水戸将史の発言 (本会議)
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○水戸将史君 私は、民主党・新緑風会の水戸将史です。
ただいま議題になりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案外一件に対し、会派を代表して質問いたします。
冒頭に当たり、昨日、熊本県、大分県を中心とした記録的な豪雨により、現時点で十八名もの方々がお亡くなりになりました。御冥福をお祈りいたしますとともに、いまだに厳しい状況下に置かれている被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。一刻も早い復旧に向け、適切な対応を求めてまいりたいと思っております。
今回の民主、自民、公明の三党の修正協議により消費税の増税だけが合意されましたが、まだ所得税や資産課税に関する議論には決着が付いておりません。そして、扶養控除及び配偶者控除の在り方については、各党における検討項目とされ、その規定は取り除かれました。
本年一月に出された内閣府による経済財政の中長期試算を御覧になれば分かるように、基礎的財政収支の健全化は消費税増税のみに依存しても達成されないのは明らかです。財源調達機能や所得の再分配機能をより良く働かせるためには、所得課税、資産課税及び消費課税のバランスを最大限考慮した税体系を再構築していくべきと考えます。
総理御自身、バランスの取れた税体系の在り方や、我が党がかねてから主張している控除から手当方式への転換に関して、現段階ではどのような御認識なのでしょうか、答弁をお願いいたします。
今般の消費税増税に対する国民の率直な思いは、総理も御承知のとおり、増税の前にやるべきことはやってもらいたいというものです。与野党問わず、私たちはこの思いを真摯に受け止めなければなりません。政権交代後の約三年間、確かに私たち政府・民主党は、行政の無駄遣いの撤廃、コスト縮減を求め、不断の努力を積み重ねてまいりました。マニフェストには四年間で総額十六・八兆円の予算削減を唱えて順次取り組んでおりますが、とりわけ公共事業や人件費、補助金などの経常的に発生する歳出の削減額九・一兆円部分に関して、実現の見通しを項目別に説明する時期ではないでしょうか。当初案に比べて金額ベースでどの程度実現できたのか、仮にあと一年間掛けて行財政改革を断行したならば、どの程度の達成が見込めるかなど、総理の意気込みも含めて、つまびらかに開陳していただきたいと思います。
御案内のとおり、消費税は課税売上高から課税仕入れ高を差し引いた付加価値に相当する額に課税されます。ところで、この付加価値の中には賃金が含まれているため、経営上、事業者が賃金を増やせば増やすほど付加価値の課税ベースは広がり、消費税の納税額は増加していくことになります。もし事業主がこの負担を抑制しようとした場合には、支払う賃金や社員そのものを減らしたり、あるいは雇用の一部を外注化したりしてというような行動心理が働くと言われており、事業者の雇用意欲の減退が懸念されています。
一昨日、政府は、二〇二〇年までの成長戦略を盛り込んだ日本再生戦略を公表しました。環境や医療、観光など十一の分野で三十八の重点施策を掲げ、約六百三十万人の雇用をつくるというものです。しかし、再生戦略で掲げた具体策のほかにも、消費税増税後のあらゆる事態を想定して、消費に持続的な刺激を与えつつ、更に雇用の拡大につなげる必要があると考えます。より踏み込んだ対策と道筋について、総理の御見解を承りたいと思います。
次にお尋ねしたいのは、価格転嫁の問題です。
そもそも消費税は、消費者が支払うべき税金を一時的に事業者が預かるものです。この預り金的な要素を持つ消費税が、各事業者間における取引の段階で円滑に支払われれば何も支障はないのですが、立場の弱い事業者や商店主の場合は、どうしても商取引の過程で価格の値引き要求をされ、消費税の上乗せ部分は自ら負担をするという現象が生じます。すなわち、預かった消費税を間接的に納付するはずであった者が、自ら消費税を負担し納付する、つまり、間接税であるべき消費税が直接税の性格を持つことになるのです。当然、税率が上がれば上がるほど納税額は増加しますので、事業者の自己負担は重くなり、勢い滞納額の急増につながると言っても過言ではありません。
消費税が三%から五%に引き上げられた平成十年以降、自殺者の数はそれまで年間二万五千人以内で推移していたものの、一気に三万人を突破しました。偶然の一致と人は言うかもしれませんが、しかし、消費税増税が国民生活や事業活動に及ぼしたダメージは容易に予測されます。是非、平成二十六年度以降の追跡調査は行っていただくよう強く要望いたします。
政府は、価格転嫁の問題に関しましては、公正取引委員会の監視を強化するとか、税額表示方式をそれぞれの業界内で統一させるとかの対策を講じようとしているようですが、本当にこれで価格転嫁がスムーズに進行するのか、中小零細事業者の方々から不安の声が上がっております。
したがって、価格転嫁が難しい中小零細事業者に対しましては、政府が取ろうとしている対策とは別次元で何らかの事務負担の軽減策を設けるべきだと考えます。例えば、問題視されている現行の基準期間制度を廃止し、全事業者を課税対象者と位置付けた上で免税点を設けて、かつての限界控除制度を復活したり、また、納税額が計算されない事業者については不申告制度などを採用したりして中小零細企業の救済措置をとることを提案いたしますが、こうした価格転嫁に対する安住財務大臣の問題意識と、その救済策についてお聞きいたします。
ところで、この際、是非確認しておきたいのは、消費税増税は今回の二段階増税で終わりなのか、つまり再増税はしないのかということです。自民党は、基礎的財政収支の黒字化が政府の目指す二〇二〇年度でも達成できそうもないことを理由に、一〇%に増税した後も更に税率を引き上げる必要があることを強調しております。つまり再増税を求めているわけでありますが、安住大臣は同調されるんでしょうか。これまでの審議の過程で、一〇%になった時点で新たな制度設計をしないといけないとの答弁をされておりますが、その真意をお聞かせください。
最後に、あえて強調しておきたいことがあります。
本院の存在意義についてですが、改めて言うまでもなく、本院は熟議の府、再考の府とされ、衆議院の行き過ぎなどをチェックする大切な役割を担っております。衆議院段階での三党合意を前提としましても、私たちは本院の独自性に基づいて合意内容を精査していきたいと考えております。
昭和五十四年当時の大平正芳首相が一般消費税を導入しようとして以来、今に至るまでの消費税の歴史を振り返りますと、時の為政者は政治的には非常に苦しく、厳しい立場に立たされてきました。今回、野田総理の確固たる執念で十八年ぶりに消費税増税に道を開いたこの後、国民生活の安心を将来にわたって確保できるか否かを注意深く見定めていく必要があります。
以上、私見も交えて何点か御質問させていただきました。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