安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 溝手顕正議員にお答えをいたします。
 まず、初夢についてお尋ねがありました。
 初夢を話しいる間に忘れけりと申します。今年のお正月は、どんな夢を見たかを忘れるぐらいぐっすりと眠ることができました。十分な休養を取ることができたのではないかと思います。心機一転、全力で国政に当たってまいります。
 溝手会長におかれましては、同じうま年生まれの年男として、いかなる障害も駿馬のごとく一緒に乗り越えていきたいと思います。なお一層の御理解と御支援をお願いを申し上げる次第でございます。
 就任一年余りの政権運営の評価と今年一年間の展望についてお尋ねがありました。
 一年前を振り返れば、遅れる復興、長引く経済の低迷、教育の危機、さらには外交上の地位の低下、日本は数々の危機に直面をしていました。言わばノーアウト満塁でマウンドに立った私は、三本の矢の政策を始め、私の信じる球を目いっぱい投げ込んでまいりました。
 一年がたち、景気回復の裾野は着実に広がっています。復興も一歩一歩進んでいます。今年のダボス会議では、オープニングの基調講演に日本の総理大臣として初めて招待されました。今や日本の復活に世界が注目しています。これも、溝手会長を始め自民党、公明党による強固な連立与党の御支援と御協力のたまものであり、是々非々の考え方の下、政策協議に応じてくださった責任野党の皆様のおかげであります。そして、何よりも安倍政権を支えてくださった国民の皆様のおかげでございます。改めて、この場をお借りいたしまして御礼を申し上げたいと思います。
 ノーアウト満塁の危機は何とか乗り越えることができました。今年は攻守交代であります。デフレからの脱却、復興の更なる加速化、教育の再生、外交・安全保障政策の立て直しに向けて攻める番であります。まずは、景気回復の実感を全国津々浦々に至るまで収入アップという形で届け、経済の好循環の実現を目指してまいります。日本を取り戻すため、溝手会長を始め皆様の御協力を改めてお願い申し上げます。
 政府の経済成長予測と民間予測との差についてのお尋ねがありました。
 平成二十六年度の経済については、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減に留意が必要です。しかし、好循環実現のための経済対策や政労使の取組など各種施策の推進等により、年度を通じて見れば、二十五年度に続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれると考えております。この結果、二十六年度の実質GDP成長率は一・四%程度、名目成長率は三・三%程度となると見込んでいます。
 御指摘のとおり、民間機関の平均的な見方は政府より低めの見込みとなっていると承知していますが、政府としては、経済の好循環が徐々に実現していくことで、このような成長率になると見込んでおります。
 消費税引上げに伴う対策についてのお尋ねがありました。
 本年四月に消費税率が引き上げられた後も我が国経済が持続的な成長を確保するためには、企業収益の拡大を賃金上昇につなげ、これを個人消費の増加につなげる経済の好循環を実現していくことが重要であります。
 具体的な賃金の水準は個別労使間の交渉を通じて決定されるものでありますが、昨年末に取りまとめられた政労使会議における共通認識も踏まえ、今後、労使間で真摯な議論が行われ、賃金上昇が幅広く実現するものと期待しています。私たちの政策で初めて賃上げの機運が盛り上がってきました。この道しかありません。
 また、消費税率引上げの中小企業への影響を抑えるため、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保することが重要であります。今後も、転嫁拒否等に対する監視、取締りや事業者等に対する指導、周知徹底等に努め、政府一丸となって万全の転嫁対策を講じてまいります。
 消費税率引上げによる増収分は、全額社会保障に充てることとしております。こうした点について、国民の皆様に御理解いただけるよう、政府として引き続き丁寧に説明してまいります。
 住民税の課税範囲の在り方及び若い世代が希望を持てる社会についてのお尋ねがありました。
 政府としては、デフレ脱却・経済再生に向け、企業収益が雇用拡大や所得上昇につながる経済の好循環を実現し、若い世代を含め、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 また、社会保障制度については、急速な少子高齢化が進む中、子ども・子育て支援を充実するなど、若い世代の納得感が得られる全世代型の社会保障へと転換することで、世代間の公平を確保しながら、世界に冠たる制度をしっかり次世代に引き渡してまいります。
