石破茂の発言 (予算委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○石破委員 国家にとって、国家の独立と平和、国民の生命と財産、それにとって、どうしても重要な情報というのがあるということは確かだと思います。そして、それを保全するために法律をつくるというのも当然のことであります。
 問題は、先ほど大臣がお答えになりましたように、真っ当な政府ばかりとは限らないので、そうじゃないときにどうするかということも考えておかねばならないのであって、いかにして行政の恣意というものを阻止するかということについて、ぜひ、この国会においてきちんとした議論をし、国民の皆様方に得心をしていただきたいと存じます。
 それでは、NSCにおいて何を論ずるのだということでございます。
 今の安保会議が、総理も何度も御出席になっておられる、私も担当大臣として出席したことが何度もあります、正直言って、かなり形骸化しているという批判は免れないところがあるだろうと思います。
 そして、総理の諮問機関ですから、最終的な決定権は閣議にあるわけですね。それは今回も余り性格に変質があるとは思っていませんが、安全保障に関する企画立案を、今まで外務省が負っていたものを、これからはNSCが負うのだというところに大きな意味があるのだと私自身は思っております。
 お答えは要りませんが、シリアの情勢というのを国会で余り議論したことがありませんね。
 かつて、一九三八年、ナチスがズデーテン地方に侵攻するという事案があったときに、イギリスのチェンバレン首相が、あれは我々にとって関係ない地域の関係ない人々の出来事であると、私は直接聞いたわけじゃないが、物の本によればそう語ったと言われている。それが、融和政策と言われることもあるけれども、結果としてヒトラーの増長というのを許したということも否定できないことだと思っています。
 オバマ大統領が、シリアに対して軍事攻撃というものを、ロシアの提案に従う形で、一時的にかどうかは知りませんが、その用意を怠ることはないと言っていますけれども、今回それを行使することはありませんでした。これは一体何を意味するものなのだろうかということでございます。
 シリアにおいて亡くなったとされる方は、もう十万人を超えている。これはボスニアの犠牲者をはるかに上回る数なわけですね。国外に逃げていく人は、もう二百万人と言われている。サダム・フセイン政権と比べて、もし世評言われることが事実あるとせば、このアサド政権が国民に対して大量破壊兵器を使ったということが事実でありとせば、今回の事の経緯というのは、決して、戦争が回避された、よかったよかったということで喜ぶ話にはならないのだろうと思っています。
 要は、大量破壊兵器を持っている、しかし、それに対していろいろな軍事介入が行われない。大量破壊兵器を持っていることが独裁者の政権というものを延命させるものだとするならば、その期間において、さらに反対勢力に対する弾圧、殺りくが行われるものだとすれば、それは決していいことだと思っていないのです。
 こういう状況を見て、では、北朝鮮ならどう考えるだろうか、あの国がこの状況をどう見ているだろうか、では、ロシアが果たした役割をほかの国が果たすとすればどうなのだろうかということまで、我々は考えなければいけないことだと思います。NSCにおいては、そういう議論もぜひしていただきたい。
 もう一つ、尖閣について、これを守るのだという強い意思が総理から常に示され、先般の本会議でも示されました。まさしくそのとおりだと思っています。しかし、そこにおいて我々がやらねばならないことは何なのだろうか。
 今の海上保安庁に、領海、領土を守るという任務は明確には与えられていない。海洋の治安を維持するという任務は与えられているが、明確にそのようなものに対処するというミッションは、海上保安庁には与えられておりません。
 そうすると、中国の船、軍艦であれ、あるいは公船であれ漁船であれ、それぞれ対応は違いますけれども、こういうような領海侵犯、領空侵犯が恒常的に行われるとすれば、それは、日米安全保障条約に言うところの、日本の施政にある領域ということ自体が揺るがされることにもなりかねないのだと思っております。
 海上保安庁の権限には限界がある。そして、能力を考えてみたときに、海上保安庁の船、本当に最大限の体制で臨んでいますが、いかんせん船が少ない。洋上給油ができませんから、油がなくなれば帰らねばならない。洋上補給の能力がなくていいのかということも論ぜられなければならないでしょう。
 さらに、法的にもっと議論されねばならないのは、それでは、海上警備行動、治安出動、これを下令したとしても、それはあくまで本質が警察権ですから、警察比例の原則というものは厳格に適用される。何で警察比例の原則というのがあるかといえば、それは憲法に基づく基本的人権の尊重というのがベースにあるからですよね。
 そうすると、我が国の領土、領空、領海を侵そうとする外国の勢力に対して本当にその憲法の精神がストレートに適用されるかといえば、そこには問題があるのではないだろうかという議論があって、では防衛出動という話になりますが、平穏裏に領空、領海、領土の占拠が行われた場合に、急迫不正の武力攻撃というふうに法的に評価できるかといえば、それはできないんでしょう。防衛出動を下令するというのはかなり困難だと思います。
 今の法律では限界がある、しかしながら防衛出動を下令することはできないとすれば、何の法律に基づいて我が国の主権を維持するかというお話、ずっと前から指摘されていることですが、私どもの努力不足もあって、まだ答えを出すに至っておりません。このことについても、NSCは答えを出していただきたいと思うんです。そのときになって、関係閣僚が集まって、困った困った、どうしようと言って六法全書を開いているようなことではどうにもならないのであって、法的にどのような手当てが必要か、能力的にどのような手当てが必要か、そういうことについて答えを出す。
 もう一つ大事なのは、そのシミュレーションを行うと同時に、訓練をきちんと行うことだと思うんです。海上保安庁任せやあるいは海上自衛隊任せではなくて、まさしく閣僚が、政治家がそこに入って、あらゆる事態に対応できるようにする、それもNSCの大きな役割だと思いますが、総理のお考えを承ります。

発言情報

speech_id: 118505261X00220131021_027

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2013-10-21

院: 衆議院

会議名: 予算委員会