安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員にお答えをいたします。
農政改革についてお尋ねがありました。
農業は、日本の美しいふるさとを守ってきた、国の基であります。一方で、我が国の農業の活性化は待ったなしであります。
農業の成長産業化を図るため、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出、六次産業化の推進、米の生産調整の見直しなど、農政改革に力を注いでまいりました。
さらに、今般、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行います。
特に農協については、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮し、ブランド化や海外展開を図っていける体制に移行します。このことにより、農家の所得をふやしてまいります。
政策を総動員して改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、六次産業化を含めて農業の可能性は広がり、農業、農村全体の所得もふえていくと確信しております。
格差の現状についてのお尋ねがありました。
格差に関する指標はさまざまであり、格差が拡大しているかどうかについては一概に申し上げられませんが、例えば、我が国の場合、当初の所得に比較して、税や社会保障による再分配後の所得の格差は、おおむね横ばいで推移しています。
また、最近の世論調査によると、国民の中流意識は根強く続いており、個人の生活実感において、格差が許容できないほど拡大しているという意識変化は確認されていません。
いずれにしても、安倍内閣は、経済再生に取り組み、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、子供たちの誰もが、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する教育を受けられるようにしてまいります。
こうした取り組みを通じ、誰にでもチャンスがある、そして頑張れば報われるという社会の実現に向け、尽力してまいります。
なお、格差の状況については、引き続き幅広く検証してまいります。
格差是正のための税制上の措置についてお尋ねがありました。
格差が固定化しない、あるいは許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことは、重要な課題であります。
安倍内閣においては、税制について、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率引き上げ、給与所得控除の見直し、金融所得課税の見直し、相続税の見直し等を通じ、随時実施してきているところであります。
税制における再分配機能のあり方については、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続きよく考えてまいります。
税と社会保障の役割分担などについてお尋ねがありました。
年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、必要な給付との見合いで、負担能力に応じた保険料負担を行う一方で、保険料に係る国民の負担の適正化に充てるため、公費投入が行われていると考えております。
三党合意により成立した社会保障制度改革推進法においても、公費等に関するこうした考え方が規定されており、今後ともこれに沿って対応すべきと考えております。
また、将来の年金や医療に不安を抱えることなく、安心して働くことができるよう、非正規雇用であっても、雇用される方であれば社会保険への加入を促進することが重要であり、平成二十八年十月から実施される短時間労働者への適用拡大について、円滑な施行を図ってまいります。
労働法制と非正規労働者についてのお尋ねがありました。
労働法制は、労使の交渉力の違いを踏まえ、立場の弱い労働者が劣悪な環境で働くことのないよう保護する観点から、契約自由の原則を修正しているものと認識しています。
非正規雇用労働者には、能力開発の機会が少ない、賃金が低いといった課題があるため、キャリアアップや処遇改善に向けた取り組みを進めていくことが重要であり、キャリアアップ助成金の拡充などの支援を図るとともに、希望する方には正社員への転換を推進してまいります。
また、未来を担う若者が能力を十分発揮できるよう、その雇用対策を強化します。
安倍内閣としては、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進め、働く方の個々の状況に応じ、あらゆる人が生きがいを持って創造性を発揮できる環境をつくってまいります。
人を大切にする経営についてお尋ねがありました。
人を大切にする我が国の人事・雇用管理のすぐれた点を失うことなく、国民が働きながら幸せを実感し、企業の収益を伸ばし、さらには働く方々にその成果が還元されるよう、経済の好循環を全国津々浦々に拡大してまいります。
非正規雇用については、景気が回復し、雇用が増加する過程において、パートで短時間働く人などがふえたためその数は増加しておりますが、一方で、ここが大切なところですから、非正規雇用者の中で、正規の職につきたくても不本意ながら非正規の職についている人の割合は、このところ低下しています。この点は特に強調しておきたいと思います。
こうした働き方を進め、非正規雇用労働者について、キャリアアップや処遇改善に向けた取り組みを進めていくことが重要であり、政労使合意も踏まえ、能力開発のため、キャリアアップ助成金の活用などを図ってまいります。
年金のマクロ経済スライドについてお尋ねがありました。
マクロ経済スライドは、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にしないため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入されたものであります。こうした仕組みは、基礎年金を含め、公的年金制度全体に共通する考え方であります。
なお、社会保障・税一体改革において、医療や介護の保険料負担軽減や、低所得で低年金の高齢者に対する福祉的な給付金など、社会保障全体を通じて低所得者対策の強化を図ることとしています。
高齢者による負担の分かち合いについてお尋ねがありました。
一昨年の社会保障制度改革国民会議では、全世代型の社会保障への転換を目指し、年齢別から負担能力別に負担のあり方を切りかえ、高齢者にも負担能力に応じた貢献を求めることが必要であると提言されています。
こうした議論を踏まえ、医療や介護など社会保障制度全体を通じ、低所得者に配慮を行う一方で、高齢者でも経済力のある方には、それに見合った負担を求める取り組みを進めているところです。
