高井昌史の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(高井昌史君) おはようございます。高井でございます。意見を述べさせていただく機会をいただき、ありがとうございます。
 このインターネット上での越境取引に対する消費税課税の問題につきましては、長年、その是正を訴えてまいりました。出版関係団体が集まりました海外事業者に公平な課税適用を求める協議会の副会長も務めさせていただいている立場の人間として、こうして国会の場で議論をしていただけることに出版界を代表してまず感謝いたします。
 早速、本法案につきまして意見を述べさせていただきます。
 まず、第一項で述べられております「消費税制度における役務の提供が国内において行われたかどうかの判定に係る基準について、必要な見直しを行うものとする。」という点は、全く賛成でございます。
 お手元の資料の二ページ目を御覧ください。
 現在、電子書籍を購入するためのウエブサイトを御覧いただきますと、このように表示されております。同じタイトルなのですが、海外から配信されているストアでは千二百円で購入することができます。一方、国内のサーバーで配信しているストア、実は弊社のストアでございますが、千二百九十六円となっております。この九十六円の差は、本体価千二百円とありますように、消費税額に相当します。さらに、この海外事業者のサイトを拝見しますと、電子書籍や音楽ファイル、ダウンロード版パソコンソフトなどには消費税が課税されませんとうたわれております。同じ商品が、なぜ一方は消費税が課税され、一方は課税されないのでしょうか。その理由が内外判定なのです。
 消費税の課税四原則の第一は国内取引であることとなっております。そこで、国内取引であるかどうかの基準が問題となります。形のある物品の売買や実際に人間が関与する役務の提供などは分かりやすいのですが、インターネット上で行われるコンテンツの提供などは、そのサービスが行われた場所が明らかでないものとされております。その場合は、役務を提供する側の事務所などの所在地が内外判定の基準とされております。このため、海外から配信されているストアでは消費税が課税されないのです。
 今年四月に開催されましたOECD消費税グローバルフォーラムでも消費地課税の原則が提唱されており、本法案においても、そうした原則に従って内外判定基準の見直しが行われることに賛成する次第でございます。
 さらに、電子書籍は紙の書籍と異なり非再販商品とされております。先ほどのストアの表示でも、定価という表示はなく、販売価格のみ表示されています。消費者にとって二つのストアの価格の差が消費税の課税によるものであることすら分からない状態です。価格に敏感な消費者にとって、この価格差がストアの選択に大きな影響を与えることは否定できません。このことは経済活動に対する税の公平性が損なわれていると言ってよろしいかと存じます。
 資料の四ページを御覧ください。
 これは、さきの政府税調で示されました越境取引の市場規模を示したものです。一昨年の数字ですが、電子書籍市場では市場のおよそ半分を海外事業者による越境取引が占めていると推計されております。この電子書籍ですが、不況と言われる出版業界にあって数少ない拡大基調にある市場です。昨年はほぼ一千億円に達し、本年も順調に増えていると予測されます。
 しかしながら、国内事業者は苦戦しております。全てが消費税の所為とは申しませんが、大きな要因の一つであると考えます。限られた利益の中で、消費税額の八%、さらに一〇%という数字は決して小さな数字ではありません。このままの状態が放置された場合、早晩、国内事業者は電子書籍事業から撤退するか海外に事業拠点を移転するしかありません。海外に拠点を移すといっても、単に配信サーバーを移転するだけでは認められないのではないかと言われており、事業全体を海外法人化して移転するしかありません。こうした事態は他の産業でも想定されますから、国内産業の空洞化を招き、結果として税収減や雇用減といった結果を招くおそれがあります。
 さらに、電子書籍が市場に占める割合が大きくなれば、出版産業全体に及ぼす影響も増大します。海外プラットフォーマーが市場を独占することには大きな懸念を持っております。資本の論理が市場を支配し、利益を生み出さなくなったら切り捨てられるかもしれないといった状況に、日本の出版文化を委ねることはできません。出版というのは、日本語の言語、表現を含め、日本文化の育成と大きく関わっています。一旦失ってしまった文化を復活させることはほぼ不可能です。そのことに気付いてからでは遅いのです。
 次に、第二項について意見を述べさせていただきます。
 ここでは実際の課税方式について述べられ、課税方式として二種類が想定されております。一つ目として、主に個人消費者向けの取引について、国外事業者に申告させ納税の義務を課す申告納税方式が想定されています。次に、二つ目として、国内の事業者向けの取引について、そのサービスの提供を受ける国内事業者に納税義務を課すリバースチャージ方式が想定されております。これは既に公開されております政府税制調査会のディスカッショングループの制度案としても提示されており、基本的な方向性に異論はございません。ただし、せっかくの機会でございますので、一言お願いをさせていただきたいと存じます。
 それは、一つ目の消費者向け取引と二つ目の事業者向け取引の区分について混乱が起きないように措置していただきたいという点です。政府税調案では、消費者向けか事業者向けかが明らかでない場合は消費者向けとして扱うこととされており、また電子書籍などコンテンツ配信については、通常、消費者向けとみなされております。しかし、電子コンテンツの配信でも、大学などの法人が電子コンテンツを利用する事業者向けサービスが存在します。
 資料の七ページにございますように、これは大学市場のみの数字ですが、これ以外の企業向けも加えますと一定の市場規模がございます。ここで、従来、消費税の納税を行った経験が少ない大学など教育関係事業者ではリバースチャージ方式への負担増が懸念されます。一方、海外出版社など国外事業者は明確に事業者向けサービスと認識しております。ここで安易に、電子コンテンツだからといって国外事業者による申告納税方式を適用することは、混乱を招くおそれがあります。消費者向けか事業者向けかの区分を明確にしていただくとともに、事業者向けの場合に、例えば、直接役務提供者でも利用者でもあり得ませんが、当該役務の受発注や支払の代行を行っている国内代理店が納税代行できるといった措置を検討いただきたいと存じます。
 最後に、第三項につきまして意見を述べさせていただきます。
 電子書籍事業を始め、インターネット上でのビジネスの展開は、その変化のスピードも非常に速いものです。そこに生じている問題点の是正も、またそれに見合ったスピードで行われる必要があります。本法案に規定されているように、期限を定め、早急に是正措置がとられることに賛成いたします。
 法律が改正されても、その実効性に多くの課題があることは認識しております。そうした課題は時間を掛けて解決していかなければならないかと思いますが、納税することが法律で定められれば、良識ある国外企業はそれに従っていただけるのではないでしょうか。まずは法律改正を時間を掛けずに実施いただきたいと存じます。
 以上をもちまして、私の意見陳述を終わらせていただきました。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 高井昌史

speaker_id: 27798

日付: 2014-11-18

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会