 個人住民税の課税範囲は、地域社会の費用について、住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うことを基本とし、低所得者への影響にも留意しつつ決められているところであり、今後ともこうした考え方に基づき対応してまいります。
 財政再建に向けた決意についてお尋ねがありました。
 政府としては、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでおります。平成二十六年度予算においては、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現し、新規国債発行を一・六兆円減額するなど、財政健全化に向けて着実に前進してまいります。
 引き続き、二〇一五年度における国、地方の基礎的財政収支の赤字対GDP比半減、二〇二〇年度における黒字化目標の達成に向けて、歳出歳入両面の取組を強力に進めてまいります。
 安倍政権の成長戦略に関するお尋ねがありました。
 日本のイノベーションを支えてきたのは、大企業の厳しい要求に高い技術力で応えてきた中小・小規模事業者です。こうした中小・小規模事業者支援策として、ものづくり補助金を商業、サービス業にも広げるとともに、中小企業投資促進税制を拡充します。あわせて、個人保証偏重の慣行を改めてまいります。
 外国人にとってもビジネスをしやすい環境をつくるとの観点からは、世界で一番企業が活動しやすい国を実現し、対日直接投資を促進していくことが重要です。先般の経済財政諮問会議において、私から甘利大臣に対し、外国企業の意見も聞きつつ、課題を整理するよう指示したところであります。
 また、御指摘のとおり、景気回復の実感を賃金上昇の形で国民の皆様に届けることが重要です。これまでに、所得拡大促進税制の拡充を決定するとともに、政労使会議において、労使は企業収益の拡大を賃金上昇につなげていくとの共通の認識を醸成することができました。
 具体的な賃金の水準は個別労使間の交渉を通じて決定されるものでありますが、今後は、こうした共通認識を踏まえ、労使間で賃上げの実現に向けた十分な議論が行われ、賃金上昇が幅広く実現するものと期待しています。
 貿易赤字、経常赤字についてのお尋ねがありました。
 貿易収支や経常収支は、世界経済の動向、その他様々な要因により影響を受けるものであり、これらの動向については、その背景を含め慎重に見極めていく必要があると考えております。
 確かに、このところの我が国の貿易収支は燃料輸入の増大などにより赤字が続いておりますが、政府としては、この状態が恒常化するとの見通しは現在持っておりません。一時的なショックや外的なショックがあった場合でも、持続的に成長する強い経済を実現することが重要であり、デフレ脱却・経済再生に向けた取組を鋭意進めてまいります。
 原発再稼働に関するお尋ねがありました。
 国民生活と経済活動を支える、責任あるエネルギー政策を構築することが何よりも重要です。電気が足りているとの指摘もありますが、これは、発電所の定期検査の繰延べや老朽火力発電をフル稼働させた結果であり、電力需給は予断を許さない状態が続いていると考えます。
 また、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が、第一次石油ショック当時よりも高いという現実から目をそらすわけにはいきません。資源のない日本は、昨年、化石燃料の輸入に二十七・四兆円も支払っており、原発がないことにより三・六兆円も多く支払っております。また、中東情勢が不安定になれば、たちまち石油価格が暴騰し、供給停止もあり得ます。
 福島の事故も経験し、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然であります。福島の事故の教訓を踏まえ、安全を確保することが大前提です。その前提の下、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の安全基準に基づいて徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断していくこととする方針であります。
 近年のエネルギー環境の変化についてお尋ねがありました。
 北米に端を発したシェール革命は、経済成長や産業構造に大きな影響を与えるとともに、国際的なエネルギーの需給構造をも大きく変化させようとしています。こうした変化に対応するため、縦割りを超えて、政府を挙げた戦略的な取組が必要です。こうした観点から、政府全体の中長期的なエネルギー政策の方針を示すため、与党ともしっかり調整した上で、エネルギー基本計画を決定してまいります。
