甘利明の発言 (本会議)
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○甘利明君 自由民主党政務調査会長の甘利明でございます。
私は、自由民主党・無所属の会を代表し、安倍総裁の質問に続いて、野田総理大臣に質問をさせていただきます。(拍手)
野田総理は、所信表明演説で、きょうよりあしたは必ずよくなる、そう信じてもらえる社会をつくりたい、そのようにおっしゃいました。総理のその言葉に、そして今の民主党政権に対して、それを信じる国民が果たしてどれほどいるのでしょうか。
政権が交代して三年、民主党政権の三年間で我が国は混迷をきわめました。
その原因を挙げれば、履き違えた政治主導、受け狙いのポピュリズム政治、百害あって一利なしの事業仕分けなど、枚挙にいとまがありません。民主党政権が国を迷走させるその大きな原因は、政治主導を曲解し、履き違えているところにあります。
政治主導の本質は、官僚機構という最大のシンクタンク、統治機構を使いこなすことであり、政治家が国益に向かって的確にコントロールすることであるはずです。
それが、民主党政権では、官僚と隔絶し、接触を図ろうとせず、政治家だけで相談し、物事を決める。履き違えた政治主導、これが全ての間違いの始まりであります。素人の政治家が、少ない知識と経験だけで判断し、受け狙いのその場しのぎの瞬間芸で政策を決定するから、後々破綻をするのであります。
外交政策でいえば、政府が下した結論、判断に反して起こる驚愕の現実、その事実を想定外であったといってあたふたとする政府、その繰り返しではなかったでしょうか。本来ならば、さまざまなシミュレーションを綿密に行った上での判断でなくてはならないのに、民主党政権は、その場しのぎの思いつきによる判断ばかりではなかったでしょうか。
民主党政権が推し進めた政治主導に関する総理の考えをお伺いいたします。
ばらまき四K施策に代表される民主党のマニフェストはほぼ破綻し、マニフェストという言葉は、今や詐欺の代名詞とやゆされています。しかし、現在も民主党の体質は少しも変わっていません。
最近のポピュリズム政治の最たるものが、エネルギー政策であります。
二〇三〇年代までに原発稼働ゼロを目指すと言いながら、二〇五〇年代まで稼働する大間原発の工事再開を了解するなど、明らかな政策の矛盾ではないでしょうか。
また、二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指しながら再処理を続けるとなると、利用する当てのないプルトニウムをつくり続けることになります。米国を初めとする国際社会が懸念をしているのは、利用する当てのないプルトニウムをつくり続けるという我が国の政策を認めてしまうと、米国によるイランに対する圧力を減殺してしまうのではないかということであります。
さらに、韓国は、核保有国以外で唯一日本に認められている再処理を韓国にも認めるよう、かねてから求めています。言うまでもなく、隣国は北朝鮮であり、プルトニウムの管理は特に重要な問題となります。
思いつきのような受け狙いの政策、選択が、国内のみならず世界じゅうにさまざまな不安をまき散らしています。それに対してどういう責任をとるのかということを総理にお伺いいたします。
看板政策の事業仕分けでは、スーパーコンピューターの「京」が、二位じゃだめなんでしょうかとの発言で有名になりましたが、探査機「はやぶさ」の後継機の予算が六十分の一に削られながら、世間から批判を浴びると、すぐさま予算を復活させる始末でありました。
我が国が主導した東アジアへの戦略的な取り組みである東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の予算も削減をしましたが、問題を指摘されると予算をふやすという始末でありました。
きわめつけは、日本の底力となる最先端研究費のカットであります。
自民党が政権を担っていたときは、聖域なく予算を削減する決断の中でも、研究開発費だけは毎年二%ふやすという姿勢は、ぶれることなく堅持をしてきました。
麻生内閣の終盤、私は行革大臣をしておりましたが、日本の将来を担う科学技術研究の基金化を提言いたしました。平成二十一年度の第一次補正予算で、厳選した三十の研究に合計約二千七百億円をつけ、最先端研究支援プログラムを策定いたしました。
