岡崎誠也の発言 (厚生労働委員会)

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○岡崎参考人 おはようございます。全国市長会の国保対策特別委員会の委員長をお預かりしております高知市長の岡崎でございます。よろしくお願い申し上げます。
 今回の国民健康保険法等の改正案に賛成の立場から意見を申し上げます。
 まず、国民健康保険制度の現状ですけれども、昭和三十六年の国民皆保険制度創設以来、半世紀が経過をいたしましたが、制度のまさに中核を担い、地域医療の確保や地域住民の健康の保持増進に大きく貢献してまいりました。
 制度発足当時は、農林水産業者の方や自営業者の方々が中心となる医療保険でしたが、現在は、各被用者保険から仕事を退職された後に加入された方などが中心となっており、無職者や非正規労働者の方々が約七割を超えている医療保険となっていますので、当然、被保険者の年齢が高く、所得は低いという構造的な問題が、ここ十数年来顕著になってきております。
 具体的な数値で申し上げますと、平成二十四年度末の数値で、加入者の平均年齢は、被用者保険については三十五歳前後ですけれども、国保については五十・四歳、そして、六十五歳から七十四歳までの前期高齢者の方々が被保険者の約三分の一を占めております。
 年齢が高くなると医療費も当然高くなりますので、被保険者一人当たりの医療費は、被用者保険の平均が十五万円前後の額に対しまして、国保については三十一万六千円と倍近い額になっております。
 一方、加入者一人当たりの平均所得は、組合健保が約二百万円、協会けんぽが百三十七万円ですけれども、国保は八十三万円と相当に低く、所得に対する保険料負担率も九・九%と、他の被用者保険に比べて極めて重い負担となっております。
 被保険者の高齢化や医療の高度化によって高騰する医療費を賄うために、やむなく保険料の引き上げ提案を行いましても、議会で否決されるという自治体もあるように、被保険者の負担も限界に達している現状もあります。
 このような状況の中で、国保を運営する市町村の現場では、赤字構造や、これ以上保険料を引き上げることが難しい、こういう理由から、やむを得ず、多額の赤字補填目的での法定外繰り入れを余儀なくされたり、決算における繰り上げ充用を行っている厳しい現状があります。
 平成二十五年度の決算では、各保険者が決算補填目的のために繰り入れた総額が全国で三千五百四十四億円に上り、実質的な赤字は三千百三十九億円となっています。このほかにも、翌年度の歳入を充てる繰り上げ充用の金額も約一千億円となっており、非常に厳しい財政運営に迫られています。
 国民皆保険とはいいながら、国保の場合は、市町村ごとに保険料負担が違います。国の資料によりますと、全国平均を一とした場合、都道府県で徳島県が一・三五倍、保険者ごとで見ますと、最も高いところでは一・六七倍となっておりまして、保険料負担に大きな格差があり、同じ医療を受けるにしても、倍以上の保険料を負担しなくてはならないという状況も生じています。
 高知県には、人口四百人程度の村があります。このような小さな村で、例えば人工透析の患者が一人発生しますと、年間約五百万円から六百万円の医療費がかかり、それだけでも国保財政を支え切れなくなるという現状があります。
 全国の市町村保険者の約四分の一は、被保険者の数が三千人未満の小規模の保険者であります。
 給付費の広域的な調整は既に行われておりますけれども、財政運営を広域化し、多くの人々で支え合う必要がありますし、加入者の所得が低い国保に対しましては、国による財政支援が不可欠であります。
 こうした国保の厳しい現状は、保険者である市町村の努力不足、また国保被保険者の皆様方の問題ということではなく、年金生活者や非正規労働者の多くが加入する国民健康保険制度の抱える構造的な問題であります。
 そのため、これらの現状をどのようにして解消し、国民健康保険制度を将来にわたって持続可能な制度として維持していくための抜本的な対策が強く求められております。
 これまでの社会保障制度改革国民会議における協議の内容も踏まえ、平成二十五年十二月に成立をしました社会保障制度改革プログラム法の中で、解決の方向策として、一点目、国保に対する財政支援の拡充、二点目として、国保運営について、財政支援の拡充等により国保の財政上の構造的な問題を解決することとした上で、財政運営を初めとして都道府県が担うことを基本としつつ、保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、都道府県と市町村との適切な役割分担について検討、三点目として、低所得者に対する保険料軽減措置の拡充が盛り込まれております。
 国民健康保険制度が崩壊しますと、地域の医療も当然崩壊することになりますので、現状の危機的な状況を放置すれば、国民皆保険制度の最後のとりでである国保は崩壊し、我が国の医療保険制度は維持できなくなります。
 今回の国民健康保険法等の改正は、こうした危機的状況を打開し、国保の広域化と基盤強化を図るものであり、確実な実現を図ってまいらなければなりませんので、その理由を以下申し上げます。
 第一に、今回の改正では、都道府県が市町村とともに国保の運営を担い、国保事業の効率的な実施の確保等、都道府県内の財政運営の責任主体となり、健全な国保運営に中心的な役割を担うこととされております。
