岸本周平の発言 (本会議)
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○岸本周平君 民主党の岸本周平です。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました株式会社海外需要開拓支援機構法案について質問をいたします。(拍手)
戦後、日本が培ってきた製造業を中心としたメード・イン・ジャパンの産業基盤は、今も日本経済の足腰であり、さらなる規制改革によってその競争力を強化することは、産業政策の基本であります。
他方で、日本でしか発想し得ないクリエーティビティーに根差し、海外から高い評価を受けるクール・ジャパンを推進するコンテンツ産業は、新たな日本経済の担い手であります。
私は、二〇〇一年に初代の経済産業省メディア・コンテンツ課長に就任し、クール・ジャパンの先鞭をつけようとする事業者とともに、海外に足を運び、汗を流し、海賊版の撲滅やマーケティング活動など、ともに市場を拡大していく仕事をしてまいりました。
一方、民主党政権時代におきましても、クール・ジャパンの重要性を認識し、二〇一〇年六月に取りまとめた新成長戦略を受け、クール・ジャパン官民有識者会議を設立いたしました。そこで、二〇二〇年までに世界で十兆円規模の市場規模まで拡大させる目標を設定いたしました。また、新たに経産省内にクリエイティブ産業課を設置するなど、体制を強化してまいりました。
今回、政府より提出されております株式会社海外需要開拓支援機構法案は、民主党政権下におけるこのような取り組みをさらに進めるため、クール・ジャパン官民有識者会議中間取りまとめで指摘のありました、新たなインキュベーション仕組みづくりをもとに構想されたものであります。
また、私自身、昨年は、経済産業大臣政務官として、クール・ジャパン官民有識者会議と連携しながら、このクール・ジャパンを推進してまいりました。
与野党、立場は変わりましたが、最も本法案を支持し、応援したいと思っている政治家の一人であると自負しております。したがって、海外需要開拓支援機構、いわゆるクール・ジャパン推進機構を成功させたいという熱い思いから、いささか辛口の質問をさせていただくことをお許し願いたいと存じます。
まず最初に、政府がファンドを組成してリスクをとることが可能かどうか、考えていきたいと思います。
これまで、産業投資特別会計の出資金によって、さまざまなファンドを通じたリスクマネー供給が行われてまいりました。さて、親方日の丸とやゆされたこれらのファンドは、成功したでしょうか。
例えば、新エネルギー・産業技術総合開発機構には、これまで七百四十二億円の出資がなされましたが、これまでのところ、回収額は四千四百万円にすぎません。情報通信機構は、七百十六億円の出資で回収額二億四千万円。医薬基盤研究所は、三百五十四億円の出資で回収額七百五十万円。農業・食品産業技術総合研究機構は、三百五十一億円の出資で、回収額は何と三百万円であります。
これらは現在まだある独立法人ですが、さすがに失敗が大き過ぎて、出資金を償却し、すなわち、損切りをして廃止された団体があります。
基盤技術研究促進センターは廃止されました。その損失額は二千六百八十四億円に上っております。情報処理推進機構の損失額は三百七十七億円、情報処理振興事業協会の損失額は百四十二億円、その他の廃止された十法人の損失額は計三百八十三億円であります。
すなわち、天下りの官僚の皆さんが何十年とかかわって、失敗の山が積み上がったわけであります。結局、親方日の丸の官がリスクをとっても、失敗するだけだということが明らかになったわけであります。
国の財政が逼迫する中で、五百億円の政府の出資で新たに民間会社を設立することが、本当に正しいことなのかどうか。政府を頼ることで、モラルハザードとなるだけではないでしょうか。
その上で、クール・ジャパンを応援する立場に立つとしても、ここで民間事業者こそがリスクをとらなければ、成功の保証はないと思います。政府が呼び水として五百億円のリスクマネーを提供するならば、民間サイドもせめて同額を出して会社をつくっていただかなければ、真剣なビジネスにはなりません。
これまでの民間サイドからの出資額の見込み、そして、新たに民間会社を設立するべき意義、その必要性、さらには波及効果の大きさについて、経済産業大臣のお考えをお伺いします。
あわせて、他の官民ファンドとの関係についてお尋ねします。
政府では、二〇〇九年から、産業投資特別会計出資二千六百六十億円と、民間からの出資も受け、官民ファンドとして産業革新機構を設立しております。同機構は、国内の企業及び個人が保有するコンテンツの海外展開を支援する、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスに対し、既に六十億円の出資を行っております。
