宇都隆史の発言 (本会議)

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○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。
 私は、参議院自民党を代表して、ただいま議題となりました特定秘密の保護に関する法案等に対し質問をいたします。
 第二次安倍政権が誕生し、安全保障政策に関して、これまで止まっていた時計の針が確実に動き始めたのを日々実感いたします。日本を取り戻すことに対し、国民が強い支持をしている今こそ、主権者の代表者たる私たち国会議員は、与野党の垣根を越えて、日本の国益を守るためという一点において結束し、国家の重要法案の成立に向けて建設的な議論を重ね、その成立に全力を傾注しなければなりません。
 我々参議院自民党は、与党としての法案成立に万全を尽くすと同時に、送られてきた法案に対し、議論を通じて残された問題点を吟味し、より洗練されたものとして法案の最終的な成立を実現する使命を帯びています。残された短い会期の中での法案成立が、国民から成立ありきの拙速な審議とのそしりを受けぬよう、参議院各会派の議員の皆様にも、引き続き、建設的、積極的な国会論戦をお願い申し上げます。
 では、質問をいたします。
 本法案に対しては、海外の有識者や我が国の国民の間にもいまだ様々な不安や懸念の声があることを政府としては真摯に受け止めなければなりません。不安や懸念の根源は、なぜ現行法では不十分なのか、安全保障上の観点から本法案の成立が不可欠な理由が国民に対し説明し切れていないからではないでしょうか。
 第一に、本法案は、日本の主権や国民の安全を守るために必要不可欠であるということです。安全保障にかかわる特定の情報を政府が適切に管理することは、一見、個人の知る権利の侵害のようにも映りますが、国民全体の安全を確保するためには、情報管理に対する一定のルールと秩序が必要であるということを国民に対し正面から訴えなければなりません。
 第二に、各国から信頼され、尊敬される日本の外交を取り戻すためには、国のリーダーである総理大臣に重要な情報を集約させ、事態に応じた即時即応の国のかじ取りを行う必要があります。しかし、現行法では政治家の秘密漏えいには罰則規定がなく、国家の安全保障にかかわる重要情報は適時適切に必要とする政治家に提供されない可能性があるのが現状です。正しい文民統制を維持するためにも、主権者の代表者たる政治家に対し適切に情報が提供される必要があります。
 第三に、それぞれの行政機関において情報保全措置に差があり、互いに情報を共有し合える体制になっていないという問題です。本法案は、省庁間に共通した情報管理のルールを定めることで、情報の縦割りの垣根を取り払い、外交・安全保障政策の推進に政府一丸となって取り組めるようにするものです。
 本法案の意義を改めて総理の言葉で国民に示していただきたいと思います。
 次に、特定秘密の範囲について伺います。
 本法案に関する大きな誤解の一つは、この法案によって、これまで公開されていた一般に知り得る情報が新たに特定秘密に指定されるわけではないという点です。
 この法律で特定秘密に指定される情報は、現在でも既に各行政機関において秘密の指定がなされている情報であり、その中でも安全保障にかかわる一部を新たに特定秘密として共有化し、その保護を強化するものです。国民の懸念を払拭するためにも、国民の知る権利の範囲が今まで以上に狭められるわけではないということを国民に正しく説明する必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
 また、政府に都合の悪い情報を恣意的に指定し隠蔽を図る行為は、特定秘密を漏えいする行為と同様に罪が重いと考えますが、政府の恣意的な隠蔽に関する罰則規定等の必要性について、総理にお考えを伺います。
 次に、本法案では、特定秘密を指定できる行政機関は、原則全ての行政機関ということになっております。しかし、安全保障上必要な情報を内閣官房、防衛省、外務省、警察庁以外の行政機関が取り扱うことがあるのでしょうか。国民の中には、無秩序な特定秘密の指定を懸念する声があります。そのような心配を払拭するためにも、上記以外の省庁が扱う情報で、本案別表に該当する事項にはどのようなものがあるのか、具体的に御説明ください。
