安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷垣禎一議員にお答えいたします。
 テロ対策及び国際社会のテロとの闘いにおける我が国の貢献についてお尋ねがありました。
 政府としては、テロの防止に万全を期すため、国際社会と緊密に連携し、不穏動向の早期把握に向けた情報収集、分析の強化、海外に渡航、滞在する邦人の安全の確保に向けた迅速な情報提供の徹底、テロリストの入国阻止等に向けた関係機関の連携による水際における取り締まりの強化、空港、公共交通機関などの重要施設の警戒警備の徹底などの諸対策を一層強力に推進してまいります。
 国際社会によるテロとの闘いの中において、我が国がテロに屈することは断じてありません。私が中東訪問で発表した人道支援策は、その地域で、住むところがなく、日々寒さに震えながら飢えや病気に苦しむ一千万人以上の避難民や子供たちに食糧や医療物資などを届けるための、命をつなぐ支援です。
 我が国は、最前線で過激主義と対峙している穏健イスラム諸国を支援するため、食糧、医療などの人道支援をさらに拡充し、テロと闘う国際社会において、日本としての責任を毅然として果たしていく所存です。
 さきの総選挙結果を踏まえた今後の決意についてお尋ねがありました。
 さきの総選挙において、私たちは、この道しかないと訴えてまいりました。そして、再び連立与党で三分の二を上回る議席をいただけたことは、引き続きこの道を真っすぐ進んでいけと、国民の皆様から力強く背中を押していただけたものと考えております。
 信任という大きな力を得て、選挙で国民の皆様にお約束をした政策を一つ一つ確実に実現してまいります。国民の負託に応えるため、全力を尽くしてまいる所存でございます。
 同時に、三分の二という議席の重さをかみしめ、今後、国民からより一層厳しい目線が私たちに注がれることを強く意識しなければなりません。私たちが数におごり、謙虚さを失うことがあれば、国民の支持は一瞬にして失われてしまうでしょう。
 これまで以上に緊張感を持ち、政府・与党が一丸となって政権運営に当たっていく考えでございます。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 復興の加速化は、安倍政権の最重要課題です。
 例えば、被災地での住宅再建は、累次の加速化策により進展し、高台移転は九割、災害公営住宅は八割の事業が始まっております。
 平成二十七年度予算においても、復興の加速化に重点化しております。
 具体的には、住宅再建と復興まちづくり、町のにぎわいを取り戻すための産業、なりわいの再生、被災者の心身のケアなど、復興を進める上でのさまざまな課題に対応することとしております。
 まずは、この予算の成立に全力を尽くしてまいります。
 被災地の復興なくして日本の再生なし。
 閣僚全員が復興大臣であるとの意識を全閣僚で共有し、集中復興期間の最終年度である二十七年度までに復興を最大限加速させるよう、引き続き、全力で取り組んでまいります。
 経済再生に向けた決意についてお尋ねがありました。
 この二年間、全力で射込んできた三本の矢の経済政策により、御指摘のとおり、確実に経済の好循環が生まれ始めています。
 他方、昨年四月の消費税率引き上げ等の影響で個人消費等に弱さが見られ、景気の回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実であります。
 ただ、足元では、街角の景況感が多くの地域で改善するなど景気回復の兆しも見られており、こうした兆しを景気回復の確かな実感につなげるため、今般、個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図る力強い経済対策を策定し、これを実行するための平成二十六年度補正予算が成立いたしました。
 本補正予算を迅速かつ着実に実行し、景気回復の実感を全国津々浦々に届けてまいります。
 地方創生の決意についてお尋ねがありました。
 地方創生は、地域に眠るさまざまな資源や可能性を最大限に開花させ、若者を引きつける、個性あふれる地方をつくり上げる取り組みであり、国と地方が総力を挙げて緊急に取り組むべき課題であります。
 やる気のある地方の創意工夫を全力で応援する、この方針に基づき、雇用の創出、人の移住、定住、安心して暮らせるまちづくりの実現を目指した地方の取り組みを支援してまいります。
 昨年末に取りまとめた総合戦略に基づき、意欲あふれる地方の取り組みに対し、予算、税制、人材等のあらゆる方策を使って全力で後押ししてまいります。
 財政健全化と社会保障制度改革、消費税率引き上げに向けた決意についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年度の財政健全化目標はしっかりと堅持し、その目標達成に向け、デフレから脱却し、経済再生により税収をふやす、無駄削減など徹底した行財政改革もしっかりやるなど、歳出歳入両面にわたり取り組んでまいります。本年夏までに、目標達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
 また、世界に冠たる社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、社会保障改革プログラム法に沿って、受益と負担の均衡がとれた制度へと不断に改革を進めます。
