小西洋之の発言 (憲法審査会)

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○小西洋之君 民主党の小西洋之でございます。
 我が党は、二〇一三年二月の新綱領において、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神を具現化する、自由と民主主義に立脚した真の立憲主義を確立する等を規定し、こうした考え方の下、二〇〇五年にまとめた憲法提言について議論を深めるなどしてまいりました。
 一方で、立憲主義と憲法の三大基本原理の趣旨を踏まえ、本審査会の在り方を考えるときに、我々立法府が議院内閣制の下、その存在意義の全てを懸けて直ちに取り組むべき課題は、集団的自衛権行使を容認した憲法九条の解釈変更であります。安倍内閣は、この七・一閣議決定について何ら立憲主義に反するものではなく、また、平和主義をいささかも変更するものではない旨主張していますが、それが実は無限定かつ歯止めなきものであり、そうした改憲を可能にしたからくりの存在が国会審議を通じ明らかになっています。
 からくりの第一は、実は集団的自衛権の行使が必要不可欠であり、そのための解釈変更が必要不可欠であることの根拠である、いわゆる立法事実が存在しないことです。日本国民の生命が危険にさらされる場合に、それを救うための必要最小限度の武力行使のみは許容されるという憲法九条解釈の基本論理の下、集団的自衛権の行使を可能にするためには、その全ての大前提として、一、我が国に武力攻撃が発生していない集団的自衛権の状況にあるにもかかわらず、その生命を失うことになる日本国民の存在と、二、それを救うためには外交等や個別的自衛権の行使では不可能で、集団的自衛権の行使以外に手段がないこと、この二つの社会的事実の存在が立証される必要があります。
 この六十年以上にわたり歴代内閣があり得ないとしてきた集団的自衛権行使の目的の必要性及び手段の合理性、すなわち立法事実の存在について、恐るべきことに内閣法制局長官は何の審査もしていないと国会答弁し、かつ国家安全保障局も何の審査資料も作成していないと説明をしています。
 もし、こうした立法事実が存在しないのであれば、そもそも解釈変更の必要すらないことになり、逆に言えば、このように根拠もなく新しい法規範が作れるのであれば、それは我が国が法の支配を失うことを意味します。つまり、自衛隊員は実は命を守るべき日本国民が存在しないのに集団的自衛権の戦闘で戦死を強いられることになり、また一般国民もその反撃により理由もなく命を落とすことになるのでございます。すなわち、まさに国家権力による立憲主義の否定となるのであります。
 なお、立法事実とは単なる観念上の想定では足りず、確実な根拠に基づく合理的な判断でなければならない旨明確に指摘し、立法事実の不存在を理由とした有名な最高裁薬事法違憲判決は、閣議決定に基づく自衛隊法改正等に際し、我々立法府にこの上なく重い課題を突き付けているのであります。
 次に、閣議決定のもう一つのからくりは、安倍内閣が継承したと称する憲法九条解釈の基本的な論理から実は最も重要な平和主義の法理が切り捨てられていることです。その証拠に、閣議決定においては、一九七二年政府見解に明示されている、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないという文言が丸ごと削除されています。そもそも、憲法九条解釈の指針としての効力を有する憲法前文の平和主義の三つの法理は、全世界の国民に確認された平和的生存権の規定など、そのどれもが他国防衛のための先制攻撃である集団的自衛権の行使とは本質的に相矛盾し、これを真っ向から否定する法理となっているのであります。
 実は、我が参議院憲法審査会においては、主権者国民のために閣議決定の強行を阻止するための強力な措置が講じられていました。それは、六月十一日、改正国民投票法附帯決議第四項から第六項であり、そこには、政府が憲法解釈の変更を行う際には、事前に解釈の変更の案、すなわち七・一閣議決定の最終案そのものについて、その論理的整合性等につき十分な国会審議を受けることが明記されていました。この国権の最高機関の委員会決議を安倍内閣は真っ正面から否定し、閣議決定を強行したことは誰の目にも明らかな厳然たる事実であります。もし事前の国会審議があったならば、我々立法府の力により閣議決定は法令解釈の名にすら値しない暴挙としてこれを阻止することができたものと確信いたします。
 この点、七・一閣議決定に対し、本附帯決議第一項及び第二項により、立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づいて今後徹底的に審議を尽くすことこそが、まさに日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うことを任務とする我が審査会が国民のために自ら担った崇高なる使命であって、この全うこそが我が憲法審査会が立法府における立憲主義と法の支配のとりでとしてその権威を保持していく唯一の道であることを会長及び同僚委員の皆様に心よりお訴えさせていただき、私からの見解の表明とさせていただきます。

発言情報

speech_id: 118714183X00220141022_004

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2014-10-22

院: 参議院

会議名: 憲法審査会