国民生活・経済・社会保障に関する調査会

2013-03-13 参議院 全54発言

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会議録情報#0
平成二十五年三月十三日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     柳田  稔君     小林 正夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                斎藤 嘉隆君
               三原じゅん子君
                山本 博司君
                寺田 典城君
    委 員
                大久保 勉君
                金子 洋一君
                小林 正夫君
                芝  博一君
                田城  郁君
                徳永 エリ君
                林 久美子君
                蓮   舫君
                岸  宏一君
                中原 八一君
                福岡 資麿君
                松村 祥史君
                山崎  力君
                魚住裕一郎君
                谷  亮子君
                行田 邦子君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        近藤 俊之君
   参考人
       クレディ・スイ
       ス証券株式会社
       チーフエコノミ
       スト       白川 浩道君
       株式会社大和総
       研調査提言企画
       室長       鈴木  準君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済・社会保障に関する調査
 (「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」
 のうち、我が国経済の現状と課題(例えば、消
 費税増税に伴う国民生活に対する影響を中心に
 )について)
    ─────────────
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鴻池祥肇#1
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活・経済・社会保障に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十七日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
    ─────────────
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鴻池祥肇#2
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活・経済・社会保障に関する調査を議題とし、「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」のうち、我が国経済の現状と課題(例えば、消費税増税に伴う国民生活に対する影響を中心に)について参考人の方々から御意見を聴取いたします。
 本日は、クレディ・スイス証券株式会社チーフエコノミスト白川浩道君及び株式会社大和総研調査提言企画室長鈴木準君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず白川参考人、鈴木参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました上、各委員からの質問にお答えをいただくこととなっております。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず白川参考人からお願いを申し上げます。白川参考人。
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白川浩道#3
○参考人(白川浩道君) 白川です。どうぞよろしくお願いいたします。着席してやらせていただきます。(資料映写)
 お手元に私のパワーポイントのプレゼンテーションあるかと思います。
 まず、冒頭、少し何枚かのチャートを御覧いただいて、日本経済の過去、そうですね、数年間の動きをちょっと振り返らせていただいて、その後、消費税増税どう考えるかという話をさせていただきます。今日は、一緒に参考人でいらっしゃいます鈴木さんは割と詳しく社会保障の話をされるんじゃないかと思いますが、私は余り社会保障のところに踏み込まずにマクロの話を中心にいたします。
 まず、一ページ目ですけれども、これは日本のGDPと、それからごく簡単な財政関連データをお示ししております。前回の消費税増税、一九九七年度にあったわけですけれども、この当時からGDP、これはよく実質化して議論することがございますが、これはほとんど財政は実質化する意味はございませんので、名目、つまり金額ベースのものをお示ししておりますけれども、当時五百二十兆円あったGDPが、今年度まだ終わっておりませんけれども、大体四百七十兆円強に減少するということで、いわゆるGDPは五十兆減ったということであります。国民一人当たり年間四十万円ぐらい所得が減った計算になります。国税収入は、この間、五十四兆から四十四兆に、ちょうど約十兆減ったということであります。
 一方で、非裁量的な支出、つまり政府が余りコントロールのできない歳出、社会保障と、これ社会保障は場合によってはコントロールできる部分ありますけど、基本的には人口動態によって影響されますので余りコントロールできないとすれば、この社会保障とそれから国債費、国債の利払いと償還費、九七年度が約三十一兆円強、これが四十六兆円に増えたということであります。
 基本的には、GDPが減って税収が十兆減り、政府がコントロールしにくい歳出が十五兆増えたということで、この両者のバランスは二十五兆円分悪化したということであります。したがいまして、非常に政府の財政運営は厳しくなっているということが確認できると思いますが。
 次のページを御覧いただきますと、その中で、じゃ名目GDP、今申し上げたように約五十兆減ったんですけれども、何が減ったかということであります。
 これは、基本的には投資関連、住宅投資、企業の設備投資、公共投資。公共投資は、先ほど御覧いただいたように、政府の裁量的な支出の余地がかなり落ちましたこともあって、かなり減ったということであります。それからもう一つは、海外との関係であります輸出。純輸出というのは、これは輸出マイナス輸入ですけれども、大ざっぱに申し上げればこれが大きく悪化したと。基本的には、ここの冒頭に書かせていただいているように、深刻な投資不況と外需、つまり輸出の縮小ということであります。
 これは、一つは財政の問題ですが、もう一つはやはり産業空洞化、それから、不幸にして起こりました大震災の影響でエネルギー輸入が増えたということであります。
 ここで注目すべきは消費でございますけど、実は消費はほとんど横ばいであったということでございます。つまり日本経済は、投資不況、外需の縮小の中で、相対的に見れば消費が支えてきたということであります。したがいまして、消費税を考えていく上では、何とか日本経済を支えてきた消費がどういう動きをするかということが非常に重要になるというふうに思います。
 三ページ目は、これは御参考ですのでそんなに詳しく見ていただかなくても結構ですが、今申し上げたような外需の縮小ということの裏側では、日本の対外的な、いわゆる所得の能力であります経常黒字というのがちょうど二十兆円ぐらい減ったという、これは確認でございます。
 問題は、今申し上げたように、相対的に日本は家計消費は安定してきた、安定していたということでありますけれども、では、なぜ家計消費が、世界経済の中で日本は空洞化し、輸出が悪化する中で、そして投資が落ちる中で、家計消費だけがなぜ相対的に安定していたかと。これは、非常に単純に申し上げると、年金の支払を高齢者が使ったということであります。
 基本的に、家計可処分所得というのを御覧いただきますと、実は二十四兆円も減っております。しかし、消費が横ばいだったということは何を意味しているかというと、サラリーマンを中心とした現役世代の所得は減ったんだけれども、それが消費には反映されなかったということであります。
 その大きな理由は、ここに現金社会給付とありますけど、これ基本的には年金であります。年金が二十二兆、一九九七年度対比で、昨年度ですけれども増えているということで、実は日本経済、相対的に消費が安定的であったのは、サラリーマンを中心とした現役世代の所得は減り、恐らくその方々の消費も減ったんですけど、年金給付によって高齢者の消費がかなり日本経済を支える要因になってきたということであります。
 したがいまして、年金支払をカットすれば当然高齢者の消費が落ちる可能性が高いということになるわけでありまして、なかなか政府として景気を考えたときも年金給付削減という議論はしにくいというふうに、その面からは考えるわけであります。
