安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○安倍晋三君 自由民主党の安倍晋三であります。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、野田総理の所信表明演説について質問をいたします。(拍手)
 質問に入る前に、一言申し上げます。
 私は、五年前、この壇上において所信表明演説を行い、その後、病のため、突然総理の職を辞する結果となりました。この壇上から、国民の皆様に、そして全ての議員の皆様に、心からおわびを申し上げます。
 私は、その日以来、この責任のとり方について、日々考え続けてまいりました。
 事の失敗に屈すべからず、失敗すれば失敗を償うだけの工夫を凝らすべきとは、不平等条約の改正をなし遂げた陸奥宗光の言葉です。
 挫折を含め、政権を担った経験を生かし、私の全身全霊を傾けて国民のために今の日本を立て直すほかに責任を果たす道はないと決意いたしました。
 民主党政権による、失望の三年間。
 政治主導の看板のもとに、裁量権を取り上げられた役人が責任を伴う判断を行わず、そして政治家も責任をとらない結果、政府は無責任体制に陥り、国家運営の著しい停滞を招きました。
 また、野田総理が、さきの総選挙において、書いてあることは命がけで実行する、書いていないことはやらないんです、それがルールですとまで断言したマニフェストについては、今や、総理が、書いていることはやらずに、書いていないことに命をかけることとなり、政治に対する信頼を大きく失わせました。
 民主党政権の誕生により、我々自民党は、立ちどまり、過去を振り返り、政治家とは何かを問いただす貴重な機会を与えられました。
 国民との信頼関係の上にある国家運営。国民との信頼関係が最大の武器となる外交力。日本の経済力が日本の外交力を後押しし、そして、その外交力が経済力を後押しする。その結果、日本国民一人一人が力を取り戻す、日本が再び、経済大国として、グローバル社会のリーダーとしてよみがえる。このシンプルに聞こえる構造こそ、与党としての国民との契約です。
 この契約を履行するという覚悟を持ち続けることは、政治家として決して簡単なことではありません。しかし、それをやり抜く意思の力こそ、与党になることの条件であります。
 この三年間、政治とは、自民党とは何か、国家とは何か、日本の未来はどうあるべきか、我々は、この三つの質問をみずからに問いただしてきました。そして、今、私も、我が自由民主党の同志たちも、その答えを見出し、再びこの国難に全力で立ち向かう覚悟であります。
 野田総理におかれては、いま一度、政権与党としての矜持をお考えいただきたい。党の分裂、党内の離反におびえ、国家としてなすべき課題に集中できない政権の姿を、もうこれ以上国民にさらすべきではありません。
 今こそ、この混乱に終止符を打ち、もう一度強い日本を取り戻すことこそ、我々自由民主党に課せられた使命であります。
 私は、その覚悟の上で、野田総理に、基本的な政治姿勢について質問をいたします。
 野田総理は、八月八日、我が党の谷垣前総裁、そして国民の皆様に対して、一体改革関連法案が成立をした暁には近いうちに国民の信を問うと約束されました。
 さきの総選挙における消費税は上げないとの約束を百八十度転換するわけでありますから、当然、その前に信を問わなければなりません。しかし、我々は、政局よりも政策、増大する社会保障費に対する責任ある姿勢を示すべきとの観点から、野党である立場を超えて法案に賛成し、成立するに至りました。
 皆さん、胸に手を当てて、もう一度真面目に考えてください。
 総理、あれからもう三カ月もたったわけであります。この近いうち解散について、さきの三党幹事長会談において、総理が具体的な新しい提案をすると輿石幹事長が約束したにもかかわらず、総理からは、いまだ何の提案もいただいておりません。与党幹事長の言葉も、鴻毛より軽い。総理は、平然と国民との約束から逃げる。
 総理は、自衛隊の観艦式の訓示において、至誠にもとるなかりしか、言行に恥ずるなかりしかと述べられました。国民のために命をかける自衛官に対して発せられた最高指揮官としての言葉は重い。その言葉に対し責任を持たねばなりません。
