三日月大造の発言 (本会議)
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○三日月大造君 民主党・無所属クラブを代表して、二階俊博君外十一名提出の防災・減災等に資する国土強靱化基本法案及び同法律案に対する修正案に反対する立場から討論を行います。(拍手)
本論に入ります前に、一言抗議いたします。
午前中、国家安全保障に関する特別委員会において、特定秘密保護法案等の審議が打ち切られ、討論も封じられ、強行採決が行われました。
行政の情報は、国民のためのものであります。これまでの審議や昨日の福島での参考人質疑で、各委員や公述人の皆様方から指摘されておりますとおり、そもそも、この法案に多くの問題点があることに加えまして、審議時間も不十分であります。これでは、国民の理解と納得は到底得られるものではありません。
四十時間審議したと強弁されますが、情報公開法の改正案、国会法の改正案、また公文書管理法の改正案を含め、我が党が提出した法案の審議は、十分に行われないばかりか、一顧だにされなかった法案もあります。また、修正提出された法案の審議は、本日のみ、たった二時間であったではないですか。
政府の都合と恣意性だけが優先され、国民の知る権利が侵される、これは、まさに、立法府の敗北であり、民主主義、終わりの始まりであります。絶対に許されるものではありません。強く強く抗議いたします。
さて、我が国は、東日本大震災を初め、これまで、あまたの災害に見舞われてきました。犠牲になられた方々、御家族を亡くされた方々、住む家、働く場を失われた方々、避難生活を余儀なくされていらっしゃる皆様、自然災害に遭い、苦境にある全ての皆様に、深く静かに心をいたしたいと存じます。
同時に、自然の恵みに感謝しながら、時に人の命を奪う自然の力や怖さに、畏怖の念を新たにいたします。
今後も、南海トラフ地震や首都直下地震等の発生が指摘される中、大規模自然災害から国民の命や暮らしを守ること、強くしなやかな国をつくることは、政治の果たすべき究極の使命であります。
一方で、現下の厳しい財政下、財源に限りがあることも、厳然とした事実であります。災害に対する脆弱性をできる限り科学的かつ客観的に評価し、優先順位を定めて、ソフト、ハード両面の防災・減災対策を講じていくことが肝要です。
私たち民主党は、東日本大震災発災時に政権を担っていた経験と教訓から、生活者の立場に立ち、未来に責任を果たし、強くてしなやかな、ともに生きる社会をつくると綱領に刻んだ理念に基づき、強靱化すべきは国土ではなく国民生活との思想を具現化する、国民生活強靱化のための防災・減災対策基本法案を提出し、審議に臨んでまいりました。
坂本剛二委員長の御指導のもと、二階先生、中川正春先生初め、提出者の皆様の御努力、与党筆頭理事の福井照議員の誠実な御対応、各党各会派理事、委員各位の真摯な御協力により、建設的な審議と協議が行われてまいりました。
その結果、これまでの災害を教訓に、いかに防災・減災対策に取り組むのかが前文に記されましたほか、計画や施策のもととなる脆弱性評価を検証する規定が盛り込まれるなど、私たちの主張も、一部、修正案には反映されております。
が、以下述べます肝要な部分が入らず、溝が埋まらず、残念ながら、反対せざるを得ません。
第一の反対の理由は、その理念であります。
私たちは、強靱化すべきは、国土ではなく、国民生活だと考えます。これまで整備してきた社会資本の老朽化対策も必要です。ハード整備そのものを否定しませんが、高く築いた防潮堤を越えた津波が、過信して逃げなかった多くの人の命を奪ってしまった教訓を、私たちは、刻み、生かさなければなりません。
発災直後七十二時間以内の人命救助に集中的な措置を講ずること、また、内閣府と消防庁を中核とした組織を設置することも提案いたしましたが、明確な規定に至りませんでした。
第二の理由は、その対象です。
修正されてもなお、大規模自然災害等となっております。
提出者の答弁では、その対象を、笹子トンネル天井板落下事故のような事故も含めているということですが、国民の生命、身体及び財産を保護するためとして、対象となる事態が際限なく広がっていくことが懸念されます。
国土強靱化とのスローガンを掲げて、その対象範囲を自然災害以外にも広げて、ハード整備偏重で防災・減災対策を進めていくことには、賛同できません。こうした取り組みと選挙の集票や資金集めを連動させているとするならば、言語道断であります。
第三の理由は、財政規律の観点が欠落していることであります。
私たちは、自然災害にも直面していますが、財政も、既に危機的状況にあります。このまま、際限もなく、優先順位づけも曖昧かつ恣意的なままに防災、減災に係る事業を実施していけば、まず、多くの方々の懸命の御尽力により進められております被災地の復興がおくれる懸念があります。そして、いずれ、財政は破綻してしまいます。国土が強靱化されても、財政が破綻すれば、一体、誰のための、何のための対策かわかりません。
第四の理由は、その閉鎖性にあります。
国土強靱化推進本部が、内閣総理大臣とその他の国務大臣だけで構成されています。これでは、政府の視点により脆弱性評価の指針が作成され、政府の視点により脆弱性評価が行われ、政府の視点により基本計画の案が作成され、政府の視点により基本計画を決定することになります。これまた、一体、誰のための国土強靱化なのでしょうか。
自治体関係者等からの意見聴取の定めはあるものの、十分な第三者の関与が規定されておりません。防災・減災対策は、国民のために、国民とともに行われるべきものであります。政府だけが旗を振って予算をつけて進むというものではありません。
脆弱性評価や基本計画に十分な客観性と透明性を担保するため、私たちが提起したように、推進本部に、国務大臣以外の参画を認めるべきであります。
最後に、繰り返しますが、強靱化すべきは、国土ではなく、国民の生活です。
来年の四月、納税者に消費税率引き上げをお願いする一方、目的であったはずの社会保障制度改革は、その拡充が不十分なまま、負担増だけを先行させ、抜本改革は先送りされております。高校無償化改悪など、私たちが進めてきた、人への投資、子供たちへの先行投資も、心なく削られ始めております。
国土強靱化の美名のもとに、客観性や透明性に欠けた評価と計画のもと、財政規律の観点からの歯どめや重点化の仕組みがないまま、ハード整備偏重で事業が推進される法律を、このまま通すことは無責任です。したがって、反対です。
最後に、改めて議員各位の良識に訴え、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)