天笠茂の発言 (文部科学委員会)
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○天笠参考人 失礼いたします。参考人の天笠と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、このような発言の機会をいただいたことにつきまして、心から関係の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
まず私の方からは、お手元に資料を配付させていただきましたけれども、それに沿いながら、提案されました法案につきまして、基本的に賛成の立場から意見を申し上げさせていただきたいというふうに思います。
おおむね申し上げたい点というのが五つあります。
それで、まず一点目でありますけれども、今回のこの義務教育学校の設置にかかわっての取り組みでありますけれども、設置に至る小中一貫教育の試みは、研究開発学校あるいは教育課程特例校など、教育現場におけるパイロット的な実践的研究の積み重ねにより具体的な取り組みが図られ、そして整えられてきた取り組みとして捉えることができるのではないかというふうに思っております。
この間、私は、例えば広島県呉市の取り組みですとか、お手元の資料の一枚目にありますけれども、幾つかの、かかわりを持たせてもらった学校、あるいは調査研究等々に入らせてもらった地域、機関等々についてそこにリストアップさせていただきましたけれども、これらの取り組みを通してということが、このたびの発言の一つの根拠でもあるわけでありますけれども、これらの取り組み等々ということを捉えた場合に、教育実践家を中心としました多くの学校関係者による一連の取り組みでありまして、それらを捉えてみると、このたびのこの設置の取り組みというのは、教育現場からの教育改革と称することができるのではないかというふうに思っております。
言うならば、それぞれの現場における実践の取り組みの集積というのでしょうか、そういうことがこのたびの一つでありまして、私は、この動きを高く評価するとともに、そのエネルギーというのを今後とも大切にしていきたいということでありまして、今回のこの設置の動きというのは、そういうものについての一つの象徴的な、あるいは、取り組みの一つのまとめ、結節点になる動きというふうに評価をさせていただきたいと思っております。それがまず一つ目であります。
続いて二つ目でありますけれども、このたびの義務教育学校の設置は、現代の子供たちの成長、発達と学校制度とのすり合わせを図る取り組みではないかというふうに捉えております。言うならば、今日の成長する子供たちの姿に学校制度を寄り添わせる試みとして捉えることができるのではないかと思っております。
すなわち、小中一貫教育は、子供の成長、発達にきめ細かく寄り添い、小学校、中学校の教職員がこれまでの役割分担を見直し、すなわち、これまでは小学校と中学校というそれぞれ守備範囲を定めて、そして取り組んできたわけでありますけれども、小中の教師が協働して子供の成長に当たる、そういう試みがこのたびの提案ではないかというふうに思っております。
そういうことによりまして、この小中一貫教育の導入によりまして、とりわけ小学校五年生、六年生、そして中学校一年生の授業のあり方、あるいは指導体制というものを、より今日の子供の成長する姿に寄り添わせる、そういう試みとして取り組みが期待できるのではないかという、これが二つ目の点であります。
それから三つ目でありますけれども、義務教育学校の設置は、九年間を通した新たな創意ある教育活動を生み出す契機を教育現場にもたらしまして、小学校と中学校に現状として分離して、そして硬直化した制度や組織の活性化が期待できるのではないか、こんなふうに捉えております。
言うならば、先ほど申し上げましたけれども、小学校とそれから中学校がそれぞれがそれぞれとして取り組んできた、そのことはそれなりに評価しなければいけないというふうに思っておりますけれども、現状を踏まえた場合には、それぞれがそれぞれとしてというところをもう一段見直しを図り、より、小学校と中学校の持っている資源を共有し合う、あるいは協働し合う、そういうふうな形の取り組みというのが今求められているのではないかというふうに思っております。
すなわち、現在、チーム学校、こういうことが多くの関心を集めておりますけれども、職員室を核に、学校を取り巻く課題に教職員を初めとする相互のコミュニケーションが挙げられるのではないか。言うならば、協働を生み出すことを通して学校を組織として機能させることが問われているように思います。