 総理、総理は、自衛隊の諸君に対し、みずからの言行を省みて、恥ずかしくないのですか。
 総理は、近いうちに解散すると、確かに、間違いなくおっしゃった。前原大臣は、総理は誠実な人、約束を絶対に守る人であるから年内に解散をすると述べました。つまり、年内に解散をしなければ、前原大臣にとっても不誠実な人となるわけであります。
 さらには、総理は、参議院におけるみずからへの問責決議を重く受けとめるともおっしゃっています。
 改めて国民の前でお聞きします。総理は、年内に解散する約束を果たすお気持ちがおありですか。至誠にもとるなかりしか。誠実にお答えください。
 我が党は、特例公債法案、一票の格差是正、社会保障制度改革国民会議の三点について、その重要性を十分に認識しております。これまでも、さまざまな提案を行い、誠実に対応してまいりました。
 特例公債法案に対しては、二十四年度予算の組み替え動議等で具体的な是正案を示してきました。一票の格差是正については、〇増五減法案は我が党の提出法案です。野田総理も、優先的にこれをやると言っておられた。国民会議の設置に至っては、我々が提案したものであります。
 これらの課題に積極的に取り組まず、むしろ、これらを盾にとり、その責任を野党に押しつけて、解散先延ばしと政権の延命に励む。いわば、やみくもに政治空白をつくったのはあなた方です。そこには、一片の責任感もなく、ただただ権力にしがみつく惨めな姿があるのみであります。
 谷垣総裁は、総理の言葉を信じて約束を果たし、一体改革関連法案は成立に至りました。次は、野田総理、あなたの番です。この臨時国会において、近いうちに国民に信を問うというみずからの国民との約束を果たさなければなりません。
 私は、十月三日、自由民主党総裁就任後直ちに福島県を訪問しました。そこで耳にしたことは、前面に出てこようとしない政府への憤りであり、縦割りのまま現場の声に応えられていない復興庁への不信であり、責任を被災地の市町村に押しつける民主党の無責任な姿勢に対する失望でした。
 福島第一原発を訪れた際には、双葉郡の方々から、政府の収束宣言にもかかわらず、みずからの生活は一向に行く先が見えないという痛切なお気持ちを承りました。
 私は、我々が安全神話の中に立って原子力政策を推進してきた責任を痛感するとともに、政治が強い指導力を発揮し、断固たる覚悟と責任を持って地域の皆様方の希望を取り戻さなければならない、それが我々の使命であるとの決意を新たにいたしました。
 野田総理、被災者の皆様は、百万遍の美辞麗句より、ふるさとでの生活を取り戻すという結果を求めているのです。
 今もまだ、三十二万人の方々が避難生活を強いられています。新生活へと踏み出すための集団移転は、いまだ五割以上が着工すらできていません。農地も漁港も、いまだ三割程度しか復旧していません。新たな生活への見通しが立たないまま、被災地の皆さんは、総理がおっしゃったように、二度目の冬を迎えます。
 総理、あなたは一月に、この場で、復興を力強く進めていく道具立てがそろいましたと語りました。しかし、どの道具もあなたは使いこなしていません。予算があっても、現場では人が足りず、使い切れない。復興庁があっても、査定庁などと呼ばれ、自治体が案をつくり国の復興庁は査定するという、お役所的な丸投げの発想が蔓延しています。
 我々ならば、まず、復興庁の役人の意識を根本的に改めます。そして、受け身ではなく、国の職員たちがみずから被災地に入り込み、被災地の皆さんと一緒になって復興プランを練り、着実に実行していきます。
 復興庁が発足してからほぼ九カ月、総理のリーダーシップで何が変わったのでしょうか。自民党が政権を回復した暁には、現場主義で、現場に入り込み、被災地の皆さんとともに真の復興を実行する決意があることを宣言いたします。
 なお、政府・与党は、復興予算を流用し、なおかつそれを我が党のせいにするなど、言語道断であり、強く抗議をいたします。
 次に、外交、安全保障について伺います。
 この民主党政権下の三年間は、まさに外交敗北の三年間であり、ひたすら国益を損ねてきました。
