武見敬三の発言 (国の統治機構に関する調査会)
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○武見敬三君 それでは、先般行われました海外派遣につきまして報告をいたします。
平成二十六年度重要事項調査第一班は、英国及びドイツ連邦共和国における議会制度、行政府、地方制度等統治機構に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、去る七月二十一日から二十七日までの七日間、英国及びドイツ連邦共和国を訪問いたしました。派遣議員団は、私を団長とし、島尻安伊子議員、風間直樹議員、松沢成文議員の四名でございます。
続いて、調査の概要について申し上げます。
まず英国では、上院事務局から、最高裁判所の創設について説明を聴取しました。最高裁の機能は二〇〇九年まで英国上院の上訴委員会が担っており、議会、政府、裁判所という三権の明確な分離がなく、国民からは議会が司法に干渉しているとの誤解を受け、欧州評議会からは独立した新たな最高裁の設置を求める勧告がなされたことを理由として、最高裁が上院から独立して設置された経緯等の説明がありました。
次に、ウルマー英国上院議員及びボーネス英国上院議員と委任立法の審査制度について意見交換を行いました。英国では上院の役割の一つが委任立法の審査であり、委任立法が議会制定法の意図に沿っているのかいないのかの審査を行うこと、委任立法の増加に伴う官僚機構の肥大化の抑制が必要との問題意識は英国にも存在するが、議会と政府はコミュニケーションが取れており、委任立法が上院へ提出されるまでの過程で修正されることも多い等の説明がありました。
次に、下院事務局から、二〇一一年に成立した議会任期固定法について説明を聴取しました。現在の保守党と自由民主党の連立政権時の政策合意を受けて成立したもので、議会任期を五年に固定するものであること、この法律の目的は連立政権の安定であり、首相の自由な解散権を制約することで政府と野党の関係を公平にしたとして肯定的に捉えられていること、計画的政策立案が容易となり政治が効率的になったと評価されていること等の説明がありました。
次に、前スコットランド首席大臣であるマコーネル英国上院議員と、九月に控えていたスコットランド独立を問う住民投票等について意見交換を行いました。独立への動きの背景について、スコットランドの人々には強いアイデンティティーや政治に対する不信感があると考えられること、独立がもたらす影響について、英国経済に大きな打撃を与えるだけでなく、EUから英国が離脱する可能性が高まること等の説明があり、マコーネル議員自身の信念として、スコットランドが英国にとどまり強い存在として中央集権でもなく独立でもない立場を実現し、グローバルな問題についても英国に影響を与えつつ貢献していくことが重要であるとの考えが示されました。
次に、スコットランド議会を訪問しました。同議会は、一九九七年の住民投票で設置が決定し、一九九九年に議員選挙が行われた後、一院制の議会として約三百年ぶりに開設されたことのほか、首席大臣への質疑方法等について説明がありました。
次に、スコットランド政府当局から、権限移譲、予算制度等について説明を聴取しました。同政府は、英国議会で制定されたスコットランド法に基づき移譲された権限に関して行政を執行しているが、その大半が英国からの包括補助金で賄われていること、その補助金の算出方式がスコットランドの人口に比して優遇されていることから、その方式の廃止を主張する声があること等の説明がありました。
続いて訪れたドイツ連邦共和国では、まず連邦首相府当局から、連邦と州の役割分担等について説明を聴取しました。連邦政府と州の関係については、一九四九年の基本法制定の際に各州の代表者も含めた憲法制定委員会で草案が作られたこと、ナチス政権が従来の連邦制を廃止して中央集権型にしたことへの反省等を背景として連邦制が採用されたこと、連邦政府と州の関係に対する国民の評価は、州間の財政調整について一部批判はあるが、おおむね満足が示されている等の説明がありました。
次に、連邦参議院事務局から、州による連邦の立法過程への関与について説明を聴取しました。州の投票行動については、本会議では各州がその規模に応じて三票から六票の表決権を持っているが、全員が同じ投票行動を取らなければならず、連立政権で議案に対する賛否を州として統一できない場合には棄権するのが通常であること、過去に賛否を統一できない州が棄権しなかった例があり、一旦法案が成立したがその後表決の扱いについて裁判となり、立法が無効とされたとの説明がありました。
次に、バルトケ連邦議会議員と日独両国の社会福祉政策の取組、連邦参議院の在り方等について意見交換を行いました。社会福祉政策の取組については、両国とも高齢化が進展し、そのため介護専門職の育成・確保が今後の大きな課題であるという認識で一致しました。また、連邦参議院の在り方については、連邦議会との間でねじれ状態が続いてきたものの、ドイツ人は議論を好む国民性であり、調整が図られることで両院制は円滑に機能している等の見解が示されました。
次に、連邦議会事務局から、議会による政府統制等について説明を聴取しました。現在、ドイツは大連立政権であり、政府に対する統制が重要とされていること、統制は様々な手段で実施され、その対象は三権分立原則に係る事項を除き、外交・防衛等も含む政府の全ての事務とされていること、情報機関に対する統制も重要な役割であり、議会の情報収集と行政権限のバランスを図るため、非公開の特別委員会が設けられていること、また、議会による行政統制が強力である理由は、基本法に全ての国家権力が国民に由来する旨規定されているためである等の説明がありました。
最後に、ベルリン州首相府当局から、各州間の関係等について説明を聴取しました。ドイツの統治機構においては、連邦と州、各州間の二つの調整が求められること、基本法に基づくものとして連邦参議院があり、一方、行政実務として主に各州間で定期的閣僚会議が実施されていること、各州から連邦への働きかけは連邦参議院で提案を行うが、過半数の同意が見込めない場合には他州との合意形成を図ること、州間の意見調整については、事前に同じ政党が政権を担う州間で連携を図り、その後、他党が政権を担う州と調整を行う等の説明がありました。
以上が調査の概要でありますが、最後に、今般の調査に際し御尽力いただいた訪問先及び在外公館の関係各位に対し、深く感謝の意を表しまして、報告を終わります。
以上です。