することができたと認識しております。防衛省としては、厳しさを増す財政事情の下、真に必要な機能に資源を選択的に集中することで、国民の御理解をいただけるよう予算の編成に努めました。
 平成二十四年度の防衛省所管の一般会計歳出予算額は、四兆七千百三十五億一千八百万円で、前年度の当初予算額に比べますと六百十六億七千九百万円の減となっております。
 新たな継続費の総額は、平成二十四年度護衛艦建造費で一千百六十九億八千万円、平成二十四年度潜水艦建造費で五百五十九億五千六百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設整備等で一兆七千百六億三千万円となっております。
 また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費として、東日本大震災により被災した自衛隊施設や装備品等の復旧、被災地域での災害派遣活動に使用した装備品等で減耗したものの回復や今後の当該活動に即応し得る能力の維持、自衛隊の災害対策能力の向上等に関する事業に対し、歳出予算額一千百三十六億一千万円、国庫債務負担行為の限度額六十八億六千八百万円を計上しております。これら東日本大震災からの復旧復興に係る経費は、平成二十四年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に計上しております。
 次に、平成二十四年度の防衛省関係予算において、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。
 第一に、実効的な抑止及び対処です。平素から常時継続的な警戒監視活動等を実施し、事態の推移に切れ目なく対応することが可能な防衛力を着実に整備します。
 第二に、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化です。情報収集・警戒監視や訓練・演習等の適切な実施により、我が国周辺の安全保障環境の安定を目指すほか、日米同盟を深化させつつ、二国間、多国間の防衛協力・交流や共同訓練・演習を多層的に推進し、域内協力枠組みの構築、強化や域内諸国の能力構築支援に取り組みます。
 第三に、グローバルな安全保障環境の改善です。国際平和協力活動に積極的に取り組むほか、軍備管理・軍縮、不拡散等の分野における諸活動や能力構築支援に積極的に関与するとともに、国際テロ対策、海上交通の安全確保のための取組等を推進します。
 第四に、宇宙・情報通信関連事業の実施です。Xバンド衛星通信の整備・運営事業を始めとし、防衛分野での宇宙利用の促進及び情報通信機能強化に取り組んでまいります。
 第五に、防衛力の実効性向上のための構造改革を推進するため、統合幕僚監部の体制強化、装備品の維持整備に係る新たな契約方式の試行など、予算措置が必要なもので、一定の結論を得たものから、平成二十四年度予算に適切に反映しております。
 第六に、効率化、合理化への取組です。我が国をめぐる財政事情がますます厳しさを増す中、優先度と効率性を踏まえた防衛力整備を実施するために、装備品等の集中・一括調達などの取組を推進します。
 以上に加え、教育研究体制等の強化、米軍再編への取組、基地対策等の推進などの諸施策も実施してまいります。
 これをもちまして、平成二十四年度防衛省関係予算の概要の説明を終わります。
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福山哲郎#16
○委員長(福山哲郎君) この際、お諮りいたします。
 外務省及び防衛省関係予算の大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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福山哲郎#17
○委員長(福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 以上で外務大臣及び防衛大臣の所信並びに平成二十四年度外務省、防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門関係予算の説明聴取は終了いたしました。
 外交の基本方針及び国の防衛の基本方針について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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風間直樹#18
○風間直樹君 よろしくお願いします。