なお、高所得者の年金給付のあり方については、国民会議において、高齢世代内の再分配機能を強化する観点から、年金制度だけではなく、税制や他の社会保障制度の負担など、さまざまな方法を検討すべきと提言されており、これを踏まえて考えるべき問題と認識しております。
少子化対策予算についてお尋ねがありました。
少子化は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねないとの危機意識のもと、安倍内閣では、子供への資源配分を大胆に拡充することとしています。
来年度予算では、消費税率一〇%への引き上げは延期しましたが、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から実施することとし、待機児童の解消等に向けた量の拡充や、保育士の処遇改善等の質の改善のための財源を確保することとしています。
さらに、諸外国の経験も参考にしながら、財源を確保した上で、子供への資源配分を大胆に拡充することが必要であると考えています。
今後とも、より効率的かつ集中的な少子化対策に取り組んでまいります。
給付つき税額控除と配偶者控除についてお尋ねがありました。
お尋ねの給付つき税額控除については、低所得者に絞った効率的な支援が可能となるとの議論がある一方で、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等の課題があるものと承知しています。
いずれにせよ、経済社会の構造変化に対応して税制のあり方を検討していくことは必要であると考えています。
また、配偶者控除については、昨年十一月の政府税制調査会の論点整理において、家族のあり方や働き方に関する国民の価値観に深くかかわることから、今後、幅広く丁寧な国民的議論が必要とされています。
今後、政府税制調査会や与党税制調査会において議論を行った上で、国民的議論を行いながら判断していくべき問題であると考えています。
財政健全化についてのお尋ねがありました。
安倍内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しています。
二〇二〇年度までに、国、地方を合わせ基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標はしっかりと堅持し、その目標に向け、デフレから脱却し、経済再生により税収をふやす、無駄削減など徹底した行財政改革もしっかりとやるなど、歳出歳入両面にわたり取り組んでまいります。
社会保障についても、効率化、合理化や重点化を進めてまいります。
本年夏までに、目標達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
今まで以上に自衛隊を活用することの必要性についてお尋ねがありました。
今日、国際社会における軍事力の役割は多様化しており、紛争の抑止、対処にとどまらず、紛争予防から復興支援、さらには人道支援、災害救援、海賊対処などの分野において重要な役割を果たすようになっています。
このような中、自衛隊は、高い能力と揺るぎない使命感、そして献身的な努力で、日本の平和を守り、世界の平和に貢献してきました。
安全保障環境の激変により、もはやどの国も、一国のみで平和を守ることはできません。国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待しています。
いかなる事態においても国民の命と幸せな暮らしを守り抜く、また国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していく、そのため、自衛隊にはより一層の役割を担ってもらう必要があります。そう確信しております。
先般の閣議決定と積極的平和主義についてお尋ねがありました。
シリアでの邦人テロ事件やパリの新聞社襲撃事件など、世界に広がるテロの脅威、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、サイバー攻撃など、今や脅威は、容易に国境を越えてやってくる時代になりました。
もはや、どの国も、一国のみで自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、アジア太平洋地域、さらには世界の平和と安定を確保することが必要であります。
先般の閣議決定の目的はただ一つ、国民の命と幸せな暮らしを守り抜くことであります。そして、国民の命と幸せな暮らしをより確かなものにしていくために、地域や世界の平和と安定の確保に、我が国はより一層積極的に貢献していきます。このような能動的な平和外交が積極的平和主義であります。
したがって、先般の閣議決定と積極的平和主義について、目指すものが違うこの二つを一つにしているといった御指摘は全く当たりません。
自衛隊の積極的な活用によるリスクについてお尋ねがありました。
今後とも、国民の命と幸せな暮らしを守るという自衛隊員の任務には何ら変更はなく、自衛隊員が海外で我が国の安全と無関係な戦争に参加することは断じてありません。
国際社会の平和と安定への貢献に当たっては、これまで同様、安全を確保しつつ行うことは言うまでもありません。
また、もはやどの国も、テロの脅威から安全な国はありません。政府としては、テロの未然防止に万全を期すため、国際社会と密接に、緊密に連携し、諸対策を推進してまいります。
我が国としては、テロに屈することなく、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の一員として、地域や世界の平和と安定のために積極的に貢献してまいります。
安全保障法制に関する閣議決定と立憲主義との関係についてお尋ねがありました。
昨年七月の閣議決定は、国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置が許されるという、従来の憲法解釈の基本的考え方を変えるものではありません。したがって、憲法の規範性を何ら変更するものではなく、立憲主義に反するものではありません。
また、閣議決定だけで自衛隊が行動できるようになるわけではなく、根拠となる法律が必要です。閣議決定は、あくまでも法整備のための基本方針であり、これに基づいて、現在、法案の準備を進めています。
引き続き、国民の皆様のさらなる御理解を得る努力を続けながら、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めてまいります。
新三要件を満たす状況について具体例を示すべきとお尋ねがありました。
新三要件における、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況のもと、武力を用いた対処をしなければ、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものと考えています。
