不破雅実の発言 (国際・地球環境・食糧問題に関する調査会)

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○参考人(不破雅実君) 今御紹介あずかりました国際協力機構の不破と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、アフリカ及び中東の水問題とJICAの取組と題しまして発表をさせていただきます。(資料映写)
 今日お話しする内容は主に三点でございます。第一番目に、アフリカ及び中東の水問題、水資源の特徴ということについて述べます。それから、アフリカ、中東の水問題への取組の方針について述べたいと思います。それから、取組の事例につきまして、約八事例ほどございまして、それを用いまして具体的な御説明を申し上げたいと、そういうふうに思います。
 まず最初に、アフリカ、中東における水資源の特徴ということにつきまして数ページ用いまして御説明をいたします。
 大変恐縮ながら、お配りしました資料にページが打ってはございません。大変申し訳ございません。後でページをちょっと御参照いただくときにちょっと不便でございますけれども、恐れ入ります。
 まず、この最初のページでございますが、一人当たりの利用可能な水資源の量というものを地域ごとに示したグラフが付いております。これを見ますと、一番上に豪州・ニュージーランドなど、中南米・カリブ諸国、ここにおきましては一人当たりの水資源の量が一番多いということになっております。今日対象にいたしますサブサハラ・アフリカ、これはサハラよりも以南のアフリカという意味でございますけれども、ここの水資源の量というのは、千トン単位でいきますと、大体年間七千トンというような数字になりますでしょうか。それから、もう一つの対象地域でございます中東でございますが、これは世界で最も少なくて、約千トンほどの分量ということになろうかと思います。したがいまして、中東における絶対的な水資源の少ないということ、それが特徴でございます。
 アフリカ大陸におきましては、水資源はございます、ある程度ございます。右の図をちょっと御覧いただきますと、赤いところはエクストリームリー・スケアシティーということで非常に水が少ないところ、青いところはそれに対して水資源がかなり十分にあるということでございますので、サハラ以南のアフリカのところにつきましては、かなりの面積のところで水資源があるのですけれども、偏在しているということとともに、安全な水として利用できるものが非常に少ないと、そういうことがございます。
 北アフリカ、東アフリカ、アフリカの角と言われますソマリアがある辺りの紅海の出口の辺り、ここの辺りでは非常に水が少ないです。南部アフリカでも絶対的な水資源は不足しております。一方、中部アフリカにおきましては、豊富な水資源がございますが、偏在しているということとともに、利用できるものが少ないということでございます。
 次に、アフリカ、中東における水資源の特徴で、主要な国際河川のお話をさせていただきたいと思います。
 例えば、ナイル川というのがございます。ナイル川はビクトリア湖などを水源に、もう一つの端はエチオピアを水源に青ナイル、白ナイルが流れていって、スーダンのハルツームで合流し、エジプトを通じて地中海に注ぐという六千七百キロの川、こういう国際河川がございます。それから、ジンバブエからモザンビークに抜けていくザンベジ川という大きな川もございます。またニジェール川と申しまして、中西部アフリカの国際河川もございます。
 このように国境をまたがる河川というのがございますので、そういった問題がございます。中東におきましては、メソポタミア文明で有名なチグリス・ユーフラテス川というのがトルコを水源にしまして、シリア、イラクを流れていきます。こうした国際的な河川におきましては、やっぱり水の利用に関して紛争の要因になりやすいという背景がございます。
 アフリカ大陸には六十三の国際河川があって、大陸の流域面積の六四%を占めます。また、表流水の水量としてもこの国際河川が九三%を占めるということでございますから、国際河川をめぐる紛争の問題というのは大事な問題になってきておると思います。
 次に、アフリカ大陸における地下水のことをお話ししたいと思います。
 アフリカにおきましては、先ほど申し上げましたように、表流水の水源としての量は非常に大きいのでございますけれども、利用できる水としましては実はこの地下水というものがかなり大きいです。地下水は利用可能な水資源量の一五%を占めるということでございまして、このアフリカの地図の上に書きました水源の丸というのは、国際的な国境をまたぐ帯水層、地下水盆を表しているものでございます。アフリカの人口の七五%がこの地下水に依存しているという状況を表しております。
 次に、安全な水へのアクセスが非常に不十分であるという問題を述べさせていただきたいと思います。