役人の前例主義や積み上げ方式を打ち破る大胆なプロジェクトとして、大学を初め研究者のやる気を奮い立たせ、関係者に大変評価され、成果も期待されておりました。ところが、政権交代と同時に、約一千億円に、三分の一に減額されてしまいました。
ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授の研究には、当初百億円前後の予算がつくはずでしたが、事業仕分けで半分に削られたのであります。
山中教授がノーベル賞の受賞報告を行った際、野田総理はこれからも支援、応援する旨を述べられましたが、研究を支援するのですか、それとも事業仕分けを支援するのですか、どちらなんでしょうか。総理にお伺いいたします。
野田総理は、我が国の経済をどう進めていくおつもりでしょうか。
我が党の安倍総裁は、就任後直ちに、党内に新たに日本経済再生本部を設置し、日本経済再生の具体的かつ抜本的なプランづくりに着手しているところであります。
昨年、三十一年ぶりの貿易赤字に陥りました。ことしの経済指標はさらに深刻な状況が報告されており、手をこまねいていれば数年後には経常赤字に陥ると警鐘が鳴らされています。
経常赤字に陥れば、必要な財政資金をフローでは国内で調達できない事態となります。そうなれば、日本国債の信用性が市場で厳しい評価にさらされ、つまりは、償還可能性が厳しく問われることとなるのです。
ここで重要なことは、財政再建への道筋が政府によって責任を持って示されるか否かです。それは、すなわち、消費税引き上げへの経済的環境づくりがしっかりとできるか否かにかかっているわけであります。
では、なぜ貿易赤字に陥ったのでありましょうか。それは、原発稼働停止により石油や天然ガスの輸入が大幅にふえ、年ベースで三兆一千億もの国富が流出したことが直接の要因です。
加えて、構造的な要因もあります。産業競争力が落ちています。十年から十五年後の競争力の源泉となるような研究費の予算を事業仕分けでカットし、さらには税制面でも研究開発減税を縮小してしまいました。それらを法人税減税の財源に充てているのであります。
日本の競争力を犠牲にして、競争力と無縁なものにまで配る。予算、税制ともに、我が国競争力とは反対の方向を向いているのであります。競争力を培う事業に使わず、目先のばらまき政策にばかり予算を使っているのであります。
本年八月三十一日に、我が党は日本経済再生プランを発表いたしました。私が責任者として取りまとめたプランであり、高い評価をいただきました。
我が国経済再生の鍵は、実質三%、名目四%の経済成長を目指し、財政の健全化を進めつつ、円高・デフレ・空洞化対策に最優先で取り組むことです。
さらに、当面の円高・デフレ・空洞化対策のみならず、中長期的に日本経済の設計図を書きかえる提言をいたしております。
貿易立国を通じてGDPを拡大していく設計図から、貿易立国プラス産業投資立国の双発エンジンにより我が国の経済を牽引していく。そして、二つのエンジンが互いにシナジー効果を発揮する。内外の資本還流を通じて日本の産業競争力を強化する。我が国を価値の創造拠点とし、科学技術の司令塔機能を再構築する。このような絵図をお示しいたしました。
さて、予算規模に目を移すと、自民党時代は八十兆円台であった予算が、民主党政権になって九十兆円台に増加をいたしました。予算を拡大しておきながら、景気が低迷する、需要が生まれない、競争力が落ちるということは、どういうことなのでしょうか。政治無策にほかならないのではないでしょうか。
民主党は、自公政権時代の経済財政諮問会議を非難し、国家戦略会議をつくりましたが、その開催頻度、透明性、内容、どれをとっても両者を比較することすらおこがましいものになりました。
政府・与党たるものは、金融当局たる日本銀行を含め、関係閣僚がその時々の経済の状況と将来見通しに関する認識を共有し、時期を失することなく、大胆な経済対策を打っていくのが王道です。
経済財政諮問会議はしっかりとした役割を担ってきたと思いますが、今、国家戦略会議は何をしているのでしょうか。
また、先週、約四千億円の予備費を財源とする経済対策が決定され、さらに、総理は、十一月末にももう一度対策をまとめる可能性を示唆されたとのことでありますが、場当たり的な経済対策は市場に雑音を与えるだけです。
経済政策に関して、総理の考えをお伺いいたします。