 ところでといいますか、ところがと言った方がいいと思いますけれども、ところが、では、消費税を増税して、年金バランスというものをずっと維持してなるべく高齢者にお金を使ってもらうということは、ある意味では経済的にメークセンス、つまり意味があると思える一方で、私自身はどちらかといいますと、所得で見た所得階級といいますか、比較的所得の低い方々の消費へのインパクトを増税はよく気にしますけど、私はどちらかといいますと世代を気にしております。
 世代という意味は、若年層ほど消費税耐久力が弱い。したがって、高齢者にとって消費税増税は相対的には問題が少なく、かつ日本経済の一つの元気な部分である消費を落とさない意味でも重要ではあるかと思いますが、一方で、若年層にとっては消費税増税は当然マイナスのインパクトをもたらすと考えた方がいいと思います。
 これは問題は、どちらかといいますと私の理解は、世代間の闘争と言うと極端ですけれども、世代間のやはり所得分配的な、ないしは勝ち負け的な、極端に言ってしまえばそういう税制になる可能性があると思っております。増税としてはそういう効果を持ってしまう可能性があろうと思います。
 通常、増税を議論する際には、所得の低い層、若年層は、簡単に言うと消費比率が高く、特にエンゲル係数も高いということで、消費税増税の影響は大きく出るという議論がありますけど、それは当然正しいんですけれども、一つ考えていただきたいのは、経済学で考えるときにはフローの所得だけで消費を議論いたしません。当然フローの所得は大事です。フローと言っているのは年間の給与所得、これは大事でありますし、高齢者にとっては年金所得が大事ですけれども、実はストック、つまり残高ということでいきますと、金融資産をどれぐらい持っているかということが経済学でいう消費にはかなり重要になります。
 若年層の問題は、ライフサイクル的に所得が低いところにまだいるという問題だけではなくて、貯蓄がないということであります。どんな人でも一定の貯蓄計画というのを持って生活している。つまり、二十代、三十代、四十代となっていく上で、自分はどれぐらい毎月ためていこうかと、どれぐらいためたら家を買おうかと。ライフサイクルが当然そこにはあるわけでございます。
 つまり、若年層にとっての消費税の問題点は、消費余力が預金も含めて考えますと非常に低い状態にある、そういう人たちに増税の効果として何が出るかといいますと、自分たちの貯蓄計画に狂いが生じるということです。極端に言うと、百万円の所得のうち八十万円を消費に使って二十万円を貯蓄しようと思っていた。しかし、その八十万円が増税によって八十四万円になると、十六万円しか貯蓄ができない。そうすると、二十万円できるはずが十六万円しかできないということになりますので、四万円分やれることは何か、消費を落とすということであります。
 この五ページのチャートは何を意味しているかといいますと、これは年間の所得、年間の給与所得プラス平均的に例えば二十代の方が持っている預金、これ世帯の平均的なものですから、それを足し上げてその消費額に対する比率を示しております。イメージで申し上げますと、二十代の方々は平均年間所得が大体ざっくり二百万円ぐらいだと思っていただけばいいんですけれども、それに対する消費が大体二百万円ぐらいなんですが、預金を二百万円持っていますので、二百万足す二百万で四百万という数字が消費の二倍になっているということで、ここではブルーのバーチャートは二倍という数字になります。つまり、自分の預金と所得の大体半分が消費になっていると。ただ、七十代になりますと、自分が年間消費している消費額の約五倍、五倍に近い金額を預金と所得で持っているということであります。
 したがいまして、消費する際に預金ということも含めて考えて、ないしは貯蓄ということも含めて考えていきますと、消費税増税のインパクトは若年層に非常に大きく出ます。この赤いラインは、どれぐらいのインパクトが五%の消費税で出るかということを示しております。
 つまり、今申し上げたように、若い世代は消費税増税をまともに受け入れてしまいますと、イメージ的には自分の貯蓄と所得を合わせた金額のうち大体七%目減りするということですから、自分の将来の貯蓄計画が狂う分、消費の金額を落とすということになりますので、消費税を増税し年金を維持することは、高齢者の消費にとっては恐らくプラスと思われますが、若年層にとっては恐らくマイナスというふうに出ざるを得ないと。
 じゃ、日本経済全体で見たらどうかということなんですけど、高齢層の方々の消費の金額の方が絶対額としては大きいと思います。実はもう今、この間もデータを見ていて自分でびっくりしたんですけど、何と六十歳以上の方の人口が四割を超えています。したがいまして、二十代、三十代と六十代超を恐らく比べますと大体二対一ぐらいしかありませんので、負け組になってしまう若年層のなかなか声を代弁するということにマクロ政治的にはならないというふうに思います。私はどちらかというと、別にどこの世代をサポートしようとしているという強いあれがあるわけではありませんが、私の意見は、申し上げたように、若年層にしわが寄るという世代間の不公平の問題があるというふうに考えております。
 ちなみに、若い方々はどこにお金を使うか、使っているかということであります。これは先ほど申し上げた、人の一生にはライフサイクルがありますので、大体若いときは貯蓄がありませんから、家賃等にお金を使う傾向が当然あるわけです。例えば、これは二十代から七十代にかけての年齢階層別の消費構造ですけれども、食料は若い方も高齢者も大体二割で大きくは変わりません。これ、所得階級にしますと当然低い方がウエートが上がりますけど、世代的には余りありません。
 ところが、家賃には顕著な差があります。つまり、年を取っていく過程で貯蓄ができれば家を買うという行動が出ますから、当然、持家比率が上がり、家賃のウエートは下がっていくということで、この食料と家賃と光熱水道という基本的には一般の家計がコントロールしにくい消費、固定費ですね、これは若年層は全体の消費の半分を占めています。したがって、若年層の消費に影響が出るとすれば彼らは何を切るかということになるわけですけど、基本的に食料、家賃、光熱水道が切れないということは、恐らく楽しみの消費が減るということであります。つまり、若い人たちの当然所得が痛んで、その分消費が悪化するということですけど、非常に暗い世界が若い人たちには来る可能性があると。
 一方で、高齢者の方々はいわゆるこの固定費的なもののウエートが小さい部分があります。まあ、ちょっとデータ的には家賃が七十代になると少しまた上がってしまうというのは、これ統計的には、恐らくですけれども、持家を一旦売られる方がいたり、それから医療的な施設に入られる方がいたりということもあると思いますけれども、相対的には、特に五十代、六十代というのはウエートが低くなりますので、こういう方々は貯蓄があって余力がある上にインパクトが小さいですから、楽しみの消費もできる余裕があって、そういう方々に対するインパクトは小さいということで、余り論理の飛躍をしてはいけないと思いますけれども、やはり若年層というライフサイクルの若い層へのインパクトを考慮していきませんと、若年層がますます閉塞感を持ち、そして極端に申し上げると、ひょっとすると出生率に影響が出るかもしれないと。
 そこまでおっしゃる社会保障学者の方はいらっしゃいませんし、私も特に人口とかが専門ではありませんので何とも言えませんけど、そういう意味でのバランスといいますか、高齢者と若年層のバランスを考えていくことは非常に重要になるだろうというふうに考えております。
 私の方は大体そんなことで、まとめのところに書かせていただいたことは今申し上げたようなことを基本的に書かせていただいておりますけれども、実は四点目のところに、これは私の持論でありまして、もう二年、三年前から申し上げていて、実は評判が悪く、ほとんどの方が賛同をしていただけないという状態が続いておりますけど、私は消費税ではなく貯蓄に課税しろということをずっと言ってきております。これを申し上げると、メディア等でも取り上げていただいたことがあるんですが、大変な反発が高齢層からありまして、某テレビ朝日のラインがパンクしたと、私が貯蓄税を三度にわたって特別番組で組んでいただいたときに、その後、高齢者の方々から批判の電話が鳴りやまないと。
 ただ、私が申し上げたいのは、先ほど申し上げたように、こういったバランスのことを考えますと、実は余裕がある貯蓄を持った高齢者から、まあ高齢者と言っちゃいけないですね、これは大体高齢者がたまっているからなんですけど、富裕層、高齢者の方々の貯蓄に課税していく方が基本的には正しい、その方がデフレ脱却にも資するということで、それを申し上げてきているために、ちょっとこれ、ちらっとここに書かせていただいたということでございます。
 以上、私の方からはこれで終わりにさせていただきます。
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鴻池祥肇#4
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いをいたします。鈴木参考人。
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鈴木準#5
○参考人(鈴木準君) 大和総研の鈴木でございます。本日はこのような貴重な機会をいただきまして大変光栄でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、持続可能な経済社会を確立するための社会保障と財政という観点から何点かお話しさせていただきます。(資料映写)
