森雅志の発言 (地方創生に関する特別委員会)
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○森参考人 おはようございます。
きょうは、大切なお時間にお呼びをいただきまして、大変光栄に思っております。委員長の方からお許しをいただきましたので、十五分程度、所感を述べさせていただきたいと思います。
そうは申せ、地方創生と最近言われています地方の活性化ということについては、各先生方の方がよっぽど御認識が深くて、釈迦に説法みたいなお話になりますが、お許しをいただきたいと思います。
人口減少の問題が大変大きな課題だと思って、十二年ほど前からいろいろな形で富山市は取り組んでまいりました。
端的にわかりやすい例でいいますと、恐らく、東京で働いて、御結婚されて、夫婦でダブルインカムがあるとしても、二LDKを買うのが精いっぱいなんだろうというふうに思います。そもそも、商品が売られていないのではないか。一億を超えないと、三LDKとか四LDKにならないんだろうと思います。それでは夫婦の寝室と子供部屋が一部屋しかないわけですから、それで子供を三人、二人といっても、どだい無理な話だと思っていまして、同じ価格で、例えば地方都市ですと、私どもの市ですと四LDKぐらいが取得できる、こういうことに着目していくことが大変大事だと思っています。
ただし、それでは、部屋さえあればそれで人は来るのかというと、決してそんなことはないわけですので、何といっても、雇用をどうつくっていくかということだろうと思っております。
この雇用をつくるということについて、企業経営者の多くの方、特に大手の企業の多くの方とこの十年、いろいろなお話をしてまいりましたが、ポイントは、単身赴任ばかりが行くような都市には魅力がない、家族が一緒にシフトしてくれるような町をつくってほしいということを強く言われております。
東京に本店のある企業の社員が北陸支社へ転勤を命じられたときに、金沢だと奥さんも一緒に行くけれども、富山だとお父さん一人で行きなさい、そういう町をつくっていたのではだめなんだ、こういう思いで、特に御家族、奥様、配偶者の方から魅力があるねと言われるような町をつくろうということで腐心をしてまいりました。
結局、人が居住を考えるときの要素としてどういう要素を考えるかというと、さまざまにありますが、教育水準、福祉の水準、文化度、安全、犯罪が少ない、生活保護率が低い、災害が少ない、そういうさまざまな面での総合力を高めていくことこそが大事だ、こういう認識でまちづくりに取り組んでまいりました。特に、地方都市にとって、文化というのは非常に大事だというふうに思っております。
増田リポートで言うところの、人口のダムというような議論にのっとって言えば、中山間地で仕事をつくることも大変大事な取り組みではありますが、これで抜本的に地方からの人口流出をとめることは無理だと思っています。例えば、北海道の人口を各都市、旭川も釧路も根室も函館も頑張って、そこに雇用をつくるということと同時に、札幌の魅力を高めていくことが大変大事だというふうに思っております。
例えて言えば、札幌や仙台ではGLAYのコンサートができますけれども、富山や金沢ではできません。しかし、富山や金沢であっても、山下達郎さんのコンサートを毎年やれるような、そういう文化性みたいなものをつくっていくことが中核都市としての町の魅力を高めることだろうと思っています。
そこで、金沢や富山は頑張って北陸の人口流出というものをその北陸の中でとめていく、富山県の中で富山市が頑張っていく、そういう取り組みをしていくことが大変大事ではないかというふうに思っております。
例えば、富山市は、十二年ほど前から公共交通に積極的に公費投入をして、公共交通を使い勝手のいいものにする、そして公共交通の沿線に人を緩やかに誘導する。これは補助金を出しております。駅から五百メートル以内に質のいい居住環境をつくった人には補助金を出す、六百メートルの人には出さないという大変不公平感あふれる施策をやってきましたが、結果的に、富山市の中心市街地は、これで七年連続転入超過となっておりますし、富山市自体の人口も六年連続転入超過です。
しかしながら、死亡と出生の差を埋めることにまで至っておりません。平成二十四年度の数値でいいますと、全国の人口減少率は〇・二一%です。富山県の人口減少率は〇・五四%ですが、富山市は〇・二%にとどまることができました。社会的動態をプラスにするということをまず第一の目標にしながら、これからも、これをぶれずにやっていくことが必要なのかなというふうに思っております。
加えて、先般の県の地価調査で、二十二年ぶりに富山市の平均地価が上昇しました。地価を落とさない、できれば上昇させるということは、地方行政の財政運営にとって大変重要なことです。
