中村哲治の発言 (本会議)

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○中村哲治君 国民の生活が第一の中村哲治です。
 会派を代表いたしまして、政府が一体改革と主張し、民主、自民、公明の三党が大連立かのように三党合意の下でお進めになっている増税先行の一体改革税制法案について質問をいたします。
 質問に先立ちまして、九州地方の水害で多大な被害を受けられている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 野田総理、十年前の二〇〇二年、民主党代表選挙のことを覚えていらっしゃるでしょうか。私は、当時、初当選をして三年目の衆議院議員でした。野田先生に代表選挙に出ていただけませんかとお願いに参りました。
 そのとき野田先生の下に集う若手議員の思いは、野田代表を誕生させ、ドスンパンチと評された野田先生の突破力で、民主党が選挙で勝ち、野田総理の下で徹底的な行財政改革を行うところにありました。私たち若手議員がそのように思ったのは、野田先生が千葉県議会議員のころから一貫して強大な既得権益と一体化したいわゆる自民党型政治に反対し、御自身一人からでも自民党に代わり得るもう一つの新しい選択肢をつくるという姿勢を貫かれてきたからです。十年たって状況は変わったんだよと総理はおっしゃるのかもしれません。
 今回の消費税増税は、自公政権時の平成二十一年度税制改正法附則百四条に基づくものです。言わば自民党の御方針です。三党合意の内容を見れば、更に自民党の御主張を大胆に取り入れ、民主党が持っていた旗を降ろされたのは明白です。鳩山元総理は、自民党野田派と評されました。
 主権者である国民の皆様が自身の政治権力を行使できる唯一の機会は、選挙です。政治家が選挙のときに国民の皆様と約束を守らなければ、主権者である国民の皆様は何を信じて一票を投じたらよいのかということになります。
 主権者との約束を破り自民党化した民主党に私はいることができなくなりました。民主党結党から十四年、民主党をつくってきたという自負もある自分が、このような形で民主党を去ることになったことは、とても悲しいことです。
 この点に関係して、まず野田総理に、この税制法案の正統性について伺います。
 政府から見れば一体改革、私から見れば増税先行法案について、選挙のときに約束していなかったにもかかわらず、今回、消費税増税を強行する理由についてお答えください。その際、簡素な給付措置など、消費税増税に伴う様々な問題の解決を後回しにしている理由も併せてお答えください。
 二番目の質問は、本当に日本は財政危機なのかということでございます。
 五月二十二日に、昨年度末における日本の対外資産負債残高の概要が財務省から発表されました。対外資産は五百八十二兆円、対外純資産は二百五十三兆円で、二十一年連続世界一になりました。
 対外資産五百八十二兆円のうち中長期の債券は、政府の持つ外貨準備百兆円を除いても二百八兆円あります。これに対して、対外負債である中長期の債券は四十五兆円しかありません。これでは、外国人が円を売り浴びせようとしても、必ず、まず日本人から円を借りてこなくてはならず、結局、決済期に円を調達して日本人に返すということになり、円の買戻しが入ります。この構造から、過去、幾度もヘッジファンドが円売りを仕掛けてまいりましたが、膨大な円買いが湧いてきて、結局失敗するということになっているのは周知の事実です。ボルカー・ルールが適用されるようになると、商業銀行はヘッジファンドに投資できなくなり、ますます投機的な行動はしにくくなります。
 過去に破綻をしている国というのは、自国の通貨が国際的には信用がなく、自国通貨建てでは償還時にどのような価値になっているか分からないので国債が発行できないという国です。フローでは経常収支が赤字の国、ストックでは対外負債の方が多い対外純負債国です。
 日本は、長年にわたる貿易黒字により、対外純資産を積み上げ、近年では、その結果の所得収支の黒字だけでも月に一兆円もある国です。その結果、円高、国債の低金利となっております。そのような日本が、どのようにしたら他の国から取立てに遭うようになり、通貨安、債券安になるのか。政府から論証をしていただかなければ、総理がおっしゃる、消費税増税待ったなしという言葉を理解することはできません。総理は、衆議院で江田憲司議員の質問に対して、政府の収支だけをとらえて答弁されておりますけれども、政府、家計、企業、金融機関の四つの経済主体の収支の合計を基にしなければ、円建ての債券の信用度は判断できないはずです。私は、民主党の参議院会派の政審会長代理、民主党の政調副会長でした。民主党の政策責任者の一人として、何度も民主党内で以上の点を質問いたしました。しかし、政府からきちんとした回答はありませんでした。
 本当に日本は財政危機なのか、経常収支、対外資産負債という国際収支の観点から、明確な答弁をお願いいたします。
 三番目の質問は、消費税が本当に公平な税制なのかということでございます。消費税導入の際、当時の竹下総理が昭和六十三年三月十日の衆議院予算委員会で述べられた、消費税に対する六つの懸念について、野田総理の御認識と評価を伺います。
 四番目の質問は、その六つの懸念のうちの一つ目、逆進性な税体系となり所得再配分機能を弱めるのではないかという論点です。
 社会保障と税の一体改革というのであれば、社会保障の所得再分配を機能させるため、社会保障の財源としては、累進度の高い所得税や相続税を強化して財源に充てることが原則でなければなりません。なぜこれを年末の税制改正に先送りするのか、野田総理の御認識を伺います。
 五番目の質問は、六つの懸念のうちの二つ目、結局中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないかという論点です。
 消費税の逆進性というのは、低所得者だけに影響があるのではなく、中所得者にも影響が及びます。野田総理は分厚い中間層の復活とおっしゃっておりますけれども、消費税増税はもろに中間層に打撃を与えることになります。しかし、大綱に見られるように、政府は逆進性対策をするにしても低所得者に限ると考えているようです。この機会に、改めて、中間層に対する逆進性対策を行わない理由は何なのか、野田総理に伺います。
 六つ目の質問は、消費税増税は未来の世代のためにあるという御主張についてです。
 四月の民主党内での簡素な給付措置及び給付付き税額控除ワーキングチームに提出された政府資料を見れば、消費税の逆進性対策は住民税の非課税世帯に限ると政府はお考えのようです。
 しかし、それでは、二十代、三十代の独り暮らし若者では、収入が百万円を超えると給付の対象者ではなくなります。もろに消費税の増税を背負うことになります。政府は、将来の負担を減らすため、将来の社会保障を守るためとおっしゃるのでしょう。しかし、この十年余りの間で三十代の若者の給料は一人当たり年額で八十万円程度も減り、若者は、こんな給料では、結婚もできない、子供も持てない、家も買えないと言いたくなるような状況にあります。そこで、将来の社会保障のための消費税増税と言われても、若者は、その年齢まで自分は生きているかどうかも分からない、今の政治家はどうせ自分たちのことを分かってくれていないと絶望をしております。
 なぜ消費税増税は未来の世代のためなのか、改めて野田総理に見解を伺います。
 消費税増税がもたらす経済への悪影響など、まだまだ伺いたいことはございますが、続きの質問は特別委員会でいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118015254X02020120713_026

発言者: 中村哲治

speaker_id: 23379

日付: 2012-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議