 人口減少下における生活インフラの集約化、効率化についてのお尋ねがありました。
 地方の活性化は安倍内閣にとって最重要のテーマであり、人口減少が進む中においても元気な地方をつくっていく必要があります。このため、地域の中心部への医療や福祉施設等の誘導により生活機能の集約を進めるとともに、それと連携した公共交通の再生を推進することで、インフラ整備・維持の効率化を図りながら町全体の活性化につなげてまいります。
 法人課税の改革と地方財政への影響についてのお尋ねがありました。
 本年、更なる法人税改革に着手するに当たっては、法人税の三四%が地方交付税の原資となっていることを踏まえ、地方の安定的な財政運営の確保の観点も勘案して、しっかりと検討してまいります。
 規範意識の育成、我が国の歴史や文化の教育についてお尋ねがありました。
 規範意識や道徳心の育成については、道徳を特別の教科として位置付け、道徳教育の目標、内容の見直しや教員養成の充実など、抜本的な改善、充実を図ってまいります。
 また、高等学校における日本史の必修化については、日本人としてのアイデンティティー、日本の歴史と文化に対する教養などを備え、グローバルに活躍できる人材を育成する観点から検討を進めてまいります。
 さらに、日本文化に関する教育については、改正教育基本法を踏まえ、教育課程の改善を図ったところですが、来年度から全国の小中学校に配付する道徳教材に年中行事や風習、食文化についても盛り込むなど、一層の充実を図ってまいります。
 教育委員会や学校の改革についてお尋ねがありました。
 昨年四月の教育再生実行会議の提言においては、教育長を地方教育行政の責任者と明確に位置付けるとともに、教育の政治中立性や継続性、安定性を確保するための制度上の措置を講ずることとされています。この提言等を踏まえ、与党の御意見もいただきながら、責任の所在が曖昧な現行の教育委員会制度を抜本的に改革してまいります。
 また、この提言においては、教育行政や学校の閉鎖性を改め、社会総掛かりで教育再生を実行していくこととされています。これを踏まえ、教育委員会と首長部局との交流人事等を推進するとともに、学校に関する情報の積極的発信や学校運営への地域住民の参画など、学校と地域の連携を進めてまいります。
 憲法改正に向けた具体的な進め方についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、二十一世紀にふさわしいあるべき憲法の姿を憲法改正草案として発表し、広く国民に憲法改正を訴えてきました。これを一つの契機として国民的な議論が始まったものと認識しております。
 今後、まずは、言わば憲法改正の土俵とも言える国民投票制度について、その残された宿題を解決し、その上で、国民的な議論の深まりや憲法審査会における検討を踏まえ、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでまいりたいと考えております。
 普天間飛行場の移転についてお尋ねがありました。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは、安倍内閣の基本的な考え方であり、政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
 政府としては、引き続き、地元の皆様の御理解を求めながら、速やかな返還に向けて取り組みます。同時に、移設までの間の危険性除去が極めて重要な課題であり、オスプレイの訓練移転など、沖縄県外における努力を十二分に行います。沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、できることは全て行うとの姿勢で基地負担の軽減に取り組んでまいります。
 新しい日本を先頭に立って実現していく決意についてお尋ねがありました。
 私は、政治家として大きな挫折を経験しました。だからこそ、私は、再び総理大臣として、日本のために全てをささげる覚悟であります。
 日本は、現在、少子高齢化を始め困難な課題に直面しています。成熟した日本が改革を進める、これは大いなる挑戦であります。しかし、日本の先人たちは、欧米列強が迫る焦燥感の中で見事に明治維新を成し遂げ、さらに、戦後の焼け野原から高度成長を実現しました。日本なら必ずやできるはずであります。その大きな自信を胸に、私は先頭に立って、二〇二〇年をチャンスとして、その先を見据えた新しい日本を切り開いてまいります。
 以上であります。(拍手)

発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2014-01-29

院: 参議院

会議名: 本会議