 これまで、全国市長会や全国町村会では、医療保険制度を持続可能なものとするため、一貫して都道府県を保険者とする国保の広域化を強く求めてまいりました。
 市町村は、住民の皆様方の健康づくりをお預かりしておりますけれども、地域の病院のベッド数を調整するなどの医療をコントロールする権限は持っておりません。
 医療計画は、都道府県によって広域的に策定されているため、都道府県が国保の保険者を担うことは理にかなっていると考えます。
 都道府県内の医療計画や医療費適正化計画を策定し実行する都道府県が国保運営の中心的な役割を担うことで、医療と保険がセットになった総合的な施策の展開が可能になるとともに、先ほど申し上げました小規模保険者の問題についても解決が図られることになります。
 第二には、今回の法改正に伴い、平成二十七年度からは保険者支援制度で一千七百億円、平成二十九年度からはさらに一千七百億円の追加支援が行われる予定であります。合わせて毎年約三千四百億円という大規模な国保への財政基盤強化策が実施されることになります。
 これまで、財政基盤強化の具体策として、全国市長会では、社会保障と税の一体改革の中で確認されていた保険者への財政支援の拡充一千七百億円の早期かつ確実な実施と、後期高齢者支援金の全面総報酬割導入により削減される国費について国保への優先的な投入、普通調整交付金の高額医療費共同事業におけます国庫負担への流用の是正等を強く求めてまいりました。
 今回の法改正に伴い実施をされます財政基盤強化策は、これまでの市長会の主張に沿うものであり、その確実な実施が必要であると考えます。
 被用者保険の後期高齢者支援金の全面総報酬割導入につきましては、さまざまな論議がありますけれども、国保の現状を踏まえまして、ぜひ御認識をいただきまして、御理解を賜りたいと思います。
 今回の三千四百億円の総合的な支援によりまして、国保は一定のめどがつくというふうに考えております。
 一方で、二〇二五年には、団塊の世代の人々が全て七十五歳に到達をいたしますが、その五年前の二〇二〇年には、団塊の世代は全て七十歳代になります。七十歳を超えますと医療費が急増しますので、団塊世代の人口のボリュームが大きいために、二〇二〇年から国保の財政はさらに厳しくなることが予想されます。
 知事会も、さらなる国費による財政支援を国の責任で行ってほしいと強く要請されておりますので、さらなる支援をお願いしたいと思っております。
 第三には、財政安定化基金、国保運営の新しい基金の設置が予定をされております。
 財政運営を都道府県単位化することに伴いまして、市町村によっては、インフルエンザの大流行やまた保険料の上昇などの一定の変化を伴うこともありますので、リスク解消のためにも、国保におきましても、介護保険や後期高齢者医療にもあるように財政安定化基金は不可欠だと考えます。
 第四には、今回の法改正によりまして、厚生労働省において主導的に国保の標準システムの開発を進めることになっております。
 たび重なる制度改正によりまして国保は非常に複雑なシステムになっておりますので、今回の改正によりまして、それぞれ都道府県内の市町村ごとの標準保険料率が示され、標準的な住民負担の見える化が進められてまいりますので、それぞれシステムを早急に整備していく必要があると考えております。
 また、被保険者の方々にとりまして、高額療養費の多数回該当、四回目の入院のときに負担が安くなるという該当回数がございますけれども、現在は市町村ごとに運営されていますが、これが都道府県内で全て引き継ぎができるようにするということもあわせまして、被保険者の方々にとってメリットがあるものにしなくてはならないと考えております。
 今回の法改正では、国保の財政運営が都道府県単位となりますけれども、我々市町村は、窓口業務を初め保険料の徴収や地域の皆様方の健康づくりなど、前面に立ちながら実施をしていかなければならないと強く認識しておりまして、これまでどおりの国保運営への役割をしっかりと果たしていく決意であります。
 都道府県におきましては、保険者として国保運営の中心的な役割をしっかりと担っていただき、保険料格差の解消や市町村の事務の効率化、標準化に向けまして、市町村とともに積極的に取り組んでいただくことを期待しております。
 国会議員の先生方には、本法案の早期成立を重ねて要望しますとともに、厚生労働省において、新制度の円滑な実施、運営に向けて、早期に国保基盤強化協議会を再開し、保険者を担う都道府県及び市町村と引き続き具体的な協議をいただくよう要望いたします。
 本法案の検討規定におきましては、国保の今後の運営を担うという意味で、都道府県、市町村の役割分担のあり方や保険全般についての検討を行うという条項が設けられております。
 今後の医療費の伸びが見込まれる中で、国保を安定的、持続可能な制度にすることは極めて重要な課題でありますので、国や都道府県、市町村におきまして、それぞれの役割分担を明確にした上での検証、見直しをお願いしたいと申し上げておきたいと思います。
 以上、賛成の立場からの参考人の意見陳述とさせていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 岡崎誠也

speaker_id: 28507

日付: 2015-04-23

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会