白川浩道の発言 (国民生活・経済・社会保障に関する調査会)
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○参考人(白川浩道君) 消費税増税の非ケインズ効果というのは、消費税を増税するとむしろ期待が上がって消費が増えるという議論だと思いますが、発想的には、消費税を増税すると社会保障の先行きの見通しが改善し、恐らく高齢層の方々を中心に、ああ、これで経済がうまく回るのであれば少しお金を使ってもいいだろうというふうに思うという効果だと思いますし、若年層についても、これは、消費税増税になれば将来自分たちの負担はひょっとするとうまく回れば減るかもしれないと。ただ、そういうまず効果自体は、日本のデータを使って検証しようと思ってもうまく出てきません。
前回の消費税増税の後に消費が増えるというような傾向が実は見えたわけではなかったために、そういう効果はちょっと統計的には日本では検出されていませんし、それから、よく財政を拡張しますと将来の赤字が増える期待が増えてもっと増税されちゃうんじゃないかと思うので、むしろ公共事業などをやるとその分貯蓄率が上がるという議論もあるんですけれども、そういうことも実はデータでは観測されないんだと思います。したがって、私のイメージでは、恐らく、増税したら消費が増えるというストーリーは多分正しくないというふうに思います。
ただ、我々が今一番関心を持っておりますのは、先ほど若年層にはマイナスが行くよと申し上げましたけど、増税をしたときに、例えば、これは先ほどの鈴木先生のお話から合わないんですけど、これで自分は引退できる、社会保障がもうこれでうまくいくのであれば早くきちっと引退しようと。もう私は六十五歳で辞めますといって仕事を持たなくなると、日本経済には非常に大きなインフレが発生いたします。
というのは、皆様も御存じのとおり、現状、日本は人手不足になっております。特に建設とかは極めて人手不足なんですが、そういったことがマクロ的に言うと、六十五歳超の方々が長く働こうとすると、その分、失業率は下がりにくく、賃金は上がりにくい。逆に消費税を増税することによって引退者が増えますと、その分、インフレになりやすい。これは非ケインズ効果と言われているようなものではないんですが、消費税増税を一つ正当化する私は考え方ではないかというふうに思っています。
それから、貯蓄税の議論は、これは今、金子先生がおっしゃったアベノミクスなるものの中で今円安になっておりまして、インフレ期待が市場では高まっていると。そして、そのインフレ期待は何を今もたらしているかというと、みんな個人の方々が株を買っているわけであります。これは、インフレ期待なのであろうかということです。これは株価上昇期待なんじゃないという、極端に言えばですね。
私の議論したインフレ期待というのは、そういうものとは少し違う。例えば、今先生がおっしゃった国債市場で見られているインフレ期待というのは、どうも実際に物価が本当に上がってくるという期待が本当に反映されているのか。そうではなくて、上がっている株価を見て、この株価はやっぱりインフレでなければ説明できないみたいな、こう逆算されている部分もあるかと思います。したがって、実質金利というものが、例えば預金金利がゼロでインフレが二だったら、ゼロ引く二イコールマイナス二で、自分の預金が目減りしていってしまうんだというふうにみんな思っているかというと、思っていないと思うんですね。私の周りで、預金を取り崩して株を買っている方は余りまだ見ておりません。元々やっておられる方々が頑張ってやっておられる感じですね。
ですから、本当に実質金利が下がって、私の言う貯蓄税というのは、貯蓄を持っていると、毎年、百万円持っていると来年は九十九万円に強制的に減るというやつであります。そして、翌年は九十八万円に減っていくわけであります。これは、かなり概念的には似て非なるものであります。つまり、強制的に資産を取られてしまうわけで、実はそこにこの税金の一つの問題点がありまして、資産を保有する権利というものを本当は侵害しているんじゃないかとか、そういう議論はあるわけですが、逆に言いますと、私自身のイメージでは、これだけ株価が上がりインフレ期待みたいなのが出てきていても、一部のマーケットだけであって、一般の国民の見ている物価というのはまだかなり低いのではないかと。そして、まだですよ、まだこの期に及んでという言い方はちょっと悪いんですけど、皆様方食事に行かれれば分かりますが、牛丼とか下がっているわけです、まだ。これ、かなり根性が入っていますねということです。
ですから、そういうものを見ている人たちからしますと、とてもインフレ期待が上がっているわけではなくて、実際に物価が上がっていくことが本当に持続的に出てきませんと、貯蓄を取り崩して、これは本当に物価が上がるから何か消費に回す、車を買った方がいいんじゃないかとか、まあなっていないと思います。
その意味では、私の今のイメージではなかなか貯蓄する意図というのは国民は落ちないと思いますので、やはり貯蓄に税金を掛けるような議論というのは、デフレ脱却の意味ではどうしても残るオプションかなというふうには思います。評判は悪いんですけどね。
以上でございます。