 スライドを使わせていただきます。一ページ目を御覧ください。三本の折れ線がございますが、この赤い線、四角いマーカーの一番下の線ですが、これ財政収支でございます。GDP比で見ておりますけれども、二〇一三年度で九%のマイナス、四十四兆円の赤字の見込みです。ここから利払いを引いた今度白抜きの丸の青いライン、これが基礎的財政収支、プライマリーバランスでございます。プライマリーバランスを均衡させれば、これは金利負担分だけが財政赤字になりますので、詳細は省略いたしますが、金利と成長率の関係を見ながらプライマリーバランスをコントロールすると債務残高GDP比をコントロールできるという、こういう財政の節度を取れるという、そういう指標でございます。
 現状、このプライマリーバランスは、リーマン・ショックの前のところでは、二〇〇七年度に一度一・一%の赤字まで縮小しておりますが、直近二〇一三年度で六・九%の赤字、三十四兆円の赤字でございます。これは現状コントロールできているかといえば、そうではないということだろうと思います。
 もちろん、安倍内閣では、民主党政権当時からのプライマリーバランス赤字を一〇年度対比で一五年度までに半減させる、それから二〇二〇年度までに黒字化させるという目標を継承されているということでございますが、今度の消費税二回の引上げを見込んでも、なかなか赤字半減の目標も達成できない可能性が今出てきている、非常に目標が遠ざかっているということでございます。
 更に申し上げると、実はこれ、リーマン・ショック前、麻生内閣でそもそもはこの目標はつくられたわけでございまして、リーマン・ショック前は二〇一一年度にプライマリーバランス黒字を達成するということを大きな目標に掲げていたはずでございまして、そういう意味ではかなり遠のいてしまっている、非常にそういう意味では危機感を持たざるを得ない状況かと思います。
 二枚目にお進みいただきたいと思いますけれども、これ結論は先ほど白川さんがおっしゃったことと同じなんでございますが、この表はどういうふうに見ていただくかといいますと、左側に八〇年度から九〇年度というところで、下から二番目の⑦のところで七%ポイントという単位でございまして、これは財政収支が七%ポイント改善したという意味でございます。
 改善どうしてしたのかというと、税収①で三・二ポイント改善し、あと、ほか歳出もろもろですね、〇・六社会保障費が減るとか公共投資が一・一減るとか歳出の方は減って、それで合計で七%ポイント改善したと、こういうふうに御覧いただくものでございます。
 九〇年から二〇〇〇年で御覧いただきますと、今度はまるで逆でございまして、七・四ポイント財政収支がGDP比で見て悪化したということでございまして、これは税収も減りましたしほかの歳出も増えてしまったということで、全部三角が利払い以外のところには付いてございます。
 ここで第一として申し上げたいことは、八〇年代、歳出削減といいますと、社会保障とか公共投資とか公務員人件費という話がすぐ出てきますけれども、⑤のその他の移転的支出、これで一・二ポイントのこれは歳出が減ったという意味でございます。これは例えば特殊法人等への補助金ですとか、上の②、③、④に該当しないものでございまして、八〇年代というのはやっぱり行革の時代でございました。そういう意味では行革をやればきちっとこういったところにも数字は出てくる。そういう意味では、民主党政権でやられた事業仕分みたいな取組というのは、私は非常に工夫は要ると思いますが、重要だというふうに思います。一見地味な改革を積み重ねることが歳出削減としてやっぱり意味を持ってくる、そういうことではないかと思います。
 そして、一番右側、二〇〇〇年度から二〇一一年度、二〇〇〇年代になってからでございますが、九〇年代に思いっ切り悪化したところから更に一・五ポイント、⑦のところで更に悪化していると。
 中身を御覧いただくと、公共投資なんかは二・四ポイントプラスでございますから、公共投資は減って財政収支改善に寄与しておりますが、何しろやっぱり一番大きいのは社会保障費、これは三・六ポイントということで非常に大きな赤字になっている、ここがその財政収支悪化の一番の要因であるということでございます。
 では、社会保障費、次のページでございます。
 ここにはマネーフローを書いてございます。ここに御覧いただくとおりでございます。五十六兆の保険料を取って、それから公費で三十二兆円、これで九十四兆円の給付をやっているというのが今社会保障でございます。
 今御覧いただいた社会保障で財政赤字になっているというのはこの三十二兆の部分を御覧いただいたわけでございますけれども、一体改革、昨年、一旦の区切りを付けていただいたわけでございますが、私はやっぱりここは改めて賦課方式でこれは財政的に全部やっているということを、基本的には賦課方式でやっているということを改めて認識すべきではないかと思っております。つまり、少子高齢化に非常に脆弱な仕組みだということですね。
 私は、社会保障は政府がやる以上はこれは賦課方式でいいんだと思いますけれども、予想されている少子高齢化にふさわしいような賦課方式にしなければいけないと、こういうふうに考えます。そういう意味では、これまでの日本の社会保障というのは引退世代の給付水準をどんどん高めることに腐心してきたところがございまして、若者ですとかあるいは働き盛り、子育て世代、こういったところへの目配りというのは非常に少なかった。
 そういう意味では、社会保障、ここにちょっと下に書かせていただきましたけれども、一体改革大綱でこういう記述があったわけでございます。そういう意味では、私は、高齢世代向けの給付を少し控えめにしていただかないと現役世代の負担が相当重くなっていってしまいますし、あるいは、現役世代にむしろ給付をシフトさせて現役世代をエンカレッジした方がパイも増えて負担もしていける、その方が制度全体が破綻しない。こういう意味では引退世代にとってもそれが得策だというふうに思うんですけれども、なかなかそういうダイナミックな考え方での改革には必ずしもなっていなかったと。若者の琴線に触れるような一体改革だったかというと、必ずしもそうではなかったのではないかというのが現時点での私の見方でございます。
 例えば、給付を充実させるという説明の中に、普通社会保障を充実させるといえば、これは給付を充実させるということだというふうにイメージするわけですが、実際は保険料を消費税を使って割り引くというような内容が多いわけですね。これはマクロ的に見れば保険料を消費税に付け替えているにすぎませんし、ある方の負担をある方の負担に付け替えているにすぎない。
 それから、給付の効率化というところも、これは例えば公費の負担を減らすことを効率化というふうに言ったりしています。これは別な負担をまた民間部門に求めるということだったりしますので、なかなか、その中身をつぶさに見たときに、将来心配ないと、特に若い世代に向かって言えるような改革だったかというと、現時点ではまだなっていない。もちろんこれから一体改革の仕上げをしていただくという段階ではございますが、現時点の社会保障一体改革の評価というのは私はそういうふうに考えております。
 次のページに更にお進みいただきたいと思うんですけれども、必要な給付を行うためにもちろん負担増を行うというオプションもございます。
 スライド四ページ目に少し低所得者対策への傾倒ということを書かせていただいたんですけれども、賦課方式財政ゆえにこれは負担は主に現役世代に求められています。しかし、超高齢化で支え手が少なくなる、しかも、現役世代の中には今、就職氷河期で就職ができないとか、あるいは不本意な形で非正規雇用で働いているとか、現役世代の中にも非常に負担能力が低い人も増えてきている。つまり、一部の現役世代で負担していくというやり方はもはや限界がある。そこで、オールジャパンでやろうということで消費税ということだというふうに私は理解しているわけです。消費税というのは非常に課税ベースの広い税で、財源調達能力の高い税でございますので、恐らくふさわしいと。
 ところが、その社会保障を消費税で立て直す。社会保障というのはそもそも、病気とかけがとか長生きとか失業とか、そういうリスクが顕在化したそういう人に、つまり弱者に対して給付をする、そういうものなわけでございますけれども、それが更にもっと強化していくと。これはもちろん、やれることはやった方がいいというものはたくさん財源さえあればあるわけでございますけれども、非常に低所得者対策を強化しようという内容になっています。それから、消費税をその財源として増税すると、それに伴って、やっぱりこれはこれでまた弱者対策が必要という話になっていると。
 私は、一般論として低所得者対策ということは必要だというふうに思いますし、それはきちんと綻びは直していくべきだというふうに思いますけれども、例えば、消費税を上げた際に大部分の年金受給者が消費税の増税の負担を負わなくていいような形に何かしらの形でするということになると、これはそもそもの出発点が、一部の現役だけの負担ではもうやっていけないのでオールジャパンでやりましょうという話のまたスタート地点へ戻ってしまう。そうすると、何のために消費増税をやっているのかだんだん分からなくなってくる、こういう状況に下手をすると陥りかねないのではないかというふうに思うわけです。しかも制度がどんどん複雑化すると。
 ここに、非常にちょっと細かい字で恐縮でございますが、結論が出たかどうかは別としましても、年金生活者支援給付金もありますし、国民年金保険、市町村国保の国保保険料ですね、これを軽減するとか、介護一号保険料も公費で軽減するとか、高額療養費制度も充実させるとか、簡素な給付措置もあるし、場合によっては軽減税率も導入しますということですと、非常に現役世代に対する請求書が山積みになっているような状況になってしまう。私は、ここはもう少し整理をしていただいて、本当の弱者がどこにいるのかということで整理を付けていただくという必要がもう一段階のところであるのではないかというふうに思う次第でございます。