 今日は、玄葉外務大臣と日本外交の基本的な理念について質疑をさせていただきたいと思っております。
 今日、この質疑に先立ちまして、実は私、かねがね日本外交における人権の位置付けとはどういうものなのかという疑問を持っておりましたので、日本国憲法の前文を改めて読んでまいりました。私ども、小学校に入りますと憲法を教わるわけですが、特にこの憲法の前文について詳しい授業を当時受けた記憶がございます。今日は数十年ぶりにこの前文を読み返してみたんですけれども、日本外交における人権の位置付けとは何かという視点から憲法前文を読んだ場合に、私の目に止まった部分がございました。
 ちょっと読ませていただきますが、前文の中段からですけれども、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という文章がございます。これに続いて、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と、このように記されております。さらに、前文の最後に、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と、このように記されまして、前文が締めくくられているわけであります。
 このように、憲法の前文を読みますと、この人権の尊重、国内のみならず全世界における人権の尊重を政府が最大限の努力を挙げて追求するということは、まさに憲法の柱の一つだということが分かると思います。とりわけ、この人権の尊重の中でも基本的人権の根幹は何かと問われれば、私は、それは人間の命、この命の尊厳を守ることにほかならないと、このように感じております。
 そこで、外務大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、外務大臣、就任されましてからほぼ半年が経過しようとしておりますが、この間、様々な外遊をされ、様々な国際会議に臨まれ、多くの国の関係者といろんな議論をされたと思います。そういう中で、世界各国における人権の状況について様々お考えになる機会もあったと思うんですが、大臣はこの日本外交における人権の位置付け、日本外交の中でも重要な理念だと思うんですが、その点についてはどんなふうにお考えでしょうか、お尋ねします。
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玄葉光一郎#19
○国務大臣(玄葉光一郎君) 風間委員から、日本国憲法を引かれながら、基本的人権というのは日本国憲法の柱であり、あわせて、世界の中でこの問題について日本が特に貢献すべきことであると、こういう趣旨の御発言がございました。それは、私は同感でございます。
 外務大臣になって確かに半年、七か月ぐらいでしょうか、特に二つの点でこの人権の問題で各国の外相などと話し合うということがあったかと思います。
 一つは、北朝鮮の人権状況決議などについて、各国の外相に会うたびに、その国が例えば棄権をしている、反対をしている、そういう状況であれば、せめて反対をしている国には棄権、あるいは棄権をしている国には是非賛成をという形で各国外相に呼びかけてきた、こういう経緯がございます。ほとんどの反対、棄権の国々の外相には私からそういった要請をいたしました。
 もう一つの文脈は人間の安全保障という文脈で、ある意味、先ほど基本的人権の根幹とも風間委員が言われた命の尊厳ということを話をしています。
 例えば、ミャンマーで、日本はある意味独自のスタンスでこれまでミャンマーの政権側と一定の言わば信頼関係というかコミット、関与をしてきた経緯があるわけでありますけれども、先般、テイン・セイン大統領だけではなくて、アウン・サン・スー・チーさんと会ったときに、是非、アウン・サン・スー・チーさんからは、少数民族や貧困の方々に裨益するような援助にしてもらいたいと、こういう要請がありました。
 私からは、日本というのはこれまで、私がというよりは先輩方がある意味築き上げてきた概念であるわけでありますけれども、人間の安全保障というのを日本国政府は提唱し、実践をしてきたと。それは、すなわち人間一人一人の尊厳というものを大事にする、一人一人の能力を最大限発揮させていく、そういう概念であると。したがって、私たちは、今アウン・サン・スー・チーさんが言われたような少数民族への裨益あるいは貧困層への裨益ということを忘れることはないというような話をした、そういう経緯がございます。
 したがって、そういう意味で、人権というものについてその二つの文脈でこの間、各国の要人などとは話をしてきたという経緯があると。
