伊佐進一の発言 (安全保障委員会)
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○伊佐委員 一九八二年のスウェーデンの事例を挙げていただきましたが、その一九八二年の前、既に八一年の段階から、恐らく当時のソ連の潜水艦が執拗に領海侵犯を繰り返していたと言われております。
実は、その前年、一九八一年になぜそれがはっきりとしたかといいますと、ソ連の潜水艦がスウェーデンの領海内で座礁したわけです。このソ連の潜水艦は当時ウイスキー級という潜水艦でして、これはよくウイスキー・オン・ザ・ロックというふうにやゆされて言われた事件です。
このスウェーデンの事例では、先ほどおっしゃっていただいたとおりで、爆雷をもって排除したということがありました。このスウェーデンの強制措置は、何に基づいた措置だったのかということなんです。
国際法上は自衛権というものが認められているというふうにも言われておりますが、スウェーデンは実はこのときは自衛権を発動していない。なぜかというと、自衛権を発動すれば安保理にちゃんと報告をしなきゃいけない。ところが、スウェーデンは、そのときは安保理に報告をしていないわけです。つまり、彼らは自衛権として対処したわけじゃない。では、一体何に基づいて対処したのか、もしかすると国際法に違反しているのか、こういう可能性があるわけです。
実際のところは、これは、その爆雷を受けた潜水艦の国籍、ソ連かもしれませんが、そこは最終的には国連に提訴していないので、うやむやになっています。何に基づいて爆雷投下措置を行ったか。
これを我が国に置きかえて考えてみますと、例えば、我が国の領海に潜水艦が入って徘回する、退去要求にも耳をかさないということになる。このときのこのグレーゾーン、埋め方は二つしかないと思います。
一つは、まずマイナー自衛権という考え方で、つまり自衛権を発動する。法制懇の先生方の議論を聞いておりましても、例えばこういう発言があります。武力攻撃に至らない侵害でも、それが繰り返し行われて集積されれば武力攻撃とされると整理するしかない、つまり自衛権が発動できるという発言です。
しかし、先ほど申し上げましたように、当時の冷戦下で何度も何度も執拗に領海侵犯を繰り返してきた、このときでさえ、結局スウェーデンは、過去の例では自衛権という形では発動していない。
日本がこういう国際状況の中で先駆けて、グレーゾーン事案についてはマイナー自衛権、自衛権で対応するという宣言をすることは、今の状況では国際的にもかなり先進的な宣言になるのではないかと思っております。もちろん、国内的には、個別的自衛権の三要件についても、急迫不正の侵害が認められていない中で自衛権を発動するというふうな、大きなインパクトのある解釈変更になるということを指摘しておきたいと思います。
もう一つのやり方。先ほどは、このグレーゾーンを埋めるのは、自衛権を広げるか、あるいはもう一つは、国際法上の第二十五条の解釈、必要な措置はどこまで果たして認められるのか。三十二条で免除されて抜かれたとしても、どこまで認められるのかということを議論するということもあるかもしれません。
先ほど説明させていただいたとおり、この二十五条、必要な措置というのは、三十二条で、つまり沿岸国の管轄権から免除されている。日本の管轄権が及ばないので、例えば拿捕するとかあるいは立入検査をするとか、これは管轄権に基づく措置なので、こういうものは恐らく対象にならないと思います。では、例えば警告射撃はどうなのかということは、実はこの海洋法条約でははっきりとしていないわけです。
そこで質問ですが、この二十五条に定められた必要な措置、どこまで認められるかということについて、国際法上、定まった考え方があるのかどうかについて簡潔にお答えいただければと思います。