安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 畠山和也議員にお答えをいたします。
 これまでの農政の総括についてお尋ねがありました。
 これまで、農政においては、その時々の課題に対応するため、米の生産調整を初めさまざまな施策を展開し、国民への食料の安定供給等に努めてきましたが、農産物価格の低下等による農業所得の減少、担い手の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増大など、現在の我が国の農業、農村をめぐる状況は厳しいものとなっております。
 その要因として、食生活が変化する中で、米のように需要が減少する作物の生産転換が円滑に進まなかったこと、水田農業などにおける担い手への農地集積のおくれ、農産物価格が低迷する中で、高付加価値化が実現できなかったことなどの事情があったと認識しております。
 こうした状況を一つ一つ克服し、我が国の農業の活性化を図っていくことは待ったなしの課題であり、安倍内閣では農政改革を進めているところであります。
 TPPの意義についてお尋ねがありました。
 我が国の同盟国である米国や自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とともに新たなルールをつくり上げ、こうした国々と経済的相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にも、また、この地域の安定にも資する戦略的意義を有しています。
 また、成長著しいアジア太平洋地域の市場を取り込むことで、六次産業化など抜本的な農政改革と相まって、農業にとっても発展の機会が広がると考えています。
 いずれにせよ、農産物について、衆議院、参議院の農林水産委員会の決議をしっかりと受けとめ、国益にかなう最善の道を追求してまいります。
 米国議会演説においてTPPの次に農協改革に触れた理由についてお尋ねがありました。
 御指摘の、TPPに続く演説部分は、日本の農業を守っていくためには、今、農政の大改革に踏み出さなければならない、その決意を申し上げたものであり、農協改革だけを論じたものではありません。さらに、コーポレートガバナンスの強化、医療、エネルギー分野での岩盤規制打破、女性が輝く社会づくりなど、強い日本の実現に向かって、我が国は諸改革を大胆に進めていかなければならないとの考えを示したものであります。
 したがって、農協がTPPに反対しているからといった御指摘は全く当たりません。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド合意時の自民党の対応についてお尋ねがありました。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉当時、私は、日本の農業を守りたいとの思いから、国会前で農業の開放に反対する自民党の抗議活動に加わりました。
 一方で、農業をめぐる現状は、農業従事者は高齢化し、農業生産額は減少するなど、その活性化は待ったなしの課題であり、今、日本の農業は変わらなければなりません。これはTPPその他の国際交渉いかんにかかわらないことであり、安倍内閣では農政改革を進めているところです。
 TPP交渉推進の目的についてお尋ねがありました。
 TPPは、成長著しいアジア太平洋地域に人、物、資本が自由に行き交う大きな一つの経済圏を構築する野心的な試みであって、地域の発展にも、そして日本の成長、発展にも大きく寄与すると確信しています。
 我が国としては、こうした観点から、国益にかなう最善の道を追求しており、米軍のためにTPPを推進しているという御指摘は当たりません。
 協同組合の価値と原則の尊重についてお尋ねがありました。
 今回の農協改革は、農業者の協同組合である地域農協がその価値を最大限発揮できるよう、その自己改革の枠組みを明確にするものです。これは、国際協同組合同盟の声明にある協同組合原則にも合致するものと考えております。
 現行農協法第八条の削除についてお尋ねがありました。
 第八条の「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」との規定は、農協が、農産物を有利に販売し、利益を上げることを禁止しているとの誤解を招いていることから、今回削除することとします。
 なお、この規定を削除しても、出資配当の上限があり、株式会社のように出資配当を目的として事業を行うことはできないので、農協の性格が変わるとの指摘は、これも当たりません。
 全中監査の廃止についてお尋ねがありました。
 今回の改正において、全中監査の義務づけを廃止し、公認会計士監査を義務づけました。これは、農協が今後も引き続き信用事業を安定的に行うに当たり、他の金融機関とのイコールフッティングを図るためのものであります。
 したがって、今回の改革が農協系金融をアメリカ企業に開放するためのものとの指摘は、全く当てはまりません。
 農協の理事要件についてお尋ねがありました。
 地域農協が、農業者と力を合わせ、創意工夫しながら農業所得の増大に向けて事業運営を行っていくためには、農業に積極的に取り組んでいる担い手農業者の意見が農協運営に的確に反映されることが重要です。
 こうした観点から、今回の農協改革では、地域農協の理事の過半数は原則として認定農業者などとすることを求めるものであり、営利最優先の経営へ変えることを目的としているといった御指摘は、これも全く当たりません。
 准組合員の利用規制についてお尋ねがありました。
 農協はあくまで農業者の協同組織であり、准組合員へのサービスのため、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはなりません。
 一方で、農協は、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において、実際上、地域のインフラとしての側面を持っているのも事実です。
 こうしたことを踏まえ、今回の法案では、准組合員の利用規制について、五年間、正組合員と准組合員ごとの利用量や地域におけるサービスの状況を把握し、今回の農協改革の成果も見きわめた上で、結論を得ることとしたものであります。
 農業委員の選任のあり方についてお尋ねがありました。
 農業委員会は、担い手への農地集積、集約化等を積極的に進めていくことが期待されています。
 一方で、その活動状況は地域によってさまざまであり、農家への働きかけが形式的など、必ずしも農家に評価されているとは言いがたい状況も見られます。
 こうしたことを踏まえ、農業委員会の委員に適切な人物が確実に就任するようにするため、公選制から市町村長の選任制に改めることとしているところです。これにより、若者が自分たちの情熱や能力によって新しい地平を切り開いていけるようにしていきたいと考えています。
 農業生産法人の要件緩和についてお尋ねがありました。
 農業の成長産業化を図るためには、意欲のある担い手が活躍しやすい環境を整備していくことが重要です。
 農地を所有できる農業生産法人については、役員や議決権についての現行の要件がネックとなって、六次産業化など経営の発展に必ずしも対応できない面があります。
 このため、今回の改革では、農業生産法人が六次産業化を行いやすくするため、役員要件及び議決権要件の見直しを行うこととしております。
 農業委員会と農業生産法人の改革の意義についてのお尋ねがありました。
 今回の改革は、農業委員会による担い手への農地利用の集積、集約化等の推進を通じ、生産コストの引き下げや農業所得の増大にもつながるものであります。また、農業生産法人が六次産業化に取り組みやすくなり、法人の経営発展が図られていくものであります。
 このように、今回の改革は、農業の成長産業化を推進していくものであり、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現に資するものであると考えております。
 以上であります。(拍手)

発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2015-05-14

院: 衆議院

会議名: 本会議