いかなる状況がこれに該当するかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難ですが、例えば、具体的に次のようなものが考えられます。
一つ目は、邦人輸送中の米軍船舶の防護です。
例えば、我が国近隣で武力攻撃が発生し、米国船舶は公海上で武力攻撃を受けている、攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況においては、取り残されている多数の在留邦人を我が国に輸送することが急務となります。
そのような中、在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受ける明白な危険がある場合は、状況を総合的に判断して、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たり得ると考えられます。
二つ目は、ホルムズ海峡での機雷敷設です。
海洋国家である我が国にとっては、国民生活に不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全確保は極めて重要です。我が国が輸入する原油の約八割、天然ガスの二割強はホルムズ海峡を通過しており、ホルムズ海峡はエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路となっています。
仮に、この海峡の地域で武力紛争が発生し、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合には、かつての石油ショックを上回るほどに世界経済は大混乱に陥り、我が国に深刻なエネルギー危機が発生し得ます。
我が国に石油備蓄は約六カ月ありますが、機雷が除去をされなければ危険はなくなりません。石油供給が回復せず、我が国の国民生活に死活的な影響が生じるような場合には、状況を総合的に判断して、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たり得ると考えられます。
新三要件と集団安全保障措置との関係及び今後の法整備についてのお尋ねがありました。
憲法上、武力行使が許されるのは、あくまで先般の閣議決定にある新三要件を満たす場合に限られます。
例えば、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、自衛隊は、個別的自衛権に基づき、武力を行使して自衛の措置をとることとなります。その後で、国連安保理が、日本を助けるため、武力行使を容認する決議を採択し、国際法上の武力行使の根拠が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置になったとしても、我が国に対する武力攻撃が続いている限り、自衛隊が活動をやめることはありません。
同様に、新三要件を満たしている場合に、我が国が集団的自衛権の行使に当たる武力の行使を行っている際、国連安保理が武力の行使を容認する決議を採択し、国際法上の武力行使の根拠が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置になったとしても、新三要件を満たしている限り、自衛隊が活動をとめることはありません。
政府としては、閣議決定で示された基本方針のもとで、新三要件を満たす場合にのみ、憲法上認められる自衛のための措置についての立法措置を含め、切れ目のない安全保障体制の整備を進めてまいります。
東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
避難者の数は、当初の四十七万人から二十三万人に減少しましたが、いまだ多くの方が仮設住宅におられるという厳しい状況にあることも事実であります。住宅再建の工事を急ぐとともに、町のにぎわいを戻すための産業、なりわいの再生、被災者の心身のケアにも力を入れているところであります。
私は、内閣発足以来、合計二十一回にわたり被災地を訪問してまいりました。一昨日も、岩手県と宮城県を訪問し、被災者の方々の不安の声や何を必要とされているかといったことについてしっかりとお話を伺ってまいりました。
今後とも、被災者の方々に寄り添い、一日も早く安心して暮らすことができるよう全力を尽くしてまいります。
戦後七十年の談話についてお尋ねがありました。
安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。戦後七十年の談話は、それを前提として作成するものであります。
談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本として、アジア太平洋地域や世界のために、さらにどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります。
いずれにせよ、具体的内容は、今後、有識者の御意見を伺いながら、政府として検討していきます。
日本国憲法についてお尋ねがありました。
現行憲法は帝国議会において議決されたものであり、安倍内閣においても、憲法を厳に遵守しております。
御指摘の私の言葉は、現行憲法については、戦後の占領下において、その原案が連合国軍総司令部によって短期間に作成されたものであるとの事実を述べたものにすぎず、御指摘は全く当たらないと考えています。
選挙制度改革についてお尋ねがありました。
選挙制度の改革は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であることから、小さな政党も含め、各党各会派が真摯に議論を行うことが重要です。
衆議院については、現在、議長のもとに設置された第三者機関においてさまざまな議論が行われております。大切なことは、各党各会派がその答申に従うことであると考えています。
参議院については、現在、議員による協議機関でさまざまな議論が行われているところであり、私からも、党に対し、早期にしっかりと議論を進めるように指示をしております。
いずれにせよ、各党各会派において建設的な議論が進められ、早期に結論を得ることによって、国民の負託にしっかりと応えていくべきものと考えております。
党首討論についてお尋ねがありました。
国民が政治に期待を持てるよう、建設的な議論を行っていこうとの御提案には大賛成であります。
ただ、そのためには、国民に対して、それぞれが異なる政策の選択肢を提示していくことが不可欠であります。国会の具体的な運営は国会でお決めいただきたいと思いますが、ぜひ、具体的な政策の違いを国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行わせていただきたい、このように考えております。
最後となりましたが、岡田克也議員の新代表就任、心からお祝いを申し上げます。国会で建設的な議論を行うことができるよう、リーダーシップを発揮されることを期待しております。(拍手)
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