安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 脇雅史議員にお答えをいたします。
 経済再生と財政健全化に向けた決意についてのお尋ねがありました。
 強い経済の再生なくして財政の再建も日本の将来もありません。経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指すことが重要です。
 我が国は長引くデフレの中で萎縮していましたが、三本の矢により景気は緩やかに回復しつつあります。もう一度力強く成長できるという未来への希望が芽生えています。この道を迷わずに進むしかないと確信をしています。やるべきことは明確であり、重要なことは、実行が伴うかどうかです。今国会において結果を出していけるよう、政府としてもしっかりと取り組んでまいります。
 国民の所得向上や労働環境の改善についてのお尋ねがありました。
 三本の矢で景気は順調に上向いてきており、経済再生への第一歩を踏み出しました。今後、成長を確かなものにし、その果実を全国津々浦々にお届けするため、経済政策パッケージを策定し、所得拡大促進税制の拡充などを盛り込んだところです。
 また、先般、政労使会議を立ち上げたところであり、賃金上昇や雇用拡大を伴う経済の好循環実現に向けた共通認識の醸成を政労使間で図ることとしています。あわせて、若者の使い捨てが疑われる企業等の問題について、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化するとともに、非正規雇用の方々のキャリアアップ等の取組を進めることにより、労働環境の改善を図ってまいります。
 今後の我が国の経済モデルについてのお尋ねがありました。
 我々が目指すべき姿は、人口減少と高齢化が進展する中にあっても、グローバル化に対応しつつ、強い日本、強い経済を実現することを通じて、全ての人々が生まれた喜びと誇りを持てる国をつくることであります。
 このため、起業、創業の精神に満ちあふれた国、若者が活躍し女性が輝く社会、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指した取組を行ってまいります。これにより、我が国経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻し、世界の中心で再び活躍できることを目指してまいります。
 外交に関する現状認識と今後の外交の基本方針についてお尋ねがありました。
 外交は、二国間関係だけを見るのではなく、地球儀を俯瞰するような観点で、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値に立脚し、戦略的に展開していく必要があると考えています。
 国連総会での演説においてもお示ししたとおり、私は、日本が国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを積極的平和主義として掲げました。
 刻々と変化する国際情勢を見極め、日本の置かれた状況を冷徹に把握し、日本の国益のため、そして地域や世界の平和と安定のため、志を同じくする諸国と連携協力していくことが重要と考えます。
 また、海洋は開かれ、安定したものでなければならず、その秩序は力ではなく法によって支配されなければなりません。戦略的利害を共有する関係国と連携しつつ、自由で開かれた海洋秩序の維持発展に努めてまいります。
 日本と中国、韓国が良好な関係を発展させていくことは、アジア太平洋地域の安定と繁栄にとり有意義と考えています。私は、何か問題があるからといって対話のドアを閉ざしてしまうのではなく、問題があるからこそ首脳レベルを含め話し合うべきと考えており、私の方からは中国、韓国に対して対話を呼びかけています。私の対話のドアは常にオープンです。中国、韓国にも同様の対応を期待します。
 日米同盟の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の不透明な軍事力の近代化や、急速に拡大、活発化する海洋進出等に見られるとおり、ますます厳しさを増しております。
 このような安全保障環境の中、日本の平和と安全を確保するためには、我が国の防衛力を適切に整備するとともに、日米安保条約を引き続き堅持することにより、米軍の前方展開を維持し、その抑止力を確保することが必要です。
 政府としては、このような認識に基づき、国家安全保障戦略の策定や防衛計画の大綱の見直し等を進めるとともに、日米安保体制の抑止力向上のため、先般の2プラス2会合の結果を踏まえ、引き続き幅広い分野で日米間の安保・防衛協力を進めていきます。
 TPP交渉に対する基本姿勢についてのお尋ねがありました。
 自由貿易の推進は我が国の対外通商政策の柱です。力強い経済成長を達成するために、TPPの実現によりアジア太平洋地域の活力を取り込むことが重要です。他方で、TPP交渉について御指摘のような懸念があることは承知をしております。我が国には息をのむほど美しい田園風景、農村の伝統文化、その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度など、世界に誇るべき国柄があり、これらの国柄を私は断固として守ってまいります。