 次に、消費税の議論でございます。
 なぜ消費税かということについては、今少し申し上げたように、一部の現役だけの負担では難しいということでございますので、衆参両院とも八割の賛成票で消費増税法案を通していただいたというのは、私は非常に歴史に残ることだと思いますし、立法府の御判断として大きな一歩だというふうに思っているわけでございます。消費税はやっぱりほかの税と比べて経済活動に対して中立的でございますし、それから、先ほど白川さんもおっしゃった世代間不公平を少しでも是正するという意味では、消費税でやっていくということが私は非常に現実的なことだと思います。
 それから、ほかの国と比べても、負担増の余地という意味では消費税というのはまだある。日本の財政というのはこんなに悪くても財政信認は失われていない。これはやっぱりいざとなれば増税ができるということが一つの理由だと思うんです。消費税、いざとなれば財政破綻して国民生活水準どんと落とすことと、増税をして何とかやっていく、どちらを選択するかといったら恐らく増税を選択するだろうと。でも、もしその増税がいざとなってもできないということになると、これは本当に危ない状況になるということでございます。世代間不公平を是正するという意味でも消費税は優れているということでございます。
 ここのスライドで、下のところに二つ、極めて重要な二次的効果ということを書かせていただきました。
 一点目は、消費税を、これは使途を社会保障に限定したということでございます。これはやっぱり、今後社会保障費が増えていく中で、それをいかに効率化するか、それから、誰でも増税は嫌ですし、社会保障の削減は嫌でございますから、そこを比較考量する。つまり、フリーランチはなくて、きちんと受益と負担と比較考量しながらバランスを取った議論ができる、ある意味ではプラットホーム、それが今回の一体改革でできたという評価はできるのではないかというのが一点目でございます。
 二点目は、ややテクニカルでございますが、消費税を上げますと、これは世の中の物価が上がります、CPIが上がります。そうすると、そのとき給付をどういうふうにスライドするかという問題ですね。これは年金が特にそうですけれども、医療、介護含めて、物価が上がったときに給付を消費税増税ほど上げない、消費税増税による物価上昇ほどは上げないということを今後の消費税増税の中でもしやっていければ、これは実質で給付を削減していくことになりますので、今後消費税を上げていく中でもしそれができれば、これはかなり財政のサステナビリティー回復に寄与するというふうに見込んでおります。ここは非常に、ややテクニカルですが、重要なところかと思います。
 そういう意味で、次のページ、私は着実に消費税増税を実施していただく必要があると考えておりますが、いわゆる弾力条項、これは左側にそのまま書かせていただきましたけれども、附則の十八条の一項で経済状況好転を条件にするということが書いてある。二項で成長戦略なんかに資金を配分するということが書いてある。三項で増税の前には景気を点検するということが書いてある。ここでやっぱり、景気を点検するというところで、具体的にどういうタイミングでどういう内容の点検をされるのか、どういう組織でされるのか、ここはできるだけ無用の混乱がないように今後していただきたい。これは政府の仕事だと思いますけれども、無用の混乱がないようにしていただきたいと思うところであります。
 つまり、民間はもう今、消費税が上がることを前提に様々な経済取引を行っておりますし、システム対応なんかも今しているわけでございます。政策が透明で制度改正がきちんと周知されて、そういう無用のコストが発生しないような形で増税を実施していただく必要がある。そういう意味では、デフレがどうなるかというのが非常に大きな問題かもしれません。
 私は、デフレがどんどん深まるような状況であれば、これは増税の棚上げということも検討すべき余地が当然出てくると思いますけれども、足下の実績が仮にデフレであっても、近い将来そこの脱却が見通せているというような状況がある程度あれば、私はこれは税率引上げをちゅうちょすべきではないと思います。幸い、安倍内閣というのはデフレ脱却ということを一番の経済政策の柱に据えておられますし、成長戦略もこれから打たれるということなので、そこはそういう形で増税を着実に実施していただく必要があろうかと思います。
 七ページは、軽減税率の試算でございます。
 軽減税率というのは非常に分かりやすいというメリットがございますけれども、一方で事業者の事務負担は大きくなりますし、何を軽減するかというのは、これは政治コスト相当大きくなると思いますし、それから、これだけ多様化した時代に法律とか規則で、これは必需品、これは必需品じゃないということをなかなか決められない、そこには結構無理があるのかなと。そういうことを考慮しても軽減税率導入すべきかどうかという視点で試算をしたものでございまして、結論を申し上げますと、これは緑の三角のマーカーが現在の負担、それで青いラインが一〇%になったときの負担、それで赤い白抜きの丸が、これが外食とかお酒を除く食品と住宅取得に八%のままの軽減税率を適用した場合でございます。
 御覧いただくとこのぐらいの違いでございまして、横軸は、所得の低い方から第一分位、第二分位、第三分位、第五分位まで二割ずつ分けたグループでございますけれども、非常にいわゆる逆進性の緩和効果というのは低いわけでございます。これは率にして、年間収入比で、第一分位のところで〇・四から〇・五ぐらい、金額にしてまあ年間七千八百円ぐらいという、こういう試算でございます。
 これはやっぱり軽減範囲をよほど広くしないと軽減の効果は出てこないということがございますし、それからやはり軽減税率というのは高い所得の人にも恩恵が及んでしまうということで、私はやっぱり給付付き税額控除等の方が逆進性対策という意味では意味があると思いますし、仮にもし軽減税率を導入するということであれば、これはその分財源がなくなりますので、標準税率をどれぐらい上げなきゃいけないかという話を同時にしていただく必要があるのかなというふうに考えております。
 それから最後に、八ページ目で、今給付の方と税の負担の方と申し上げましたけれども、じゃ最終的にどれぐらい減らしてどれぐらい増税すればいいのかという、ちょっと細かい字で恐縮でございますが、この八ページの図で、一番上に二〇一一年度実績とございますけれども、社会保障給付の中で六十五歳以上向けというのが七十七兆ございます。これ一人当たりで二百六十一万円。一方、家計所得二百五十七兆円とございます。これがサラリーマンの給与ですとか自営業の方の所得でございますが、生産年齢人口一人当たりで三百十六万円。これ比率で見ると八二・四%でございます。
 これは賦課方式でやっている制度でございますので、賃金、現役のサラリーで実質化したベースでどういうふうに減らすかという問題でございます。つまり、これは成長率が高いとか低いとかで財政破綻するのではなくて、この比率をどんどん上げていくとか、あるいは高いまま無理やり維持するとか、これをやると財政破綻するという問題でございまして、一番その給付を今後も増やし続けるケースというのはこの八二・四を維持するケースでございまして、これ御覧いただくと、二〇五〇年でプライマリーバランスを均衡させる消費税率というのが左下の方にございますが二五%ぐらい、それから国民負担率で七〇%ぐらいということでございまして、現在国民負担率というのは四〇%ぐらいでしょうか、そういう意味では非常に高い。そういう国家像を目指すのか。
 それとも、右側が代替率三割削減ケースということでございますけれども、これは給付を賃金に対する率で見て下げていく、三割ぐらい下げていくと。これは今後二十年間で下げるという計算をしているんですけれども、二〇三一年で五七・七まで下げて、そこから横ばいというふうにやった場合には、最後、二〇五〇年でPBを均衡させる消費税率が一八%台、それから国民負担率も六〇%までは行かないと、こういうちょっと機械的な計算でございますけれども、しております。
 次のページがそのまとめでございますけれども、これは、つまり給付をどれぐらい下げるかによって国民の負担あるいは政府の大きさというものが相当大きく変わってくる。三割削減といっても、じゃ具体的に何をやるのか、それは支給開始年齢引上げだとか、医療費の患者自己負担割合をどれぐらい上げればいいかとか、様々いろんな改革を組み合わせる必要がありますので、その辺は私どもも今後いろいろ研究を深めて提言をしていきたいと思っておりますけれども、大きな形で考えると、給付をどれぐらい減らすかによって相当その負担の方も変わってくる、消費税も必要な分が変わってくる。
 これは二〇二〇年でPB均衡化すればそれでいいという問題ではなくて、むしろ二〇年代、三〇年代に破綻しないような構造を二〇二〇年までにつくらなきゃいけない、そういう問題だというふうに思いますので、今後もこの分野、研究を深めて、様々な提言をさせていただきたいというふうにも思っております。
 私からは以上でございます。大変ありがとうございました。
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鴻池祥肇#6
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださいますようお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会が得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いを申し上げます。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 金子洋一君。
