岩屋毅の発言 (本会議)
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○岩屋毅君 自民党の岩屋毅でございます。
私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました特定秘密の保護に関する法律案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)
その前に、一昨日、中国が尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定した事案について、一言申し上げます。
かかる行為は、一方的に現状を変更しようとする乱暴なしわざであるばかりではなく、不測の事態を招きかねない極めて危険なものであって、断じて容認することはできません。
政府は、冷静かつ毅然たる対応をもって、断固これが撤回を求めていくよう、強く要望しておきたいと思います。
さて、このように、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しております。急速に我が国周辺の軍事バランスが変容しつつあるだけではなくて、国際テロ、大量破壊兵器の拡散などの新たな課題も生じてきております。
多様化、複雑化する国際情勢の中で、我が国が的確な政策判断を行っていくためには、安全保障に関する情報の獲得とその保全が、従来とは比較にならぬほどに重要になってきているのであります。
忘れてならないのは、アルジェリアの邦人人質事件であります。我が国と国民を守るために、安全保障に関する情報がいかに重要な意味を持つのか、この事件を通じて、我々はそのことを痛感させられました。
このような状況を踏まえた上で、安倍政権は、国家安全保障会議の設置に向けて動き始めたのであります。同会議の設置は、これまで各省庁がばらばらに保有してきた安全保障に関する情報を一元化し、総理の強力なリーダーシップのもとに、山積する諸課題に対して迅速かつ機動的に対応策を見出していくためのものであります。
そういう意味で、国家安全保障会議の設置は、我が国の安全保障体制を充実強化するための画期的な取り組みであると言うことができます。
委員会審議においては、各党から、真摯な御議論と建設的な御提案をいただき、最終的に五党共同による修正を行った上で、法案を参議院に送付することができました。この間の各党の真摯なお取り組みに対し、心から敬意を表する次第でございます。
しかしながら、これだけでは、まだ不十分なのでございます。複雑化する国際情勢の中にあって、国と国民の安全を確保していくためには、機微な情報を関係各国と共有し、グローバルなレベルで対応措置を講じていくことが必要だからでございます。
それがためには、安全保障に関する情報を的確に保護するための体制が整備されていなければなりません。共有した情報をしっかりと保全し、統合し、分析し、迅速に政策決定部門に提供できる体制が整っていなければ、せっかく立ち上げる国家安全保障会議が効果的に機能することができないからでございます。
こうした現状に対応するために提出されたのが、特定秘密の保護に関する法律案であります。
この法律は、大きく三つの柱から成っています。
第一の柱は、特定秘密の指定であります。
特定秘密として指定され得る分野は、大きく分けて、外交、防衛、特定有害活動、そしてテロの四分野であり、別表において、計二十三個の事項が明記されております。
特定秘密として指定するためには、これら二十三事項のいずれかに該当した上で、かつ、特段の秘匿の必要性を要しなければならず、なおかつ、有識者会議がつくる基準に合致していなければなりません。特定秘密の指定は、このような厳格な手続を経る必要があり、したがって、その範囲は、現行の国家公務員法の秘密の範囲と比べて、おのずから限定的なものになると考えております。
第二の柱は、適性評価制度の導入であります。
本法案において、特定秘密の取り扱いの業務は、適性評価を経て、特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者に限り、行うことができるとしております。
適性評価は、既に諸外国において導入されている制度であり、機微な情報を取り扱うために必要不可欠な制度であります。特定秘密を厳格に管理するためには、物的管理を強化することはもちろん、このような人的な面でも保護体制を構築する必要があります。法案は、評価対象者のプライバシーの保護の観点から見ても適切なものになっていると考えます。
第三の柱は、特定秘密の漏えい行為等に対する罰則の整備であります。
特定秘密は、その性質上、漏えいすることによって我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすものであることから、漏えい行為等に厳罰を科すことによって抑止力を強化する必要があります。
現在、防衛分野を除いては、国家公務員法の守秘義務によって保護されているにすぎず、その抑止効果は極めて不十分であると言わざるを得ません。
民間の営業秘密については、不正競争防止法では懲役十年以下、また、米国から供与された装備品等に関する特別防衛秘密については、懲役十年以下を科すこととなっております。
本法案は、特定秘密の漏えいに対して懲役十年以下の罰則を整備することとしておりますが、これは、今申し上げた他の法律と比べても、決してバランスを失するものではなく、妥当な量刑であると考えております。
本法案に対しては、特定秘密の恣意的な指定が行われるのではないか、国民の知る権利が制限されるのではないかなど、懸念の声が寄せられてきたことも事実であります。民主主義と秘密のバランスをどうとっていくか、極めて重要な課題であることは論をまちません。
そこで、我々は、そういった国民の声に耳を傾け、委員会審議を通じて各党から出された修正案並びに対案についても真摯に耳を傾けた上で、政府提出法案を十二項目にわたって修正いたしました。
三十年を超えて秘密指定の有効期間を延長する際に内閣の承認を要することに加え、さらに、法案に明記した一部の事項を除いて六十年をもって原則公開とすること、有識者会議の意見を聞いた上で、特定秘密の指定や解除等についての統一的な基準を設けることとすることなど、恣意的な運用を防ぐための重層的な仕組みを設けることとしたところであります。
各党間において紳士的かつ建設的に協議を行った結果、自由民主党、公明党、日本維新の会、みんなの党、四党共同の修正案が提示されることとなりました。
民主党には、対案を出していただきました。しっかり聞かせていただきました。先ほど長島委員から評価をいただいて、感謝をしているところでございます。内容を吟味した結果、賛成するには至りませんでしたけれども、その御主張の一部には大いに聞くべきところがあり、結果的に、修正案の中にその一部を反映させていただいていると思っております。
共産党、生活の党からは、審議を通じて、厳しい中にも有益な御指摘をいただき、この重要法案についての考察を深めることができました。
各党の委員諸兄に心から敬意を表したいと思います。
他の修正内容については、各党の代表者によって詳しく説明が行われると思いますが、これら十二の項目にわたる修正は、いずれも適切なものであって、これまでの国民の皆さんの御懸念に応えるに十分なものになっていると考えております。
次なる課題は、行政内部における第三者的な監視機関の創設並びに国会における情報に特化した委員会などの設置となりますが、これらについても、修正案の中で検討と措置の必要性を明記したところであり、今後、政府の努力と各党間の精力的な話し合いによって迅速に答えを出していかなければならないと考えております。
私は、今回の特別委員会の審議の過程には、しっかりと民主主義が機能していたと感じております。いずれの政党も、国の安全保障体制の再構築の必要性、情報保全の体制を強化する必要性については、認識を共有できていたと思っております。その上で、四十三時間を超える審議時間を確保し、この間、二回の参考人質疑、さらには地方公聴会などによって審議を深めることができました。
丁寧に審議しつつも、決めるべきときには決める、これこそが、決める政治のあるべき姿ではないでしょうか。
以上、申し上げましたように、この法案は、我が国と国民の安全を確保するために必要不可欠な法案であります。
国の安全と国民の安全を確保し、もって世界の平和と安定に積極的に役割を果たしていく、それこそが、安倍総理の掲げる積極的な平和主義であります。その作業は、今始まったばかりです。しっかりやり遂げていこうではありませんか。
議員諸兄の本法案に対します御賛同を心よりお願い申し上げまして、私の賛成討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)