 ただ、もう一つあえて言うと、アジアの中で、まあ御異論がある方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりいち早く民主主義を取り入れたのが日本だと私は思っているんです。そういう中で基本的人権とか民主主義というのが言わば普遍的な価値だと私は考えておりますけれども、そのときに、いわゆる後で導入したというその経緯を踏まえたときに、日本独自の他国への働きかけの仕方というものが、人権についてもあるいは民主主義についてもあってよいなということを併せて感じながらそれぞれの国々に対して働きかけをしていると、こういう状況でございます。
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風間直樹#20
○風間直樹君 ありがとうございます。
 そこで、今日は所信に関する質疑ですので、この所信を先ほど注意深く拝聴しておりましたが、大臣所信の四ページに北朝鮮に関する部分が出てまいります。この四ページの最後のセンテンスにこうあります。日朝関係については日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく努力をしますと、このように書かれています。この部分についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
 お尋ねの核心は何かというと、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するという部分であります。当然、今の大臣のお話、お考えを伺うと、この諸懸案には北朝鮮の人権状況も含まれると、こういう理解を私はいたしましたし、それを包括的に解決をした上で日朝の国交正常化を図ると、こういうことだろうと思います。
 実は、小泉政権当時、日朝のこの拉致被害者をめぐる交渉があったわけですが、あのときに、当時の政府内部、外務省内部でこの日朝の国交正常化を目指す上での大義名分は何かという議論がなされたということをその後書籍で読みました。船橋洋一さんの書かれたペニンシュラ・クエスチョンという書籍の中にこの部分が出てまいります。
 当時の田中均審議官がこの考え、この課題を当時の官房副長官古川さんに相談するといいますか、そういう場面がこの本の中に出てまいります。この中で古川官房副長官は、古川さんの考える大義名分を田中さんに語っていらっしゃいます。
 私はこの文章を読みまして、北朝鮮という国の中で、非常に大規模な、そして深刻な人権侵害、人権迫害が様々に報道されている中で、日本が国交正常化を目指す大義名分は何かということを考えたわけであります。
 大臣、この所信の中では包括的に諸懸案を解決するというふうに述べられておりますが、ここには私の理解のように北朝鮮の人権問題も含まれるというふうに考えてよろしいでしょうか。
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玄葉光一郎#21
○国務大臣(玄葉光一郎君) 包括的に解決をするという言葉を使うときに、一言で言えば、拉致、核も大事、つまり、核、ミサイルも大事だけれども拉致は絶対に置き去りにしないと、最終的にですね、そういうことがまず基本にあると。北朝鮮の人権状況全般を全て解決されなければ日朝の国交の正常化ができないのかと言われれば、それは様々な議論があり得るところだと思いますが、少なくとも、やはり拉致の問題というものが包括的に解決されなければ、我々はやはり国交正常化という話にはならないのではないかというふうに私は考えています。
 少なくとも、拉致の問題の解決に結び付くという道筋が最低でもできたという状況が生まれなければ、私はなかなかそういう状況には至らないだろうというふうに思っています。
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風間直樹#22
○風間直樹君 大臣おっしゃるように、この日朝間の交渉というのは非常に難しい部分があり、その中で日本の国益にとって優先的な課題をどう解決していくか、こういう視点は極めて重要だろうと思います。その中で、北朝鮮に対してこの人権問題をどう取り上げて、当然彼らも反発するでしょうから、そのやり取りの中で、可能な限り日本国憲法の前文にある理念を踏まえて、日本政府として北朝鮮の人権状況の改善を迫りつつ、同時に、拉致、核、ミサイルといった懸案を解決していくという姿勢は私は重要だと思っております。
 そうした中で、この北朝鮮の人権侵害状況を大臣としてどのようにとらえていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