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金子洋一#7
○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 今日は、白川さん、鈴木さん、お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。また、大変興味深いプレゼンテーションをいただきまして本当にありがとうございます。
 十分しか時間がないのが本当に残念なんですが、ちょっと、私しか興味を持たないことかもしれませんけれども、お二方に二問お尋ねをしたいと思います。
 まず初めの点ですけれども、消費増税ということで、党内でも消費増税の議論をしたときに、非ケインズ効果が働くから今後消費増税をしても消費が伸びるんだということをおっしゃる方が大勢おいででした。これはIMFの報告書なんかを見ましても、北欧の小さな国では非ケインズ効果はあった、ただしノット・スタティスティカリー・シグニフィカントだったというふうにもう書いてあるわけです。
 この点について、両参考人がどういうふうに非ケインズ効果について評価をされているか、果たして目で見えるような効果があるのかどうかといったことについてお話しいただきたいのが第一点です。
 もう一点ですが、白川参考人の貯蓄税の絡みでございます。
 白川さんの御本は以前に拝読させていただきまして、大変いいアイデアだなと思いました。ちょっと今の状況を見てまいりますと、物価連動債のBEIで見ますと、今、一・五%ぐらい、期待物価上昇率になっております。一方で、十年の長期国債の利率が〇・六かそこらですね。ですから、差し引いた実質金利で見ますと、今、マイナスの〇・九ぐらいになっているはずです。もちろん、このBEIの方には輸入物価が入っているんだろうと思いますから、食料とかエネルギーとかが円安の影響で高くなっている部分というのは入っているんだろうとは思います。ただ、思いますが、やはりマイナスの実質金利になっているという意味では、白川参考人が唱えておられた貯蓄税と同じような効果を持つのではないかと私は思います。
 この点について、白川参考人、鈴木参考人、いかがお考えになるか、そして、こういった実質金利がマイナスの状態がどのくらい続くというふうにお考えになるかについても承りたいと思います。
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白川浩道#8
○参考人(白川浩道君) 消費税増税の非ケインズ効果というのは、消費税を増税するとむしろ期待が上がって消費が増えるという議論だと思いますが、発想的には、消費税を増税すると社会保障の先行きの見通しが改善し、恐らく高齢層の方々を中心に、ああ、これで経済がうまく回るのであれば少しお金を使ってもいいだろうというふうに思うという効果だと思いますし、若年層についても、これは、消費税増税になれば将来自分たちの負担はひょっとするとうまく回れば減るかもしれないと。ただ、そういうまず効果自体は、日本のデータを使って検証しようと思ってもうまく出てきません。
 前回の消費税増税の後に消費が増えるというような傾向が実は見えたわけではなかったために、そういう効果はちょっと統計的には日本では検出されていませんし、それから、よく財政を拡張しますと将来の赤字が増える期待が増えてもっと増税されちゃうんじゃないかと思うので、むしろ公共事業などをやるとその分貯蓄率が上がるという議論もあるんですけれども、そういうことも実はデータでは観測されないんだと思います。したがって、私のイメージでは、恐らく、増税したら消費が増えるというストーリーは多分正しくないというふうに思います。
 ただ、我々が今一番関心を持っておりますのは、先ほど若年層にはマイナスが行くよと申し上げましたけど、増税をしたときに、例えば、これは先ほどの鈴木先生のお話から合わないんですけど、これで自分は引退できる、社会保障がもうこれでうまくいくのであれば早くきちっと引退しようと。もう私は六十五歳で辞めますといって仕事を持たなくなると、日本経済には非常に大きなインフレが発生いたします。
 というのは、皆様も御存じのとおり、現状、日本は人手不足になっております。特に建設とかは極めて人手不足なんですが、そういったことがマクロ的に言うと、六十五歳超の方々が長く働こうとすると、その分、失業率は下がりにくく、賃金は上がりにくい。逆に消費税を増税することによって引退者が増えますと、その分、インフレになりやすい。これは非ケインズ効果と言われているようなものではないんですが、消費税増税を一つ正当化する私は考え方ではないかというふうに思っています。
 それから、貯蓄税の議論は、これは今、金子先生がおっしゃったアベノミクスなるものの中で今円安になっておりまして、インフレ期待が市場では高まっていると。そして、そのインフレ期待は何を今もたらしているかというと、みんな個人の方々が株を買っているわけであります。これは、インフレ期待なのであろうかということです。これは株価上昇期待なんじゃないという、極端に言えばですね。
 私の議論したインフレ期待というのは、そういうものとは少し違う。例えば、今先生がおっしゃった国債市場で見られているインフレ期待というのは、どうも実際に物価が本当に上がってくるという期待が本当に反映されているのか。そうではなくて、上がっている株価を見て、この株価はやっぱりインフレでなければ説明できないみたいな、こう逆算されている部分もあるかと思います。したがって、実質金利というものが、例えば預金金利がゼロでインフレが二だったら、ゼロ引く二イコールマイナス二で、自分の預金が目減りしていってしまうんだというふうにみんな思っているかというと、思っていないと思うんですね。私の周りで、預金を取り崩して株を買っている方は余りまだ見ておりません。元々やっておられる方々が頑張ってやっておられる感じですね。
 ですから、本当に実質金利が下がって、私の言う貯蓄税というのは、貯蓄を持っていると、毎年、百万円持っていると来年は九十九万円に強制的に減るというやつであります。そして、翌年は九十八万円に減っていくわけであります。これは、かなり概念的には似て非なるものであります。つまり、強制的に資産を取られてしまうわけで、実はそこにこの税金の一つの問題点がありまして、資産を保有する権利というものを本当は侵害しているんじゃないかとか、そういう議論はあるわけですが、逆に言いますと、私自身のイメージでは、これだけ株価が上がりインフレ期待みたいなのが出てきていても、一部のマーケットだけであって、一般の国民の見ている物価というのはまだかなり低いのではないかと。そして、まだですよ、まだこの期に及んでという言い方はちょっと悪いんですけど、皆様方食事に行かれれば分かりますが、牛丼とか下がっているわけです、まだ。これ、かなり根性が入っていますねということです。
 ですから、そういうものを見ている人たちからしますと、とてもインフレ期待が上がっているわけではなくて、実際に物価が上がっていくことが本当に持続的に出てきませんと、貯蓄を取り崩して、これは本当に物価が上がるから何か消費に回す、車を買った方がいいんじゃないかとか、まあなっていないと思います。
 その意味では、私の今のイメージではなかなか貯蓄する意図というのは国民は落ちないと思いますので、やはり貯蓄に税金を掛けるような議論というのは、デフレ脱却の意味ではどうしても残るオプションかなというふうには思います。評判は悪いんですけどね。
 以上でございます。
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鈴木準#9
○参考人(鈴木準君) ありがとうございます。
 非ケインズ効果につきましては、先生がおっしゃるとおり、非常に実証的には難しい、なかなか示すことは難しいと思います。財政赤字を減らして増税すれば、これは民間の可処分所得を減らして、実質可処分所得を減らして、その分を政府の所得に付け替える、これが目的でございますので、当然短期的にマイナスだと思います、消費についてですね。
 ただ、やっぱり長期的な視点で考えますとき、財政赤字というのは、国債というのは国の借金だけれども国民の資産だという言い方もされることございますが、結局、民間の資産と政府の負債が両建てで膨脹しているというのが、これが財政問題の実相でございまして、じゃ本当に景気にマイナスだから増税しなければどうなるかということを考えると、そういうわけにもいかないというところで、その短期と長期の難しさをうまくつなげる必要があると思います。
 ただ、直近のところの改革というのは増税がやや先行といいますか、現役世代への目配りが必ずしも十分じゃないということを、私、今日申し上げましたけれども、そういったことをやっぱりセットで行う必要があると思いますし、何よりも成長戦略をきちんとやって、民間が投資なり消費なりもう少し元気よくできるようなそういう状況をうまく別な方でセットで持っておかないと、単に増税だけやれば非常にマイナスのインパクトが大きくなるという、こういう問題ではないかと思います。
 それから、BEIでございますけれども、報道でもBEIでインフレ期待が高まっているというのがございましたけれども、これは名目債と物価債のスプレッドを見ているだけでございまして、日本の場合は、御存じのとおり物価連動債というのは非常に市場が小さい、流動性がほとんどない、そういう市場でございますので、これで期待インフレ率を見ることというのは私は相当無理があるのかなと思っております。すなわち、インフレ期待がそんなに今の時点で既に高まっているかというと、必ずしもそうではない。