 二〇〇〇年に世界で決めましたミレニアム開発目標というものがございます。そのうちの七番目の目標の一つに、二〇一五年までに安全な水にアクセスできない人口の割合を半減させるという目標がございます。
 これの現状でございますが、二〇一〇年における安全な水にアクセスできない人口の割合がアフリカの地図の上にプロットされております。この地図の上でオレンジ色のところはその割合が五〇%に満たないというエリアでございまして、つまり、このミレニアム開発目標を満たしていない国がこの色で示されております。ニジェールであるとかコンゴ民主共和国、ケニア、ソマリア、モザンビーク、それからマダガスカルという国が表れております。
 アフリカでは、このように多くの人々が不衛生な水に頼らざるを得ないという現状がございます。
 世界全体としましては、二〇一〇年にこの目標は達成をしたということになっております。人口の割合では半減したということなんですが、ただ、その内訳を見ますと、世界でいまだ七億八千万人が安全な水へのアクセスができておりません。それから、サブサハラ・アフリカの状況は特に深刻であるというのがこの図からお分かりいただけるかというふうに思います。
 次に、アフリカ、中東の水問題に対する取組方針ということで、これが今回の結論部分の紙でございますが、左半分に問題、右半分に取組というふうに分けてみました。
 まず最初に、アフリカにおきましては、先ほど御案内いたしましたとおり、水資源の量というものが偏在しておりますが、それなりに量はあります。しかし、多くの人々が水の恩恵を受けられていないという現状がございます。とりわけ貧困層、脆弱な階層の方々においては、水へのアクセスというのは非常に限られています。例えば、二十リッターのポリタンを頭に載せて、約二時間半とか三時間掛けてそれを、水を運んでいるというのがアフリカの地方部における子供と婦人の労働だという、そういう現状がございます。こういったものを解消させるための協力というものが一つ中心に置かれております。
 したがいまして、適正な水資源をまず配分するということ、それから、安全な飲料水を供給するために井戸であるとか都市給水というものを行う、それから、水の利用方法を改善するというようなことを協力をしております。
 一方、中東におきましては、水資源そのものが非常に少ないという現状がございます。したがいまして、水資源をいかに効率的に使っていくかという観点で、水資源管理の改善、これは供給と需要、両方をコントロールするということでございますけれども、それを行うとともに、限られた水資源をできるだけ効率的に利用するという意味で、いわゆる無収水などをいかに減らすかということをやっております。漏水及び料金が徴収できない水などを減らすということ、そういったことを考えてやっております。
 次に、取組事例を残りの時間で御説明をしてまいりたいと思います。
 最初に、水資源管理の改善ということで、中東の事例でございます。これはシリアの水資源情報センタープロジェクトの例でございます。
 右の上の方にシリアの地図がございます。効率的な水資源の活用のために、水資源量の把握がまず非常に必要だということで、ダマスカス周辺流域の観測センター、沿岸部流域の観測センターというものを設置をいたしまして、観測機材からのデータの収集、自動気象観測機器の設置、収集したデータの活用についての技術協力というものを展開しております。降雨量や河川の流量などの観測体制を整備し、人材育成を通じて、高い精度で水資源の需給をモニタリングするということを目指しております。
 次は、中東における水利用の効率化でございますが、ヨルダンにおける無収水の対策、つまり漏水や料金が取れない水を減らすための技術協力のことでございます。
 ヨルダンにおきましては、国土の七五%は砂漠地帯でございまして、水資源が非常に少ないです。水資源はほとんどヨルダン川に依存しているというふうな状況もございます。一方で、無収水、漏水や料金が取れない水というものが二〇〇二年段階で五〇%以上というようなことで、これをいかに減らすかということを技術協力によって行いました。
 具体的には、水道管の布設場所の調査や図面、流量や水圧をいかに測定するかという方法、漏水や水が盗まれる盗水の探知の方法について、盗水の予防、節水キャンペーンを実施するということ、配管施工業者の技術の訓練やまた技術の認定、認証ということを行いました。具体的には、管の継ぎ目からの漏水を減らしたり、超音波センサーで地下の漏水を突き止めたり、地面にセンサーを近づけて探知する実習も行いましたし、学校における節水教育なども行いました。
 次に、アフリカにおける水資源管理の強化でございますが、ここにおきましての事例はナイジェリアにおける全国水資源管理・開発計画のプロジェクトでございます。