 TPP交渉はこれから本格化します。TPP交渉では、守るべきは守り、攻めるべきは攻めていくことによって、国益にかなう最善の結果を追求してまいります。
 国土強靱化の推進についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、国土全域にわたる強靱な国づくりを推進していくことは極めて重要な課題と考えております。このため、与党から提案のあった法案の内容にある国土、経済システムの幅広い分野についての脆弱性の評価を行い、ハード、ソフトを組み合わせながら強靱な国づくりを計画的に進めてまいりたいと考えております。
 公共調達の在り方についてお尋ねがありました。
 公共調達をめぐる制度については、議員の御指摘のとおり、公正性、経済性の原則を踏まえつつ、時代の変化に対応したものであるべきと考えております。
 政府としては、自民党において議員を中心に行われている議論も踏まえつつ、見直すべきものは見直していく所存であり、調達の性格に応じた多様な発注方法の選択といったことにつきましても、関係省において引き続き検討を進めてまいります。
 汚染水問題についてのお尋ねがありました。
 福島第一原発における汚染水問題は、東京電力のみに任せるのではなく、国が前面に出て、全体の工程管理などを行うとともに、技術的難易度が高く汚染水問題解決のボトルネックとなっている事業について予備費を活用して取り組んでいるところです。
 具体的には、先般決定した汚染水問題に関する基本方針に基づき、地下水を汚染源に近づけない、汚染源を取り除く、汚染水を漏らさないという三つの基本方針の下、国として陸側遮水壁の設置や高性能な多核種除去設備の整備などの対策を実施しています。
 現場を預かり、個々の対策を実施する東京電力は、プライドを持ちつつ、これまで以上の緊張感を持って全力で取り組んでもらいたいと考えております。
 これらの汚染水対策を国と東電が一体となって確実に実施していくとともに、世界の英知を活用しつつ、予防的かつ重層的な対策を講じていくことにより、汚染水問題の解決に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
 社会保障政策についてのお尋ねがありました。
 社会保障制度については、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べることが重要です。
 急速な少子高齢化が進む中、財源を確保し、世界に誇る我が国の社会保障制度を次世代に安定的に引き渡していくためにも、若い世代の納得感が得られる全世代型の社会保障へと転換することで世代間の公平を確保していきます。
 受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の全体像、進め方を明らかにする法律案を今国会に提出したところであり、着実に改革を実施してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正については、自由民主党の憲法改正草案の発表を一つの契機として国民的な議論が始まりましたが、今後、国民の中での議論が更に深まっていくことが何より大切だと考えており、国民の皆様の理解を得ながら着実に進めてまいる所存です。
 なお、御指摘の九十六条の改正は、国会による憲法改正の提案を容易にし、国民投票で国民が判断する機会を得やすくするものと考えていますが、実際にいつ、どの条項から改正していくかについては、国民的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。
 国家公務員制度改革についてのお尋ねがありました。
 公務員には、広く世界に目を向け、国家国民のため能動的に行動することが求められています。
 今次の改革では、政権交代など近年の公務員をめぐる環境の変化も踏まえ、人事行政の公正確保への配慮をより明確にした上で、政府としての人材戦略を機動的に推進し、時代に応じた新しい公務員制度を構築することとします。こうした考え方の下、内閣人事局の設置や幹部人事の一元管理などを内容とする法案を今国会に提出したいと考えております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についてお尋ねがありました。
 今回の招致成功は、国を挙げてチームジャパンとして取り組んできた結果です。皆で力を合わせれば夢がかなう、そのことを国民の皆様とともに実感できました。
 また、マドリード、イスタンブールの皆さんが健闘されたことや、トルコのエルドアン首相が招致決定後すぐに祝福してくれたことも忘れてはならないと考えています。
 二〇二〇年の東京大会においては、世界中の一流アスリートがベストの競技をできるようにするとともに、海外から来られた方に最高のおもてなしを提供し、オリンピックの歴史に残るような大成功を収めたいと思います。
 七年後の大会の成功に向け、本院における御決議の趣旨も踏まえ、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 118515254X00220131017_006

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2013-10-17

院: 参議院

会議名: 本会議