安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輿石東議員から御質問をいただきました。
 私が目指す国及び社会像についてのお尋ねがありました。
 私が目指す美しい国とは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自立の精神を大切にする、世界に開かれた国のことであります。
 長期にわたるデフレ不況により、どんなに頑張っても雇用や手取りが減る状況が長い間続いてきました。強い経済を取り戻すため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を力強く射込みます。そのことが、額に汗して働く人が報われる真っ当な社会を取り戻す道であると考えております。
 一九一〇年に作られた御指摘の石川啄木の歌も、当時、日本では不況が長引いており、どんなに仕事を頑張っても暮らしが楽にならない状況を歌ったものと考えます。
 頑張る人の手取りを増やすため、私自身、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請するとともに、税制で利益を従業員に還元する企業を応援してまいります。日々の暮らしを少しでも良くするためには、強い経済を取り戻していかなければなりません。
 社会保障・税一体改革についてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げを含む社会保障・税一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革であり、自民、公明、民主の三党合意に基づき改革を推進します。
 三党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革推進法に基づき、社会保障制度改革国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
 財政運営と経済対策についてのお尋ねがありました。
 二十四年度補正予算については、足下の経済に弱い動きが見られ、経済再生が喫緊の課題となる中、緊急経済対策を実施するため、大型の補正予算としました。
 その中で、持続的成長に貢献する分野などに重点を置いて、効果が持続し、将来の成長につながるものと期待をしています。また、公共事業については、国民の命と暮らしを守るインフラ老朽化対策や防災・減災対策など、真に必要な経費を計上したところであります。
 他方で、財政出動をいつまでも続けるのではなく、民間投資を喚起する成長戦略を策定、実行し、持続的な経済成長の実現を図りながら財政再建を進めることが極めて重要です。
 経済財政諮問会議において、財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋の検討を進め、財政健全化目標の実現を目指します。
 経済構造の改革及び成長戦略の推進によるデフレ克服への決意に関するお尋ねがありました。
 デフレからの脱却のため、先般の共同声明にあるように、二%の物価安定目標を日本銀行が責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待しております。
 他方、物価上昇は実体経済の成長を伴って安定的に実現していくことが望ましいと考えております。このため、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、将来のあるべき社会像を確かな成長戦略に結び付けることによって強い経済を取り戻していくことが重要であり、政府の強力なコミットの下で成長戦略を一丸となって実行していきます。
 景気の見通しと賃金の上昇についてお尋ねがありました。
 我が国の景気は、一部に弱さが残るものの、下げ止まっております。また、最近、株価の回復等も見られ、こうした改善の兆しを本格的な景気回復につなげていくことが重要です。
 このため、三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。この過程で、特に企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも分配されることが重要であり、私から、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請をしました。また、政府も、平成二十五年度税制改正において、利益を従業員に還元する企業を支援することとしており、是非とも活用していただきたいと思います。既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も現れています。
 このような取組を通じ、経済再生を雇用、所得の拡大につなげるという好循環を目指してまいります。
 成長戦略と規制改革についてのお尋ねがありました。
 成長戦略の策定に当たっては、健康に長生きできる社会の構築、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現など、幾つかの将来のあるべき社会像を戦略目標として設定をしています。
 戦略目標実現のために、コア技術への研究開発投資、規制改革、関連投資の促進などの政策資源を一気通貫で投入するためのロードマップを策定いたします。また、立地競争力強化や雇用の拡大、国際展開等にも取り組んでいきたいと考えています。
 成長戦略は、文章をまとめるだけではなく、政府が強力にコミットし、一丸となって実行することが活力ある民間投資の誘発につながると考えています。今回は、日本経済再生の司令塔として、全閣僚が一丸となった日本経済再生本部を設置し、私が矢継ぎ早に具体策を判断し、次々と実行に移すこととしたいと考えています。
 規制改革については、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野と位置付け、これらを始めとして、経済再生に資するものから優先的に見直しを行うよう指示をしたところであります。規制改革は、経済活性化、民需主導の経済成長を実現する重要な手段であると考えており、大胆な改革を推進してまいります。
 決算審査に関する参議院の役割についてのお尋ねがありました。
 参議院においては、これまでも決算の早期審査、審査の充実に努め、種々の改革に取り組まれてきたことに改めて敬意を表します。国会における決算の審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について審議、検討いただくもので、極めて重要なものであります。今後とも、その充実を図っていただくことを期待をしております。