 政府が物価連動債を今年発行再開を検討されておられますけれども、今のところ、なかなか国内投資家の需要はないというふうに言われておりますし、細かい話ですが、今年から商品性としてデフレフロアを付けるわけですね。名目元本保証を付けた物価連動債を発行する。つまり、デフレ脱却すると非常に強く宣言されている中で、しかしデフレフロアを付けないと売れないかもしれない。デフレフロアを付けること自体は別におかしいことではないんですが、デフレフロアを付けないといけないというのはこれちょっと皮肉な状況かなとも言えまして、私は、やっぱり民間部門のもう少し賃金が上がってくる、今のデフレというのはやっぱりサービス業の価格、賃金が下がっている、国内産業の価格、賃金が下がっていると、こういう問題だと思いますので、そこはやっぱり規制改革とか組み合わせて国内産業の賃金が上がってくるというような状況になってこないと、インフレ期待というものは目に見えて高まってくるというふうには見込めないのではないかというふうに考えております。
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金子洋一#10
○金子洋一君 ありがとうございました。時間超過して済みません。
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鴻池祥肇#11
○会長(鴻池祥肇君) 福岡資麿君。
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福岡資麿#12
○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿と申します。
 鈴木参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、今日お話しの中で、消費税増税については与野党の壁を越えて決断をしたということは大きな前進だったというようなお話をいただきました。そして、併せて言えば、やはり国民の多くの方々は、政権が替わるたびに社会保障制度がころころ変わるというのは、将来に対して見通しが立たないという意味で、安定した社会保障制度を望んでおられるという観点からいえば、社会保障制度改革推進法を成立させて、現在、国民会議において将来の方向性について議論をしていただいていると。そこによって今年の八月二十一日までに将来の大きな絵姿をかいていこうという意味でいうと、今年は極めて重要な年であろうというふうに思っています。
 それをベースに是非御質問をしたいんですが、今日も資料の中で所得代替率のお話をしていただきました。多分、趣旨としては、現在の所得代替率のままずっと維持していけば、なかなかその持続可能性という意味では厳しかろうというような趣旨でおっしゃっているというふうに思っています。
 一方で、三割ということを減らすというのは、直感的に言うとかなり抑制を図っていかなければいけないなという部分でいうと、所得代替率のベストなバランスの取り方として、国民負担で消費税にお願いする部分と、この所得代替のところの、大体の落としどころとしてこの辺が望ましいと思っていらっしゃる参考人としてのお考えがあればお聞きしたいのと、もし給付を抑制するということでいうと、先ほど一つの例としては、年金の給付水準を物価分ほどは上げないというところが一つの案だということをおっしゃいましたが、例えば医療とか介護の部分で抑制策を図るとすればどういうことがあるのかというお考えがあれば、お示しをいただければと思います。
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鈴木準#13
○参考人(鈴木準君) 御質問ありがとうございます。
 私が、代替率御説明させていただいた、これは年金だけではございませんで、高齢者向けの医療、介護、これ全て合わせたベースで試算をしております。
 どれぐらいの水準がふさわしいのかというのは、これはやっぱり国民の選択だというふうに最終的には思いますけれども、少なくとも今の代替率を維持すれば、国民負担率七〇%という、これが国民が選択するある意味国家像として受け入れられるものかというと、現在の北欧並みのそういう負担率になりますので、なかなか難しいのかもしれないと。かといって、代替率五割というと、これはもっとひどい削減になりますけれども、これまたちょっと余りにも給付を削減し過ぎるということで恐らく受け入れられない。
 三割と申し上げましたのは、これはあくまでも賃金で測った、賃金でデフレートして三割なんですね。これは、成長率は名目二%、仮に物価が一%としますと、物価で測った、物価でデフレートした給付水準というのは、ちょうど今の水準を維持するぐらい、今から二十年間ですね。つまり、今から物価が上がったり高齢者が増えた分はきちんと給付を増やしていく、今の社会保障の水準は維持する。しかし、二十年、三十年というタームでは、これは当然みんな努力して生産性を上げていきますから、現役の賃金は上がっていくわけですね。ですので、その現役の賃金が上がっていく分を高齢者に回さない、そういうことを二十年間ぐらい我慢していただく。つまり、今申し上げたのは、今の水準を下げるという意味ではなくて、物価で見たときに下げるという意味ではなくて、賃金で見て下げるという意味でございますので、そういう意味ではフィージビリティーのないものではないというふうに考えております。
 具体的に何がいいのかということは、先生おっしゃるように、言わばマクロ経済スライドみたいなものをもう少しきちんとやっていくということが一つ。物価ほど上げないということをやっていく。これは、特に消費税の分は、消費税を上げて年金制度を維持しようということで上げるわけですから、そのときに丸々物価スライド、消費税分も物価スライドしてしまったら、結局、年金の実質額というのは何も変わらないということになりますので、消費税増税によるインフレ分というのは、これはできるだけ物価スライドしないということが必要だと思います。
 それから、医療の分野では、今、七十歳代前半の患者自己負担割合というのは、本則の二割にまだ引き上げられていないという状況が続いておりますが、そういったところからまず手始めにやっていただく、本則どおりにしていただくという必要があると思いますし、介護なんかも、選択と集中で、軽い要支援のレベルでどこら辺まで本当に保険の範囲でカバーするのかとか、当然、これは水準を下げる話ではございませんが、ジェネリックをもっともっと普及させていくとか、様々工夫をすることで三割削減ということは達成できるのではないかというふうに思っております。
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福岡資麿#14
○福岡資麿君 大変貴重な御意見ありがとうございました。
 もう一点、鈴木参考人にお伺いしたいんですが、今の社会保障制度の在り方として、先ほど受益と負担のバランスが非常に見えづらい構造になっているというようなお話がありました。
 実は、社会保障制度改革推進法の中には、今後の国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることとするというような条文があるということを考えると、どちらかというと、給付の方というよりも、保険料の適正化の方に今後公的資金を投入していこうというのがこの制度改革推進法の趣旨としては書かれているというふうに思いますが、そこのことについても先ほど、今後国費の投入のバランスとして、本当に保険料負担の軽減とかそういったところに税金を集中投入していった方がいいのか、もっと給付の方にお金をつぎ込んでいった方がいいのか。要は、国費若しくは税金の投入の方法等についてイメージがあれば教えていただければと思います。
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鈴木準#15
○参考人(鈴木準君) 私は、社会保険は原則やっぱり保険料でやるべきだと思うんですね。これは、社会保険といえども保険数理的な公正性を維持しておりませんと、保険料を払ってもきちんと給付受けられないという保険料というのはあってはいけないと思いますし、そこに余り公費を入れていきますと保険原理がだんだん見えなくなってくるということがございます。
 社会保障制度改革推進法では、基本的には社会保険を基本とするというようなことも書かれていたかと思いますけれども、社会保険料を基本としつつ、しかし、負担ができないとか、あるいは特別な配慮が必要とか、あと制度がかなり特に医療なんかですと複雑に入り組んで、様々な保険者が入り組んでいて、それぞれ属性も違うということで難しさがございますので、そこの調整のために公費を使うということで、徐々に徐々に公費のウエートを高めていかざるを得ないということはあると思いますけれども、そこはしかし、社会保険の保険数理的な公正性を損なわないということを大原則にやっていただく必要があるのかなと考えております。
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福岡資麿#16
○福岡資麿君 以上です。
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鴻池祥肇#17
○会長(鴻池祥肇君) 魚住裕一郎君。
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魚住裕一郎#18