 国会でも脱北者の方々が年に数回お見えになりまして、各党の政策会議などで北朝鮮における人権侵害の状況を証言されるという機会がこれまでもありました。私もそうした場に出まして、直接脱北者の証言をこの間聞いてまいりました。非常に胸が痛い、非常に人間として同情を禁じ得ない。また、何とかしてそうした状況を日本政府の努力によって改善させたいと、こういう思いを抱くわけであります。
 この北朝鮮の人権侵害状況、簡単にまとめると、例えば組織的な拷問が行われている、あるいは強制労働がある、公開処刑が実施される、さらに、集団処罰あるいは政治犯収容所の設置、こうしたものが確認をされているわけであります。
 こういった人権侵害状況につきまして、玄葉大臣としてどのように認識をされているのか、お尋ねをいたします。
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玄葉光一郎#23
○国務大臣(玄葉光一郎君) もうこれは、おっしゃるように、拉致の問題に限らないということも含めて深刻な懸念を有しているところでございますし、それは私だけではなくて、つまり日本国政府だけではなくて、国連あるいは米国も含めてそういった深刻な懸念を共有をしているということだというふうに思っています。
 北朝鮮の人権状況決議でございますけれども、EUと日本が共同で提出をして、これまでにない過去最多の得票だったかと思います、百二十三票の賛成を得て採択をされたと。こういった形で、国際社会がやはり一体となって北朝鮮に対してメッセージを送っていくということが大切なことになるということで、冒頭も申し上げましたけれども、各国との要人との会談などでもこのことについて、大体は反対、棄権、大体というよりは全部、全員と言ってもいいと思いますけれども、棄権、反対をしている国々に対しては働きかけをしているというのが私の御報告というか、そういう状況でございます。
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風間直樹#24
○風間直樹君 大臣、海外出張でアメリカに行く機会も多いかと思いますが、実は首都のワシントンにナチス・ドイツが当時のユダヤ人に対して行ったホロコースト、このホロコーストの詳細を展示している博物館がございます。ホロコースト・メモリアル・ミュージアムという場所なんですけれども、日本語で言えばホロコースト追悼博物館とでも訳すんでしょうか、八〇年代、レーガン政権当時に設立されまして、ワシントンの中心部にある博物館ですが、私、数年前にここを訪れたことがあります。恐らく、この場にいらっしゃる委員の皆さんの中にもこのホロコースト追悼博物館にいらっしゃった方がおられると思いますが、大臣、これまでこの博物館、ワシントンと、そしてイスラエルにもあると聞いているんですが、足を運ばれたことはございますでしょうか。
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玄葉光一郎#25
○国務大臣(玄葉光一郎君) ございません。
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風間直樹#26
○風間直樹君 もしよろしければ、今度ワシントンにいらっしゃる機会に是非お越しになっていただければなというふうに勧めさせていただきたいと思います。
 なぜかといいますと、我々、戦後日本で育った世代は、実際に人権を抑圧されるというのはどういうことかとか、生命の尊厳を脅かされるという事態はどういう状況なのかということをなかなか経験しておりません。今回の震災で、大臣の御地元の福島ではまさに多くの方々が地震や原発事故によって生活の基盤とそして健康、生命の尊厳を脅かされる事態になっているわけであります。これは自然災害によるものであります。一方で、災害ではなく当該国の政府によって、あるいは政治によってこの人権が脅かされるという状況は我々日本人は戦後経験したことがありません。
 私は、このホロコースト追悼博物館に参りまして、初めてそれがリアルにどういうものかということを体感し、戦慄を覚えました。御承知のように、ナチス・ドイツは合法的に成立した政府、政権であります。それが一九三〇年代の半ばから四〇年代半ばにかけて非常に大規模なユダヤ人に対する人権じゅうりんを行うわけでありますが、実際この博物館で見ておりますと、当時ナチスが行った人権じゅうりんというのは想像を絶するものです。人間として被害に遭われたユダヤ人の方々に同情を禁じ得ないものであります。
