長田三紀の発言 (内閣委員会)

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○長田参考人 資料を用意させていただいております。
 私は、全国地域婦人団体連絡協議会、略称全地婦連の長田と申します。本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
 私どもの団体は、町の婦人会、地域の普通の婦人会の集まりの全国組織でございます。現在、四十七都道府県に組織がございまして、あと二つの政令指定都市の婦人会の連絡会が入っております。四百万弱の会員が、日々、地域の普通の地域活動をしているという団体でございまして、消費者問題のプロという立場ではなく、普通の暮らしの中で気づいたいろいろな課題に取り組んでいる素人の団体を代表して、今回は意見を述べさせていただこうと思っております。
 一枚めくっていただきまして、私は、内閣官房に置かれておりましたパーソナルデータの検討会の委員を務めさせていただきました。今回、検討の中でずっと何度も聞かされた言葉が、保護と利活用のバランスという言葉です。この言葉にはずっと違和感を持ってまいりましたけれども、情報技術が高度化し、今後、日本は人口減少に向かっていくということで、パーソナルデータの利活用が必要であるということはよく理解をしております。
 ただ、利活用のためには、まず、私どもが預けているというか提供しているデータが、誰がどのように、何のために利活用するのかを明確に知ることができなければ、結果として、我々はデータを提供することに消極的になってしまうのではないかというふうに思っております。誰がどう使うかわからない、場合によっては自分自身にリスクがあるかもしれないというふうに心配をし出しますと、ちょっと住所を書く、電話番号を書く、いろいろな情報を書くときにもちゅうちょをし、拒否をするということにもなりかねないというふうに思います。
 つまり、明確なルールのもとで、誰がどのように取得した情報をどのように加工し、または誰に提供し、何のために使うのか、その情報はどの程度の間保存をされることになるのか、それがまたいずれ再利用されることにもなるのかということについて、明らかになっていること、そして、それが約束どおりに実行されているのかをちゃんと監視する人がいるということが、私たちのパーソナルデータの利活用に参加していける条件だというふうに思っています。
 保護と利活用のバランスではなく、明確な保護ルールの上での積極的な利活用の推進というふうにぜひお考えをいただければというふうに思っています。
 一枚めくっていただきます。
 今回審議されている法案からは削除をされましたので、ここで申し上げることでもないのですけれども、もともとの骨子案には、利用目的の変更をオプトアウトでも可能とする条項が入っていました。私ども消費者団体、力を合わせてこぞって反対をさせていただきまして、与党の段階で法案の修正に至りました。これは本当によかったなというふうに思っています。
 続きまして、次のページになりますが、個人情報の定義です。
 いろいろな事業者の方々のいろいろな御意見があることは承知していますけれども、その中には、消費者が気づかないうちにデータを利活用したいというか、取得して使いたいというような誤った考えを持っている一部の事業者がいらっしゃるのではないかというふうに思うこともあります。でも、それは先ほど述べましたように、大きな間違いだと思っています。消費者が明確に理解できるように情報を提供して、きちんと同意をとってこそ利活用は進むものだと考えております。
 では、それで、保護しなければいけない個人情報というのは何なんだろうかというその定義が大事になってまいります。
 検討会でも、そしてその後できました法律の骨子案でも、個人情報の定義は拡充するということになっていました。ただ、与党協議の中で、個人情報の定義の拡大は行わないというふうにされてしまいました。当該個人を識別というふうにされていたものが、今回の法案で「特定の個人を識別」というふうに、「特定の」という言葉が挿入をされました。それに伴いまして、定義の拡充により含まれることになると私どもが考えていた、例えばスマートフォンやタブレット等の端末のIDが対象とされないのではないかということで、大変にショックを受けております。
 例えば、私は本日、朝、自宅からこちらへ直接参りました。スマートフォンとタブレットを持っておりまして、ずっと移動してきましたので、その位置情報の動きは、私が持っているそれぞれの端末のIDに結びついて保存をされています。ちょっと混んでいましたのであれでしたけれども、地震がありましたこともあって、ニュースのサイトを見たりもしました。アプリもいろいろスマートフォンには入っています。
 私の長田三紀という名前がその辺に転がっていても、それがどういう人間か、名前だけではわかりません。でも、そういう情報が結びついた形での端末IDのデータがもしあったとしたら、長田三紀という名前はわからなくても、その人間がどのあたりに居住し、どういうふうに毎日通勤しているかというような、そういう移動の履歴等はわかってしまう。場合によっては、どういう趣味があるとか、どういうことに関心があるかもわかってしまうというのが端末のIDの役割だというふうに思っています。
 端末IDを個人情報の範囲に入れてしまうこと、例えば、端末の番号もそうですけれども、携帯の番号等もそうですけれども、いろいろ事業者の皆さんからの反対があったということは伺っています。ただ、それが困る理由をきちんと整理していただいて、守るべきものと外していいものというのをきちんと整理して議論をしていただいて、何か対処の方法はないのかというふうに考えていただきたいと思っているところです。