民主党政権になって、事業仕分けという近視眼的な予算削減が行われた結果、各省庁は自分の予算を守ることを第一に考えるようになり、省庁間の連携が減り、縦割りの溝はむしろ深まったとの指摘があります。
日本の将来を真剣に考えるならば、我が国を競争力と付加価値の創造拠点とする設計が必要であり、その司令塔たる総合科学技術会議の抜本的再構築がかなめとなります。
前任の古川国家戦略担当大臣が策定した総合科学技術会議の再構築プランは、企画権限は文部科学省、予算権限は財務省が握ったままの評価に値しないプランでありますが、それすらも、法案の閣議決定もされず、日の目を見ていない状態であります。
民主党がマニフェストで強調した、総合科学技術会議の科学技術の司令塔としての再構築はどうなってしまったんですか。総理にお伺いをいたします。
次に、教育政策についてお伺いいたします。
安倍内閣時には、六十年ぶりに教育基本法を改正し、教育の理念、哲学、目標を明確にし、日本の未来を担う人材をこのようにつくりたいという方針を明確に示しました。しかし、それが教育現場までおりていないのが現状であります。
例えば、教科書検定の問題であります。日教組の影響下にある方が教科書選定委員となり、理念とかけ離れた教科書が採択されている現状があります。
さらに、野田政権になって、政治主導を発揮すべき文部科学政務官に現役の日教組役員が就任されています。監督する側と監督される側が同じという、前代未聞の事態が生じているのです。自民党政権ではとても考えられない人事であります。
組閣時の身体検査はどうなっているんでしょうか。これが、頻繁に大臣が辞任する原因になっているんじゃないですか。
教育、人材育成こそ、我が国の将来にとって必要不可欠な政策であります。
このため、我が党は、安倍総裁直属の教育再生実行本部を設置し、いじめ問題対策、教科書検定・採択改革、大学教育の強化、教育委員会制度改革など、それぞれの分科会において徹底的に議論をしているところであります。
野田内閣においては、日教組におもんぱかってか、教育改革が一向に進んでいません。我が党の目指す教育再生をどのように受け取っておられますか。総理のお考えをお伺いいたします。
エネルギー政策についてお伺いいたします。
九月十四日に革新的エネルギー・環境戦略が取りまとめられ、そこでは、二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指すことが高らかにうたわれています。
しかし、二〇三〇年代に原発稼働ゼロが可能か否かという実現可能性の検証、さらには、今後のスケジュールが全く描けていません。民主党政権お得意の、その場しのぎの、思いつきの目標としか思えません。
しかも、この二〇三〇年代原発稼働ゼロという文言は、閣議決定されておりません。なぜ閣議決定されなかったのでしょうか。さらに、この基本方針すら閣議決定できなかったのに、一体、政府のエネルギー基本計画は、いつ、どのような内容のものを策定するのでしょうか。あわせて総理にお伺いをいたします。
我々は、原発依存比率を下げるということにトライしていきます。
ただ、民主党政権のように、受けを狙って、二〇三〇年代までに原発稼働ゼロと、拙速に思いつきの目標を掲げることや、その間のシナリオをつくらないというのではありません。
具体的なプランがあります。
当面の最優先課題として、再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図るため、今後三年間を集中開発期間として徹底的に取り組んでいきます。集中的に取り組むことで、技術開発はどこまで進むのか、コストはどこまで安くなるのかなど、見通しが立ってきます。
まずは、仕組みのシミュレーションから始めて、安定供給に支障がないレベルまで精度を高めます。それを時間軸に落として、原発依存比率をどこまで下げられるのかということにトライをしていきます。
そして、中長期的エネルギー政策として、将来の国民生活に責任の持てるエネルギー戦略の確立に向け、十年以内には、将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立します。
我々は、民主党政権のような無責任なトライではなく、現実的で、かつ責任を持ったトライをしていきます。
原発再稼働についても、野田政権は迷走しております。