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 白川参考人、また鈴木参考人、貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 まず、白川参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどアベノミクスの話が出ましたけれども、参考人は日銀出身ということもあって、積極的な金融緩和による景気回復にはどちらかといえば慎重な見方をされていたのかなと。
 かつて、二つの大きな副作用があるのではないかと。つまり、この円安株高が日本企業の将来期待を過度に改善させてしまって、不必要な設備投資拡大をもたらす可能性があるという指摘がございました。また、もう一方、この円安で、輸入品の値上がり等々で個人の実質所得が目減りして、耐久消費財などを中心にした個人消費が低迷するというふうな御指摘があったわけでございますが、現在どういう、今御指摘があったような懸念というものが現象として起きているのかどうか、その辺の参考人の御認識をお伺いをしたいと思います。
 もう一つでございますが、長期金利なのでございますけれども、この長期金利の代表指標である十年国債利回り、ずっと低下していますよね。三月五日は一時〇・五八五%と、九年八か月ぶりだと。そして、今は〇・六%台、推移をしてございますけれども、長期金利が上昇しないというのは景気回復にはまだまだ至っていないというふうな理解でいいのかどうか、御見解をお伺いをしたいと思います。
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白川浩道#19
○参考人(白川浩道君) 今御指摘いただいたように、私がかつて分析したところでは、量的緩和政策による円安の副作用といいますか、経済に対する効果として、実は福井総裁時代に、二〇〇一年から二〇〇六年にかけて日本銀行は量的緩和をいたしましたけれども、この後に起こったことは実はデフレだったということですね。
 解釈が二つありまして、二〇〇六年三月に量的緩和を五年でやめたからデフレになったのだという考え方が一つ。それからもう一つは、これは非常に難しいところなんですが、実は金融緩和というのはデフレを促すんじゃないかという、非常に自己矛盾的なことであります。浜田先生に言ったら多分怒られてしまうと思いますけれども。
 私のこの二〇〇六年にかけてのイメージは、円安というのは株高をもたらし、株高をもたらす過程で企業の収益が上がり、そして企業は設備投資を結構積極的に増やしました。これは一時的には景気浮揚に見えます。ところが、需要が冷え込みますと、今度は過剰設備になってしまうということでありまして、難しいところですけれども、実は二〇〇六年にかけての量的緩和の後に起こったことは、車のメーカーも電機も投資をし過ぎて、終わってみたらば過剰設備を抱えてしまいデフレ的になってしまいましたと。一方で、需要の根幹であります消費は、輸入物価が上がり、エネルギー、食料が上がったために、今度は実質消費は伸びなかったということで、量的緩和政策によってむしろデフレギャップが広がってしまったというのが経験として言えると思います。
 現状は、少し話が変わっております。この量的緩和を前回やめてから約七年が経過いたしましたけれども、一つの大きな変化は、日本経済では空洞化がかなり進展いたしまして、企業の国内における設備投資のインセンティブは物すごく落ちてしまったんですね。ですから、今の、まだアベノミクスなるものがスタートしてそんなに時間がたっておりませんので結論を出すのは早いかと思いますが、現状では企業の方々から投資を増やすという話は余り聞こえてきません。したがいまして、過去に比べて円安によって国内で過度な投資が行われる可能性はかなり減ったという意味で、七年前とか十年前に比べますと、金融政策のこのマイナスの効果が出にくくなっている。
 ただ、問題はこの消費でございまして、これは、やはり急激に物価が上がりますと、これは消費税増税と全く同じですけれども、やっぱり消費は縮こまる傾向がどうしてもありますので、問題はそこがどうかということです。
 もう既に輸入物価は前年対比で一五%ぐらい上がってまいりましたので、これ早晩、夏場ぐらいにかけては食料品が上がり始めると思いますけれども、これがかなり急激ですとやはりちょっと消費にマイナスの影響が出てくる可能性がありますので、何とかこれを相殺するような政策的なものを講じていきませんと、やはり残念ながら、特に金融緩和が始まって一年間ぐらいはデフレ的な効果が強く出てしまうと。しばらく時間がたってきますと、恐らく為替もどんどん円安にならないでしょうから、輸入インフレ圧力も落ちていくでしょうし、そして、株価が上がるなどの効果によって徐々に染み出してくる効果が勝れば消費も落ち着いてくると思いますけれども、向こう一年ぐらいはちょっとその心配がありますので、やはりそこは、賃金が上がることが大事ではあると思いますけれども、なかなか企業も皆さん、賃金上げるかどうか分かりませんので、やはりちょっと短期的にはそこは少し心配しているところではございます。
 ただ、私、日銀出身ではありますけど、必ずしも緩和に否定的ではないんですが、そのポイントは、先生の二つ目の御質問に関しますけれども、日本銀行は、私のこれは考え方で、日本銀行の方々はそう思っていないと思いますし、財務省の方々もそう思っていないと思いますけれども、もう日本銀行が国債を買うしかありません、基本的にはですね。これだけ膨大な国債を誰が将来買って持っていくんでしょうということでありまして、これはやはり日本銀行が一定のレベルの国債を保有せざるを得ないと思います。
 したがって、デフレ脱却という政策目標のために日本銀行が国債を買うということだけではなくて、将来の金融システムの安定も考えますと、日本銀行が一定量の国債を保有することはもう不可避だというふうに考えております。つまり、今七百兆円ぐらいある国債のうち日本銀行が今百兆円持っていますが、これ七分の一です。私のざっくりとしたイメージは、日本銀行は多分市場の三割は持たないと駄目ではないかと。駄目ではないかという意味は、それぐらい持っておくことによって将来の国債の下落リスク等も日本銀行が背負うということであります。ただ、これは当然中央銀行のバランスシートが悪化しますので、為替や金利に影響が出る可能性はありますけれども、そこは不可避だという意味で、必ずしも緩和に否定的な部分があるわけではございません。
 それで、今の、国債金利の話出ましたけど、株価がこれだけ上がって円安になっているのになかなか国債は売られませんねと、なぜなんでしょうかということですが、これはやはり市場の参加者、特に大手の金融機関の方々は、今の金融政策、リフレと呼んでいますけど、リフレ政策ですぐにインフレになると思っている方はやっぱり非常に少ないということで、なかなか景気回復、物価上昇というのが想定しにくい。そういう中で、日本銀行が恐らく国債をもっと買ってくれるだろうという期待で、むしろ需給で国債が買われて金利が下がってしまっていると、そういう理解をしておりますので、当面は金利がなかなか上がらないだろうというふうに思います。
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魚住裕一郎#20
○魚住裕一郎君 時間が大分たってまいりましたが、次に鈴木参考人にお願いをしたいと思います。
 先ほど軽減税率の話がございました。逆進性対策にならないんではないかということでございましたが、いろいろ議論をしている中でいろんな課題があることは十分承知をしてございます。
 先般、三月七日、うちの斉藤鉄夫税調会長が予算委員会で質問をしたんですが、その中で、消費税への理解、この国民の理解を得る上で軽減税率というのは非常に重要な大きな働きをするなということを感じております、単なる低所得者対策というよりも、消費税そのものを国民が理解する、そして支えていくことの根底にこの軽減税率というものはあり得るのではないか、だからこそ、ヨーロッパやアメリカやアジアの諸国で問題があるけれどもこの制度が導入されているという認識を示して、総理の御答弁の冒頭は、そのとおりだというふうに思いましたという、こういうのがあったんでございますけれども、この国民の理解ということをどのように鈴木参考人は考えているのか、また、ヨーロッパ等の現実に複数税制が入っている、この関する評価をどういうふうにお考えか、短くお願いします。
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鈴木準#21
○参考人(鈴木準君) 欧州で入っているのはおっしゃるとおりで、ただ、かなり高い率の世界の中で入っているかと思います。ですので、八とか一〇とかという段階で入れるべきかというところは議論があろうかと思います。
 それから、もちろん理解を得るためというのは分からないでもないですけれども、そもそも消費税を引き上げるということ自体はきちんと法律も施行されていて、予定されているということでございますので、理解を得るためにそれが必要だということであれば、先ほど申し上げたように、じゃ標準税率どのぐらい上げなければいけないのかという話とやっぱりセットにしていただく必要があるのかなと。
 やはり何を軽減するかというところで、非常にこれは産業界でもロビー活動が激しくなる可能性がありますし、それから、今何が、例えば調味料一つ取っても非常に高級品から基本的なものまであって、どれが必需品かというのは人様々でございますので、それを政府がルールでこれは軽減ですということを決めるということは非常に難しさがあるのではないかと。そこのコストを超えてでも導入されるということであれば、標準税率をどれぐらい上げるのかという議論が必要ではないかと思います。