 次のページですが、ちょうどそういう議論をしているときに、アメリカの消費者プライバシー権利章典の法案の素案が公表されました。アメリカの素案と比較しますと、日本の、自民党の修正が入る前の法案、最初の法案のところに入っていた表現とほとんど同じ表現が入っているというふうに専門家の皆さんも指摘されておりましたし、私もそれは確認いたしました。
 例えば、アメリカでは端末IDは対象になると思いますけれども、日本だけがそれと外れるようなルールになるということが非常に問題ではないかなと思っています。これから二〇二〇年のオリンピックに向けて、WiFiの無料アクセスポイントがどんどんふやされていくと思いますけれども、そういうところでも、私がそこへアクセスする意思はなくても、自動的にMACアドレスはずっととられていっています。それを故意に利用しようとすれば、移動の履歴は全部とれます。そういうような状態を本当に置いておいていいのか、ぜひそこは、もう少し検討をしていただきたいと思っています。
 実際に、アップル社は、そういうふうにMACアドレスが自動にとられるようなことがないような手段をとることになったというふうにも聞いています。つまり、アメリカはそのことを問題視しているということだというふうにも理解していますので、日本でも、この機会に、ぜひそこは検討していただきたいと思っています。
 それで、個人情報の保護委員会のところのページに飛ばせていただきます。
 個人情報の保護委員会ができるということは、本当によかったなと思っています。もういろいろな、これから議論をしていただかなければいけない政省令の問題もありますし、ルールもたくさんあると思います。そこには、私どものような消費者も含めたマルチステークホルダーでの検討の確保が必須になります。個人情報保護委員会の事務局にはいろいろな立場の方々がお入りになる必要があると思いますが、私どもの消費者団体は、残念ながら、財政的に何か豊かなところは全くございませんので、人を自分たちのところで給与を出して送り出すということはできませんけれども、事務局の構成も含めて、委員の構成も含めて、マルチステークホルダーが確保されるような仕組みはぜひ御配慮をいただきたいと思っています。
 それで、その次のページになります。
 先ほどの宇賀参考人からのお話にもありましたが、さまざまなルールがこれから決められていきます。その中で、個人情報保護指針の作成というのがあります。消費者の意見を代表する者その他関係者の意見を聞いて作成をするように努めなければならないというふうに規定されています。
 今現在でも認定個人情報保護委員会というのが四十一ありまして、そこが一斉に個人情報保護指針をもしこの法改正を受けて作成するということになると、それだけの人数が消費者を代表してそこに参加をしていくことになります。残念ながら、今それがきちんと準備ができているという状況ではありませんので、消費者の意見を代表する者の、それが人によって余りちぐはぐがあるというようなことにはならないように、消費者を代表する者の育成や議論の場の創出には、個人情報保護委員会、また国としても、ぜひ力を注いでいただきたいというふうに考えています。
 それで、資料はそこまでなのですが、もう一つ、加えてお話ししたいことがあります。名簿屋対策です。
 私は、検討会に入って、ずっとそのことを申し上げてきました。特に、夢見る老人のリストとか、アダルトグッズを購入した人のリストとか、そういう類のものがたくさんネット上では販売をされています。それは、御指摘もありますように、オプトアウトはホームページにきちんと書いてありますが、まさか自分がそんなところの名簿に載っているなどということは誰もわかりませんから、そんなところでオプトアウトなどはいたしません。ですから、そのまま幾らでもつくり放題の状態になっています。
 今回、個人情報保護委員会に届け出することにはなっていても、まさか自分がそんなところの対象になっていると思っていなければ、それを毎回チェックしてオプトアウトしなきゃいけないかと思えるような状態には多分ならないだろうと思っています。
 なので、名簿といってもいろいろな名簿があります。町会の名簿、必要な、とにかくいろいろな名簿がたくさんありますが、その中で規制しなければいけない類の名簿、名簿屋さんがつくっているそれらの名簿を、ぜひ、ある程度の枠組みで特定をしていただいて、そこに厳しい規制を入れていただければというふうに考えています。
 今回、二十五条、二十六条で第三者提供のときの記録、保管義務というのがつきましたけれども、これは、その名簿の種類や個人情報の種類とは関係なく、全てに記録、保管義務がかかっています。五千名という規模基準もなくなりましたので、私どものような団体、もっと小規模な、小さなグループも含めて、いろいろなところにその義務がかかって、全て記録をして保管しなければいけなくなります。
 そのことに力を注がなければならなくなってしまい過ぎますと、形だけを整えることに結局はなって、本来規制すべき、やめさせるべき名簿の類のものが規制されないまま残ってしまうのではないかというのをむしろ不安に思っています。
 記録、保管義務はトレーサビリティーを確保するためにも大変大切なものだとは思いますけれども、ぜひ、それをしなければいけないものをもう少しきちんと整理して、余り幅広に、何かそういう個人データを扱う者全員にその義務をかける必要はないのではないかなと思っておりまして、これはこの委員会での審議の中でぜひ御検討いただければいいのではないかと思っております。
 以上です。きょうは本当にどうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 118904889X00520150513_004

発言者: 長田三紀

speaker_id: 347

日付: 2015-05-13

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会