奥野総一郎の発言 (本会議)
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○奥野総一郎君 私は、民主党・無所属クラブを代表し、平成二十四年度補正予算案について、反対の立場から討論を行います。(拍手)
まず申し上げたいことは、本日、この場において採決が行われることについて、私は、時期尚早の感が否めません。
今、日本は、デフレを脱却し成長軌道に乗ることができるのか、それとも、一千兆円を超す借金を抱え沈没するのか、まさに瀬戸際にいます。五兆円を超える公債を発行し、財政健全化を犠牲にして組む補正予算でもあり、失敗は許されません。
予算委員会では、さまざまな観点から問題点が指摘されており、この補正予算が真に我が国経済の再生に結びつくものなのか、一層の審議が必要であります。
このような段階において本日の採決を決めた与党の国会運営については、非常に残念であると言わざるを得ません。
まず、補正予算に対する基本的な立場を申し上げます。
今、我が国にとって、デフレからの脱却と景気回復が最優先課題であり、一定規模の補正予算が必要であることについては、我々民主党も認識を共有しております。
ただし、補正で行う事業は、単に需給ギャップを埋めるだけではなくて、経済を成長軌道に乗せる、乗数効果の高い事業でなければなりません。
民主党政権では、昨年七月に日本再生戦略を取りまとめましたけれども、その趣旨は、将来の我が国を支える成長分野を明確にし、財政規律を守りながら、その成長分野に予算、税制、規制改革などの政策資源を重点的に投入していくというものでした。
今回の補正予算には、この日本再生戦略に掲げた事業等に多くの予算が配分されており、この点は評価させていただきます。
しかし、この予算には、それを上回るリスク、問題がたくさん内包されています。
例えば、年度内執行が困難な巨額の公共事業を補正予算に計上し、当初予算の規模を縮小することで来年度の国債発行額を見かけ上抑制するなど、粉飾ともとられかねない操作を行っています。
また、バブル崩壊以降、自民党政権は、財政規律を無視し、公共事業の大盤振る舞いを重ねてきましたけれども、今回の補正予算が過去のそれとどう異なるものか、検証も説明もございません。
この補正予算は、基礎的財政収支赤字の対GDP比を、二〇一五年度までに二〇一〇年度の水準から半減する、そして二〇二〇年度までに黒字化するとの財政健全化目標を堅持しつつ、必要な公共事業を手当てしながらも成長分野に予算を重点配分する、成長と財政規律のバランスのとれた補正予算にすべきであります。
このスタンスに立ったときに、やはり今回の補正予算に賛成することはできないという判断に我が党は至りました。
以下、具体的に反対の理由を申し述べます。
第一に、この補正予算の財源が、五兆円を超える公債によって賄われている点であります。
我々民主党政権下においても、予算の財源には非常に苦労をいたしました。財政健全化目標を達成するために、国債の発行を毎年度四十四兆円以下とする中期財政フレームを堅持するために、既存予算の振りかえを行うことや、あるいは行政改革に必死に取り組むことで、財源を何とか捻出してまいりました。
しかし、安倍内閣がこのたびの補正予算を組むに当たり、そのような努力をした形跡は全く見受けられません。
さきに我が党の岸本周平議員が代表質問で指摘したとおり、そもそも、補正予算は財政規律が甘くなりがちであり、せっかく借金をして財源をつくっても、ばらまくことにしかならない。一千兆円を超す借金が積み上がった要因がこの点にあることを、政府は自覚すべきであります。
経済対策の大義名分のもとで安易に公債発行に頼る安倍内閣の姿勢には、強い違和感を覚えます。
その上、政府・与党は、来年度の当初予算について、借金が税収を上回るような異常な事態を回避したと喧伝しておられるようですけれども、この補正予算において、五兆円を超える公債を発行し、ばらまき予算を前倒しで組んだからこそ、平成二十五年度当初予算で財政規律が守られているように見えているだけです。まさに、国民の目を欺く偽装であります。
次に指摘するべきは、その内容です。
緊急経済対策と銘打ったその内容の多くは、結局、公共事業を中心としたばらまきでしかありません。
社会資本整備交付金、防災・安全社会資本整備交付金、農山漁村地域整備交付金、この三つの交付金は、いずれも公共事業に関連するものです。我が党はその積算根拠と事業内容を精査しようといたしましたけれども、具体的なことは、地方が作成する計画を待たなければわからないとのことでありました。
補正予算は、原則として年度内に執行するべきものですけれども、これでは、年度内執行などできるはずもありません。それが、なぜ、緊急の経済対策として今年度の補正予算に計上されているのでありましょうか。年度内執行が困難ならば、来年度当初予算に計上するべきではありませんか。
問題は、それだけではありません。
この補正予算には、新たに創設された約一・四兆円の地域の元気臨時交付金が含まれていますけれども、これは、補助事業の地方負担分のおよそ八割から九割を肩がわりすることを原則として、さらに、使い切れない金額については基金として積み残すことができる、究極の、これまでにない、ばらまきの補助金であります。
その一方で、民主党政権下で行われてきた一括交付金を廃止することを決めています。
これは、我々民主党が政権担当時に取り組んできた地域主権改革の流れに大きく逆行するものです。言いかえれば、地方がみずからの判断で自由に使える予算を取りやめにし、再び国が使途を決めるひもつき補助金を復活させるということであり、霞が関主導の中央集権政治、利権政治を復活させる手法にほかならないものであります。
これこそ、まさに、古い自民党政治の復活の象徴ではありませんか。
さらに申し上げれば、政府・与党は、この補正予算によって復興を加速させると意気込んでおられます。むしろ、逆効果となる懸念すらあります。
昨今の建設業界は、資材、機材の不足に加えて、労働者の賃金が上昇し、人手不足になっていると言われています。
こうした状況のもとで、安倍内閣が全国に巨額の公共事業予算を実施するという方針を示した結果、被災地では、これまで復興に当たっていた業者が、機材や人員を引き揚げ、地元に戻るという事態が生じています。
これでは、復興の加速どころか、むしろおくらせてしまうだけであります。
これまでるる述べてまいりましたように、このたびの補正予算案には、非常に多くの問題があります。
したがって、昨日、我々は、予算委員会において、補正予算の組み替え動議を提案いたしました。
その内容は、これまで申し上げたことを踏まえ、復興・防災対策と暮らしの安心・地域活性化対策以外の公共事業一兆二千十七億円と、これに対応する、地方の元気臨時交付金六千九百四十二億円を削減し、この削減に伴って不要となる建設公債についても、一兆八千九百五十九億円の発行を削減するものであります。
しかし、残念ながら、我々の提案は、先ほど、予算委員会において否決をされました。
冒頭申し上げたように、日本は、デフレを脱却し成長軌道に乗ることができるのか、それとも、一千兆円を超す借金を抱えこのまま沈没するのか、まさに瀬戸際の位置におります。
財政健全化とデフレ脱却、景気の回復の二兎を追うという困難な経済、財政のかじ取りを行わねばならないこの局面で、後世に禍根を残すような、ただ規模が大きいだけでばらまきの予算に賛成することは、到底我々にはできません。
我々は、この補正予算には反対をいたしますが、我が国経済、財政の再生を目指す思いは、政府・与党の皆さんと同じであります。
どうか、我々の指摘に耳を傾けられ、来年度予算についてもいま一度御検討いただくことを期待して、私の反対討論を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)