安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 江田憲司議員にお答えをいたします。
邦人殺害テロ事件に関する検証についてお尋ねがありました。
邦人殺害テロ事件では、事件発生以来、政府はあらゆる手段を尽くしてまいりましたが、日本人がテロの犠牲になったことは痛恨のきわみであります。衷心より哀悼の誠をささげるとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げます。
テロ対策については不断の見直しが必要であり、今回の事件に対する対応については、先日立ち上げた検証委員会のもと、有識者の方々からの御意見も聴取して、最終的に検証結果を取りまとめたいと考えております。
検証結果をどのような形でお示しするかについては、今後委員会において議論することとなりますが、インテリジェンスや諸外国との関係などを考慮しつつ、今後のテロ対策に資するよう公表してまいります。
金融緩和についてお尋ねがありました。
安倍内閣は、十五年以上続くデフレから脱却するため、三本の矢の政策を進めてきました。
日本銀行は、二%の物価安定目標を掲げ、大胆な金融緩和を実施してきましたが、こうした取り組みは、固定化したデフレマインドを払拭し、経済の好循環を後押ししてきたものと考えます。政府としては、日本銀行が今後とも二%の物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しています。
なお、金融緩和が行き過ぎた場合の弊害との御懸念について御質問がありましたが、具体的な金融政策の手法については、日本銀行に委ねております。日本銀行においては、経済・物価情勢について、上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うこととしており、市場とのコミュニケーションを適切に図りつつ、適切な対応をとられることを期待しています。
公共事業についてお尋ねがありました。
年度末に補正予算が成立する場合など、補正予算に計上された公共事業関係費の多くが結果的に翌年度に繰り越されることもありますが、これらについては、翌年度において適切な執行に努めているところであります。
また、平成二十七年度の公共事業関係費においては、昨年の広島における土砂災害などを受け、事前防災・減災対策等への重点化を図っており、ばらまきとの指摘は当たりません。
なお、国土強靱化については、公共事業の額ありきではなく、二百兆円といった額を決定したという事実もありません。
低年金生活者への給付金等についてのお尋ねがありました。
御指摘の年金関係の措置は、消費税増収分を活用した社会保障の充実の中で実施することとしています。
平成二十七年度予算では、消費税増収分を活用した社会保障の充実について、限られた財源の中、施策の優先順位をつけ、子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行などを優先的に実施してまいります。また、低年金生活者への給付金や、受給資格期間の短縮については、法律の規定どおり、安定財源が確保される消費税率一〇%への引き上げ時に実施することとしております。
補正予算とバウチャー制度についてお尋ねがありました。
平成二十六年度補正予算は、個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図り、力強い経済対策を実行するためのものです。
このため、交付金を創設し、例えば、プレミアム商品券の発行や子供の多い御家庭の支援など、地方自治体の創意工夫で実施する消費喚起策や生活支援策を後押しすることとしております。
また、このほか、仕事づくりなど、地方が直面する人口減、高齢化といった課題への対応を通じた地域の活性化、災害復旧などの緊急対応や復興の加速化といった点にも重点を置いて取りまとめたものです。
したがって、補正予算全額を消費喚起策に充てることは適切でないと考えています。
また、保育や福祉といった分野においては、子ども・子育て支援新制度を導入し、多様なサービスについて、質を確保した上で、利用者が選択できるよう取り組んでいるところです。
なお、いわゆるバウチャー制度については、利用者の選択の幅を広げるといった効果が考えられる一方、サービスの質の確保等に留意する必要があると考えております。
消費税率一〇%への引き上げについてのお尋ねがありました。
平成二十九年四月の消費税率一〇%への引き上げについては、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、景気判断条項を付すことなく、確実に実施いたします。
そうした経済状況をつくり出すという決意のもと、三本の矢の政策をさらに前に進め、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
農業分野の規制改革、構造改革についてお尋ねがありました。
我が国の農業の活性化は待ったなしの課題であり、農業の成長産業化を図るため、意欲のある農業の担い手が活躍しやすい環境を整備していくことが重要です。
同じ地域に複数の農協を設立することについては、平成十三年の農協法改正により可能となっており、これまでの申請は全て認可されています。
農業への企業参入については、平成二十一年のリースの解禁で、株式会社のままでも自由に参入することとなっており、農地集積バンクとの組み合わせによって、さらに効率的に農業経営を展開できるようになっています。
さらに、今回の改革で、農業委員会については、公選制を市町村長の選任制に改め、農業者以外の中立の立場で公正に判断できる者を必ず選任します。
農地を所有できる法人である農業生産法人については、販売や加工の拡充といった六次産業化等を行いやすくするため、役員要件及び議決権要件の見直しを行います。
こうした改革を一体的に行うことで、若い農業者や新規就農者が自分たちの情熱や能力によって新しい地平を切り開いていけるようにしていきたいと考えています。
農協改革についてお尋ねがありました。
農業の可能性を引き出すため、農業者と地域農協が主役となった農協改革を行います。