 ナイジェリアの地図が真ん中に載せてありますけれども、ナイジェリアでは経済発展、人口増加によって水の需要が急増しておりますが、水資源の適切な管理、開発というのが課題になっておりました。JICAでは、二〇三〇年を目標年とした水資源管理・開発マスタープラン、これを策定いたしまして、まず水資源賦存量のポテンシャル、把握し、水需要の予測に基づいて需給バランスというものを検討しました。二〇〇八年に設立された統合水資源管理庁というものができまして、そこの能力強化も行っております。二つのパイロット流域がこの赤い枠で示されております。北ニジェールの流域、それから西海岸の流域でございますけれども、ここにおきまして流域管理計画を策定して実践を行うと、こういう協力を行っております。
 次の事例はアフリカにおける水利用の改善の事例でございますが、一番最初に小規模かんがいの事例というものを持ってきました。食料生産にも関連するものでございます。
 アフリカにおいては実はかんがいというものは非常に進捗が少なくて、ほとんど天水で農業を行うという状況でございます。雨水に依存する農業形態だったわけでございますが、バケツかんがいや足踏みポンプによる畑への水やりという小規模なかんがいを地元の住民の方々のできる範囲の中でやっていくというやり方で、持続可能性の高いかんがいのやり方というものをここで実践をしております。乾季は主に何らかの賃金を得るような仕事に従事しておりますけれども、こういう雨季でのこういう利用。
 持続的な適正技術の開発と普及というところがポイントでございまして、現地で入手可能な材料を用いて、下にあります、木をくりぬいて作成した水路の水路橋だとか、サンドバッグ、土のうを利用した取水堰を造ったりとか、木材やわら、石だけで造った取水堰を造ったり、そうしたことをやっております。それから、難しい知識や技術を必要としない簡易なかんがいというものを目指している。それから、共同作業によって二、三週間で建設可能な規模で約三千七百七十ヘクタール、千九百九十一か所のかんがいを造りましたということでございます。
 次に、村落給水でございます。
 冒頭申し上げましたとおり、アフリカにおきましては地下水に依存する方々が全体の一五%ある、しかし、アフリカの村落におきましては水がほとんど得られませんというような現状がございます。したがいまして、もう三十年、四十年と日本はアフリカでの井戸を掘削するという協力をやってきておりました。主に無償資金協力などによる設置が多かったんですが、井戸の掘削とハンドポンプの設置、それから技術協力によって水源を維持管理するということを主にやってきました。
 一九七九年から二〇〇七年まで、一万二千百十三本という井戸がアフリカでは掘られております。西側で六千三百、東側で四千四百四十七、中央アフリカで千百、南部で二百四十七というような数の井戸をこのように展開してきておるんですけれども、これは井戸へのアクセス数を確保することで水くみ労働から解放するという、そういうことを目的としたものです。
 それから、ザンビア、セネガルなどアフリカ九か国における技術協力の例として、村落給水のための住民の能力を開発するということをやっております。ポンプの修理人を育成したりトイレを建設する、それからスペアパーツ・サプライチェーンを確保する、衛生教育などを、衛生観念を啓発すると、そういうようなことも含んだ協力でございます。これによって、水系伝染病による死亡率というのを減らすということを目的としているミレニアム・ディベロップメント・ゴールと連帯した事業だということでございます。
 それから、都市給水でございます。
 アフリカにおきましても都市には人口が集中しておりますので、比較的規模の大きな上水道を布設するという仕事を円借款や無償資金協力によって行っております。モロッコにおきましては、アガディールという都市で円借款による上水道を建設しております。ケニアにおきましては、メルー市というところで無償による給水を行っておりますし、つい最近まで紛争がありましたスーダン、そこにおきましては、スーダンのカッサラ市での給水、それから南スーダンの首都であるジュバにおきましては、ジュバの水供給改善事業というものを無償で行っております。
 次に、人材育成でございますが、やはり人材育成ができませんと維持管理は大変難しくなりますので、こういった技術協力によってなるべく無収水を減らしたりする技術協力というのを行っております。
 時間がなくなってきましたけれども、次にアフリカにおける民間企業との連携ということで、セネガルにおきまして浄水装置を用いた村落給水というものを行っております。
 これはヤマハさんの例でございますけれども、ヤマハさんが開発した浄水装置を使いまして、村人の力によってこの浄水というものを行っていくというようなことをやっております。想定される事業形態としては、浄水装置の製造、販売、設置をヤマハが行い、維持管理、運営、料金徴収を住民組織が行うと、こういった形で展開をしております。
 以上でございました。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 不破雅実

speaker_id: 25058

日付: 2013-02-27

院: 参議院

会議名: 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会