 国土交通大臣政務官の辞任を被災者にどう説明するのかとのお尋ねがありました。
 御指摘の政務官辞任については、速やかに後任として坂井政務官を任命しており、国政の遂行に支障が生じないよう進めております。被災者の皆様が求めていることは、何よりも結果であり、一日も早い復興の実現であります。政局に明け暮れていると思われかねない永田町の目線での言葉のやり取りよりも、被災者の目線で目に見える復興という結果を出すことにより被災者の理解を得てまいります。
 東日本大震災を踏まえた心構えと今後の復興の取組についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、災害から国民を守り、国を守ることは政治の究極の責任であり、ハードとソフトを組み合わせて、事前防災・減災を目指していかなければなりません。同時に、私たち国民一人一人が自らの安全は自ら守るとの意識を持っていかねばなりません。
 御指摘のように、復興については様々な課題があり、政府としては、自治体やNPOとの連携による孤立防止や心のケアの実施、住宅再建の工程や目標の公表と加速化、瓦れき処理の早期完了、中小企業の再建や企業立地の推進のための補助などにしっかりと取り組んでまいります。
 今後も、現場主義を徹底しながら、復興庁を中心に課題を具体的に解決し、政府一丸となって復興を加速してまいります。
 福島第一原発事故の現状の把握、除染作業における問題への取組、今後の原発の取扱い及びエネルギー政策についてお尋ねがありました。
 東京電力福島第一原発については、安定した状態が継続している一方で、一日も早い安全な廃炉が極めて重要です。国が前に出て研究開発の主導的な役割を果たし、世界の英知を結集して取り組んでまいります。
 手抜き除染の指摘については、私からも環境大臣に指示を行い、再発防止に取り組んでいるところです。関係機関が連携して除染と復興の加速化を図ってまいります。
 エネルギー政策については、いかなる事態においても、国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 原発の再稼働については、科学的安全基準の下で判断していくこととし、三年程度で既存原発の行く末を見極めながら、十年以内に新しい安定したエネルギーミックスに移行させていきます。その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。
 我が国の外交防衛問題への取組姿勢について、対米追随ではないかとのお尋ねがありました。
 政府としては、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、我が国自身の防衛力の強化、集団的自衛権についての有識者による議論、日米間におけるガイドラインの見直しの検討等を進めるとともに、F35の部品製造への参画について武器輸出三原則等によらないこととしました。また、こうした取組を通じ、日米同盟をより強固なものにしていきたいと考えています。これらは、我が国の安全を確保する観点からの当然の取組であるとともに、地域の平和と安全に資するものであり、対米追随外交との御指摘は全く当たりません。
 また、自由民主党の憲法改正草案においては、自衛隊を国防軍として位置付けることとしていますが、国際法上、自衛隊が軍隊として扱われていることを踏まえたものであります。
 私が目指す強い日本とは、国民一人一人が将来への夢と希望、ふるさと日本への誇りと自信を抱き、目の前にある様々な危機を突破していくことができる国であり、もとより、私は、憲法の平和主義や戦争の放棄を変えるつもりは全くありません。
 強い日本と、さきの訪米の政策演説についてお尋ねがありました。
 私が目指す強い日本とは、国民一人一人が将来への夢と希望、日本への誇りと自信を抱き、目の前にある様々な危機を突破していくことができる国です。米CSISが昨年八月に発表した日本についての報告の中で、日本が経済的重要性や防衛力を有し、国際的な課題にリーダーシップを発揮できる一級国家であり続けるのか、それとも二級国家に落ちることで満足するのかとの記述がありました。この問いかけに対して、私は、さきの訪米の政策演説で、日本は今もこれからもそのような二級国家にはならないとの意思をはっきりと内外に示した所存であります。
 歴史認識の問題と外交路線についてのお尋ねがありました。
 いわゆる村山談話や河野談話についての私の考え方はこれまでの国会における答弁で明らかにしているとおりでありますが、いずれにせよ、歴史認識の問題については、政治・外交問題化させるべきではなく、歴史家や専門家に委ねることが適当であると考えております。また、外交路線については、普遍的な価値を重視しつつ、日本の国益を守るために、主張する外交を戦略的に展開していく考えであります。
 TPPについてのお尋ねがありました。
 御指摘の日中韓FTAや東アジア地域包括的経済連携への取組を含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を戦略的に推進してまいります。
 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国民の目線に立って、国益にかなう最善の道を求めてまいります。状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に情報提供してまいります。
 農業においては、生産額の減少、担い手の高齢化などの課題があり、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは極めて重要であることから、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。
 我が国自身の防衛力の強化に関する取組等と米国との関係についてのお尋ねがありました。
 政府は、厳しさを増す安全保障環境の中、防衛大綱の見直し、我が国自身の防衛力の強化等に取り組むとともに、集団的自衛権につき、有識者による議論を始めています。また、日米間においてガイドラインの見直しの検討を進めていきたいと考えています。これらは、我が国の安全を確保する観点からの当然の取組であるとともに、地域の平和と安定に資するものであり、今後とも我が国としての責任をしっかりと果たしていく考えであります。
 私には軍事力偏重の傾向がうかがえるのではないかとのお尋ねがありました。