信用事業を行う農協については、金融庁の監督下にもありますが、さらに、今回、他の金融機関と同様に、公認会計士による監査を義務づけます。
また、農協はあくまで農業者の協同組織であり、農業者のメリットの拡大が最優先されるよう、理事の過半数を認定農業者にするなど、農協システム全体について見直しを行います。
こうした改革を進め、地域農協が自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにしてまいります。
米の生産調整の見直し、いわゆる減反の廃止についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、リース方式を活用した農地集積による生産性の向上などに精力的に取り組んでおります。
その上で、四十年以上続いた米の生産調整を見直し、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。
これらの施策を着実に実行することによって、生産現場での混乱を招くことなく、農業構造の改革と強い農業の実現を図っていきたいと考えております。
発送電分離の方式についてお尋ねがありました。
所有権分離の方式は、財産権や資金調達の面で課題があることから、電力システム改革の最終段階として、送配電部門を発電や小売とは別の会社とする法的分離の方式により発送電分離を行います。
法的分離は、米国で採用されている送配電ネットワークの運用を中立機関に任せる方式と比べ、独立性が明確であり、送配電ネットワークの運用と保守を一体的に行えるという点で優位であると考えております。
法的分離とあわせて人事や会計面での規制を行うことにより、誰もが公平に送配電ネットワークにアクセスできるようにすることで、遅くとも二〇二〇年ごろには、我が国の電力市場を完全に競争的な市場へと変えていきます。
原発の発電コストと原発の位置づけについてお尋ねがありました。
御指摘の米国を含め、海外の電源コストと日本における電源コストを単純に比較することは適切ではありません。例えば、日本において、シェールガスが大量に生産される米国のような低価格で燃料を調達できるわけではありません。
ベースロード電源とは、電源の特性に着目したものであるため、依存度を低減させても何ら変わるものではなく、両者は矛盾しません。
原子力は、運転コストが低廉で、変動も少なく、運転時の温室効果ガスの排出がゼロであることから、安全性の確保を大前提に、重要なベースロード電源と位置づけています。
原発再稼働についてのお尋ねがありました。
原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めてまいります。
その際、地元の理解を得ることは大切であり、立地自治体など関係者とコミュニケーションをとりつつ、適切に対応してまいります。
川内地域の避難計画を初めとする緊急時の対応体制は、関係省庁、鹿児島県、関係市町が参加したワーキングチームで、IAEAの国際基準などに沿った具体的かつ合理的なものになっていることを確認し、私が議長を務める原子力防災会議において、国として了承しました。川内地域以外の地域についても、順次同様の取り組みを進めていく方針です。原子力災害に対する備えに完璧や終わりはありませんので、継続的に内容の充実強化に努めてまいります。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、原発の再稼働の有無にかかわらず、しっかり確保することが政治の責任です。これまでのやり方を見直し、科学的根拠に基づき国から適地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めてまいります。
労働時間法制についてお尋ねがありました。
労働時間制度の見直しは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進めるものです。働き過ぎの是正については、企業に対し、働く人の意見を聞いて休暇を指定することの義務づけを行うことなどを検討しています。
また、グローバルに活躍する高度専門職として働く人について、時間でなく成果で評価する新たな制度を導入し、労働生産性の向上を図ってまいります。
同一労働に対し同一賃金が支払われるという仕組みをつくっていくことは、一つの重要な考え方と認識しています。しかし、ある時点で仕事が同じであったとしても、さまざまな仕事を経験し責任を負っている労働者と経験の浅い労働者との間で賃金を同一にすることについて、直ちに広い理解を得ることは難しいものと考えています。
このため、非正規雇用労働者について、まずは多様な雇用形態に応じた均衡待遇を推進していくことが重要であり、処遇の差の改善を図ってまいります。
大阪都構想についてお尋ねがありました。
いわゆる大阪都構想は、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものであり、その目的は重要であると認識しています。政府としては、住民投票において実施の意思が示された場合には、必要な手続を粛々と進めてまいります。
地下鉄の民営化及び特別多数議決についてのお尋ねがありました。
地方公共団体が運営する地下鉄は、条例により公の施設とされ、その民営化は公の施設の廃止に該当するものと承知しております。また、当該地下鉄が特に重要な公の施設として条例で定められている場合には、その廃止に当たって、議会の三分の二以上の賛成による特別多数議決が必要となります。
何が特に重要な公の施設に当たるかは地方自治体により決められますが、地方自治法に定める特別多数議決制度自体の見直しについては、公の施設の利用者である住民の権利を尊重する観点から、地方自治体の意見等を踏まえた十分な検討が必要であると考えます。
道州制及び地方分権改革についてお尋ねがありました。
道州制の導入は、地域経済の活性化などを目指し、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革です。
現在、与党において、道州制の議論を前に進めるべく、精力的に検討が重ねられてきており、政府としても連携を深め取り組んでまいります。
