八田達夫の発言 (内閣委員会)

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○八田参考人 おはようございます。
 本日は、私に、特区に関する考えを述べさせていただく機会を与えてくださいまして、まことにありがとうございます。
 題としては、「国家戦略特区で何が出来るのか」という題でハンドアウトを書きました。
 まず第一に、国家戦略特区というのは、総合特区という、ここのところ数年、非常に各地方が力を入れてきたものとどこが違うんだろうかということをよく伺いますので、まず、その比較をしようと思います。
 総合特区というのは、手挙げ方式です。各自治体が、こういう規制改革、こういう財政補助をしてほしい、そして、それをやれば地域が活性化するだろう、そういう形で、地域活性化のために手挙げ方式で幾つもの候補が挙がった中から、これはよさそうだというので選ぶ、これが総合特区であります。
 それに対して、戦略特区は、手挙げ方式ではなくて、国が主体になって、成長戦略の観点からこういう規制改革が必要だ、そして、それが国全体を伸ばすんだという考えから地域を指定する、そういう考えの特区であります。
 したがって、ここでどういう規制改革をするかというようなことは、かなり大玉の、日本全体にとって必要な改革をやろう、そういうことが目的であります。
 私自身は、この両方ともがそれぞれの役割があると思います。一方は地方活性化のため、もう一つは国全体の観点から見た規制改革ということであります。
 そして、この国家戦略特区の方は、当初構想されたときから規制改革が中心であるということがうたわれ、安倍総理御自身も、規制改革の一丁目一番地にするんだというようなことを何度かおっしゃっております。
 したがって、ここでは、本当に小さな規制改革というのも実は地方活性化のために非常に必要なんですが、まずは大きなところをやりましょうということです。
 ここで、一言、規制改革というものが、いろいろと色をつけて見られることがありますので、どういうものかということについての私の考えを述べさせていただきますが、基本的には、日本は自由な国です。営業の自由も職業選択の自由も住居選択の自由も、そういうものは全部認められている。とにかく自由がこの国の一番の基本であります。
 ただし、その自由は、もちろん制約を受ける、公共の福祉に反しない限りという制約を受ける。明確な公共の福祉に反するものがあった場合には、その自由を制限する規制が必要です。それは目的が明確でなければならない。
 そして、その公共の福祉に反するというのは、恐らく、経済学で言う外部性だとか、それから独占による弊害だとか、情報の非対称性、お薬についてどれだけの効果があるかわからない、副作用があるかわからないというときに、任せておいたら全く市場が成立しませんから、そういうものは国が関与して、きちんと認定してあげる。それから、公共財のようなものを提供する。
 そういうかなり限定された公共の福祉の目的のために国が関与するということは認められているが、それがない限りは徹底的に自由であるということが憲法の趣旨でもあるし、それから経済学の考え方でも、そうすることによって資源が効率的に配分されるというのがある。
 ところが、現実には、既得権を持った人が参入を制限する、そういう規制が満ちあふれているわけですね。それが農業しかり、労働しかり、医療しかりです。だから、その既得権によってもっともらしい理由をつけて参入制限して、本当に有能な人が入ってこれない、それは困るじゃないかというのがこの規制改革の大きな動きであります。
 したがって、規制改革全般がよくないとかいいとかいう議論というのは意味がないことで、その規制の元来の目的に照らして、今の規制が実は既得権を守るためにできているのか、それとも、本当に公共の福祉のために役に立つのか、そこを精査する必要があると思います。
 私どもは、それを精査した上で、元来の自由を取り戻すべきことは取り戻すというのが、この成長戦略の本旨だと思いまして、戦略特区でやってまいりました。
 さて、この国家戦略特区法の構造ですが、これは非常に簡単で、二つの部分に分かれております。
 一つは、意思決定組織の設計です。これはよく言われておりますように、この組織の特色は、特区諮問会議というものがトップにあって、そして特区ごとに統合推進本部、今度法律では特区会議と呼ばれることになりましたが、これは両方ともの名前が使われていますけれども、特区ごとの会議、この二本立てでいくというのが基本構想であります。
 それから、もう一つの法律の部分は、規制改革の短冊です。これは、もとの法律について手をつけるんじゃなくて、この特区では何とか法の何条について適用除外にし、こういうことにする、そういうふうに短冊がずらりと並べられている、この二つであります。
 そうすると、区域の選定はどこに行ったんだとおっしゃるかもしれないけれども、区域の選定は、この法律ができた後、特区諮問会議がされるということになります。しかし、その諮問会議ができた段階で、既にどのような規制改革、法律の改革ができているかということも、全部手元にこの法律があって、それを組み合わせてその特区ごとに改革が行える、そういう仕組みになっています。
