加藤一彦の発言 (憲法審査会)
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○参考人(加藤一彦君) どうもありがとうございました。
私の立場は加藤秀治郎先生とはちょっと違って、憲法学者ですので、日本国憲法の枠というものがありまして、その枠の中で物事を見ていきます。
したがいまして、今の御質問というのはまさに参議院はなぜ必要なのかということだと思うんですけれども、これは昔から言われてきた原点だと思うんですね。衆議院は数で決めてもいいと、しかし、参議院は理の部分で考えていこうと。この理の部分というのは、もちろん最後は数で決着はせざるを得ないんでしょうけれども、その理を働かす条件がそもそも参議院にあるのかという問いかけをやっぱり今の時代は言わなきゃいけないと思います。
昔のような緑風会を期待することはもう不可能だと思います。ここまで政党化が進めば、それぞれ政党の支持を受けた方々が当選人となられる。昔のような無所属の方々あるいは著名人、そういうことによって参議院が構成された時代はもう恐らくは来ないであろうと。となるならば、およそ普通は考えなければならないのは、改めてもう一回、理というものは何であろうかということをそれぞれ参議院議員の方々がやっぱり問いかけて、ここは衆議院とは違う視点で各党ともきちんと国会審議をしていこうということになると思います。
あともう一つは、今日簡単にはしょってしまったんですが、皆様方参議院議員というのは衆議院議員とは異なり、衆議院議員の任期は四年ですが、解散・総選挙があると基本的には三年だと思います。しかしながら、皆様方は六年間身分が保障されております。これは非常に長い任期です。であるならば、余り選挙のことを考えずに日常的な議員活動ができる立場にあると思うんですね。私が思うのは、まさにそういうきちんとした六年間の身分保障をされている先生方であるならば、衆議院とは違った形でいろんな審議ができるんじゃないかということ、そこに私は期待値を込めております。
実は、この部分というのが、一番重要なのが行政統制です。六年間参議院議員の身分を保障されているということは、六年間もある特定の行政中央省庁、官庁について徹底的に調べ上げるほどの能力は持つはずです。そこが衆議院議員とは違うはずです。そのことがありますので、私が、なぜ参議院が必要なのかといったところの持つ意味合いというのが、③の慎重審議という言葉に入っているかもしれませんが、慎重審議ができるその実力は本院はそもそも備わっているんだということを御指摘したいと思います。
あともう一つが、最後のやっぱり両院協議会のことなんですけれども、ここが実は難しい部分がありまして、従来は、法律の中で衆議院の議決を優先させるような法律条項というのはあったんですね。ところが、参議院サイドの方で意図的に、いや、そんなのは駄目だと、憲法で書いてあることだけが衆議院が優越をするんだということで、参議院サイドの方で法改正を求めてきたはずです。そういう立場からすると、両院関係のねじれが起きたときの国会法改正というのは、今までの流れからすると多分参議院はしないであろうと。
あともう一つは、両院協議会の改革なんですが、これはもう一方の加藤参考人が言われたとおり、既存の両院協議会は、多分意見が不一致であることを確認するだけの儀式組織で終わると思います。ただ、ここは難しいのは、成案を獲得すればいいという話ではございませんで、成案を獲得した後、さらに衆議院と参議院でそれぞれ過半数の議決が必要ですので、無理やりに成案を作っても参議院で否決したらどっちにしろ壊れるお話でございます。したがって、両院協議会改革だけで事がうまくいくかどうかはかなり難しいと思います。
以上です。