 抑止力の意味も理解できずに、最低でも県外という元総理の無責任な発言に端を発した普天間基地移設問題の迷走は、地元沖縄県民の気持ちを大きく傷つけたのみならず、日米同盟の信頼関係に致命的な亀裂を生じさせました。
 日中韓首脳会議においても、今までややもすると米国に依存し過ぎていた、アジアの一員としてアジアをもっと重視する政策をつくり上げていきたいと発言され、米国からは、日米中の正三角形の関係を形成し、日米同盟を見直すものと受けとめられました。
 当時、米国の知日派の元政府高官は、この人物は日米同盟の意味がわかっていない、私たちにとって驚くべき発言だと私に述べました。日米同盟とは、日本が侵略されれば日本のために米国の若い兵士たちが命をかけるということであります。彼は、そのことを理解していない人物がリーダーを務める国のために命をかけねばならない兵士はどう思うでしょうかと述べ、中国の指導者は日米同盟の重要性を理解していない人物が総理になったことを驚きと歓迎をもって迎えたのではないかとまで指摘をしました。
 尖閣諸島の漁船衝突事件における政権の対応は、目を覆うばかりでありました。おおよそ国家安全保障の考えが理解されていない。
 外交無策の足元を見透かされる中で、韓国の李明博大統領やロシアのメドベージェフ大統領の我が国領土への不法上陸を許しました。
 これ以上、日本が諸外国から軽視され、国益を損なうことを見過ごす時間的余裕は、日本国民には残されてはいないんです。
 日本外交の再建のためには、まずは、日米同盟を再構築し、その揺るぎない信頼関係を内外に示すことが第一であります。
 そのため、集団的自衛権の行使を認めるべく、解釈を変更する必要があります。その上に立って、我が党は、国家安全保障基本法を策定し、党議決定いたしました。
 公海上において、日本のシーレーンを守るため米海軍の艦船と海上自衛艦が航行している際、米艦船が攻撃を受けて、それを自衛艦が救助しなくとも日米同盟は傷つかないとでも野田総理はお考えでしょうか。助けなければ、その瞬間に日米同盟は危機的な状況になる可能性があります。
 集団的自衛権の行使を可能とすることによって、日米同盟は、より対等となり、強化されます。結果として、東アジア地域は安定した地域となります。
 日米間の信頼を回復し、同盟を強化した上において、我々自民党は、インド、豪州、ASEAN諸国との安全保障、経済、エネルギー、各分野の関係をより緊密化し、さらに、中国、韓国との関係改善を図ってまいります。
 同時に、我が国の美しい領土、領海は断固として我々が守るとの決意を、国民に、世界に示さなければなりません。我が党が政権につけば、海上保安庁そして防衛力を、より充実強化させてまいります。
 なお、TPP交渉においても、外交力も戦略もなく、対等な交渉力を欠いた現政権では、とるべきものもとれず、守るべきものも守れません。我が党では、既に、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対することを決定しております。
 総理は、十一月十八日から始まる東アジア・サミットにおいてTPPへの参加表明を行うのかどうか、明確な答弁を求めます。
 総理、総理は、まさに日米同盟を傷つけた元総理を、事もあろうに外交担当の党の最高顧問に任命されました。原発事故対応を誤り混乱させた前総理も、新エネルギー政策担当の最高顧問です。皆さん、これはブラックジョークでしょうか。そして、このたびの内閣においては、暴力団との関係がかねてからうわさされていた田中けいしゅう議員をあえて法務大臣に任命する。
 総理は、一体何を意図してこうした人事をなさるのか、お伺いをいたします。
 田中前大臣は拉致の担当でもありました。このことは、総理がいかに拉致問題を軽視しているかの証左であります。
 十年前、私は小泉総理とともに北朝鮮を訪問しました。私が忘れることができないのは、金正日総書記との握手ではありません。それは、五人の拉致被害者の方々が羽田空港におり立った、二〇〇二年十月十五日のあの秋の日のことであります。
 被害者の方々は、家族の皆さんと涙の対面を果たされました。そこには、家族会会長の責任感から、横田滋さん、早紀江さんが来ておられた。そこにめぐみさんがいないことは、どんなにつらかったことか。お二人がみずからの手でめぐみさんを、そして、全ての拉致被害者の家族の方々がその子供たちをしっかりと自分の手で抱き締めることができる日がやってくるまで、私は闘い続けると決意をいたしました。