また、地方分権改革については、今般、長年地方からの実現要望が非常に強かった農地転用許可権限の移譲を初め、地域に密着した数多くの課題を一つ一つ解消し、地方六団体からも高い評価をいただいたところであります。
今後とも、地方の熱意と現場の生の声を真摯に受けとめ、やる気のある地方を応援する地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいります。
被災地の再生加速についてお尋ねがありました。
これまで、被災者の方々が一日も早く安心して暮らすことができるよう、住宅再建や産業、なりわいの再生などに全力で取り組んできました。平成二十七年度予算においても、復興の加速化を最重要課題の一つとして重点化しています。まずは、この成立に全力を尽くします。
集中復興期間が終わっても、我々は決してとまりません。平成二十八年度以降についても、被災者の方々の心に寄り添い、しっかりと対応してまいります。
また、東北地方も道州制特区に加えるべきとの御提案について申し上げれば、復興は住民に身近な市町村が中心となって取り組むものであり、国は、被災自治体の具体的な要望を伺いつつ、財政や人材、ノウハウ等の面から、責任を持って支援をしているところです。こうした体制のもとで、現地の御要望にきめ細かく応えてまいります。
原発事故の収束対策についてお尋ねがありました。
福島第一原発については、汚染水対策を含めた、廃炉、賠償、除染など課題は山積しており、今なお厳しい避難生活を強いられている被災者の方々のことを思うと、収束という言葉を使う状況にないと考えています。
世界にも前例のない廃炉・汚染水対策については、技術的難易度が高い取り組みへの財政措置を行う等、東電任せにせず、国も前面に立って取り組んでいます。
また、福島の復興の加速化に向け、賠償、除染、中間貯蔵施設の事業及び資金負担の両面で国と東電の役割分担を明らかにし、国費の投入を決めております。
除染土壌等の中間貯蔵施設については、地元から建設を受け入れていただき、現在、搬入の受け入れのお願いをしています。引き続き、除去土壌等の早期搬出に向けて、地権者の皆様への丁寧な説明と施設整備に政府全体で全力で取り組みます。
議員定数、議員歳費及び文書通信交通滞在費についてのお尋ねがありました。
選挙制度改革については、現在、衆参両院においてそれぞれ、第三者機関、議員による協議機関でさまざまな議論が行われていると承知しております。
議員の定数に関する問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な問題であり、各党各会派が正面からこの問題に向き合い、政治の責任において国民の負託にしっかりと応えてまいるべきものと考えております。
議員歳費及び政治活動の諸経費については、議員の政治活動、すなわち民主主義の根幹にかかわる重要な課題であり、その削減や公開のルール化については、数で押し切るべきものではなく、各党各会派で議論を深めていくべき課題であると考えております。
なお、閣僚の給与につきましては、昨年四月、特例による減額がなくなって以降も、引き続き、それぞれそれに相当する額、閣僚は二割、私は三割を国庫に返納しております。
天下りを含む公務員制度改革についてのお尋ねがありました。
国家公務員の再就職に関して問題なのは、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。
このため、平成十九年の国家公務員法改正により、各府省による再就職あっせんの禁止等の厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設立したところであります。
政府としては、再就職等監視委員会による厳格な監視のもと、こうした不適切な行為を厳格に規制しているところであり、今後とも、こうした取り組みにより、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。
なお、国家公務員制度改革については、昨年の国家公務員法等の一部改正により、内閣人事局の設置や幹部職員人事の一元管理等、政府としての総合的人材戦略を確立するための制度改革を行っているところであります。
新三要件における国民の権利が根底から覆される明白な危険との要件、自衛隊法や武力攻撃事態法との関係についてのお尋ねがありました。
安全保障法制の整備に関しては、さきの閣議決定に基づき、現在、政府部内で精力的に準備を進めているところであります。
具体的な法整備の内容は検討中ですが、閣議決定に記載された新三要件は、憲法上許容される武力の行使の要件そのものであるため、自衛隊の行動の法的根拠となる自衛隊法等の中でその趣旨を過不足なく規定するべきものと考えています。
自衛隊の海外派遣、後方支援に関する法案の提出及び周辺事態法の扱いについてお尋ねがありました。
政府としては、安全保障法制の整備に当たっては、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とすることが重要であると考えており、将来、具体的なニーズが発生してから改めて立法措置を行うという考え方はとりません。
御指摘の周辺事態法の扱いも含め、具体的な法整備の内容は現在検討中です。
いずれにせよ、これらの点については、与党協議においても議論がなされるものと承知しており、与党間でしっかり議論していただきたいと考えています。
憲法裁判所についてお尋ねがありました。
憲法裁判所を設置し、具体的な訴訟事件を離れて抽象的な憲法判断の権能を付与すべきとの御提案は、非常に大きな問題であり、各党各会派で広く御議論いただいた上、国民的な議論を深めていくことが必要と考えます。
憲法改正についてお尋ねがありました。
自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、既に憲法改正草案を発表していますが、統治機構に関することは、それぞれの個別の課題ごとにさらに議論を尽くす必要があることから、草案では、大幅な改正を行うこととはされておりません。
一院制、首相公選制など御指摘の問題は、今後、各党各会派で幅広く御議論いただいた上、国民的な議論をさらに深めてまいりたいと考えております。(拍手)
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