 国家安全保障会議については、外交・安全保障に関する諸課題につき、政治の強力なリーダーシップにより迅速に対応できる環境を整えるため、その設置に向けた検討を行っているものです。自衛隊法の改正については、アルジェリアにおけるテロ事件の教訓を踏まえ、派遣先国における様々な輸送ニーズに的確に対応するため、現行法制で十分か検討しているものです。いずれも、国民の生命、財産や我が国の領土・領海・領空を守り抜くために必要な措置を講じようとするものであり、御指摘は当たりません。
 沖縄の負担軽減についてのお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設やオスプレイ配備などに関し、沖縄に厳しい声が存在することは重く受け止めており、私自身、日米首脳会談に先立って沖縄を訪問した際、仲井眞知事を始めとする関係者の方々とお話をし、県民の皆様の思いを再確認しました。
 先般の日米首脳会談では、私から、米軍再編については現行の日米合意に従って作業を進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を実現していく旨述べ、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めていくことで一致しました。
 引き続き、沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいります。
 尖閣諸島をめぐる緊急連絡体制の構築及び日中関係についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、自国の領土・領海・領空を守るという断固たる意思を持って適切に取り組んでまいります。一方、日中間において、不測の事態を避ける観点から、重層的な意思疎通の仕組みを構築していくことも重要と考えており、その一環として防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期運用開始を中国側に呼びかけています。
 日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり、中国側に対し、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう、粘り強く訴えていきます。私の対話のドアは常にオープンです。
 北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 政府としては、米国や韓国等の国連安保理関係国と引き続き緊密に連携し、断固とした措置を追求していく所存であり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、対話と圧力の方針を貫き、全力で取り組んでいきます。
 日韓関係についてのお尋ねがありました。
 韓国は、基本的な価値と利益を共有する最も重要な隣国です。日韓間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するために、朴槿恵大統領とともに努力していく考えです。その上で、御指摘の北朝鮮問題についてもしっかりと連携して対応していく考えであります。
 北方領土問題についてのお尋ねがありました。
 アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化する中で、互恵の原則に立って、あらゆる分野で日ロ協力を進めていくことが日本の国益に資すると考えます。
 北方領土問題については、日ロ関係を全体として発展させていく中で、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉を粘り強く行っていく考えです。
 このような考えの下、本年のしかるべき時期に日本の総理として十年ぶりにロシアを公式訪問する予定であり、私のロシア訪問を日ロ関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。
 衆議院の定数削減についてのお尋ねがありました。
 衆議院議員の定数削減は、さきの三党合意において、選挙制度の抜本的な見直しの検討を行い、今般の国会終了までに結論を得て必要な法改正を行うこととしており、私は、自由民主党総裁として、党に対し、積極的に取りまとめを行うよう指示をしております。
 この問題は議会政治の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派においてしっかり御議論をいただく必要がありますが、与党で意見集約され、各党各会派から御賛同を得られれば、直ちに法案は成立するものと考えております。
 いずれにせよ、私としてはしっかり改革を進めてまいる決意であります。
 国会同意人事についてのお尋ねがありました。
 同意人事案件につきましては、新たなルールを踏まえ、衆参両院への内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ってきましたが、今回、事前にマスコミに報道がされたことは極めて遺憾であります。
 事実関係については調査を行いましたが、報道に至った原因となる事実については確認できませんでした。この調査結果については、昨日の議運理事会に御報告させていただいたところです。
 政府としては、今後、内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底と再発防止に努めてまいります。
 教育の現状と課題、いじめ・体罰問題、教育再生についてのお尋ねがありました。
 いじめや体罰を背景に子供が尊い命を絶つ事案が発生するなど、大きな課題を抱える教育を再生し、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障していくことが重要と考えます。
 御指摘の谷川文部科学副大臣の発言は個人的見解であり、体罰を容認するものではないと承知しておりますが、いずれにしても、政府としては、教育再生実行会議の提言を踏まえて、いじめ・体罰問題の対策の強化や法制化につなげることを始め、教育を取り巻く重要課題に内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 118315254X00920130305_011

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2013-03-05

院: 参議院

会議名: 本会議