 これが、もし最初に区域を選んで、それからどういう規制改革ができるかということを交渉したのなら、ある意味で、区域はもうとりこになってしまっているわけですが、その後、役所が嫌だよと言ったらそれでおしまいになってしまいますから、とにかく一番ハードルの高い規制改革のところは最初にとってしまった、そういうわけであります。
 それで、この特区諮問会議についての構造ですが、これは特区担当大臣が入られるということは当然なんですが、特区諮問会議自体は、総理大臣がお入りになって、そして民間有識者も入り、そして最終的には総理大臣がお決めになる。だから、私どもとしては経済財政諮問会議のような姿を考えております。
 それから統合推進本部というのは、自治体の長とそれから特区担当大臣とそれから事業者、これは総理が選ばれた事業者という者が入るということになっております。
 さて、特区法の特色を述べてみたいんですが。
 まずは、今までの総合特区なんかと比べて、国が積極的関与をするということが非常に強く出ています。その第一の特色は、この諮問会議が法律で位置づけられているということです。実は、規制改革会議は法律で位置づけられているわけではないんですね。今の会議でいえば、経済財政諮問会議が法律で位置づけられていますから、それと同レベルであるということです。
 それからもう一つは、最終的な、ここに御提出している法案では、諮問会議とか統合推進本部の常任メンバーに関係大臣が含まれない。臨時では諮問会議にお入りになるかもしれませんけれども、規制官庁の大臣がお入りにならない。それから統合推進本部では、十分各官庁の御意見は伺うけれども、意思決定には加わらない、そういう仕組みになりました。
 ということは、実に総理主導ということが貫徹した組織になっています。このことはマスコミで余り注目されていませんが、今後、特区でさまざまな規制改革の必要性が認識されると、それが推進本部で取り上げられ、そして諮問会議に上げられて、諮問会議で新たな規制改革が行われていくことになりました。これはかつてない、規制改革の強力な推進機関になると思います。
 これは、規制改革の一番難しいところはいつも、既得権を持った集団ですから、そこを破るには、最終的には首相の御決断ということが必要なので、それができるようになったのは大きいと思います。
 二ページ目に参りまして、戦略特区で行われる規制改革項目の主なものです。
 この項目では、全体的にどんなものができたかというサマリーは三ページ目に書いてありまして、星取り表まで書いてありまして、本当にバッテンだったというのは地方議会のところだけで、あとはかなりマルで、私どもはとれるものはとったという、自分で言うのも変ですけれども、かなり画期的な改革だったと思っています。
 特に岩盤規制という、労働、医療、農業で、今まで何年も何も動かなかったところに対して、あるいは検討するだけで終わっていたところに対して、実際の改革が行われるようになった。
 例えば五年以内の有期雇用の特例というのを、これは特区で、高度の専門人材に関しては、五年を過ぎた後でも契約を繰り返すようにしてもらいたい、そういうことを労働者もそれから雇う方も望むならば、そういう契約ができるようにしてほしいということをずっと主張したところ、これが全国でもって展開することになり、今度の通常国会でそれが決まるということになりました。
 雇用に関しても、私どもは、例えば差別があって、差別のために解雇するなんてことはあり得ないし、それから有期雇用の延長をしないなんてことはあり得ないし、それからいわゆる解雇権の濫用があってはならない、そういうことはよくよく周知していますし、それから、ある種の契約を押しつけるというようなことが交渉力のない人に対してあってはならないということも熟知しています。
 しかし、ここで取り上げたのは、例えば弁護士とか会計士とか修士、博士、そういう人たち、そういう自分の職業の選択肢をちゃんと認識できる人たち、そういう人に関しては、元来の自由な契約形態に戻そうじゃないかということであります。これに関しては、それであるにもかかわらず、全くそれとは別な対象にしているというようなことが言われましたが、そういうことはありません。
 それから、農業に関して一言申し上げますと、従来は、銀行や信用金庫は農業にお金を貸すことができなかった。これは、担保として土地をとってもしようがないからです、農地法で使えませんから。しかし、中小企業は信用保証制度というのがあって、無担保でも借りて、返せなかったら保険が出るという仕組みがあります。これも、農業だけが適用除外だった。今度から農業生産法人も使えるようになりました。これは、長年規制改革で言ってきたことが、ついに実現することになりました。
 さて、これまで、最近の新聞でも、何か改革が小粒だったというような批判があるんですが、それは、とにかくこれまでの十年間の規制改革と比較していただきたい。全く無知に基づく主張だと思います。
 それから最後に、今後の諮問会議の役割としては、区域の選定ということがあると思います。それから、それに続いて大きな規制改革を今後も続けていく、それが今後の仕事になるだろうと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 118504889X00520131114_002

発言者: 八田達夫

speaker_id: 24846

日付: 2013-11-14

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会