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魚住裕一郎#22
○魚住裕一郎君 終わります。
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鴻池祥肇#23
○会長(鴻池祥肇君) 寺田典城君。
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寺田典城#24
○寺田典城君 みんなの党の寺田でございます。よろしくお願いします。
 白川先生に鈴木先生、大変勉強になりました。
 今アベノミクスということで、金融緩和ですか、それから財政出動、それと経済成長というかイノベーションをやろうということで、是非これ成功していただきたいと思うんです。ただ、これ失敗しちゃったら日本の国破綻しちゃうんじゃないかという、そういう心配もしております。
 今消費税五%を上げると、インフレターゲットは二%だと、これ国民が耐えられるのかということですね。そして、今、ある面では円安株高になっていますが、円安ということは、ある面では貿易収支が赤字になる可能性がますます強いし、経常収支まで赤字になっちゃったらどうするのかという形ですね。
 この間、ODA関係で海外のいろいろ会社回ってきたんですが、円安ということで、日本の物が高くて、現地生産の比率を今高めなければやっていけないということになる、そういう話しておりました。輸入も困難になってくると、日本からですね。高い物を買わなきゃならぬと。そうすると、あと現地生産にすると。要するに、ローカルでやるしかない、あちらでやるしかないと、そういう話なんですね。そうすると、ますます空洞化になっちゃう可能性があると。
 ですから、そういう点と、それから財政出動は内容いろいろ言われていますが、公共投資を主体なんですが、今道路造った、橋造ったからといって経済成長するかというと、それはそんなに成長なんかに影響はしないと思うんです、もう。それは、安全的なことはしなきゃならぬと思うんですが。
 二〇一〇年に六・六%あったプライマリーバランスのマイナスが、GDP比、今国際の約束では二〇二〇年にはゼロにする、一五年には半分にするというような話しています。これもますます難しくなってきておると。これを率直に言ってどうしたらいいのかというのは、私しょっちゅう寝言まで、夢まで見ちゃうような状況なんですが。
 私から言わせると、国も地方も財政力以上のサービスし過ぎているということと資産持ち過ぎていると。サービスというのは社会保障費から含めてですよ。それから資産、市町村だって要らないもの、公民館でも何でもいいから、みんなどこでも持ち過ぎている、インフラ持ち過ぎていると。だから、そういうものを要するに早く処分するなりあれするなりして、もっと強靱な体質つくることから始まるんじゃないかなと、率直にそう思うんです。
 所得は、三百万以下の所得の人が四〇%を超えているという社会でしょうから、だから、その辺を含めて、お二方の先生に将来の見通し、今アベノミクスをどう見ているかを含めて、率直に意見を申し述べていただきたいんです。私たち、それは国民生活としてこれも取り上げていかなきゃならぬと思います。両先生からお聞きしたいと思います。
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鴻池祥肇#25
○会長(鴻池祥肇君) では、まず鈴木参考人からお願いをいたします。
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鈴木準#26
○参考人(鈴木準君) 先生おっしゃるとおり、今は公共投資で成長というのは、産業構造を考えましても、なかなかそれが昔のように波及して景気が良くなるということが難しくなっている。一時的な下支えには当然なるので緊急時に保険としてやるということは考えられますけれども、なかなかIG、公共投資でというのは難しくなっていると思います。
 白川さんが先ほど、冒頭でおっしゃっていましたけれども、深刻な投資不況だと私は思うんです。今のマクロ的な、いわゆる我々、貯蓄・投資バランスと言いますけれども、資金過不足の状況を見ますと、企業は物すごく金余りといいますか、つまり、借金の返済とかあるいは現預金で持っているとか利益を上げても投資をしない。それから、家計も、貯蓄率マイナスになるなると言っていますけれども、高齢者はそこそこ消費をしているんですが、家計全体として見て消費が活性化しているかというと、そういうことでもない。これは当然、マクロバランス的には誰かが貯金していれば必ず誰か借金でございますので、政府が赤字を負っていると、こういう構図にあるわけでございます。
 私は、その打開点はどこにあるのかというと、やっぱりオーソドックスではありますけれども、これだけ設備陳腐化した状況に日本はありますので、きちんと企業が設備投資をする。そういう意味でアベノミクスで民間投資を引き出すような成長戦略ということは、私は正しいんだろうと思います。
 もちろん手法は難しくて、直近の税制改正で設備投資減税なんかをやっていただけるとかRアンドD減税をやっていただけるとか、そういったところは非常に嚆矢になると思うんですけれども、民間がとにかく設備投資をしてその供給力を、デフレギャップと言いますが、幾ら値段を下げても売れないデフレギャップというのは、それはデフレギャップなのかと。これはやっぱり魅力的で、消費されないような財をつくっていれば幾ら値段が下がっていても売れないわけでございまして、やっぱり新陳代謝で新しいサービスとか新しい商品、こういったものがどんどん生まれるような、そういう状況を国内でつくっていかないといけない。
 経常収支の赤字のお話もされましたけれども、私はむしろ、今の経常黒字というのは、これは民間が全然支出しない、企業も支出しないし家計も支出しない、政府が結構赤字で、それでも余っているんで黒字だという、こういう構図なわけですね。もし日本が活性化してそれで経常赤字になるんだったら、私はむしろ望ましい経常赤字だろうというふうに思いますので、もちろん各論ではいろいろ規制緩和をこういう分野でやった方がいいとか、様々、規制改革会議等でこれから議論されるんだと思いますけれども、そういう形で考えていけば、私はまだ可能性は日本というのはあるというふうに思います。
 ちょっとお答えになっているか分かりませんが、以上でございます。
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白川浩道#27
○参考人(白川浩道君) 今の寺田先生の御指摘なんですけど、非常に率直に申し上げると、私はもう日本経済、出口ないと思います。もう、残念ながら、大変厳しい状況と言っていても、今までのような厳しい状況をもっと超えるような大変なことが起こるというふうに基本は考えていますけれども、問題は時間です。
 日本は、今もう先生御指摘のとおり、実は円安にしても輸出は大して伸びません。これはもう構造的に伸びなくなったのであって、そしてますます空洞化をあおるという先生の御指摘、全くそのとおりではないかと思います。最近のデータを見ていても、かなり輸出は伸びが、まあ弱いというよりももう、何ていうんですかね、ひどい状況にあると思います。
 ですから、円安の効果というのは、実は、いわゆるGDPを持ち上げる効果はたった一つしかありません。これは、GDPではなく、よく自民党さんがおっしゃっているGNI、つまり海外に持っている日本の企業の資産の価値が円建てで増える。これがGDPではなくGNIを持ち上げる可能性が唯一残っていますが、これは経常収支上では貿易収支の悪化を所得収支の黒字の増加でカバーできるかという問題に帰結いたします。基本は、残念ながらほぼ両者は相殺し合うというのが私どもの見方で、GNIもまあ多分伸びないでしょうねと。
 ということは、日本の企業や金融機関が海外に持っている資産、名目上増えたものを国内で使うということしかもうGDPが増える多分手段はないんですが、空洞化ということイコール海外で再投資されるということですから、国内には恐らくお金は還元されてこないという意味で、私自身はGDPが増えていく可能性は恐らくほぼ皆無に等しいというふうに思っていまして、もっと申し上げると、二%の名目成長率を前提にした社会保障制度改革は余り意味がないというふうに思います。
 基本的には、名目GDP成長率は私のイメージではマイナス一%ぐらいで続いていくという感じですので、もうこれは、恐らく国債残高のGDP対比はもう爆発的に増えてしまいますので、だから、先ほど申し上げたように、これはもう危機管理でしかありませんので、日本銀行が大量に国債を持つ以外手がないというのが私の見方でございます。
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寺田典城#28
○寺田典城君 どうもありがとうございました。
 貯蓄税も私は検討すべきだと思うし、今、安倍内閣が力のあるうち、やっぱり痛みを伴うことを国民に、ある面では制度的なことも規制緩和も含めて、財政均衡というか、はっきり持っていくことが必要じゃないかなと、私は率直にそう思います。
 もう少し聞きたいんですが、時間ですからもう我慢します。
 以上です。どうもありがとうございました。
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鴻池祥肇#29
○会長(鴻池祥肇君) 谷亮子君。
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