 情報管理の必要性は多くの国民が理解をしています。しかし同時に、政府が管理する秘密は一定期間を経た後に主権者たる国民に公開され、後世の検証を可能とするルールを策定することこそが、成熟した民主主義社会を維持するための基本原則であるという有識者の声も少なくありません。
 本法案の修正協議において、四条に規定する七項目に関する以外の情報は、通算六十年を超えて延長することができず、また、通算三十年を超えた延長については、内閣の承認が得られなかった場合、保存期間終了後、全て国立公文書館等に移管するとの修正がなされたことは、知る権利とのバランスを保つ上で評価に値するものと考えております。
 安全保障会議設置法案の審議の中においても、後世の検証を可能とするための議事録の作成に関しては、総理も前向きに検討する旨の答弁をなされましたが、当時代の政治家や行政職員の英知を知的財産として後世に受け継ぐ必要性とそのための手法について、総理のお考えをお聞かせください。
 本法案に反対する意見の中には、原発事故の情報が公開されなくなる、普通の人がある日突然逮捕されるといった、無知から生じる荒唐無稽な批判もありますが、日本ペンクラブの浅田次郎会長の、今は大丈夫でも、後世のカリスマ権力者にとって最大の武器となり、悪用される可能性は高いとの意見は傾聴に値すると思います。時代の権力者は、常に安倍総理のような強い正義感と深い見識に満ちたリーダーばかりとは限りません。
 本法案の第十九条では、政府は、毎年、有識者会議の意見を付して、特定秘密の指定、解除及び適性評価の実施状況について国会報告をし、公表することとの修正がなされました。行政機関の行う特定秘密の指定に対し、国権の最高機関である国会がそのチェック機能を果たすことは、専制政治から民主主義を守る上で大きな意義があると評価します。
 しかし、何が特定秘密に指定されているかのチェックに対しては、国会における保護措置、つまり秘密会の制度が確立されない限り機能はいたしません。国会における秘密会制度の確立は急務だと思われますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
 次に、知る権利と国防の責務の関係について質問をいたします。
 私は、前職の自衛官時代、権限と責任の関係を、始めから権限が存在するのではなく、その職の責任に応じて権限が与えられ、それと同時に権限と同程度の義務を負うと習いました。このことは、知る権利も同様で、生まれながらにして何人たりとも全ての情報を国から知り得るべき権利を保有しているとは考えられないのではないでしょうか。
 特に、本法案の別表に掲げられる安全保障にかかわるような情報は、それを扱う責務を有する立場の政治家や行政職員に限定して提供されるべきであり、それと同時に重い責任と義務を背負うのが当然です。情報管理の分野では、これをニード・ツー・ノウの原則とも言います。本法案二十一条において十分に配慮するとされている国民の知る権利及び報道の自由と、このニード・ツー・ノウの原則のあるべきバランスについて、総理はいかがお考えでしょうか。
 最後に、昔から、情報を制する者は世界を制すと言います。
 本法案は、我が国の国益と日本国民の安全を守るため、そして我が国が先進国の一員として世界の平和と安定に貢献するため、必要不可欠な法制度です。しかし同時に、日ごろからの情報収集・分析、政策への活用という一連のスムーズな活動がなされなければ、国の存続や地域の安定は図れません。そのためには、防衛省、外務省を中心とした情報にかかわる人的基盤を今まで以上に育成強化していく必要があります。
 本年度に策定される予定の国家安全保障戦略や防衛計画の大綱において、情報機能に対してはより具体的な事項を明記するとともに、来年度の予算策定においては、情報分野における人員の一層の拡充に対し、総理の特段の御配慮を心よりお願いを申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118515254X01020131127_007

発言者: 宇都隆史

speaker_id: 26022

日付: 2013-11-27

院: 参議院

会議名: 本会議