木下智彦の発言 (本会議)

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○木下智彦君 日本維新の会、木下智彦です。
 私は、日本維新の会を代表して、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案及びその修正案に反対の立場で討論を行います。(拍手)
 まず、我々日本維新の会は、公正な競争に基づいた経済活動が経済自体の健全な発展につながるとの理念に基づいており、ビジネスシーンにおけるアイデアあふれる商行為までも否定する可能性の高い本法案に反対いたします。
 本法案は、経済産業委員会において合計して約十八時間の審議がされましたが、審議を重ねれば重ねるほど、法案自体の欠陥が浮き彫りになってきました。
 本法案八条の「消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置」の具体例についての質疑において、消費者庁審議官の答弁内容が質疑の経過とともに変化しました。
 これに対して、五月八日に政府公式見解が示されましたが、その内容に関する質疑での担当大臣の答弁が著しく曖昧でありました。
 政府の公式見解は、「「消費税は転嫁しません」、「消費税率上昇分値引きします」、「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」等の表示は禁止」「「消費税」といった文言を含まない表現については、宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかな場合でなければ、禁止される表示には該当しない。 したがって、消費税との関連性がはっきりしない「春の生活応援セール」や、たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの「三%値下げ」といった表示が行われているだけで、このような宣伝等が禁止されることにはならない」としています。
 この公式見解を見ても、本法案の実効性がないことは明らかです。
 政府は、ビジネスの現場で行われる厳しい価格交渉の実態をきちんと視察、認識されているのでしょうか。余りにも現場の実態とかけ離れた政府の公式見解を見れば、本法案の実効性のなさがはっきりとしたと言わざるを得ません。
 本法案成立後作成される予定になっているガイドラインに関しても、基本的な考え方が整理されていないことが質疑の中で明らかになりました。各委員がさまざまな事例を想定してシミュレーションをしながら質問をしましたが、政府の答弁は曖昧で、一貫性がありませんでした。
 今後ガイドラインの作成が始まると思いますが、ガイドラインの骨格となる基準が曖昧なままでは、とても実効性のあるガイドラインが作成されるとは思えません。市場の実態に即さないガイドラインが運用されれば、市場は混乱し、公正な経済活動自体も阻害され、萎縮する結果となるのではないかと非常に危惧するものであります。
 また、有識者からも、本法案に関する問題点が数多く指摘されております。
 参考人質疑においては、与党側要求の参考人ですら、法案に賛成の態度は示しつつも、その実効性を疑問視する発言が多くありました。
 与党側要求の政府参考人、舟田正之立教大学名誉教授は、こう指摘しております。
 例えば、小売業者が現在税込み百円で売っている商品については、その五%が消費税分であるが、これが八%に引き上げられたとしても、小売値百円を維持するために、納入業者に仕入れ値をその分だけ下げてくれと要求するおそれがある。これでは消費税が本来の仕組みとして転嫁がなされないことになり、本法案三条一号の、消費税の転嫁を拒むことに該当する行為として禁止されるべきである。また、本体について価格交渉し自由に決めることは、市場経済の本質であり、原則として自由である。しかし、このような行為は、従来の価格を据え置くために転嫁を拒否することを意味するから、違法となる。
 以上のような舟田教授の指摘に対しても政府の見解は曖昧で、本法案のたてつけ自体が矛盾に満ちたものだと指摘せざるを得ません。
 また、中小企業、小規模事業者保護の観点から、大規模小売店などへの商品納入に関する価格交渉を行うに当たり、消費税相当分の値下げを強いるような行為を禁止していますが、この納入業者として大規模の納入業者は対象となっておらず、本法案だけでは、大規模小売店が規制を嫌い、大規模の納入業者との取引を優先する結果が考えられ、むしろ、中小企業、小規模事業者が取引の機会を失ってしまう可能性があるのです。
 一方、納入業者側が、消費税分の値下げをするかわりに納入数量を従来より割り増ししてもらうことなどを大規模小売店に提案した場合、商取引上の契約内容では、大規模小売店から要求したものと同一の結果になります。消費税の価格転嫁が適正になされていると明らかに判断できないにもかかわらず、本法案では、納入業者側を取り締まることは想定されていないという問題点もあります。
 さらに、極めて専門性の高い転嫁拒否等の調査に係る業務を行うため新規配置、増員される予定の転嫁対策調査官の大半は三年余りの有期雇用ですが、この人員が問題なく業務を遂行できるのか、極めて疑問が残ります。
 人員は公募で、しかも有期雇用なので、専門性の高い人材が集まるのか不安視されています。また、契約期間が満了した後の就職先の紹介などは一切行わないとのことです。たとえ専門性の高い人材が確保できたとしても、先ほどから指摘している曖昧なガイドラインでは、実効性のある調査が行えるとは到底思えません。また、今回政府が想定しているその転嫁対策調査官の人数は約六百名ですが、その数が適正かどうか、きちんと検討がなされているとも思えません。
 これらの問題点は経済産業委員会での審議でも多く指摘されていますが、本来であれば過去の消費税五%引き上げ時の状況を踏まえて十分に精査しなければならないことが、されていない結果なのです。
 消費税を負担することは、最終需要家となる国民の義務です。また、事業者からきちんと徴税すれば問題はないのです。それらの考え方はそもそも本法案で規定するようなものではなく、消費税の基本的な考え方として明確に国民に示してこなかったこと自体が問題なのです。
 著しく曖昧かつ未整備で問題点解決のめどの立たない本法案には到底賛成できるはずもなく、その内容自体も、安倍総理の掲げる三本目の矢である成長戦略とは全く正反対であります。
 これら多くの問題点からも、本原案及びその修正案に強く反対の意を示し、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 木下智彦

speaker_id: 6007

日付: 2013-05-17

院: 衆議院

会議名: 本会議