 私は、それは、与野党を超え、日本の政治家、そして総理の使命だと信じます。
 安倍政権において、拉致問題の解決とは、被害者の帰国、真相の究明、犯人の引き渡しの三点であると政府方針として決定しました。民主党政権は、なぜこの基本方針を変えたのでしょうか。お伺いをいたします。
 我々自民党は、国際社会との連携を進め、そして、この問題を解決しなければ北朝鮮に未来はないのだと北朝鮮みずからに判断させるため、圧力に重点を置いた、対話と圧力の姿勢によって問題の解決を図ってまいります。
 強い外交力は強い経済力の裏打ちを要します。中国を初めとする昨今の我が国領土に対する挑発行為の頻発は、我が国経済の脆弱化の結果とも考えられます。
 この三年間、民主党政権の経済政策には、確固たる針路も戦略も欠如していました。
 株価は低迷を続け、歴史的水準で推移する円高状況はもはや企業の努力を超えており、それを放置する中で企業の海外移転を看過し続けてきました。中小企業も苦しんでいます。
 また、原発ゼロと温室効果ガス一九九〇年比マイナス二五%といった、実現不可能かつ整合性のとれない、夢だけを先行させたエネルギー政策を掲げ、安定的なエネルギー供給の確保に何ら具体策を示さずに経済成長を唱えるという、大いなる矛盾を抱え続けてきました。
 デフレ脱却に向けた明確な処方箋を示すこともできず、むしろ、デフレの加速を招き続けています。
 昨日も、日銀の政策決定会合において、さらなる金融緩和の推進や、政府、日銀の共同文書の発表等がなされましたが、市場にとってはほぼ想定の範囲内であり、強いメッセージを与えるには至っておりません。
 額に汗し、精いっぱい仕事に励んだところで、経済成長なき国民生活のままでは、その努力の先にある未来を実感することはできません。
 デフレは日本経済低迷の根源であり、我々は、あらゆる政策を総動員し、その脱却を果たしてまいります。
 そのために、まず、政府と日銀が政策協調をする中で大胆な金融緩和を行い、着実にデフレ脱却を図るべきと考えます。また、円高を是正し、あらゆる手段を尽くして、競争力ある日本の輸出企業を守っていかなければなりません。その上で、新たなビジネスアイデアやイノベーションに国家資源を投資し、経済成長を実現させる新たな成長戦略を推し進めていかなければなりません。
 そして、国民の信を得た確かな政権の手でつくられた成長戦略、市場が評価できる政権基盤の上にこそ、世界の金融市場は反応し、現実の成長軌道をもたらすのです。
 野田総理、予備費使用のびほう策に無駄な時間と労力を空費するのではなく、潔く、みずからの限界を悟り、国家国民のために一刻も早く信を問うことこそが今や最大の経済対策と考えますが、いかがでしょうか。
 社会保障と税の一体改革に関して伺います。
 我々は、一体改革に関する三党合意を行いましたが、今後もこれを進めていくことは当然です。
 しかしながら、強い社会保障制度とは、できもしない給付のばらまきを約束することではありません。みずからの生活はみずからによって支える自助自立を基本とし、これをお互いが助け合う共助によって補完し、それでも対応できない者に対しては公助によって支えるという順序によって図られるべきです。
 税や保険料を納める者の立場に立ち、この自助、共助、公助の基本理念を基礎として強い経済、社会をつくることこそ、強い社会保障制度の構築につながり、その給付は確かなものとなります。
 年金制度については、保険料の納付に応じて年金が支給される現行制度を基本として、給付と負担のバランスの一層の確保を図る必要があります。医療、介護については、給付の重点化、効率化や負担の公平化が避けられません。生活保護については、額に汗する正直な働き者が報われるよう、不正受給への対策、給付水準の適正化が急務であり、直ちに取り組むべきです。
 こうした我が党の社会保障政策における基本的な考え方について、総理の見解をお伺いします。
 なお、三党合意によって、民主党政権の正統性と政権基盤は崩壊しました。
