山田俊男の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○山田俊男君 ありがとうございます。会長、どうもありがとうございます。
 当デフレ調査会は、いい参考人にも恵まれまして、内容のある調査ができたというふうに……(発言する者あり)ああ、そうですね。大変失礼しました。それを取り返そうと思って言っておりまして、済みませんでした。
 私の今日の発言は、若干異質ですが、感じたことを率直に申し上げたいというふうに思います。
 今、成長戦略の一環として、一つは既得権益の岩盤を打ち砕くと。その対象に、農業、そして農業と農村地域に根を張っているJAと農業委員会が、独り立ち志向の農業者と、それと農業に参入したい企業の自由な活動を邪魔しているということで攻撃されています。
 成長戦略の一環として、もう一つはTPPの推進を進めるとされているわけです。TPPは自由な貿易の促進や企業活動の新しいルールを作る、そのことで雇用を維持し所得を拡大する、需要を高める、企業活動を増大させて国内総生産を高めていくという内容でありまして、それに抵抗するJAグループは潰すぞということらしいと新聞報道にあります。
 しかし、そこには、既得権益の岩盤と言われるものの、しかし、御案内のアジア・モンスーンの下で、高温多雨の日本の気候や風土や小さな島国の国土という制約の下で、地域の安定を維持してきたことへの配慮は全く考慮されていないのではないかと、こう思うわけです。
 ところが、既得権益の岩盤と言われるものが実は地域の共同と安定を維持してきていた。家族も二世代にとどまらず三世代家族で支え合っていた、今もいます。無駄がいっぱいあるのだろうし、給与も低いのだろうが、家族のみんなが働いて家族の役割を果たし、全体として所得も確保しているわけです。行っている農業も零細な米作り等で、これら小規模家族農業を束ねる形でJA等が無駄の多い共同販売や直売所などを運営し、それから中山間地、条件不利地域での金融サービスも兼営しながら何とか経営を維持しているということがあると思います。
 新大陸型の大規模農業や野菜工場や企業によるプランテーション等の合理的企業経営に比べて、今の状態は革新や世界への挑戦などということも十分にはできていないと、こう言わざるを得ないと思います。
 しかし、それら地域の営みは、成長に貢献していないかもしれないけれども、暮らしやすさでは日本一なわけであります。近年問題になりました、親を死なせながら葬式もしなくて放置していたということはないわけです。それも極めて数は少ないわけですね。地域の皆でその死をみんな送っているわけです。
 ところが、産業競争力会議や規制改革会議で議論されているのは、既得権益にしがみついているJAや農業委員会は小規模零細な農業の現状に甘んじ改革の能力はないとして、これを廃止し、意欲ある農業者や企業に取って代わらせるという議論になっています。
 また、農地の権利移転をこれまでのような許可制でなく届出制にするということでありました。何が起こるのか。我が国の長い歴史の中で積み上げられてきた、我が国の私有財産制の基礎となってきた農地の所有や利用関係は一気に乱れる。日本を壊し、混乱を重ねるだけではないかというふうに思います。
 ちなみに、単純に比較できないんだけれども、米国やヨーロッパでは、長い歴史の中で家族農業を基本にして、いたずらな企業の農業参入は制約されています。国や州によっては完全に禁止しているところもあります。日本はどこに向かおうとするのかということなんです。
 農村地域が、住みよさ、それから暮らしよさ、そして多世代家族の下で、出生率は二・八です。しかし、大都市は〇・八なんです。農村は介護も家族で行う比率も高くて、必ずしも高所得でないし豊かでもないけれども、幸せな生活を送る安定した地域になっています。
 まとめですが、デフレ克服の政策は、遅れているとか競争力がないとかの理由で競争を促す、岩盤を打ち破るというのでなくて、農村地域から学んだ着実な取組と政策の推進が必要じゃないのかと、こんなふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 山田俊男

speaker_id: 31991

日付: 2014-05-21

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会