手塚加津子の発言 (経済産業委員会)

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○手塚参考人 日本鋳鍛鋼会副会長の手塚と申します。本日は貴重なお時間を賜りまして、まことにありがとうございます。
 私は、日本鋳鍛鋼会の代表ということだけではなく、エネルギー多消費産業の多くの企業、とりわけ日本企業の九九・七%を占める中小企業のエネルギーコスト上昇による窮状をお伝え申し上げたいと存じます。
 初めに、政府におかれては、省エネ補助金を大幅に充実していただくなど、産業界の声に真摯に耳を傾け、影響緩和のための策を講じていただいておりますことを、心から御礼申し上げます。
 しかしながら、その対症療法では手当てができないほどの負担増が私たち電力多消費企業を苦しめております。売上高千円当たりの電力購入量、つまり千円のものをつくるのに使う電気量を電力依存度として計算いたしますと、製造業全体の平均が〇・七キロワットアワーであります。それに対して、十一団体で構成する電力多消費産業全体の平均では約十三倍、鋳造や鍛造業では十倍から十一倍であり、したがって、近年の電力料金の負担増は製造コストを大幅に押し上げております。
 御存じと思いますが、鋳造や鍛造でつくられた製品は素形材と言われ、ものづくりの最も川上に位置する産業であります。あらゆるメーカーの部品をつくり、日本の基幹産業を支えるサポーティングインダストリーと言えます。日本のメーカーからの世界に類を見ないほど厳しい品質、納期、コストの要求をクリアすべく、日夜研さんと努力を重ね、日本メーカーの繁栄、ひいては日本経済の繁栄を導いてきた陰の立て役者であるとの誇りを抱いております。
 アベノミクスにより進行した円安は、輸出をするメーカーに恩恵をもたらしております。しかしながら、国内で操業する我々には恩恵は少なく、また、近年の電気代の上昇分を一〇〇%価格に転嫁することは不可能であります。結果として、省エネルギーやコスト削減といった努力をいかにいたしましても、労務費の削減が不可欠となり、アベノミクスの賃金上昇の流れに同調するのは極めて難しいのが現状でございます。
 特に、鋳造業の企業は、経営基盤の弱い従業員三十名未満の中小事業所が約八割を占め、東日本大震災以降、転業、廃業、倒産がふえ始めて、直近三年間に三十七社が転業、廃業、倒産に追い込まれております。その中で、鋳鋼業だけを取り上げれば、全国の七十五事業所のうち、昨年一社が廃業、本年二工場の統廃合が決定しております。
 昨年一社、本年二工場といいますと、そんなに多くないように思われるかもしれませんが、それは雇用が消失するという重大な問題だけではなく、各社の長年蓄積してまいりました固有の技術、ノウハウが失われるということであります。一度失った製造業を再興させようというのがいかに難しいか、今の米国の苦悩を見ていただければ、日本がそれを失う危機を想像していただけると思います。これ以上エネルギーコストが上昇することは、製造業の崩壊を招くと認識していただきたいのであります。
 鋳鋼の生産量に限って申し上げますと、世界各国の生産量は、リーマン・ショックで落ち込んだものの、その後順調に回復し、米国では一番落ち込んだときの二一〇%、中国では一二〇%になっておりますが、日本のみが回復し切れず下降線をたどり、平成二十六年はリーマン・ショックのときの最低時の八六%に落ち込んでいます。
 これは、世界に需要があるにもかかわらず、日本のみがそれを取り込めずに生産を減少させているということでございます。これは、生産コスト上昇により国際競争力が低下していることを意味します。
 東京電力管内の当社の場合、平成二十四年四月の電力会社の電気料金値上げ一キロワット当たり二・三三円に加え、燃料費調整分の値上げはそれを徐々に上回り大きな負担となっております。さらに、FIT、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度における賦課金については、弊社は電力多消費企業として八割減免を受けておりますが、鋳鋼業では九%の七社、鋳造業では一六%の企業しか減免を受けられておりません。初年度は〇・二二円だった賦課金は、四年目にして一・五八円と約七倍に拡大しているわけで、まさに三重苦にあえいでいると言える状況でございます。
 弊社は社員百名の中小企業でございますが、年間に二十五億四千万円の売り上げのうち、原価は二十四億、その中で電気代は一二・五%の三億円でございます。三年前と比べると、生産量は同じなのに、電気代は一億円の増加でございます。もし仮に一億円電気代が上昇していなければ労務費や設備投資に使えたものと、一経営者として大変残念に思う次第です。
 お手元の御参考資料にありますように、鋳造だけではなく、電力多消費産業十一社は年間約二千億円の巨額な電力負担増になり、どの産業も崖っ縁に直面しております。
 安価で安定的な電力供給は産業の基盤です。この基盤が脆弱であれば、事業経営は成り立ちません。現状を打破すべく、これまでのエネルギー政策を見直し、安定供給の確保、電力料金の最大限の抑制のため、大胆かつ実行可能な改革を速やかに実施していただくことを期待しております。
 資源のない我が国が、将来にわたって国力を維持し、子供たちが夢を持って成長できる日本であり続けるために、そして、綿々と受け継がれてきた製造業のDNAを途絶えさせず、汗して働く労働者に安定した雇用と収入の喜びを与えるために、ぜひとも適切なエネルギー政策が行われますことを望んでやみません。十分な御審議のほど、心からよろしくお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 手塚加津子

speaker_id: 6044

日付: 2015-04-28

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会