この場合の協働という場合に、小学校とそれから中学校の協働ということも今日的なテーマとしては挙がるのではないかというふうに考えております。
そういう意味で、義務教育学校の設置は、小中学校間の教職員はもとより、新たな学区としての中学校区を成り立たせるなど、その人と人とのコミュニケーションを生み出す新たな組織文化の誕生を期待できるのではないかというふうに考えております。
そういう観点からしたときに、例えば、九年間を通してのキャリア教育ですとか、あるいは、地域により深い理解と愛着を育てていく郷土教育等の取り組み等々が期待できる。あるいは、九年間を通して学年の区分に工夫を凝らして、例えば多くの取り組みであるように、四・三・二カリキュラムの実現、こういうことですとか、あるいは、学校行事の創造や創意ある異年齢交流ということを通してコミュニケーション能力の育成ですとか、とりわけ、中学生を中心とした大きな課題としての自尊感情の回復、こういったことが期待できるのではないかというふうに思っております。
何よりも、小学校の教職員とそれから中学校の教職員が授業を通しての交流を生み出す、あるいは授業の改善ということがその課題の核になると私は思っておりますけれども、これらのことが、義務教育学校の設置というのは、大きな環境を整えたりですとか手だてを整える、そういうことにつながってくるのではないかというふうに考えております。
以上が三点目でありまして、続いて四点目でありますけれども、この義務教育学校の設置というのは、それぞれの小学校、中学校での取り組みが期待されるところでありますけれども、当然、その小中学校のもとになります各自治体、市町村教育委員会の存在ということに注目せざるを得ません。義務教育学校の設置は、市町村教育委員会における地域教育経営の活性化にもつながるのではないかというふうに考えております。
義務教育学校の設置は、設置者の判断のもとに、カリキュラム区分の弾力化、例えば四・三・二ですとか五・四、四・五ですとか、そういった柔軟な教育課程編成を可能にするなど、教育課程のマネジメントについて市町村教育委員会に対して多様な取り組みの選択肢を提供することになるのではないかというふうに思います。これらの裁量幅の拡大を生かして、市町村教育委員会による、地域の実態を踏まえた特色ある地域教育経営の展開が期待できるのではないかというふうに考えております。
ただ、市町村教育委員会は、御承知のとおり、大変大きな自治体から小規模な自治体までさまざまにあります。そういう点では、それぞれの特色を生かすという取り組みの期待ということと、それを支えていく制度的な担保、あるいは条件整備的な取り組みというのも一方において大切なのではないかと。
そういう点において義務教育学校の制度化というのは、そういった意味でそれぞれの市町村教育委員会の取り組みを制度的に支えていく、条件整備的にそれを担保していく、そういう取り組みにもつながっていくということが期待されるのではないかというふうに思っております。
最後になりますけれども、第五点目ということになりますけれども、このたびの義務教育学校の設置というのが、全体として、義務教育の全体的な質の向上につながっていくのではないかというふうに捉えたいと思っております。
我が国の幼稚園から大学に至る学校制度について今日的な状況等々を踏まえたときには、全体として活力を維持していくという観点から今問われているのが、幼小、それから小中、そして中高、そして高大といった、学校種間の連携、接続ということが大きなテーマということになっておりまして、それぞれの学校種間の連携、接続というのがさまざまな形で論議されているのは御承知のとおりでありますけれども、これらの取り組みの積み重ねの一環として、このたびの小中学校間の一貫教育、あるいは小中学校間の連携あるいは一貫という、そういう取り組みの実現を図っていくこの義務教育学校の設置というのは、これらについて大いに貢献するものになっていくのではないかというふうに思っております。
そういう点で、それは、教育の主体、あるいは教育活動、あるいはマネジメントの一貫性、これの確保ということがそれらを支えていくことになるかと思いますし、あるいは、制度的なものの取り組みということもそういう取り組みを支えていくことにつながっていくのではないかという意味合いも込めまして、この義務教育学校の設置というのは、義務教育全体の質を支えていく、あるいは質的改善につながっていく、そういう取り組みとして、私は、この取り組みが進められることを基本的に支持をさせていただきたいというふうに思います。
私からの発言は以上ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)