同社は、本法案による機構とも同様の目的を担っておりますが、産業革新機構の業務との役割分担をどのようにお考えでしょうか。屋上屋を重ねているのではありませんか。経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
そこで、いわゆるクール・ジャパン推進機構の設立に合理性があるとした場合、私の経験からすれば、このようなコンテンツ系のファンドは、人材が全てであります。しかし、本当の目ききができて、的確なファンドのマネジメントができる人材を果たして採用できるのでしょうか。
既に、多くの民間企業は、自力で、あるいは合弁で、リスクをとって、アジアを中心に世界に進出をしております。
例えば、吉本興業は、十数年前から、韓国や台湾に現地法人を設立しています。そして、ファンダンゴ・コリアなどインターネットテレビのビジネスモデルを確立し、利益を上げています。上海メディアグループとの合弁会社による放送番組の制作を開始しました。また、金門島での日本産品の物販事業も実施予定であります。台湾の衛星放送、東風衛視にも事業参入をしております。まさに、クール・ジャパン推進機構のモデルそのものであります。
民間で成功している優秀な人材が、政府の息のかかった半官半民のファンドに来てくれるでしょうか。利益相反を防止しつつ、このような目きき人材を確保していくために、現時点でどのような課題を想定され、解決についてどのような方策をお持ちか、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、機構の支援基準についてお伺いいたします。
本法案第一条では、その支援対象について、我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品または役務を規定しております。その上で、その具体的な支援基準については、第二十三条において、経済産業大臣が、機構の事業活動の支援の対象となる事業者及び事業活動の内容を決定するに当たって従うべき基準を定めることとされております。
先ほど申し上げましたとおり、政府出資五百億円に匹敵するような民間からの出資を求めるに当たって、一定の考えを明確に示す必要があります。現時点で、機構が想定する支援の対象はどのようなものがあるとお考えか、経済産業大臣の答弁を求めます。
先般、予算委員会で、麻生財務大臣に対しまして、官民ファンドを通じたリスクマネー供給に関して、失敗した場合の責任は誰がとるのかと質問をさせていただきました。麻生財務大臣からは、基本的には主務大臣が責任をとるべきだとの御答弁をいただきました。
しかし、主務大臣が、五年も十年も、ファンドがリクープするまで在任することはまれであります。官僚もそうですが、頻繁に人事異動が行われます。やはり、責任は当該機構の経営陣がとるような信賞必罰のガバナンスが必要だと考えますが、経済産業大臣の御見解をお伺いします。
次に、支援体制の整備についてお伺いします。
クリエーティブ産業だけではなくて、およそ中小企業の海外展開を支援していくためには、単純な資金需要に応じるだけではなく、市場調査、商品の試作あるいは販路開拓など、さまざまな場面で、直接、専門家による支援が重要な役割を担っていきます。
本法案によって設立される機構は、その意味で、支援の中核を担うわけですけれども、ほかの施策、ほかの支援機関との有機的な連携が欠かせません。
中小企業の海外展開支援を推進するため、どのような体制を整備されるお考えか、経済産業大臣に答弁を求めます。
本法案に基づく機構の支援は、海外展開のできる強いコンテンツが対象となります。しかし、強いコンテンツを生み出し、海外展開をなし遂げるための第一歩は、何より、日本国内に確かな足場を築くことであります。
しかしながら、一方で、クリエーティブ関連産業の多くは中小企業であります。これらの企業の多くは、それぞれの強みを持ちつつも、さまざまな業種間での連携をうまく行うことができず、新たな商品、サービス開発がなかなか進みにくいのが現状であります。
例えば、アニメプロダクションのように、取引先の大手企業から優越的地位の濫用に近い扱いを受けてきた中小企業者もたくさんあります。その結果、この分野におきましては、既にアニメや映像のプロダクションは下請代金支払遅延等防止法の対象に指定されていますけれども、今後、国内における関連中小企業への支援をどのように進めていかれるのか、経済産業大臣のお考えをお伺いいたします。
クール・ジャパンの推進は、単なる産業政策にとどまりません。新たな日本文化や流行の発信、海外における日本理解の一助ともなります。ソフトパワー外交の基盤とも言えます。
そのパイオニアとなる本機構が、その役割を十二分に発揮することができるよう、政府においてもあらゆる政策資源を投入するよう強く求めるとともに、茂木経産大臣に対して心よりエールを送って、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣茂木敏充君登壇〕