 社会保障制度改革は、国民に信を問い直し、その民意を受けた正統性と安定した基盤を備えた新たな政治体制のもとで、腰を据えて進めるべき問題と考えます。
 国民会議についても、単独で設置を強行しようとしたり、民主党の選挙対策のために新年金制度の議論を先行させたりすることがあれば、これは三党合意を踏みにじるものと付言させていただきます。
 次に、教育再生について伺います。
 現在、教育は危機に直面しております。陰湿ないじめ、親による虐待、育児放棄といった凄惨な事件が起こる中で、家庭教育、そして学校教育に対する国民の自信と信頼が大きく揺らいでおります。
 私は、品格ある国家、社会をつくり、世界から信頼され、敬愛される国をつくりたいと思います。誰もが日本に生まれたことを喜び、誇りに思うことができる国づくりを目指してまいります。
 しかし、それは、日本に生まれてきた子供たち全員が、それぞれの夢を実現する力と機会を与えられた結果でしか実現しません。その目標は、全ての子供たちに高い学力と規範意識を身につける機会を保障することであり、五年前に制定された新しい教育基本法には、公共の精神、道徳心、国や郷土を愛する心、職業教育、環境教育、家庭教育などが盛り込まれています。
 民主党は、教員免許更新制の抜本的見直しをマニフェストに掲げるとともに、教員の指導力強化と、学力、体力の向上を図るための全国統一学力テスト等を廃止するなど、教員の質の監視、教育の評価の機会をみずから摘み取り、教育の再生に向けた歩みを徹底的にとめようとしています。
 教員が違法な選挙活動を行い、裏金を民主党の候補者に渡すという信じがたい出来事も起きております。そして、その多くは、日本の歴史、伝統、文化を否定し、国旗・国歌に反対する日教組との関係によるものと言っても過言ではありません。
 高い道徳力と学習意欲の構築は、国家発展の基盤であります。
 公平中立、そして正義感と子供への愛情にあふれる教師の背中で、子供たちは、伸び伸びと失敗を恐れず挑戦し、そしてみずから学んでいくのです。そして、オリンピックのときだけでなく、自然に国歌を奏で、歌う、そんな教育現場の実現に向けて、我々自民党は、もう一度全身全霊をささげる用意があります。
 野田総理、総理みずからの教育観は余り聞いたことがありませんが、教育再生についての私の所見についてのお考えをお伺いいたします。
 最後に、野田総理、私は、あえて申し上げたい。
 総理は、所信表明演説の中で、あしたやあすという言葉を何回も用いて、責任を果たすと述べられました。政治空白をつくって政策に停滞をもたらしてはいけないとも述べられました。
 しかし、一度解散を約束した政権は、その存在自体が政治空白だということを肝に銘じていただきたい。もう、これ以上、日本人の美徳と品格を傷つけないでいただきたい。それが、野田総理、あなたの責任です。
 日本はたそがれを迎えていると評論する人たちがいます。それは間違いです。未来は、私たちが何をするかにかかっています。総理が所信で述べられたように、沈む夕日のセンチメンタリズムに浸っているいとまはありません。今、求めるべきは、人々に活力をもたらす光り輝く朝日です。
 私たち自由民主党には、成長戦略があります。地に足のついた、未来を見据えたエネルギー政策があります。私たちは、働く人たちのために、日々の生活に不安を抱く人たちのために、子供たちのために、力強い経済を取り戻すことができます。
 日本が主権を回復して、ことしの四月二十八日で六十年目を迎えました。本来であれば、六十年前、七年間の占領時代につくられた仕組みを見直すべきでした。しかし、それをしなかったがために、今、さまざまな問題が私たちの前に立ち塞がっています。
 国民の生命財産と日本の誇りを守るため、今こそ、憲法改正を含め、戦後体制の鎖を断ち切らなければなりません。我々の伝統と文化の上にみずみずしい新しい日本をつくることができるのは、私たち自由民主党です。あなたたちではありません。
 野田総理、野田総理……(発言する者あり)

発言情報

speech_id: 118105254X00220121031_004

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2012-10-31

院: 衆議院

会議名: 本会議