 その上で、我が国の社会保障制度や財政に対しての信認を確保するためにも、平成二十九年四月の消費税率一〇%への引き上げについては、景気判断条項を付すことなく、確実に実施します。そして、賃上げの流れを来年の春、再来年の春と続け、景気回復の温かい風を全国津々浦々まで届けてまいります。
 これらの取り組みによって、経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを同時に達成してまいります。
 女性活躍推進についてお尋ねがありました。
 全ての女性が輝く社会を実現するには、仕事と生活の調和を目指すなど、男性を含めた社会の意識改革が不可欠であります。
 安倍内閣では、男性の家事、育児への参加を促進するため、これまで、育児休業給付の実質八割までの引き上げなど、取り組みを進めてまいりました。さらに、長時間労働の抑制や、年次有給休暇を確実に取得できるような仕組みづくりなど、働き方改革を進め、新たなライフスタイルの構築により女性が生き生きと活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 規制改革実現に向けた意義と決意についてお尋ねがありました。
 戦後七十年を迎え、国際情勢や我が国の経済社会構造が大きく変化する中、これからも日本の大切な文化や伝統を守り、世界の中心で輝く国にしていくためには、勇気を持って改革していかなければなりません。大胆な規制改革によって、民間のダイナミックな創意工夫の中から多様性あふれる新たなビジネスが生まれる、これは私の成長戦略の鍵です。改革のための改革は厳に慎まなければなりません。
 これまで、できるはずがないとされてきた多くの改革を次々と決断してきました。例えば、約六十年間独占が続いてきた電力小売市場の完全自由化、六十年ぶりの農協の抜本改革、患者本位で治療の選択肢を拡大する新たな制度の導入などです。
 今通常国会を改革断行国会と位置づけ、農業、雇用、医療、エネルギーなど、岩盤のようにかたい規制に対し、強い決意を持って改革を断行してまいります。あわせて、改革の意義を国民の皆様に丁寧に説明してまいります。
 医療分野の規制改革についてお尋ねがありました。
 iPS細胞等を用いた再生医療等製品については、昨年十一月、その特性を踏まえて新たな制度を施行し、条件や期限を付して早期に承認することを可能とし、より早く患者にお届けできるようにしました。
 また、患者からの申し出を起点として、世界最先端の医療について、安全性、有効性を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられる患者申し出療養を創設することとし、必要な法案を今国会に提出します。
 こうした規制改革の取り組みを通じ、医療関連分野を経済成長の活力とし、また、困難な病気と闘う患者の皆さんの思いに応える患者本位の医療を実現してまいります。
 雇用制度改革についてお尋ねがありました。
 政府が検討を進めている労働時間制度の見直しは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進めるものです。
 このため、企業に対し、働く人の意見を聞いて休暇を指定することの義務づけや、働く時間を調整し、より柔軟な働き方を可能とするフレックスタイム制の見直し、グローバルに活躍する高度専門職として働く人について、時間でなく成果で評価する新たな制度の導入などを検討しています。
 また、提出を予定している労働者派遣法改正案においては、正社員を希望する派遣労働者について、正社員への道が開けるようにするとともに、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している方については、待遇の改善を図ることとしています。
 安倍内閣としては、これらの雇用制度改革を通じ、働きたいと希望するあらゆる人が、ワーク・ライフ・バランスを確保しながら、生きがいを持って社会で活躍の場を見出すことのできる社会を目指してまいります。
 農業改革についてお尋ねがありました。
 農業は、日本の美しいふるさとを守ってきた国の基であり、一方で、我が国の農業の活性化は待ったなしです。
 農業の成長産業化を図るため、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出、六次産業化の推進、米の生産調整の見直しなど、農政改革に力を注いできました。
 さらに、今般、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行います。
 特に農協改革については、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など、自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにします。
 政策を総動員して改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、地域における農業の可能性は広がり、農家の所得もふえていきます。強い農業と美しく活力ある農村を実現できると確信しております。
 エネルギー改革についてお尋ねがありました。
 エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築していかなければなりません。
 そのため、最終段階に入った電力システム改革をやり遂げるとともに、ガス事業でも小売を全面自由化し、あらゆる参入障壁を取り除いてまいります。
 同時に、この改革は、これまで長年続いてきた仕組みを変えるという大変難しい改革であるからこそ、さまざまな課題を検証し、克服しながら進めていくことが必要です。
 国民生活や日本経済の生命線である、低廉で安定したエネルギー供給を実現するため、万全の準備を行いながら、競争的でダイナミックなエネルギー市場をつくり上げてまいります。
 教育再生への決意についてお尋ねがありました。
 子供たちの誰もが、自信を持って学び、成長できる環境をつくる、これは私たち大人の責任です。
 いじめなどで学校に行けなくなっている子供たちがいます。その現実から、私たちは目を背けてはいけません。そのような思いから、昨年、都内のフリースクールを視察しました。
 そこには、困難を乗り越え、将来に向かって、夢を持ち、頑張る子供たちの姿がありました。さまざまな生き方、学び方があることを、私は、これからも全国の子供たちに伝えていきたいと思います。
 また、子供の貧困は、頑張れば報われるという真っ当な社会の根幹にかかわる深刻な問題です。子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。
 このため、フリースクールなどでの学びの支援や、小中一貫校の設立、道徳教育の充実、幼児教育、高校、大学での教育費負担の軽減などに取り組んでまいります。
 子供たちには無限の可能性が眠っており、それを引き出す鍵は教育の再生です。誰にでもチャンスがある、そしてみんなが夢に向かって進んでいける社会をつくるため、引き続き、教育再生に全力で取り組んでまいります。
 戦後七十年の談話についてお尋ねがありました。
 安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。戦後七十年の談話は、それを前提として作成するものです。
 談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えです。
 まずは、有識者会議を早期に立ち上げ、二十一世紀の世界のあり方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論していただき、政府として検討していきたいと考えております。
 安全保障法制の整備についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は大きく激変しております。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできません。いかなる事態にあっても国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜く、そして、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していく必要があります。
 安全保障に想定外は許されません。グレーゾーン事態から集団的自衛権にかかわる事態まで、あらゆる事態に切れ目のない対応ができる安全保障法制の整備が不可欠です。
 ただし、海外派兵は一般に許されないという従来からの原則は一切変わりません。また、徴兵制は明確な憲法違反であり、いかなる場合であっても導入する余地はありません。
 引き続き、与党と御相談しながら万全の法案準備を進めるとともに、国民の皆様の御理解を得る努力を続け、今国会における成立を図ってまいります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 拉致問題は、安倍内閣の最重要課題です。
 御指摘のとおり、被害者の御家族も御高齢になられ、一刻も早い解決が求められています。
 政府としては、引き続き、北朝鮮が調査を迅速に行い、その結果を速やかに、かつ正直に通報することを強く求めています。
 御家族がみずからの手で被害者を抱き締める日が訪れるまで、私の使命は終わりません。全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、三年前、まさに当時の谷垣総裁のもとで憲法改正草案を発表し、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を広く国民に示し、憲法改正を正面から訴えてまいりました。
 今後、憲法審査会などの場においてしっかりとした議論を行うことにより、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論をさらに深めてまいりたいと考えております。
 この議論の深まりを踏まえて、私としては、しっかりと、着実に憲法改正に取り組んでまいります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
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発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2015-02-16

院: 衆議院

会議名: 本会議