野田総理は、再稼働は原子力規制委員会が安全基準に基づいて判断するのがルールと発言されています。さらに、原子力規制委員会が安全性を判断すれば国としての判断は完結すると枝野経産大臣も述べられております。個々の再稼働判断に政府が関与しない方針を明確に示しています。
そもそも、原子力規制委員会の設立趣旨は、技術的な専門家集団が政府から独立して安全規制を担うというものではなかったのですか。原子力規制委員会は、原発が安全か否かを判断する機関です。再稼働の判断を原子力規制委員会に委ねる野田総理初め政府の認識が誤っているのではないですか。
野田総理がおっしゃっているように、原子力規制委員会が原発再稼働の判断をするのでしょうか。明確にお答えください。
そもそも、エネルギーは、国民生活にとって欠かすことのできないインフラであると同時に、産業活動にとっても大動脈であります。エネルギーを安定的に適正な価格で供給するのは政治の使命であると考えますが、民主党政権にはその認識が全く感じられません。エネルギー政策に関する野田総理のお考えをお伺いいたします。
東日本大震災からの復興についてお伺いいたします。
十七兆の復興予算の使い道についてさまざまな指摘がなされておりますが、きょうは個別の話を取り上げるつもりはありません。むしろ、個別の話から入ると、復興に際し民主党が犯した失敗の本質を見誤るおそれがあります。
私は、このたびの災害に関し、民主党は三つの決定的な誤りを犯したと思っています。
一つは、復興庁創設の決定的なおくれです。
三月に災害及び原子力事故が発生したのに、復興庁ができたのは翌年の二月と、約一年もかかりました。この間、高台移転や瓦れき処理など、すぐに方針を出し、一気にやればできたはずの利害調整も、時間がたつにつれ、どんどん複雑化し、今や泥沼状態に入らんとしております。
災害直後に復興庁をつくり、そこに権限が集中し、自治体と直接問題解決に当たらせていれば、いろいろな問題がとっくに解決したことは間違いありません。
二つ目は、復興庁ができる前もその後も、予算要求、執行権限を各省に丸投げ状態にしたことです。
霞が関の机に踏ん反り返っていては、被災地の本当のニーズがわかるはずはありません。その結果、使えない予算が積み上がり、仕分けで削られた予算を復興予算の中から取り戻すという事態が横行することとなったのは、ある意味、予想し得る事態であり、構造的な問題でもあります。
一般会計を縮減した形に見せたい財務省と、財源は何であれ予算を維持したい各省庁が復興予算を食い物にする構造を放置してきた民主党政権の責任は、極めて重いと言わざるを得ません。
三つ目は、福島の原子力災害対策への対応です。
総理は、就任直後の所信表明で、福島の再生なくして日本の再生なし、除染に最優先に取り組むことを高らかに宣言いたしました。
今の福島はどうなっているのでしょうか。避難指示区域の住民は引き続き厳しい避難生活を強いられ、除染は全くと言っていいほど進んでいません。最近になってやっと復興庁が福島問題に統一的に取り組んでいくことが決まったようですが、ここに至るまで一年半を要しています。あきれるほかありません。福島の避難区域の皆さんは、こうした政府の対応の遅さに失望し、ふるさとに戻るのを諦める人がふえていると聞きます。
まずは、復興庁に権限も予算も人員も集中し、被災地のニーズに直接応えていく体制を構築した上で、地元自治体を信用して、予算施行権限や規制緩和権限を移譲していくという方針を再確認、実行すべきと考えますが、総理の考えをお伺いいたします。
振り返ってみれば、この三年間は、我が国にとって非常に重要な三年間でありました。我々の不徳からでありますが、この大事な三年間をアマチュアの政治に委ねてしまいました。その三年間に外交・安全保障政策はぶれまくり、経済大国日本は見る影もありません。
かつて民主党は、国民の生活が第一と連呼されておりました。民主党政権の三年間で、国民の生活が台なしになったのではないでしょうか。
一刻も早く立ち上がらなければ、再生しなければ、一流国には戻れません。使命感と責任感を持ったプロフェッショナルが一刻も早く政権を担当しないと、日本は取り返しのつかないことになります。
言うまでもなく、政権奪還は、我が党のためではありません。我が国のために、民主党には政権から退いていただかなければならないのであります。
あすへの責任を連発される総理に、解散という形でその矜持を示していただくことを強く要求し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