リーマン・ショック以後、法人市民税も個人市民税も総額が落ちていますので、相対的に固定資産税と都市計画税の重みが増しております。こういう中で地価が下がるということは財政構造をますます硬直化させていくということになりますので、地価が上昇気流になってきたということは大変いいことだと思っていますし、個人にしてみても資産価値が上がるということですので、ここをしっかりやっていかなきゃいけない。民間の投資を呼び込むようなまちづくり、施策というものをしっかりやっていくということが大事だというふうに認識しております。
その際に、私たちの取り組みは、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを標榜しながら、歩行歩数を伸ばし元気な高齢者をつくる、さまざまな形で、気がついたら歩いている都市構造、そういうものを同時に進めてまいりました。
先月号の「プレジデント」に、富山市の高齢者はなぜ死ぬまで歩くのかというショッキングなタイトルの記事が出ましたが、県全体の平均値は、国が発表されている平均値よりも一人平均千三百歩ぐらい多く歩いているというデータもとれましたので、こういうことをしっかり、ICTを使ってもっと緻密な数字を出していくことが大変大事だと思っています。
この健康寿命を延ばすということがこれからの地方都市にとって大変大事なことで、医療費、介護保険費をどう抑えるかという点でこれを進めていく。そういう議論をしていくことによって、交通政策に公費投入することの妥当性は、単に移動の効果だけではなくて、市民生活そのもの、市の財政運営そのものにかかわる大きな全体的な利益、ベネフィットをもたらすものだという議論ができるというふうに思っています。
ぜひ、これからも、さまざまな取り組み、各省庁にまたがるようなさまざまな施策をパッケージで考え、パッケージで提案していきたい、このように思っています。この地方創生の取り組みの中で、ぜひ、パッケージで捉えていただいて、省庁横断的な評価をしていただいて、独自の施策が十分に生かせるような形で交付金などをつくっていただければ大変ありがたいというふうに思っています。やはり内閣府に予算がないと機動性が発揮できないと思いますので、そういう交付金について御検討いただければ大変ありがたい、このように思っております。
先般読みました本におもしろい言葉がありまして、戦前の海軍中将大西滝治郎という人の言葉ですが、日本海軍は全力で日本陸軍と戦い、余力で米軍と戦っている。つまり、セクショナリズムということを打破していくことがいかに大切か、それをやらないと戦略性は出てこないというふうに思っていますので、ぜひお願いしたいと思っています。
さらに、ここからは言うべきかどうか迷っているんですが、最近の各省庁で創設されています交付金の多くは、都道府県に渡っています。都道府県が自由度の高い交付金を持っているというのは、基礎自治体から見ると、よりブラックボックス化しているという気配がありますので、ぜひ、さまざまな制度について、直接基礎自治体に届くような交付金制度という点で考えていただければ大変ありがたい、このように思っています。
いずれにしましても、きょうまでのところ、かなり大胆な、見ようによっては不公平感も漂うような取り組みをやってまいりました。かつての人口が右肩上がりの時代にはそうであってよかった、例えば市域全体に平均的で平準的な同じようなサービスを提供する、そういう時代はもう過ぎ去ったと思っていますので、地域特性に着目をして、その特性を生かす、伸ばすために、めり張りのきいた、温度差もあってもいい、そういうさまざまな施策を展開していく、そこがこれからの地方自治体、基礎自治体にとって大変大事な視点ではないかというふうに思っています。
加えて、福祉の担当が福祉の領域で物を見るということでとどまっていてはだめなのだと思います。先ほど、気がついたら歩いている町と申し上げましたが、これは健康寿命をつくるための取り組みですけれども、交通の部門も都市計画の部門も農政の部門も教育委員会も、そういう各セクションが一緒になってチームを組んで仕事をやっていく、そういう時代に入ってきていると思っています。
不公平感が若干感じられるとしても、市域全体にとって必ず税で還流してくるということだと思っていますので、全ては将来市民全体の利益につながる、このような思いで、これまで進めてまいりましたことを、これからもぶれずにやっていきたいと思っておりますので、ぜひ、いろいろな面で、制度論、あるいは交付金、補助金その他財政的な面からもお支えをいただければということをお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。(拍手)