郷原信郎の発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○郷原参考人 高井大先輩の前で大変恐縮なんですが、私はちょっと違う見解を持っております。
 昔から、検察官の情理を尽くした説得によって自白が得られたというふうなことを役所での酒飲み話などでいろいろ聞かされたものなんですが、本当にそうなのかなということについて私は疑問を持っておりました。
 私も取り調べは決して嫌いではありませんでしたし、いろいろな事件、経済関係の事件、政治関係の事件、公安事件などの取り調べを自分でも行いました。私は、特に公安事件などでは、完全黙秘の被疑者も結構心を開いて話してくれるという経験がいろいろあったんですが、なぜか特捜の調べではなかなか自白がとれない。それなのに、周りの検事はどんどん自白をとるんですね。なぜだろうか、私は本当に取り調べ能力がないんだろうかと悩んでいたんですが、どうも、いろいろ聞いてみると、相当取り調べのやり方に問題があった。中には、物すごい密室で頑丈なつくりの取り調べ室の前を通ると、物すごい声が聞こえてくるということもあったわけです。
 ですから、情理を尽くした説得というのが、とりわけ経済事件、政治関連事件などでそんなに簡単にできるものではないと私は認識しております。
 現状を申しますと、そういうむちゃな取り調べは恐らくできなくなったと思いますし、検察官の取り調べに関しては、昔とは全く環境が違っています。我々弁護人が行けば無制限に接見も可能ですし、そういう形で被疑者を励ますこともできます。ということからしますと、やはり今の検察官にとっては、自白をとれと言われてもなかなか無理だろうなというふうに感じます。
 それからもう一点、こういう司法取引のような制度が導入されていたらよかったんじゃないかと思える事例なんですが、今回の協議・合意制度の対象犯罪じゃないんですが、私がある地検の次席検事をやっていたときに手がけた、かなり大規模な政治資金規正法違反の事件がありました。選挙に関して、公共工事の受注額に応じて裏献金、表献金を集めていたという事件で、その事件の関係では、ゼネコン側の供述が得られることが物すごく立件のポイントになりました。
 その中で、ゼネコン側としてはかなり不当な要求を受けて、やむを得ず献金をしたという事実関係だったものですから、私は起訴猶予相当だと考えていたんですが、私が起訴猶予相当だと考えていても、こういう取引という制度がありませんから、起訴猶予だと約束してあげることはできないですね。ある会社の総務部長と弁護人が来て、何とかそこを約束してもらったら、当社はもし起訴されたら指名停止になって大変なことになるんですということを相当しつこく言われたんですが、それは最後まで約束はできませんでした。
 しかし、その事件はその事件で何とか自白を得て立件することができましたが、そういう事件に関しては、こういう協議・合意制度が導入されていれば、捜査上もっといろいろなメリットがあったんじゃないかなという気がいたします。
 以上です。

発言情報

speech_id: 118905206X02720150701_015

発言者: 郷原信郎

speaker_id: 29864

日付: 2015-07-01

院: 衆議院

会議名: 法務委員会