 私が非常に印象深かったのは、この博物館に入ったところにエレベーターがありまして、このエレベーターで最初四階まで上がって、そして館内を順次下りながら展示を見るという構成になっているんですが、エレベーターに乗る手前に、左右に紙製のパスポート、模擬パスポートが置いてあるんですね。そのパスポートを一人一枚取ってエレベーターに乗るようにと、こう言われるんですが、パスポートを取ると、そこに人物の名前とそれから出身地、生年月日、そして最後にどこでその方の人生を終えたかということが書かれております。つまり、亡くなったユダヤ人のパスポートなんです。それが亡くなった方々の分順次置かれていくと、こういう構成になっています。この館内を四階から順次見てまいりまして、人権じゅうりんとはいかなるものかということを、まさに私は自分のDNAに刻み付けられるような思いがいたしました。
 最後に、出口付近に実は追悼のための祈りの場が設けられております。この祈りの場にろうそくが並んでおりまして、そして一種の誓いの文がそこに掲示をされているんですが、この誓いの文の中身は、当時、一九三〇年代、四〇年代、大戦の最終局面では、実は当時の連合国はこのナチスによるユダヤ人の迫害の事実に気付いていたと。つまり、どこに収容所があって、そこでどういったことが行われているか大体つかんでいたと。実は、一部その収容所に対する解放作戦、あるいは爆撃等も連合国内部では検討されていたようであります。しかし、様々な事情でそれがなされなかった。そのことに対する反省の思いが追悼文に書かれていると同時に、今後の世界において決してこういうことを繰り返したくない、そのために我々は努力をすると、こういう決意が書かれております。
 私にとりましては、これ非常に当時見て重い文章でありまして、今政治家として活動する上で世界、特に日本の近隣国における人権の迫害状況については、このときの経験を基に自分でどういう行動をしたらいいかと、こういう信念を持っているわけであります。
 そこで、今大臣が御指摘をされましたように、国連でもこれまで七回にわたって北朝鮮の人権状況に対する改善の決議をしているわけであります。しかし、残念ながら、これに対して北朝鮮が省みて、そして北朝鮮内部の人権状況を改善しているかというと、そうではありません。
 そこで、昨年の九月になりますが、世界の三大国際人権団体と言われる団体が東京で会議を行いまして、北朝鮮における人道に対する犯罪を調査し査察する国連調査委員会の設立を求めると、こういったキャンペーンを開始いたしました。三団体とは、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、そしてインターナショナル・フェデレーション・フォー・ヒューマン・ライツと、略称FIDHと呼ばれている団体であります。
 この中で、ヒューマン・ライツ・ウオッチのアジアの関係者はこう述べています。今日の北朝鮮を特徴付ける人道に対する犯罪を調査、査察するため、国連が事実調査委員会を設置するときが来た、私たちは、北朝鮮政府を地球上の最も残虐な統治体制の一つにしている甚だしい人権侵害の実態を国際社会が明らかにすることを要求すると、こう述べています。
 実は、このキャンペーンの発足前に、去年の九月ですが、東京で二日間にわたって北朝鮮の人権国際会議が開催されたそうでありまして、人権専門家、北朝鮮政治犯収容所からの生還者、あるいは外交官、そして日本あるいは韓国の国会議員が参加をしたと言われております。
 こういう流れの中で、この人権三団体が開始したキャンペーン、これは実は、先ほど言いましたように、国連事実調査委員会というものを是非国連に設置をしてほしいと。この事実調査委員会が北朝鮮の人権状況を詳細に実際に調べて、そして北朝鮮政府に対して必要な勧告、人権状況の改善を迫る勧告を行うべきだというのがこのキャンペーンの趣旨であります。特に、国連の北朝鮮人権特別報告者、現任の報告者あるいは前任の報告者が国連に提出した最終報告書というものがこうした会議、キャンペーンで言及されておりますけれども、例えば、あるこの特別報告者が提出した最終報告書の中には、北朝鮮における悲惨で恐ろしい、そして言語道断な状況が蔓延している組織的かつ広範な人権侵害に関し、その罪を問うことが必要であると、このような内容の報告書が提出をされているわけであります。
 このように見てまいりますと、日本政府として、やはりこの北朝鮮の人権状況を改善するために、憲法の理念に基づいてより踏み込んだ対応が必要になるのではないかと私は感じております。
 具体的には、拉致問題の解決を筆頭として、北朝鮮に対して政治犯収容所の解体、公開処刑の停止、北朝鮮における組織的で広範な人権侵害を解決するための国際社会の努力を倍増するように日本政府として更なる外交努力を求めることがまず必要になるだろうと思います。同時に、今申し上げましたこの国連における事実調査委員会の設置が行われるように、日本政府としても国連に対して働きかけていくことが重要になるのではないかと思うわけであります。
 この二点につきまして、大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。
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玄葉光一郎#27
○国務大臣(玄葉光一郎君) まず、風間委員が本当に人権の問題に対して極めて強い危機感も踏まえた意識を持っておられるということに対して敬意を表したいと思いますし、問題意識として共有いたします。
 問題は、いかなる方法が結果として北朝鮮の人権状況を改善することにつながるかということなんだと思うんですね。今の状況は、例えば北朝鮮が特別報告者の受入れ等を拒否しているという状況であります。したがって、北朝鮮が例えば事故調査委員会の受入れ等に協力するかといったら、残念ながら期待できないというのが今の現実ではないかというふうに思っているんです。
 リビアとかシリアとか、それぞれ今おっしゃったような事実調査委員会というのがあって、基本的には突発的な人権侵害の事態が発生した場合に設置をされている。北朝鮮のような継続的な人権侵害に対しては、おっしゃったようないわゆる特別報告者の設置ということでございます。現時点でそれらが両方存在するという国はないというふうに私自身承知をしていますが、ここはトータルな判断をさせていただきたいというふうに思っています。問題意識はよく分かります。ただ、本当に何が一番効果的なのかということについてよく検討してみたいというふうに思っています。
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風間直樹#28
○風間直樹君 大臣おっしゃる意味、私もよく分かります。
 特に外交交渉の場合、例えば大臣が北朝鮮政府の高官と、先方の外務省関係者と会談をされる、その中で我が国にとって極めて重要な国益について問題提起をされる。先方も反発もするでしょうし、いろんな言葉のやり取り、応酬もあるでしょう。そういう中で、いかにその交渉の継続を図りながら問題解決を図っていくかというのは容易ではありませんし、その姿勢が重要であることは論をまちません。
 私が今日大臣にお願いをしたいのは、是非、重々踏まえていらっしゃることではありますが、この北朝鮮における人権侵害の状況というものが、日本国憲法に照らしても、あるいは玄葉外務大臣という一人の方の心の問題としても到底許されるものではないという姿勢を持って、北朝鮮との交渉がもしあればそこに臨んでいただきたいということであります。
 あわせて、北朝鮮がこの国連の特別調査、査察を受け入れるかという問題は確かにあると思います。受け入れられなければ実際北朝鮮の国内に入って調査することは困難でありますが、一方で脱北者が出てきているわけですね、北朝鮮国内から。こういった方々の証言というのは非常に貴重であり、また極めて具体的であります。横田めぐみさんのお母さんが訪米をされて当時のブッシュ大統領に会ったときにも、ブッシュ大統領がある脱北者が書いた本を事前に読んでいらっしゃって、この北朝鮮の体制の残虐性について一定のコメントを述べられたという報道も当時あったと思います。
 ですから、私は、外部に出てくる様々な北朝鮮内部の証言を国連の査察あるいは調査委員会を設けてそこで調査し、そして北朝鮮に対して改善を迫ることも決して不可能ではないと思っております。
 そういう意味で、是非、日本政府として、この事実調査委員会が設立するよう努力されることを改めて求めたいと思いますが、大臣の所見を伺います。
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宮島昭夫#29
○政府参考人(宮島昭夫君) 先ほど、今の事実調査委員会の設置につきましては、まさに今大臣から答弁をしたとおりでございまして、何が一番効果的かということを踏まえて考えてまいりたいと思います。これについていろいろな議論があることを我々も承知しておりますので、まさにどのようなことをするか、脱北者の方々のお声も聞きながら、現状も把握しながら、何ができるかということを是非検討したいと思います。
 今、特別報告者の方もやはり中に入れませんので、脱北者の方のお話を聞いたりはされようとしていますが、なかなか限界があるということでございます。
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